兵機海運株式会社の少数株主利益の保護を目的とした、適切な情報開示等の要請及び貴社との対話に係る要請について

富洋海運グループによる兵機海運への質問状送付

堂島汽船株式会社

 株式会社富洋海運およびその子会社である堂島汽船株式会社は、兵機海運株式会社の普通株式を議決権割合にして約14.7%所有する株主です。2025年2月28日、兵機海運宛てに質問状を送付しましたので、その内容を開示いたします。

 あわせて補足資料も公開しておりますので、添付資料もしくはhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000151525.htmlをご参照ください。

(以下、送付文書)

貴社の少数株主利益の保護を目的とした、適切な情報開示等の要請及び貴社との対話に係る要請について

拝啓 貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 弊社は、本日時点で弊社の親会社である株式会社富洋海運(以下、弊社と併せて「弊社グループ」といいます。)と併せて貴社の普通株式(以下、「貴社株式」といいます。)を議決権割合にして約14.7%所有する株主です(注1)。

(注1)議決権割合は、2024年9月30日現在の貴社の総株主の議決権の数11,776個(発行済株式総数1,224,000株から議決権を有しない株式数46,346株を控除して算出)に基づき算出しております。議決権割合については、小数点第3位を四捨五入しております。以下、議決権割合の記載について同様です。

 弊社は、2024年10月18日より貴社株式に対する公開買付け(以下、「本公開買付け」といいます。)を開始し、本公買付け終了後においても、本公開買付けに係る公開買付届出書(以下、「本公開買付届出書」といいます。)に記載した目的並びに公開買付け後の貴社株式の追加取得の方針等の記載に基づいて、市場にて貴社株式の買付けを行っております。そして、本公開買付届出書に記載の通り、本公開買付けは経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下、「買収行動指針」といいます。)を遵守した真摯な提案に該当するものであると考えており、株主の投資判断のために有益な情報が適切かつ積極的に提供されるべく、本公開買付届出書の内容に加えて、2025年1月16日、富洋海運のHPにて「兵機海運株式会社の株式取得の目的について」と題する資料(URL:http://www.fuyokkk.co.jp/、以下、「1月16日付弊社資料」といいます。)を公表しております(注2)。

(注2)買収行動指針においては、以下の原則が定められており、弊社グループはこれらを遵守すべく適宜情報開示を行っております。

第1原則:企業価値・株主共同の利益の原則

望ましい買収か否かは、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、又は向上させるかを基準に判断されるべきである。

第2原則:株主意思の原則

会社の経営支配権に関わる事項については、株主の合理的な意思に依拠すべきである。

第3原則:透明性の原則

株主の判断のために有益な情報が、買収者と対象会社から適切かつ積極的に提供されるべきである。そのために、買収者と対象会社は、買収に関連する法令の遵守等を通じ、買収に関する透明性を確保すべきである。

 なお、本公開買付け及びその後の買付けにより弊社グループが取得した貴社株式は、議決権割合にして19%に満たないものであったことから、貴社としては、これらの一連の買付けが、買収行動指針における経営支配権を取得する買収には該当しないとの整理をされているものと推察しております。もっとも、(ⅰ)本公開買付けをもって弊社グループは貴社の筆頭株主となり、貴社の運営に一定の影響を与え得る点、(ⅱ)貴社も買収行動指針にて推奨されている特別委員会を自主的に立ち上げており、本公開買付けについて検討を行った上で意見表明をしている点、(ⅲ)大和工業株式会社(以下、「大和工業」といいます。)及びその子会社(以下、「大和工業グループ」といいます。)との資本業務提携の検討開始は特別委員会を立ち上げていた本公開買付けの期間中に実施されており、大和工業グループが取得を予定する貴社株式の議決権比率は、弊社グループが目標とする19%を超えており本公開買付けとの十分な比較検討を行う必要があった点を踏まえると、株主利益の保護の観点からは、本公開買付け以降は、弊社、貴社及び大和工業グループは買収行動指針を遵守した行動様式をとるべきではないかと考えております。

