“ものづくりの次の手”を創出するクラフトフェアツギノテが主導、「身近な社会課題を解決する和菓子」の開発に富山の和菓子店 中尾清月堂と高岡龍谷高校の生徒が挑戦
〜10月19日(土)・20日(日)イベント会場にて中間発表!20チームから選ばれた2つの和菓子を試作・配布し、商品化に向けて意見を収集〜
高岡龍谷高校と地元企業のプロジェクトの背景
本企画発足の背景には、高校生と地域との距離感を縮めたいという想いがあります。富山県内から高岡龍谷高校に向けて約700件の求人がありますが、地元に就職する高岡龍谷高校生はわずか40名ほど。実際に、企業の話によると高校生の採用に関しては求人倍率が非常に高く、今の時代は企業側が選ばれる立場になっている現状です。課題の根本には、地元企業と高校生の間の物理的、心理的距離が挙げられます。企業が書類だけで判断されてしまう部分が多く、卒業後の進路を検討するタイミングで企業との交流の機会が少ないことも課題になっています。
今回のプロジェクトが、高校生が地元企業や地域社会をより深く理解し、身近に感じるきっかけになることを目指しています。
高岡龍谷高校との取り組み概要
今年、ツギノテ実行委員会として初めての試みとなる「社会課題×ものづくりの実験企画」として、富山の和菓子店 中尾清月堂と高岡龍谷高校の2年生が、SDGsをテーマに和菓子の新しい可能性を探るプロジェクトを実施しています。ものづくりを起点に地域の魅力や、手の届く小さな社会課題を再発見するプログラムで、体験やリサーチ、チームの議論を積み重ね、未来を少し楽しくするアイデアを考察しました。高校生が自分たちの目線で考えた社会課題を、和菓子を使って解決しようという試みです。
高校生たちは、夏休みの宿題にて各自アイデアを考案、9月以降の全6回の授業を通して中尾清月堂の中尾氏から和菓子についての知識を深める授業を受けたり、ツギノテ実行委員会実行委員長 羽田のワークショップで自身の体験や家族の体験などから身の回りにある社会課題を思い起こし、和菓子のアイデアへと繋げていくことを繰り返してきました。
中間発表の機会となるイベント当日、最終的に全21チームの提案から採択された2チームの和菓子が試作品化され、来場者へ試食とともにアンケートの実施を行います。また、展示ブースでは全21チームのアイデアがリーフレットや会場のパネルで紹介される予定です。
【実施概要】
・プロジェクト実施期間:2024年9月より (来年に向けて継続活動予定)
・対象者:高岡龍谷高校クリエイトコース2年生 約120名(21チーム)
・試作化が決定したアイデア2案:「減らそうSDGsの課題」「サプリわがし」
「社会課題×ものづくりの実験企画」プロジェクト授業の流れ
【講義・ワークショップ】
120名の生徒を2クラスに分け、レクチャーとグループディスカッション・ワークショップを行いました。中尾清月堂の和菓子を試食したり、ブレストで各チームごとのアイデアを集約。21チームそれぞれのアイデアの種を深掘りしました。
【アイデアプレゼン】
提出された初案を1チームずつ講評し、テーマにする社会課題の解像度を高めていきます。各チームの構成次第で、部活や得意科目などが持つ個性の違いはもちろん、住んでいる地域や体験などの特色も盛り込まれ、リアリティのあるテーマが出揃いました。
【試作化】
各チームの21アイデアの中から2案を中尾清月堂が和菓子として試作。完成した試作品の和菓子を実際に生徒たちがクラフトフェア ツギノテで配布し、フィードバックを集めます。
21チーム中から施策化が決定した“身近な社会課題を解決する和菓子”案
【和菓子名】減らそうSDGsの課題(梅・塩 羊羹)
【キャッチコピー】気温上昇による暑さに負けない、新しい熱中症対策!
【和菓子の説明】
熱中症対策のための梅ジュースという発想から派生した、“命を守る和菓子” 梅のミニ羊羹です。
【チームコメント】
気候変動による気温上昇が原因で起こる熱中症や脱水症を防止する、冷たくて手軽に必要な栄養素を補給することができる暑さ対策和菓子です。猛暑でも心地よく過ごせるようにしたいと考えました。
【和菓子 案2】サプリわがし(大福)
【キャッチコピー】和菓子を用いて現代型栄養失調解決!
