YouGov調査結果:日本のイノベーションがテクノロジー人材不足で危機に、AI時代に向けデジタルスキル向上が急務

SThree株式会社

STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)分野に特化したグローバルな人材コンサルティング企業であるSThreeがYouGov社に委託して実施した日本のSTEMプロフェッショナルに関する最新調査によると、日本はSTEM人材の不足によりイノベーションで世界に後れを取るリスクに直面していることが明らかになりました。※

全国の851名のSTEMプロフェッショナルを対象とした本調査では、約半数が「STEM人材の不足により、日本のイノベーションや技術開発力が低下しかねない」と回答しました。さらに、多くの回答者が、スキルギャップがすでに自社の生産性・収益性・イノベーションを妨げていると感じています。一方で、日本企業ではAIなどのテクノロジー導入や従業員のデジタルスキル向上への取り組みが急速に強まっており、これらのギャップを新たな能力で埋めるべく取り組みが進みつつあります。

SThree Japan代表取締役 クリストファー・ライリーのコメント:

「今回の調査結果は、日本が培ってきたイノベーション力がSTEMプロフェッショナルの不足によって危機にさらされている現状を浮き彫りにしています。日本は長年テクノロジー分野で世界をリードしてきましたが、AIやデジタル革命が急速に進む今、その地位を守り抜くには人材育成とデジタルスキル研修への迅速な投資が不可欠です。このままでは日本がグローバルなイノベーションにおいて、後れを取るリスクは避けられません。日本は今後も企業・教育機関・政府が一体となってスキル向上に取り組み、エンジニアリングの強みと最先端テクノロジーを融合させることを通じて、世界における競争力と革新性の向上を続けていく必要があります。」

スキル不足が生産性とイノベーションに影響

このような調査結果は、スキル不足が漠然とした将来の懸念ではなく、既にビジネスの最前線で効率や革新性が妨げられている現状を反映していると言えます。実際に、自社が業界内のイノベーションや技術開発のスピードにうまく適応できていると感じている従業員は約3割(31%)にとどまり、4割以上が自社は十分に適応できていないと答えました。多くの労働者が、現在のままでは自社がスキル不足に対処しきれないのではないかと不安を抱いている実態がうかがえます。

AIとスキル開発への高まる注力

調査はまた、企業の優先事項が過去1年で大きく変化し、テクノロジー導入とSTEM人材の育成への注力が劇的に高まっていることを示しています。2025年半ば時点での自社の最優先課題を尋ねたところ、最も多かった回答は「AIなど新しいテクノロジーへの適応」(32%が回答)でした。1年前に実施した同様の調査では、この項目を優先していた人は全体の19%未満にすぎず、倍近い増加がみられます。デジタルトランスフォーメーションやAIの導入が、いかに短期間で企業の最重要課題に浮上したかを物語る結果だと言えるでしょう。

他の優先事項も軒並み重要度が上昇しています。たとえば、既存社員のスキルアップ(リスキリング・アップスキリング)を主な課題とする回答は、昨年の16%から今年は26%へと約10ポイント増加しました。サイバーセキュリティ対策を挙げた回答も16%弱から約25%へ拡大しています。このように、生産性向上や働き方改革に至るまで、あらゆる項目で昨年を上回る回答率となっており、企業が急激に変化する環境に対応すべく目標水準を引き上げている傾向がうかがえます。

一方で、従業員のほぼ3人に2人(63%)は過去1年にサイバーセキュリティ研修を一度も受けておらず、テクノロジースキルの重要性の認識と現場での研修提供との間にギャップが存在することも浮き彫りになりました。

企業の人材戦略の現状

人材を巡るこうした課題に対して、企業側の対応状況にもばらつきが見られます。調査によると、過去1年間に人材戦略において「特段の変更を行わなかった」企業が全体の約3割(31%)に上りました。一方で戦略を見直した企業では、その契機として「AIや関連する新しいテクノロジーの導入」を挙げる回答が最も多く(14%)、次いで「事業戦略・成長目標の変更」(11%)、「新たなテクノロジー革新の出現」(10%)、「顧客ニーズの変化」(9%)などが理由に挙げられました。サイバーセキュリティ上の懸念(重大な攻撃の発生など)を挙げる声も約9%ありました。

