若き発明家の卵達を山崎直子さん、吉野彰さんが揃って激励！

「令和４年度パテントコンテスト/デザインパテントコンテスト表彰式が開催されました」

未来を担う学生の皆さんが自ら考えたアイデアやデザインに注目！
～ひらめきは、特許庁に。デザインは、意匠権に。～

 

 

パテントコンテスト/デザインパテントコンテストは、全国の高校生、高等専門学校生や大学生等が創造した
発明・デザインのうち優秀なものを表彰し、特許、意匠登録出願の支援をすることで若い世代の知財マインドの
育成を目的としたコンテストです。

このたび、3月13日（月）にこのコンテストの表彰式が開催されました。

今年度は、全国よりパテント部門に521作品、デザインパテント部門に639作品の応募があり、
その中からパテント部門では30件、デザインパテント部門では31件が優秀賞に選ばれました。


表彰式では、上記各優秀賞の中から、パテントコンテスト、デザインパテントコンテストそれぞれ、

・選考委員長特別賞

・特許庁長官賞

・日本弁理士会会長賞

・独立行政法人工業所有権情報・研修館（INPIT）理事長賞

・文部科学省科学技術・学術政策局長賞

・世界知的所有権期間（WIPO）賞

・新しい生活様式アイデア賞、新しい生活様式デザイン賞

以上7賞を計14作品に授与、また受賞者によるプレゼンテーションも行われました。

 

 

• 選考委員長特別賞

■パテントコンテスト

土屋　弘樹さん（芝浦工業大学）「変形するブラシ」
  

受賞コメント

この度はパテントコンテスト選考委員長特別賞をいただき、ありがとうございました。私は小さい頃から、自分の工作で友達や先生など周りの人をあっと驚かせて笑顔にするのが好きでした。このように作品を公表する機会を
いただけて、作品をご覧になった方に少しでも興奮や感動を与えられたら、これ以上嬉しいことはありません。

今回受賞させていただいた「変形するブラシ」を作るにあたって、最初に自宅にあった2種類のブラシで実際に
水回りを掃除してみました。すると、ハンディブラシと溝ブラシ、それぞれ清掃場所に得意・不得意がある現状に気づきました。清掃場所に合わせて2種類を使い分けるのは、持ち替えが面倒であり、収納もそれぞれ別の
スペースを要します。
そこで、2つの特性を併せ持つブラシがあれば、持ち替えや買い替え、収納場所の確保や洗う手間が省けると考えました。これらの課題を解決し、最終的に思いついたのが、本体が丸ごと変形するブラシです。
平面・溝・曲面・角といった清掃場所に合わせて、さまざまな形状に変えて掃除することができます。

受賞を経て弁理士の方のご協力のもと特許出願も経験し、文章で伝えることに苦戦しながら資料が完成したときは達成感がありました。

若い頃の自由な考え方は、すごく大事だと思います。皆さんのなかに眠っているアイデアがあれば、ぜひパテントコンテストに応募してみることをおすすめします。


■デザインパテントコンテスト

田中　真友美さん（兵庫県立兵庫工業高等学校）「トルネードカッター」
 

受賞コメント

私は実習授業の課題だったテープディスペンサーで今回の作品を作りました。まず市販のテープディスペンサーの問題として「かさばって持ち運びがしづらい」「刃がむき出しで危ない」「テープの装着方法が複雑」といった点に気づきました。そこで、装着方法が簡単で、コンパクトに持ち運びやすいデザインを製作しようと考えました。指輪型・ペン型などの案の中から、最終的にたどり着いたのが螺旋型です。螺旋型にすれば構造が簡単で、装着も回転させるだけととてもシンプルです。螺旋型で面白いデザインを調べている最中にふと、一時期トレンドと
なったトルネードポテトを思い出し、すぐに3DCADで形を作成しました。トルネードポテトの形状だと、平らな面があるため手にフィットしやすく、平たく収納もできます。テープを切った後も始まりがわかって便利です。

受賞を聞いてとても驚いたと同時に、私のアイデアは人の役に立つことができるんだという自信がわいてきました。受賞の経験を今後の活動に生かし、これまで以上に良いデザインを製作できるよう頑張ります。また、意匠権の取得という貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。

来年度の応募者の方へ、良いデザインを作るうえで今までに無い新しいものを作ろうとすると難しいと思うので、私の作品同様、まずは既存のものを組み合わせてみるとアイデアが浮かびやすいかもしれません。
 