【和菓子の説明】
スポーツの前後に使用するパフォーマンスアップのための和菓子という発想から始まり、現代の栄養失調などへ発想が展開してできた、栄養補給のためのおまんじゅうです。
【チームコメント】
現代の日本では、多くの人がその日その時に食べたいものを自由に選んで食べることができます。その結果、すぐ食べることができるものばかりを選び、食事内容がおろそかになる傾向があります。そのため、偏った食生活による現代型栄養失調という社会問題を解決するため、不足している栄養素を摂ることができる和菓子をつくりました。
関係者コメント
高岡龍谷高校 教論 今田晃央 氏
今回、子どもたちから提出された課題から、彼らが本当に真剣に考えて取り組んだことが伝わってきました。羽田さんのように社会的な視点を持つ方々からの刺激が、彼らのアイデアをさらに引き出してくれたようで、とても感動しました。小学生の頃は地域の方々と交流する機会がありますが、高校生になるとそうした機会が少なくなります。地域のことを知らないまま卒業し、県外に進学する生徒も多いのが現状です。地元を選ぶ、あるいは地元に戻るという選択肢を増やすためには、まず地元の企業や地域の魅力を知ることが大切です。今回の取り組みが、生徒たちが地元に目を向けるきっかけになればと期待しています。
中尾清月堂 常務取締役 中尾海人 氏
中尾清月堂は明治初期の創業以来、地域に根ざした和菓子作りを続けていますが、地域貢献や会社の存続を考える中で、和菓子の価値をどう伝えていくかという課題を常に感じていました。そんな時に今回のプロジェクトの話をいただき、新しい和菓子の発信のひらめきにつながる良い機会だと共感し、取り組みがスタートしました。これまでにも高校生のみなさんと協力して商品開発をしたことはありましたが、今回のように授業として生徒のみなさんと直接コミュニケーションを取るのは初めての経験でした。短い期間ではありましたが、生徒たちのSDGsや和菓子に対する理解が深まったように感じ、今後の展開も楽しみです。
ツギノテ実行委員会 実行委員長 羽田純
ツギノテ実行委員会は産地のものづくりの“次の手”をイベントの開催や、勉強会などを通して見出すべく発足したチームです。常に産地の再興やものづくりの発展を目指していますが、現状ではものづくりが業界内で完結し、既存の枠組みの中でしか変化が起きていないという課題を感じています。この課題を解決するには、社会課題にクリエイティブな視点を取り入れ、ものづくりの枠を広げていくことが重要です。もっとものづくりが民主化し、誰もが参加できる形にすることで、より多くの人がものづくりに関われる環境を作りたいと考えています。今回のプロジェクトは、その第一歩になると感じています。
「クラフトフェア ツギノテ2024」について
まちを一望できる高岡駅前の立体駐車場を会場とし、富山県を中心に普段は出会えないものづくり企業と全国のクラフト作家、地元の飲食店舗などが100社以上参加出展します。全国の作家によるクラフトやプロダクト製品のマーケットエリアと、伝統産業・工芸を中心とした職人たちの技術展示、各種ワークショップが開催される産業工芸博覧会エリアから構成されています。美味しいフードや心地よい音楽もあり、誰もが気軽にものづくりに触れ、楽しめるイベントになっています。キッズエリアもあるのでお子様連れの方も安心です。なお、クラフトフェア ツギノテは入場は無料で、事前登録により当日スムーズに入場いただけます。(入場チケット事前登録ページ:https://x.gd/psRq3 )
【イベント概要】
-イベントタイトル:クラフトフェア ツギノテ 2024
-日時 :2024年10月19日 (土) 、10月20日(日)10:30~16:30
-開催場所 :高岡市営高岡中央駐車場 6階・屋上 (雨天時は5・6階)
〒933-0021 富山県高岡市下関町6丁目11
(google map: https://maps.app.goo.gl/SPK8MD1hv7XvLMtD9 )
-入場料 :無料
-入場方法 :事前に以下のフォームからお申し込みいただけますと、当日スムーズにご入場いただけます。
-カンファレンス「越えていく。」:10/19・10/20 両日開催(詳細は公式HPにて告知)
-公式サイト :https://tsuginote.jp/
-Instagram : @tsuginote_craft
-クラフトフェア ツギノテ2024 紹介動画:https://youtu.be/MX7FwQObBxk?si=LmkNf4s9e1K11wxm
ツギノテの継続開催に向けて、クラウドファンディングに挑戦中
皆さまの想いや応援をものづくりの力に変えるべく、応援購入サービス「Makuake」を10月30日まで実施しています。全国から集った職人たちが地域や素材の境界線を超え、技術や意見を交流させ、新しいものづくりを生み出す本イベントの継続開催や、学びの機会を創出することを目指しています。Makuake限定 オリジナル商品の購入を通して、ぜひ、皆様の応援をお願いいたします。
応援購入の詳細:https://www.makuake.com/project/tsuginote2024/
クラフトフェア ツギノテ 開催背景
ツギノテ実行委員会は「クラフトフェア ツギノテ」を中心とした地域・業種を超えた技術やアイデアの交流の機会を10年、50年先の産地の未来を見据え継続的に創出していく組織です。背景には、昨今のライフスタイルの変化や産業の発達、担い手不足に伴い、全国各地のものづくり産地が多くの課題に直面している現状があります。鋳物や漆器などのように、それぞれの技術に特化した専門の企業が1つのものを協力しながら作り上げる「分業制」をとっている産地が多くありますが、廃業する企業が増えることで、同産地内でものづくりを完結させることが難しくなってきています。だからこそ、地域、業種、素材、文化などさまざまな境界線を超えて共創していく「ものづくり産地の再編」がいま、求められています。ツギノテ実行委員会では、400年続く日本有数の伝統工芸の産地高岡市から、作り手・繋ぎ手・使い手を集め、ものづくりを次の時代へ繋ぐ場や取り組みを興していきます。
◎クラフトフェアツギノテ開催の背景ストーリー:https://prtimes.jp/story/detail/x99OQ4tjzKx
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