〈中小企業のGXに関する実態調査 第1弾〉中小企業経営者の9割以上がGXについてよく知らない!?
約6割が気候変動に関する情報収集をしておらず、その理由として約半数が「自社には関係ないから」「興味ないから」と回答。中小企業でのGXに対する意識の低さが明らかに。
昨年2月のロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となっています。そういった背景から、GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素・エネルギー安定供給・経済成長の3つを同時に実現するべく、昨年7月27日から岸田内閣総理大臣を議長とするGX実行会議が開催され、昨年末に「GX実現に向けた基本方針」が取りまとめられました。このような社会情勢下で、日本企業の99%を占める中小企業の「GX」にまつわる実態を調査いたしました。
【調査結果サマリー】 ①中小企業経営者の9割以上がGXについて、「知らない」「聞いたことはあるが、よく知らない」 「知っているが、説明できるほどではない」と回答。 GXに対する認知が低い実態が明らかに ②6割近くの中小企業経営者が気候変動に関する情報を収集しておらず、 理由として、約半数が「自社には関係ないから」「興味がないから」と回答。 当事者意識の薄さが垣間見える結果に ③中小企業のGXの取り組みレベルとして、約8割が「取り組めていない」と回答。取り組めていると回答した企業も、意識改革レベルであることがほとんどで未だ実施段階には至っていないことが判明。 まずは経営者のGXに関する理解を促すことが必要 |
今回の調査の結果、「GXについてどの程度知っているか」という質問に対し、中小企業経営者の9割以上が「知らない」「聞いたことはあるが、よく知らない」「知っているが、説明できるほどではない」のいずれかを回答し、全体的なGXに対する認知の低さが明らかになりました。
また、近年ニュースに取り上げられている「気候変動」についての情報収集を行っている中小企業経営者は全体の4割程度しかおらず、情報収集を「ほとんどしていない」「全くしていない」と回答した経営者の理由としては、約半数が「自社には関係ないから」「興味がないから」と回答しました。企業としてGXに対する当事者意識を持ってもらうために、まずは人材教育から行い、社会で起きている環境問題やGXに関する興味関心を持ってもらう必要があると推察されます。
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバルGDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバルGDXリサーチ研究所
・調査期間 :2023年1月10日(火)~2月10日(金)
・調査対象者:全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数:1619人
- ①中小企業経営者の9割以上がGXについて、「知らない」「聞いたことはあるが、よく知らない」 「知っているが、説明できるほどではない」と回答。GXに対する認知が低い実態が明らかに
Q1. GX(グリーントランスフォーメーション)とは何かご存知ですか。
中小企業経営者に、GX(グリーントランスフォーメーション)とは何か知っているか調査したところ、「知らない」 「聞いたことはあるが、よく知らない」「知っているが、説明できるほどではない」とした人が合わせて92.8%と、ほとんどが「GXについてよく知らない」と回答しました。
日本では2020年に「2050年カーボンニュートラルの実現」が政府から公表され、企業における脱炭素への取り組みが加速している中、中小企業ではまだGXに関する理解が十分ではなく、有効的な施策を実行するフェーズに至っていない状況であることが推察されます。
- ②6割近くの中小企業経営者が気候変動に関する情報を収集しておらず、理由として、約半数が「自社には関係ないから」「興味がないから」と回答。当事者意識の薄さが垣間見える結果に
Q2.近年ニュースに取り上げられる「気候変動」についての情報収集はしていますか。
中小企業経営者の気候変動に関する情報収集について調査したところ、積極的にしている人が全体の5.4%しかいないという結果が出ました。また、「ほとんどしていない」「全くしていない」と回答した人が全体の57.7%と、2人に1人が情報収集を行っていないことが明らかとなり、気候変動について知ろうとしていない・学ぼうとしていない人が多いことが分かります。
Q3.「気候変動」について情報収集していない理由として当てはまるものをお選びください。(複数選択)