これらの結果から、日本企業の相当数が依然として人材戦略の見直しに踏み出せていない一方、変革に動いた企業ではテクノロジーの進化や市場の変化が主な原動力になっていることがうかがえます。AIが戦略変更の大きな要因となった点は、前述の優先課題に関する調査結果とも一致しています。しかし、3割近い企業が何の対応も取っていないという現状は、多くの従業員が自社の対応力に不安を感じている実態を踏まえると、将来への備えに課題を抱える企業が少なくないことを示しています。

日本の競争力への懸念と国内におけるテクノロジー人材育成の必要性

今回の調査からは、日本の競争力に対するより広範な懸念も浮き彫りになりました。回答者の48%が、テクノロジー人材の不足によって日本がイノベーションやテクノロジー開発で世界に後れを取るリスクがあると考えており、そうしたリスクは「ない」と答えた人は12%にすぎません。残りの約4割は判断がつかないとしています。この結果は、日本の人材基盤が世界のテクノロジーの進歩に追いついていない可能性があるとの認識が労働者の間で広がっていることを示唆しています。

人材不足の解消策として海外からの人材登用も考えられますが、調査結果からはこの面でもハードルが見て取れます。自社チームで海外人材を採用することについて、「容易である」と答えた従業員は全体のわずか9%にとどまり、「困難である」と感じている回答者が37%に上りました。さらに、自身や同僚が海外での就職機会を積極的に模索しているケースも少なく、今後1年以内に海外転職を検討すると答えた人は7%にすぎません。こうした結果から、日本の人材基盤は国際的に見て流動性が低く、海外から人材を呼び込むことも容易ではない実情がうかがえます。言い換えれば、少なくとも近い将来においては、国内で人材を育成し、既存の労働者のスキルアップによってこの不足を補っていく必要があるということです。

今回の調査結果は、日本のSTEM人材を巡る現状に対し、データに裏打ちされた警鐘とも言えます。生産性やイノベーションへの影響が現実に生じ、労働者の半数が日本の技術競争力低下を懸念する中で、将来の競争力を維持するには次世代のSTEM人材育成や既存の従業員の研修強化、戦略的な人材活用への投資がこれまでになく重要になっています。日本がテクノロジー先進国として革新的な地位を守り続けるため、今あるスキルギャップを埋める取り組みがより需要となると言えます。

以上

※特に断りのない限り、すべての数値はYouGov社によるものです。調査は、日本のSTEM人材851人を対象に、2025年7月11日から8月27日にかけてオンラインで実施しました。

SThreeについて

SThree plcは、未来を築くために高いスキルを持つ人材をつなぐ企業です。当社は、ロンドン証券取引所メイン市場のプレミアム・セグメントにSTEMの銘柄で上場しています。当社はSTEM(科学・技術・工学・数学)分野のグローバルな人材コンサルティング会社として、高度な専門スキルを持つSTEMプロフェッショナルと彼らを最も必要としている業界とのマッチングを行っています。企業へのアドバイス、専門チームの構築、プロジェクトソリューションの提供を通じてクライアントを支援しています。STEMに特化して38年の実績を有し、世界11カ国に現地に根差した専門チームを配置しているSThreeは、エンジニアリング、ライフサイエンス、テクノロジー分野における高需要スキルを幅広くカバーしています。

また、約6,000社におよぶ多様なクライアントに対し、正社員だけでなく柔軟な契約形態による人材を提供しています。先進的なテクノロジーと専門的な知見を融合させることで、当社の世界水準のオペレーティングプラットフォームから得られるデータとインサイトを活用し、従来の枠を超えた最適なソリューションを実現しています。

SThreeは、皆様とともに未来を切り開きます。

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会社概要

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サービス業
本社所在地
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー9階
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代表者名
Chris Reilly
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設立
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