 このような中で、従前、貴社の有価証券報告書の事業上のリスクの記載欄においては、大和工業グループとの取引集中がリスクとして記載されていたにもかかわらず、貴社は、突如本公開買付けの期間中(2024年10月31日付)に、大和工業グループとの間における資本提携及び業務提携の協業開始のリリース(以下、「10月31日付けリリース」といいます。)を開示し、2025年1月31日に「大和工業グループとの資本業務提携の決定」(以下、「1月31日付リリース」といいます。)を公表しました(注3)。1月31日付リリースには、大和工業グループとの間での検討経緯、実現されうる事業シナジー、取引集中リスクに係る影響、企業価値向上策、当該スキームを選択した理由、特別委員会の諮問を図らなかった理由、及び決定した時期の合理性についての説明が無いもしくは不十分であり、本公開買付届出書及び1月16日付弊社資料にて弊社グループが記載した内容と比較しても、情報提供及び説明が明らかに不足していると考えております。また、弊社グループの提案は特別委員会へ諮問を行った一方で、大和工業グループの提案については特別委員会へ諮問を行わず、貴社取締役会のみで意思決定を行っております。弊社グループは議決権割合にして19%の貴社株式の取得を目的としていた一方で、大和工業グループはこれを超える20%の取得を目的としているなど、大和工業グループとの資本業務提携は、貴社及び貴社株主への影響がより大きい事案であり、更に慎重な検討が求められる事案であるにもかかわらず、その決定プロセスの透明性が十分でないと、弊社グループとしては考えております。

 

(注3)以下は貴社による大和工業グループとの資本業務提携に係るリリースです。

・2024年10月31日付「大和工業グループとの資本提携及び業務提携の協議開始について」

https://www.hyoki.co.jp/contents/ir/assets/img/ir_news/R061031_kaizi.pdf

・2024年12月17日付「大和工業グループとの覚書締結に関するお知らせ」

https://www.hyoki.co.jp/contents/ir/assets/img/ir_news/R061217_kaizi.pdf

・2025年1月31日付「大和工業グループとの資本業務提携契約並びに主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」

https://www.hyoki.co.jp/contents/ir/assets/img/ir_news/R070131_kaizi_teikei.pdf

 また、1月31日付リリースでは、大和工業グループから取締役候補者について、最大2名の提案を受けることができる旨に合意したとの記載がございました。大和工業の経営陣は上場企業として、一義的には自社の株主に対する株式価値の最大化を図る義務を負っており、これまで大和工業グループとの間では強固な取引関係があり同社に対する売上高比率が高いという状況や、今後同社に議決権割合にして20%取得される状況をも踏まえた場合、同社から派遣される取締役は、兵機海運よりも大和工業の利益を優先した意思決定を行う恐れがあります。そのため、上場企業である大和工業から取締役の派遣を受け入れることは、貴社の株式価値最大化のための経営判断が阻まれるリスクをはらんでおります。貴社自身が長年にわたり大和工業に対する取引集中のリスクを懸念しているにもかかわらず、このような更なるリスクをあえて取りに行った理由がこれまでの開示資料では説明されておりません。

 上述した内容を踏まえると、大和工業グループとの資本業務提携に関しては、株主に対して投資判断のために有益な情報が適切かつ積極的に提供されているとは捉え難く、事業シナジーの詳細も不明であることから、大和工業グループとの資本業務提携契約締結及び大和工業からの取締役候補者について最大2名の提案の受入れることができる旨を合意した判断の理由、検討体制及び検討過程について、具体的にご教示頂きたいと考えております。