上記の質問に対して「ほとんどしていない」「全くしていない」と回答した人に対して、情報収集を行っていない理由について調査したところ、49.6%が「自社にはまだ気にするには早いから」と回答し、情報収集を行わない理由の第1位となりました。その他の理由としては「自社には関係ないから」が23.4%、「興味がないから」が21.3%を占め、当事者意識の低さが顕著に現れる結果となりました。企業のGXを進めていくためには、まずは経営者層のGXに対する興味関心を促すべきと推察されます。
- ③中小企業のGXの取り組みレベルとして、約8割が「取り組めていない」と回答。取り組めていると回答した企業も、 意識改革レベルであることがほとんどで未だ実施段階には至っていないことが判明。まずは経営者のGXに関する理解を促すことが必要
GXの取り組みレベルは以下の3ステップに分かれます。
ステップ1:意識改革(GXに向けた省エネ推進) ステップ2:情報開示(温室効果ガス排出量と削減施策の情報開示) ステップ3:事業改革(事業戦略の再構築・新規事業創出) |
中小企業経営者に、自身の会社はGXに取り組めているか聞いたところ、76.7%もの人が「取り組めていない」と回答。また、「取り組めている」と回答した人のうち、85.5%がステップ1の意識改革に留まっているという結果に。GXへの取り組みを実務段階で実施できている中小企業は非常に少数と推察されます。
このように、中小企業ではニュースで取り上げられている環境問題レベルに関しても興味関心を持っていないことがほとんどで、GXに関する認知も低い現状が分かりました。「2050年カーボンニュートラルの実現」が政府から公表されている今、日本企業の99%を占める中小企業全体のGXに関する理解促進を行う必要があります。
- 【有識者のコメント】中小企業のGX推進について
フォーバルGDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。
その後営業部長を経験。2001年からは九州支店に所属し、赤字経営の立て直し、コンサル事業の立ち上げに成功。以降アライアンス事業の事業責任者を全うする。
現在は、全国のコンサル事業の全体統括や「ブルーレポート」の統括、国・行政との連携を行う事業の責任者を務める。
数々のメディア掲載実績を持ち、中小企業経営者を対象とした経営塾の講師、DXを始めとするウェビナーにも数多く登壇している。
■本調査リリースについてコメント
我が国において、2020年10月に菅総理が、我が国の温室効果ガスの排出を 2050 年までに実質ゼロする、いわゆる『カーボンニュートラル』脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、脱炭素社会の実現に向けた社会的機運が高まってきています。
そのような社会状況の中でも、アンケート結果にもあるように、中小企業経営者のGXに対する認識は低く、Q2のように気候変動に関する情報収集を積極的にしている人が全体の5%、ある程度している人を含めても50%に満たない結果となり、半分以上の企業では情報収集さえできていないのが現状です。
2021年3月、環境省が中小企業向けに『中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック』を公表しました。同ハンドブックでは、中小企業が脱炭素経営に取り組むメリットとして、次の5つをあげています。 ⑴ 優位性の構築(自社の競争力を強化し、売上・受注を拡大) ⑵ 光熱費・燃料費の低減(非効率なプロセスや設備の更新) ⑶ 知名度や認知度の向上(先進的取組みによる自社のブランド価値の向上) ⑷ 社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化(環境問題に意欲の高い人材の確保) ⑸ 資金調達力の強化(金融機関による脱炭素化の圧力への対応)今後、中小企業経営においても、いち早く脱炭素経営へ取組む事が必要であると考えます。
GXはDXと比べると新しいテーマですが、国会でGX推進法案が可決されたように今後ますます重要なテーマになっていくでしょう。周りの企業が取り組み始めたら自社でも取り組もう、と考える中小企業は多いですが、より機会を活かせるのは周りが取り組み始める前に取り組む企業です。時代の変化をチャンスに捉えて勝っていける企業になってほしいです。
■フォーバルGDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
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