先住民、脱植民地化、権力と規範、クィア、エンパワーメントなど、世界の「いま」を舞台芸術の実践から読み解く。
セゾン・アーティスト・イン・レジデンスのトークイベントのアーカイブ動画をYouTubeで配信。
セゾン文化財団では、2023年度に3名のアーティストとドラマトゥルクを招へいし、トークイベントを開催。先住民、脱植民地化、権力と規範、クィア、エンパワーメントなど、世界の「いま」を読み解くトピックから、海外で実践を行うアーティストやドラマトゥルクの考えや活動を紹介しました。
-
「コンテンポラリーダンスを脱植民地化する」ナヨカ・ブンダ・ヒース(オーストラリア)
-
「空想上の生き物辞典」キム・キド(フランス/韓国)
-
「ダンスの/ための未来:新しいクィアでエンパワーメントなアプローチ」ルーシー・オートマン(ドイツ)
セゾン文化財団 YouTubeチャンネル
URL: https://www.youtube.com/@thesaisonfoundation894
「コンテンポラリーダンスを脱植民地化する」ナヨカ・ブンダ・ヒース(オーストラリア)
オーストラリアの先住民、Wakka Wakka、Ngugi(クイーンズランド)とBirrpai(ニュー・サウス・ウェールズ)のルーツを持つダンス・アーティスト、ナヨカ・ブンダ・ヒースによるトークイベント。
ナヨカ・ブンダ・ヒースはアボリジナル・センター・オブ・ザ・パフォーミング・アーツでディプロマを取得後、ビクトリア芸術大学でダンスを学びました。卒業後、オーストラリアを代表するダンスカンパニー、バンガラ・ダンス・シアターの研修生として青少年教育プログラムの指導に関わり、現在、先住民のダンスカンパニー、チャンキー・ムーブのコーディネーターを務めています。
自身の振付作品としては、2019年、オーストラリアでの政府当局によるアボリジニの若者の強制移住に関する家族の歴史を語るレクチャー・パフォーマンス、『Blood Quantum(血の含有率)』を発表。自身の母方の祖父母の幼少期の出来事を出発点に、3世代にわたる「盗まれた世代」のトラウマとその制度の影響を描く作品として注目を集めました。また、『Blood Quantum』に次ぐ、『Birrpai』(2021年)では植民地時代にアマチュアの写真家、トーマス・ディック(1877-1927)が捉えたBirrpaiの写真をもとに父方の先祖の歴史を取り上げ、メルボルンのグリーンルーム・アワードで、ダンス・ベスト・デュオ/アンサンブル賞を受賞しています。
本トークでは、ナヨカ・ブンダ・ヒースが代表作『Blood Quantum』、『Birrpai』、『Bridge』を事例に、「脱植民地化」をもとにした創作のアイデアやアプローチを明らかにします。ゲストにアーティストのマユンキキを迎え、ディスカッションを行いました。
映像URL:https://youtu.be/qXXlD-yfOio
イベント概要
・タイトル:「コンテンポラリーダンスを脱植民地化する」
・日時:2023年8月17日(木)19:00-20:30
・会場:森下スタジオ(江東区森下3-5-6)
・登壇者:ナヨカ・ブンダ・ヒース、マユンキキ
・通訳:田村かのこ
・主催:公益財団法人セゾン文化財団
・助成:令和5年度文化庁「アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業」
「空想上の生き物辞典」キム・キド(フランス/韓国)
韓国出身で、現在、パリとブリュッセルを拠点とする振付家、パフォーマーのキム・キドによるトーク・イベント。
キム・キドはグラフィックデザインとパントマイムを学んだ後、アンジェ国立現代舞踊センター(CNDC)を経て、モンペリエ国立振付センター(ICI-CCN)でChristian Rizzoの指導のもとMaster Exerceで研究を行いました。これまでに「空想上の生き物辞典」という考えから、2021年に第1章『FUNKENSTEIN』 、2023年に第2章『CUTTING MUSHROOMS』を発表。「空想上の生き物辞典」は社会の規範に疑問を投げかけ、集合的無意識の支配的な観念を解体することで、そこに現れる怪物性を探求するプロジェクトです。個人的、社会的、政治的な経験から、具象と抽象の間をさまよう有機的で曖昧なパフォーマティブな形式を掘り起こす方法論を発展させることに取り組んでいます。
日本での滞在では、第3章『HIGH GEAR』の創作のために日本のマンガ文化のフィールドリサーチを実施。権力、規範、支配との関係を想起させるマンガからイメージを探し、その振付における言語とは何か、模索しました。
