秀傳医療グループとBE Health、アジアの医療イノベーションハブを構築

日台間における臨床およびスタートアップのクロスボーダー共創を推進

BE Health

世界的に高齢化が進むなか、より安全かつ効率的に治療を提供することは、各国のヘルスケアシステムに共通する課題となっています。その解決策のひとつとして低侵襲手術が注目されており、特に日本は、長年にわたり豊かな実績と知見を培ってきました。

台湾中部を中心に展開する秀傳医療グループは、1973年の創設以来、複数の日本の医療機関との交流を継続し、最先端技術を積極的に取り入れてきました。そして今回、BE Health東京オフィスの開設を機に、秀傳医療グループとBE Healthは連携をさらに深め、日台間における臨床およびスタートアップのクロスボーダー共創を推進。アジアにおける医療イノベーションのさらなる発展を推進していきます。

秀傳医療グループの歩みと理念

秀傳医療グループは、1973年に黄明和総裁によって創立され、現在では10の病院を擁する医療グループへと発展を遂げています。臨床医療の提供にとどまらず、国際的な先端技術を積極的に導入してきたことでも広く知られています。

2008年には、黄総裁がフランス発の世界的な低侵襲手術トレーニングセンターIRCADを台湾に導入し、IRCAD Taiwanを設立しました。これにより、同施設はアジアにおける医師教育と臨床イノベーションの中核拠点へと成長しました。

IRCAD Taiwanは、国際水準の医師教育拠点であると同時に、スタートアップがグローバル企業や医師ネットワークとつながるための重要なプラットフォームとしても機能しています。 多くのスタートアップがここで技術検証を行い、医師からのフィードバックを得るだけでなく、国際的な講師陣を通じてグローバル企業との協業機会を広げてきました。

秀傳医療グループの黄士維院長は次のように振り返ります。

「父は若い頃から、病院は利益を目的とするのではなく、最先端の医療技術を台湾に根付かせ、多くの患者に恩恵をもたらすために存在するのだと考えていました。たとえ資源が限られていても、毎年自費で海外に学びに行き、世界最先端の技術を台湾に持ち帰ることを続けてきました。その精神がIRCAD Taiwanの設立につながり、秀傳が国際的な医師交流とスタートアップ協働の重要な舞台へと発展していったのです。」

日台の絆 × 医療革新の精神

秀傳医療グループと日本との交流の歴史は、40年以上前にさかのぼります。黄明和総裁が東京女子医科大学で研修を受けた際、当時最先端であった経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)技術を台湾に導入し、肝内結石の治療を、従来は約30センチの切開を必要とした大手術を、わずか0.5センチの切開で可能な低侵襲治療へと実現しました。

この経験が、秀傳医療グループにおける低侵襲医療の基盤を築くとともに、
 「国際的な技術を導入し、地域の患者に還元する」という核心的な使命を形作りました。

その精神は今日まで受け継がれており、現在も東京や大阪をはじめとする日本の医療機関から多くの医師がIRCAD Taiwanに研修に訪れ、日台間の臨床交流と技術共創を深めています。

BE Health × 秀傳:ファンドと協業

2018年、黄士維院長はイノベーション・ワークショップでBE Healthマネージングパートナーの陳彥諭氏と出会い、この出会いを契機に協力関係が始まりました。

陳氏は次のように述べています。

「BE Healthはヘルスケア分野のベンチャーキャピタルだけではなく、ファンド・病院・アクセラレーターを融合させたクロスボーダー型のプラットフォームです。私たちが『ファンド × 病院 × アクセラレーター』というモデルを構築した背景には、、資金だけでは医療系スタートアップを真に社会実装へ導くことはできないからです。病院は臨床現場や医師からのフィードバックを提供し、アクセラレーターは国際市場やリソースをつなぐ。三者が一体となってこそ、持続可能なエコシステムが築かれます。この仕組みにより、優れた技術が研究室にとどまることなく、迅速に臨床で活用できるソリューションへと転換され、患者や市場に確かな価値をもたらすことができるのです。」

黄士維院長は、黄明和総裁から受け継いだイノベーション精神のもと、院内で積極的に改革を推進。秀傳医療グループは臨床リソースや医師ネットワークを提供するだけでなく、BE Healthファンドの出資者として投資や戦略の推進にも直接参画しています。

一方、BE Healthは資金、アクセラレーション、国際連携を通じてその取り組みを補完しています。

両者は「病院 × ベンチャーキャピタル × アクセラレーター」とクロスボーダーのサポート体制を構築し、臨床検証、事業検証、投資協力から国際展開に至るまで包括的に支援。

また、IRCAD Taiwanを通じてスタートアップは迅速に臨床フィードバックを得て検証を行い、BE Healthはビジネスモデルの構築や市場導入を後押しします。

さらに両者はリスクを共有し、成果を共にするだけでなく、IRCADが有する世界9拠点のネットワークを活用し、台湾の臨床検証の強みを日本、米国、欧州へと拡張。革新的な技術をより早く世界に届ける体制を整えています。