• 山崎直子（宇宙飛行士）選考委員長のお言葉

選考委員長特別賞受賞おめでとうございます。堂々と発表されていてわかりやすく、お二人の作品に込める思いが良く伝わってきました。選考委員の方々と審査させていただいて、日頃感じている問題意識からアイデアが生まれ、試行錯誤を重ねて実際に形に落とし込んでいく一連のプロセスが素晴らしいと評価いたしました。

土屋さんは、同様の作品が既に世界のどこかにあるのではと心配しながら応募に踏み切ったそうですが、受賞できたことで自信がついたそうです。これこそがパテントコンテストの意義だと嬉しく思いました。

田中さんは初めての意匠権出願で、普段と異なる意匠登録に対応した図面の作成に苦労されました。また、弁理士の方のサポートのもと資料を作る際に難しい単語が多く、国語力の必要性も感じたそうです。

お二人とも知的財産権を取得して、本格的な商品化に向けてはさらに実現性やコストを考える必要があると学び、今回培った経験を存分に生かしていきたいと展望を語ってくれました。

また、お二人からは、私が国際宇宙ステーション（ISS）へ滞在した時のことをご質問いただきました。まず宇宙に持参した私物の髪留めを選ぶ際に意識した点ですが、ISSではエアコンで24時間換気しているためそこに負荷がかからないこと、気圧が下がっても有害ガスが出ないことを事前にチェックしました。続いて、宇宙食と地上の
食事の違いについて、宇宙食は種類が増え味も進化していますが開発までのご苦労を思いながら味わっていたので、より美味しく感じました。

雑然とした宇宙船内では、お二人の発明・デザインも非常に使いやすいと思います。特に、コンパクトでいろいろな用途がある変形するブラシは限られたスペースに適しています。一方テープカッターは切り口がわかりやすく、安全面も考えられている点が素晴らしいと思いました。

受賞したお二人の貴重なメッセージが応募を検討中の皆さんに大きな勇気を与えてくれると思います。
 

 

• 吉野彰（ノーベル化学賞受賞/旭化成株式会社名誉フォロー）次期選考委員長のお言葉

宇宙飛行士の山崎さんからバトンを受け取って、次期選考委員長を務めさせていただきます。高校生、高専生、
あるいは大学生の方々に、パテントに対していろいろと関心を持っていただくのは非常に大事だと思います。

パテント・デザインを考えるとき、まず最初にアイデアを思いついたら、次に先行技術文献調査をします。当然、今まで誰も考えていないかどうかを調べないといけません。調査を進めると、だいたいは似たようなことを考えた人がいます。新規の発明ではないことがわかったら、もう1つ新しいアイデアを付け加える。これを何度か繰り返すうちに、最終的にはさらに自分の案に磨きがかかって、実用的にも意味があり、なおかつ今まで世界で誰も考えていなかったことに行き着くのがパテント・デザインの一番面白いところだと思います。

来年度以降も本コンテストがより活発になっていくことを期待しています。ぜひよろしくお願いいたします。

 

 

• 表彰式表彰一覧

 

 

表彰式録画配信
https://www.youtube.com/watch?v=XtUjONuZ7pQ
 

• 表彰式概要

日時：2023 年 3 月 13 日（月）13:30 – 16:30

会場：KANDA SQUARE 2F   SQUARE HALL（東京都千代田区神田錦町二丁目 2-1）

主催：文部科学省、特許庁、日本弁理士会、独立行政法人工業所有権情報・研修館

後援：世界知的所有権機関（WIPO）
 

  

• 付記

このコンテストで優秀賞に選出された応募作品は、特許権および意匠権の出願支援対象となり、日本弁理士会の
弁理士が出願手続きを指導し、その費用を主催者が支援のもと特許庁への出願を行うことが出来ます。

このコンテストを通じて生徒・学生の皆さまの知的財産マインドを育てるとともに、知的財産制度への理解を促進することを目的としています。

今後もこの活動へのご理解と普及に、ご注目ください。


特設サイトURL：https://www.inpit.go.jp/patecon/index.html
 

• 法人概要

法人名：独立行政法人工業所有権情報・研修館

所在地：〒105-6008 東京都港区虎ノ門四丁目 3-1（城山トラストタワー8階）

代表者：理事長　久保浩三

設立：2001 年 4 月

事業内容：工業所有権に関する情報の収集、整理及び提供、これら業務に従事する者に対する研修の実施

URL：https://www.inpit.go.jp/index.html