本トークでは、キム・キドがこれまでに発表した作品のもととなる「空想上の生き物辞典」のアイデアや実践を紹介するとともに、新作『HIGH GEAR』の構想とそのための滞在中のリサーチを共有。同時滞在アーティストとして、キム・キドのフィールド・リサーチを伴走する振付家でダンサーの藤田一樹とともに登壇しました。
映像URL:https://youtu.be/uKzUf-Ja8NI
イベント概要
・タイトル:「空想上の生き物辞典」
・日時:2023年12月18日(月)19:00-20:30
・会場:森下スタジオ(江東区森下3-5-6)
・登壇者:キム・キド、藤田一樹
・通訳:岡見さえ
・主催:公益財団法人セゾン文化財団
・助成:令和5年度文化庁「アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業」
「ダンスの/ための未来:新しいクィアでエンパワーメントなアプローチ」ルーシー・オートマン(ドイツ)
デュッセルドルフのtanzhaus nrwのドラマトゥルクのルーシー・オートマンによるトーク・イベント。
ルーシー・オートマンは2022年からデュッセルドルフのタンツハウスnrw(tanzhaus nrw)のドラマトゥルクを務めている。これまでにシュテファニー・カープが芸術監督を務めたルール・トリエンナーレや、シャウシュピールハウス・ウィーン(オーストリア)、オーバーハウゼン劇場(ドイツ)のプログラミングに関わるほか、電子ジャーナル「MAP - Media Archive Performance」の編集チームの一員であり、執筆者でもある。
日本での滞在では、ボディ・ポリティクス、デジタル・メディア、共有責任、新しいコミュニティ等をテーマに日本のコンテンポラリーダンスに関わるアーティストの活動をリサーチをした。
本トーク・イベントでは、ボディ・ポリティクス、デジタル・メディア、共有責任、新しいコミュニティなどの領域を探求する未来志向の振付の実践について、ドイツのダンス・シーンで活躍するアーティストの事例から紹介。事例として取り上げられるKatharina Senzenbergerはデジタルで流通するダンスに焦点を当て、コンテンポラリーと商業のダンスをユニークに結びつける活動を行う。Brigitte Huezoはテクノロジー、ゲーム、3Dデザイン、映画、ファッションの交差点で活動している。Sophia Neisesは視覚障害のあるパフォーマー、振付家、活動家で、Zwoisy Mears-Clarkeとともに、tanzhaus nrwで創造的かつ実験的なオーディオディスクリプションのためのラボに関わっている。
映像URL:https://youtu.be/QknCH-qle5w
イベント概要
・タイトル:「ダンスの/ための未来:新しいクィアでエンパワーメントなアプローチ」
・日時:2023年12月12日(火)19:00-20:30
・会場:森下スタジオ(江東区森下3-5-6)
・登壇者:ルーシー・オートマン
・通訳:田村かのこ
・主催:公益財団法人セゾン文化財団
・助成:令和5年度文化庁「アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業」
セゾン・アーティスト・イン・レジデンス
― 新しい出会いや対話、ネットワークの機会を創出する ー
公益財団法人セゾン文化財団は、堤清二氏(1927-2013)の私財によって設立された助成型財団です。1987年より日本の現代演劇・舞踊の振興、およびその国際交流の促進に寄与するため、助成活動を行っています。
セゾン・アーティスト・イン・レジデンス
セゾン・アーティスト・イン・レジデンスは2011年からセゾン文化財団が東京・江東区の森下スタジオを拠点に展開しているアーティスト・イン・レジデンス事業で、海外の芸術家や芸術団体等との双方向の国際文化交流の活性化を目的に実施しています。
これまでに海外から約70名のアーティストやアーツ・マネジャーを招へいし、国内のアーティストや関係者との新しい出会いや対話、ネットワークの機会を創出しています。滞在後に創作され作品はフェスティバル・ドートンヌ・ア・パリ(フランス)やクンステン・フェスティバル・デザール(ベルギー)などの海外有数のフェスティバルで発表されています。また、過去の滞在アーティストには2022年度の国際芸術祭「あいち2022」で作品を発表したトラジャル・ハレル(米国/ギリシャ)や横浜国際舞台芸術ミーティング2022で作品を発表したヤン・ジェン(中国)などがいます。
セゾン文化財団 ウェブサイト
本事業に関してまして、貴誌・貴媒体にてご紹介いただきますと幸いです。
掲載用写真の貸出、ご質問等がございましたら、下記の問い合わせ先までご連絡くださいますようお願いします。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像