病院がイノベーションを推進する理由

黄士維院長は次のように述べています。

「病院がイノベーションに取り組むことは、エコシステムにおいて不可欠な役割を担っています。医師がスタートアップの研究開発に参画することは、スタートアップを支援するだけにとどまらず、医師・患者・病院のすべてに具体的なメリットをもたらします。医師は新しい技術に早期から触れ、研究成果を積み上げることができ、患者は自身のニーズに合った製品を利用でき、病院は国際的な医療産業ネットワークの中で積極的に役割を果たすことができるのです。」

黄院長はその価値について、次のように語ります。

「IRCADの価値は教育・トレーニングにとどまらず、スタートアップ、医師、そして国際的大手企業が交わるプラットフォームである点にあります。多くのスタートアップがIRCADを訪れるのは、技術を検証するためだけでなく、国際的な講師陣や大手企業とのつながりを築くためでもあります。国際的な医師は技術を自国の臨床現場に持ち帰り、さらには多国籍企業との連携につながる可能性もあります。スタートアップにとって、これは臨床ニーズから出発し、国際市場へ直接つながる最短のルートなのです。」

台湾の臨床検証環境は、この仕組みに大きな強みをもたらしています。

台湾ではスタートアップが数か月以内に臨床前検証やPoCを完了できるのに対し、日本ではその数倍の時間を要する場合があります。また、台湾での動物実験や初期臨床検証は、日本に比べてコストが3分の1から2分の1程度に抑えられ、研究開発のハードルを大きく下げています。さらに、IRCAD Taiwanは年間100件を超える国際コースを開催し、これまでに2万5,000人以上の外科医を育成。医師ネットワークはアジアから欧米にまで広がり、国際的大手企業やスタートアップから臨床連携拠点として高く評価されています。

具体的な事例として、東京バイオデザイン発のスタートアップ Inopase が挙げられます。InopaseはBE Healthのアクセラレータープログラムを通じて秀傳医療グループと連携し、動物実験とプロトタイプ開発を実施。その成果により、日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成を獲得しました。わずか2年間で290万米ドルのプレシード資金調達を達成し、現在8件の特許を出願中です。さらに、日本国内の4つの病院・大学に加え、オーストラリアでは臨床試験にも取り組んでいます。こうしたInopaseの歩みは、日台クロスボーダー協力を象徴する好例といえるでしょう。

今後の展望:台湾から日本へ、そして世界へ

現在、秀傳医療グループとIRCAD Taiwanは、世界9か所に展開する国際IRCAD拠点と連携し、「スタートアップ × 医師 × グローバル企業」を結集するクロスボーダー・プラットフォームへと発展しています。

今後は、BE HealthおよびIRCADの国際ネットワークを活用し、国際連携をさらに強化していきます。日本の優れた医療技術をグローバル市場へ迅速に展開するとともに、台湾のエレクトロニクスや製造業の強みを生かして手術ロボットなどの新分野を開拓し、さらにBE Health東京オフィスの設立を契機として、「台湾の臨床 × 日本市場 × 国際資本」を結びつけた新たな協力体制を築いていきます。

「私たちは傍観者ではなく、このエコシステムの一員です。健全なエコシステムを構築し、スタートアップがより早く成長できる環境を整えることで、最終的に最大の恩恵を受けるのは患者なのです。」と黄士維院長は述べています。

2025年10月2日に開催される 「Beyond Borders: Taiwan–Japan Medtech Innovation Night」 は、BE Health日本オフィス開設を象徴する重要な節目となります。秀傳医療グループとBE Healthは本イベントを通じて、日台連携を一層強化し、アジア発の医療イノベーションを世界へ加速させていきます。

イベント

Beyond Borders: Taiwan–Japan Medtech Innovation Night 

Celebrating the Launch of BE Health Japan 

日時:  

10月2日(木)18:30 – 21:00 

場所: 

GLOBAL LIFESCIENCE HUB(グローバルライフサイエンスハブ) 
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号  日本橋室町三井タワー7階 

参加登録リンク:

 https://behealthjp.peatix.com/ 


◼︎BE Healthについて

BE Healthは、メドテック分野におけるイノベーションの推進に注力しています。

当社には、「BE Accelerator」と「BE Health Ventures」という2つのビジネスモデルがあり、メドテック領域のスタートアップの開発から市場開拓まで包括的に支援しています。

「BE Accelerator」は台湾最大のメドテックスタートアップアクセラレーターであり、2018年の設立以来、台湾の3つの大手医療機関と連携し、約100名のメンターと共に150社以上のスタートアップへを指導してきました。また、総額200億ドルを超える資金調達を実現しました。

「BE Health Ventures」は、スタートアップへの投資を行い、持続可能な成長を支援しています。

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会社概要

比翼加速器股份有限公司

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業種
サービス業
本社所在地
Songshan District Taipei City, 10553, Taiwan Taiwan Tech Arena No. 2, Sec. 4, Nanjing E. Rd.,
電話番号
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代表者名
Arthur Chen
上場
未上場
資本金
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設立
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