【泉屋博古館】35年ぶりの京都開催。特別展「生誕151年からの鹿子木孟郞 -不倒の油画道」が開催中。
泉屋博古館では、近代の日本洋画に本格的な「写実」表現をもたらした鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう、1874~1941)の生誕151年を契機として、その足跡をたどる特別展を開催中です。
鹿子木孟郎はフランス・アカデミスムで学んだ正統的なリアリズムを日本へと伝え、その重厚かつ堅牢な油彩画が高い評価を受けた近代日本洋画の巨匠です。回顧展はこれまで2回開かれていますが、2001年に府中市美術館で開かれた展覧会以降、鹿子木の質の高い作品に触れる機会は限られてきました。本展は、約四半世紀ぶりの本格的な回顧展であり、鹿子木が活躍した京都の地ではまさに35年ぶりに開催されているものです。
文部省美術展覧会や太平洋画会の展覧会出品作をはじめ、師ジャン=ポール・ローランスの作品、あるいは今回の調査で発見された新出作品を含む、約80点から鹿子木の画業を紹介し、彼が目指した表現について再評価することを目指します。

近代洋画、もうひとつの水脈 約四半世紀ぶりの本格的回顧展
印象派以前のリアリズムを根幹とする鹿子木の絵画表現は、日本近代洋画の主流となった黒田清輝たちの外光派の表現とは一線を画します。写実表現が見直される昨今の美術界において、鹿子木の作品は一周回って新鮮な驚きと絵画の豊かさに気が付かされます。
本展では多数の不同舎時代の風景スケッチや渡欧期の裸体人物写生など、鹿子木における写実表現の形成と展開をご覧いただきます。
1900年(明治33)に、父を亡くした鹿子木は、不同舎の学友とともに欧米遊学へ出発しました。パリではフランス・アカデミスムの巨匠ジャン=ポール・ローランスの薫陶を受け、フランス古典派絵画の写実を追究しました。パリで出会った浅井忠から長期滞在を勧められた鹿子木は、住友家に支援を願い出て、2年間留学延長できる奨学金を受けています。その代わりに鹿子木は、師のジャン=ポール・ローランスを含む西洋絵画の実作を住友家にもたらし、さらにはアングルやコローといった名画の模写も収めています。その後も住友家の後援により、1906年(明治39)と1915年(大正4)の2回にわたり渡仏し、当地で本格的な絵画学習を果たしました。帰国後は、関西美術院や太平洋画会、文部省美術展覧会(文展)の中心的な画家として活躍し、日本洋画の発展に確かな足跡を残しました。
本展では、日本洋画における写実表現の展開と継承を検証するとともに、近代における洋画家支援の様相、また画家とパトロンの親しい交流を紹介します。
*本展は巡回展です。
2026年1月17日 (土) ~4月5日 (日) 泉屋博古館東京
2026年5月22日 (金) ~7月5日 (日) 岡山県立美術館




※本展には大幅な展示替えがあります(総数約80点のうち前後期で約30点入替え)
前期:9月27日(土)~11月3日(月・祝)
後期:11月5日(水)~12月14日(日)


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覧会基本情報

特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎-不倒の油画道-
会期 2025年9月27日(土)~ 12月14日(日)
前期:9月27日(土)~11月3日(月・祝)
後期:11月5日(水)~12月14日(日)
休館日 月曜日(11 月3日・24 日は開館)11 月4日・25 日
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
会場 泉屋博古館(京都東山・鹿ヶ谷)
入館料 一般1,200円、学生800円
本展覧会の入場料でブロンズギャラリーもご覧いただけます
主催 公益財団法人泉屋博古館、日本経済新聞社、京都新聞
展覧会公式サイト https://sen-oku.or.jp/program/20250927_kanokogitakeshirou/
泉屋博古館について

泉屋博古館は住友コレクションをはじめとした美術品を保存、研究、公開する美術館です。京都東山の地にたたずむ青銅器館は、1970年の大阪万博開催の折、住友グループの迎賓館として国内外の賓客をもてなすために建設されました。
現在は中国古代青銅器を中心としたコレクションを所蔵する京都東山の本館のほか、六本木にて近代美術を中心に展示活動を行う泉屋博古館東京の2拠点で活動しています。
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