Eugene Museum in Baliより、建築を担当するアンドラ・マティンと作家の寒川裕人のインタビュー動画が公開。建築のコンセプトや新たな建築画像、素材等について収録されています。
東京都現代美術館の個展「新しい海 After the rainbow」(2022年)をもとに、多様な地域の方々の支持と提案によって常設美術館 「Eugene Museum in Bali」がバリの世界遺産の麓に。インドネシアを代表する建築家アンドラ・マティンの建築によって建設が開始されました。
新たに、美術館よりインタビュー動画が公開。(日本語字幕あり)映像内では、建築家と作家それぞれが言葉を紡ぎ、建築のコンセプトや、新たな建築のパーススケッチ、素材についてや、常設美術館に至るまでの背景が、スタジオや作家の自宅での様子とともに収録されています。
また、10月に開催される、アジア地域において重要とされる国際的アートフェア「アートジャカルタ」の特別セレクションである、アジアの10名の重要な作家による特別展示”SPOT”にてWhite Paintingシリーズが実施され、展示されます。
Eugene Museum in Bali について
(英語版ボイラープレートより引用)
"バリ島、世界遺産の麓、名勝タナロット寺院から約10分、緑と海に囲まれたEugene Museum in Baliは、世界中の人々の支えと共に作られる常設の美術館です。インドネシアを代表する建築家 アンドラ・マティン(Andra Matin)の建築、寒川裕人 / ユージーン・スタジオ (Eugene Kangawa / EUGENE STUDIO 以下、Eugene)の恒久的な作品と、自然の共生を、1ヘクタールに渡り深く感じることができます。本美術館は2026年に一般公開予定です。
自然林の間をぬって作られる施設面積約5,000平方メートルのなかには、金色に輝く雨、無限の海、輝く巨大な絵画が飾られた10を超える部屋や、緑に囲まれたエントランスレストランやライブラリー、ステイプログラムなどがあり、深い体験が、世代を超えて一日を通して提供される場所です。 自然との共生をコンセプトとした建築で知られるアンドラ・マティンのデザインは、Eugeneの作品と見事に調和し、世界観を存分に感じられる贅沢な空間となっています。
Eugeneによる、愛や偶然、光と影、自然またはメタネイチャーなどをテーマとした大規模なインスタ レーションや絵画は、分断されつつある現代を生きる人々を惹きつけ、2021-22年に開催された東京都現代美術館における同館最年少での個展は、コロナ禍において長蛇の入場列となりました。この反響は世界へと広がり、インドネシアを含む多様な地域に波及し、常設で世代や国境を超えて世界中の人々へ届けられるべきという多様な地域の方々の支えと期待感と共に、自然に恵まれ、国際色豊かな場所であるバリでの常設美術館「Eugene Museum in Bali」へと繋がりました。
美術館の隣にはインターナショナルスクールが開校され、周辺国と連携したエデュケーションプログラムを含むアジア発の新しいハブとなることが期待されています。Eugene Museum in Baliでは、自然・物理と哲学が融合した作品群と、現地の豊かな自然が調和し、自然と作品、そして訪れる人々による新しい共生の場を目指しています。"
*現在、現地のミュージアムチームとEugene Studioの合同で、一般開館までの間、700平方メートルの東京近郊の大型アトリエ(EUGENE Atelier iii)にて、作家不在時に限り、模型や作品などを見ることができる予約式のプログラムを行なっています。
■Eugene Museum in Bali 公式Webサイト:https://eugene-museum.com/
■EUGENE Atelier iii 公式Webサイト: https://the-eugene-studio.com/studio-iii-limited-visit/
本常設美術館は、地域と美術館運営を行う現地共同企業体により、現地法に基づいた建設・ 運営・法務・広報等全般の活動が行われ、 約44haにわたる周囲地域と一帯は、現地の方々や50カ国を超える多国籍のチーム、官公庁によって支えられています。
YES_ PTE. LTDは美術館全体のプロデュース・監修やコミュニケーション、また、様々なコラボレーション企画等、多岐にわたる役割を担います。
美術館建設の発表に伴い、アンドラ・マティンと寒川裕人のインタビュー動画(英語/インドネシア語 *日本語字幕あり)がEugene Musueumのwebサイトにて公開されました。 アンドラ・マティンのパートでは、新たなパーススケッチとともに、作家の思考と作品のテーマを どのように表現するかや、建築に使われる素材について語られています。寒川裕人のパートでは、今回のプロジェクトに至るまでの経緯と背景について寒川本人のことばとともに、東京近郊の大型アトリエと自宅での制作活動の様子が収録されています。
*動画は2024年5月に収録されたものです。
Profile / Comment
Andra Matin アンドラ・マティン
アンドラ・マティン(Andra Matin)は1962年インドネシア生まれ。2018年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展特別賞受賞や、イスラム圏におけるプリツカー賞とされるアガ・カーン建築賞を2022年に受賞等、住宅や美術館、モスク、公営 水泳場などを幅広く手がけるインドネシアを代表する建築家。 代表作に「ブリンビンザリ空港」、「ポテトヘッド」(2010年)、「Tubaba Mosque」 (2017年)など。西ジャワ州バンドンで生まれ、1981年バンドンのパラヒャンガン大学建築学部卒業、1990-98年Grahacipta Hadiprana勤務、1998年に事務所を 設立し、バンドンにて、約40名超のスタッフが勤務しています。
建築家Andra Matinコメント
「Eugene Museum in Baliは、建築がEugeneの作品と有機的に混ざり合うこと、そしてバリの伝統、文化、魂を閉じ込めることが重要です。 私の建築は自然への敬愛がベースになっており、作品との親和性を感じています。今回の取り組みはアート、人々の行動、自然が繊細に混じり合っており、コスモロジーにとって重要な要素が含まれていると感じています。
