トヨタ・コニック・アルファ、九州大学 ヒューマノフィリックシステム研究室と共同研究契約を締結
人中心のサイバー・フィジカルをまたぐ新たな「社会システム」構築をテーマに、「ゆるやか連携™」実証と共同研究を九州大学 伊都キャンパスで開始
トヨタ・コニック・アルファ株式会社(トヨタ・コニック・アルファ)は、国立大学法人九州大学 荒川豊教授のヒューマノフィリックシステム研究室と共同研究契約を締結し、3月に発表した「ゆるやか連携™」実証を九州大学の伊都キャンパスで行うことで合意しました。2024年秋から取り組みます。
「ゆるやか連携™」実証について
トヨタ・コニック・アルファは株式会社ジェーシービー(JCB)と2022年からデジタル・アイデンティティ領域で協業。自己主権型アイデンティティ/分散型アイデンティティの概念や、やりとりするデータの信頼性を証明するVC※1といった標準化された仕組みを取り入れた「ゆるやか連携™」実証に取り組むことを、今年3月29日に発表しています。
JCBとトヨタ・コニック・アルファが協業
生活者が自ら指定した範囲の自分のデータだけをつなぐ「ゆるやか連携™」実証を実証パートナー4社とともに行います
https://toyotaconiq-alpha.co.jp/news/257/
九州大学 伊都キャンパスでのフィールド実証について
九州大学の荒川豊教授が率いるヒューマノフィリックシステム研究室は、実世界からのセンシング技術とクラウドでのデータ処理技術、その間を結ぶネットワーク技術という情報領域の多様な技術を組み合わせた、人に寄り添うサイバーフィジカルシステムに関する研究を行っています。近年は特にITによる行動変容の励起と、行動変容を踏まえた社会システムに関する研究に力を入れています。
トヨタ・コニック・アルファは、ヒューマノフィリックシステム研究室と「ゆるやか連携™」を活用した社会システム構築をテーマとした共同研究契約を締結。モビリティデータと生活者の相互運用性や具体的な社会実装を意識したユースケースを設定し、システムとアプリで構成する実証用インタフェースの開発・研究を行うことで合意しました。
フィールド実証の場となる九州大学の伊都キャンパスは、272万平方メートルという大学の単一キャンパスとしては日本最大級(令和5年5月1日現在)の広大な敷地に、1.9万人の学生・教職員が集い、学食やコンビニエンスストア、寮などの生活環境、広大なエリアを移動するための敷地内道路が整備されています。トヨタ・コニック・アルファはこのような環境が、実際に人がくらす “街”に限りなく近い理想的なフィールドであると考え、社会実装化を意識した実証実験を行うことといたしました。
なおこの実証実験には、株式会社イマーゴ(imago)が九州大学内に設置するシンクタンク「iQLab」も参加します。実証実験の開始に先立ち、九州大学の学生を対象としたデジタルIDウォレット(DIW)のUI/UXに関する調査を行い、DIWのテスト開発を進めています。
実証実験の概要
実証実験は、モビリティデータと生活者の相互運用性や具体的な社会実装を意識したユースケースを設定して、システムとアプリで構成される実証用インタフェースを開発し、次の内容で実施します。
実証対象 ゆるやか連携™システム※2、個人用 ゆるやか連携™アプリ※3
実証規模 人数を限定したクローズ環境を想定
実証モデル 標準技術仕様・相互接用性を考慮したインタフェースの構築と実証
ユースケース ①mDL※4(mdoc※5)などの資格情報/マイクロモビリティなどのデジタルキー、②VC授受による権限授与/アプリ利用の各ユースケースの履歴照会/証跡照会、③これらによる属性情報と属性連携の実証
今後の展望
この実証を通じて、事業者間での信頼できるデータ連携技術、モビリティサービスへの有意性の確認とそれに伴う経済効果の検証を行い、2025年以降を目標に研究を他産業のサービスとのデータ連携を目指します。またmDLやデジタルキーに関する技術研究を継続し、実用化に向けて具体的なユースケースの検討を進めます。
研究協力
国立大学法人九州大学 荒川豊教授 https://kyushu-u.elsevierpure.com/ja/persons/yutaka-arakawa
実世界からのセンシング技術とクラウドでのデータ処理技術、その間を結ぶネットワーク技術という情報領域の多様な技術を組み合わせ、人に寄り添うサイバーフィジカルシステム (CPS: Cyber-Physical Systems)に関する研究を行う。所属するヒューマノフィリックシステム研究室では、特にセンサ(IoT)と機械学習(AI)を用いた人の行動認識に関する研究を軸としており、その実現のために新しいセンサの開発からアプリケーションの実装まで幅広く実施している。
トヨタ・コニック・アルファについて https://toyotaconiq-alpha.co.jp
トヨタ自動車株式会社と株式会社電通グループの合弁として2021年1月に設立された、トヨタ・コニック・ホールディングス株式会社傘下の事業会社のひとつです。モビリティ領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することを目的とし、「データで、ありがとうをつくる仕事。」をミッションに、新たなモビリティ分野の「仕組み」と「ビジネス」の創造に取り組んでいます。
iQLabについて https://imago.co.jp/iqlab
iQLabは、“スマホネイティブ世代”であるMZ世代のアナリストが中核となる、新しいシンクタンクです。未来を担う若者の視点や声が社会に実装されにくいという日本の構造的課題に危機感を抱き、株式会社イマーゴが九州大学との共同研究や共同事業に基づき設立しました。iQLabではMZ世代の若者がアナリストやリサーチャー、エンジニア、デザイナーとして育成されており、プロフェッショナルの視座と新しい視点で「次の時代のメインストリーム」を見つけ出していきます。
<注釈解説>
※1 VC Verifiable Credentials(検証可能なデジタル証明書)
※2 ゆるやか連携TMシステム 一般的に「Digital Identity Wallet(デジタル・アイデンティティ・ウォレット)」と呼ばれるデータ連携基盤のインタフェースのうち、ビジネスロジック機能を持つ「サーバ」のことを指す
※3 ゆるやか連携TMアプリ 上記インタフェースのうち、生活者が操作するためにスマートフォンで使う「アプリ」のことを指す
※4 mDL(エムディーエル) Mobile driving license(モバイル運転免許証)。デジタル化した運転免許証をモバイル端末に格納し、実装するためのインターフェース仕様で、国際標準(ISO/IEC18013-5)として公開されたもの
※5 mdoc(エムドック) 上記ISO/IEC18013-5ではモバイル運転免許証が取り上げられているが、理論的には他のユースケースでも使用できることから、モバイル端末にある文書そのもの、あるいは端末にある文書と読取り端末の間、読取り端末と文書発行機関のそれぞれの間のインタフェース仕様として定義されている
*「ゆるやか連携TM」
事業者間が直接連携するのではなく、ユーザがデータ連携を管理できる仕組み。一般的に自己主権型アイデンティティ/分散型アイデンティティで連携することを指し、生活者や事業者など参加者が負荷低く参画できるゆるやかな仕組みを”ゆるやか連携”と名付けて、株式会社ジェーシービーが登録商標として出願中。
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