バリの伝統的な住居システムとして、Natah Systemというものがあります。そこには憩いを生み出す共同空間と共にコミュニティが成り立ちます。今回は建築、自然とEugeneの作品、そしてビジターの皆さんとの共生の地となります。このシステムをベースに、テラコッタなど現地の素材と技術を最大限活用しています。
そしてこの美術館は、インドネシアにおいて、質の高いコンテンポラリーアートと建築を体験する名所になってほしいと思います。インドネシアの建築チームと日本のコンテンポラリーアーティストが力を合わせ、非常に繊細な技術によって、空間と体験を作り出して行きます。是非インドネシアの人々や、世界の人々に感じてもらい たいと思います。」
Eugene Kangawa/Eugene Studio
寒川裕人/ユージーン・スタジオ
寒川裕人(Eugene Kangawa)は1989年アメリカ生まれの現代美術家。大規模なインスタレーションや絵画を中心に、過去に東京都現代美術館での個展 「新しい海 After the Rainbow」(2021-22)や、金沢 21 世紀美術館「de-sport:」 (2022)、資生堂ギャラリー個展「1/2 century later」(2017)、サーペンタイン・ギャラリー (ロンドン)「+89」(2014)の参加のほか、コレクション展など多数。
特に、「共生」と「想像の力」を主題とした東京都現代美術館での個展の反響 は世界へ広がり、様々な地域の方々の提案によって常設美術館「ユージーン・ ミュージアム・イン・バリ」へと繋がり、世界遺産の麓一帯にて建設されることとなりました。また、東京都現代美術館での個展は同館で最年少の個展でした。
そのほかアメリカで発表された短編映画はロードアイランド国際映画祭、パンアフリカン映画祭、ブルックリン映画祭、ヒューストン国際映画祭ほか、複数の映画祭でオフィシャルセレクションの選出や受賞ほか。初期の活動 については 2017 年に『アート x テクノロジーの時代』(宮津大輔著、光文社新書)にて、都市計画やバイオ テクノロジー、人工知能などの研究開発への招聘や活動についてまとめられ、その分野において日本を代表 する四つのアーティストとして著されています。2016 年に設立されたスタジオでは、様々な分野のスタッフが、 日々制作やリサーチを行なっています。
WEB:https://the-eugene-studio.com/
Instagram: https://www.instagram.com/eugene_studio_official/
寒川裕人コメント
「まず、インドネシアのバリ島の世界遺産の麓での素晴らしいご提案、機会に感謝しています。インドネシアを訪れ、そこで友人たちと交流することは本当に喜ばしいことでした。このような国を超えた取り組みは当然ながら、多くの方の支持、支えがあってのことで、全ての関わる方にとって大切な場所になればと願っています。
建築家のアンドラ・マティンとの出会いは非常に重要なものでした。現在、美術館のテーマとして挙がっている ものは、いずれも造語ですが「Meta-Nature」や「Diverthing(Divert-Thing)」、また「共生/Symbiosis」「想像の力」などが挙げられます。最初に私が、敷地の中央に建築を作らないのはどうか、と話したところ、Andraが バリの伝統的な集落の話をしてくれ、共通項を見出し、見事に歴史につなげてくれました。
今回、各作品のディテールを細かに共有し、作品と建築が一緒に設計されていくというとても興味深いプロセスがあります。建築全体が作品のようであり、一部は私のアトリエと同じように、自然光が多く、時間帯による変化が大きい場であり、同じ作品でも昼と夜とでは全く違う様子になるでしょう。このようなあり方は理想の一つだと思います。 森羅万象すべてへの等しい探求が作品によって表され、建築、ランドスケープ、そしてそこに訪れる人々と共にあること。それをAndraは"Museum as a village"と呼びました。様々な要素とともにひらかれた場になれば幸いです。」
* アジア地域において重要とされる国際的アートフェア・アートジャカルタへの招待参加
また、10月に開催される、アジア地域において重要とされる国際的アートフェア「アートジャカルタ」 への特別セレクションである、アジアの10名の重要な作家による特別展示”SPOT”にて寒川裕人/ ユージン・スタジオのWhite Paintingシリーズが展示・実施されます。
「White Painting」は2017年に始められたシリーズで、正式なタイトルとしてはその各作品(キャンバス)に接吻をした人々の名前が付けられています。作品にはふたつのシリーズがあり、ひとつは世界中のパブリックな場所(アメリカ、メキシコ、イタリア、中国など)で街中の人々が行ったもの、もうひとつは「特定の家族」という単位で行われたものがあります。さまざまな場所で行われるシリーズには、これまで600人を超える人々が参加しました。皆が唇を拭い、接吻をする様子や、話をする様子がドキュメントされます。そして参加者の名前が作品のタイトルになります。今回のジャカルタは、東南アジアで初めての実施となります。
*2017年にロサンゼルスで行われた際の2日間のドキュメンタリー。その前後でアメリカ国内やメキシコ、イタリア、 スペインなど様々な場所で行われました。
インドネシア・バリ島について:
インドネシアは世界最大の群島であり、4番目に人口が多い国(約2億7,000万人)として知られて います。また、これらの人口の約4分の1が14歳未満と若年層が多いことも特徴です。2022年にバリ島にてG20サミットが開催される等、経済発展も著しく、また東南アジアの文化的中心地としても 知られています。2021年、バリ島はTrip Advisorの”Travelersʼ Choice TM Worldʼs Most Popular Tourist Destination 2021”で世界一の観光地に選ばれました。毎年世界中から約1,500万人が訪問しています。
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