 更に、弊社は貴社から2024年12月24日付で「貴社による当社株式の買増しについて」と題した質問状を受領しており、これに対し、弊社は2024年12月27日付で書面にて回答をしております(以下、かかる質問及び回答を「2024年12月質疑応答」と総称します。)。本公開買付届出書提出以後、弊社は積極的な情報開示を行っておりますが、2024年12月質疑応答につきましては、その内容はおろか、2024年12月質疑応答が相互に送付された事実すら開示されておりません(なお、弊社からの回答に対する返答も頂けておりません。)。既に貴社でもご理解頂いていると存じますが、買収行動指針が公表された2024年以降に実施されたいわゆる同意なきTOBの案件では、公開買付けの公表以降、かかるやりとりを行ったという事実は基本的に開示されることが実務上の通例であり、貴社の行動は買収行動指針の第3原則である透明性の原則を軽視したものと考えられます。

 つきましては、買収行動指針を尊重頂き、貴社の少数株主や取引先の株主の方々に十分な投資判断の情報を提供頂くべく、弊社よりご質問を差し上げますので、2025年3月7日までにご回答並びに公表を頂けますようお願い申し上げます。

 最後に、本資料は、貴社の株主の皆様のご判断に有益な情報を適切かつ積極的に開示し透明性を確保することを目的としているため、本資料につきましては、貴社にて適時開示情報データベース(TDnet)でご開示頂くことを併せて要請いたします。また、貴社の株主の皆様に本資料の内容についてより理解を深めて頂くために「富洋海運グループの公表資料に係る補足説明資料」を別紙として作成しておりますのでこちらも併せてご開示をお願い申し上げます。

                   記

 1.     適切な情報開示に係る貴社へのご質問事項

(1)      大和工業グループとの取引集中をリスクと認識されてきたにも関わらず、かかるリスクを増大させる意思決定を行った理由について

貴社が過年度に提出した有価証券報告書では少なくとも19期連続で、高売上比率先として大和工業グループを挙げた上で、その動向を事業上のリスクとして記載しております。当該リスクが変更されておらず、貴社としてはこれを解消すべきリスクと考えているものと弊社は認識しておりましたので、当該リスクを避けるために既存の取引関係は維持しつつも、主に貴社の海外事業を促進させる弊社提案を行っていたところです。

(ア)   少なくとも過去19期に渡りご認識されている取引先に対する事業上のリスク(注4)をより大きくし得る大和工業グループとの資本業務提携を、突然実現する方針となったのはなぜでしょうか。

(注4)貴社の第81期有価証券報告書のP9によれば、以下の通り記載されております。

⑥ 特定の取引先(高売上比率先)の動向

当社は、大和工業株式会社グループからその物流部門を請け負っており、またJFE物流株式会社グループとも多くの取引を頂いておりますが、その輸送品目は鉄鋼であり、両社グループからの売上は全売上の36.8%を占めております。経済活動の産業基礎物資である鉄鋼は景気に左右されることから、今後の景気動向、ひいては日本の景気に強い影響力のある中国の動向によりましては経営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、内航事業での主要貨物である鉄鋼の輸送は船舶が中心となることから、輸送需要の減少下であっても長年に培ったノウハウで顧客満足度をより一層高めるサービスの強化を図っております。さらには、環境負荷が軽いモーダルシフトへの時代を見据えた取扱貨物の複線化を目指しております。

(イ)    上述したリスクが存在していたにも関わらず、大和工業グループとの資本業務提携の検討開始と決定が、なぜ本公開買付けに係る公開買付期間中及び本公開買付け後になされたのでしょうか。当該時期での検討開始が合理的であるとご判断された理由をご教示ください。

(ウ)   大和工業グループとの資本業務提携について、どちらからの要望、要請あるいは提案によって、対話を開始したのかをご教示ください。

  

(エ)   弊社グループは、貴社の取引先と直接的には競合しない事業提案を行っておりました。他方で、大和工業グループの提案は主に貴社の既存事業を拡張させる路線であり、両者の企業規模や主従関係を踏まえると貴社の経営の独立性が失われ、貴社の取引がより大和工業グループに集中するリスクを内包していると考えます。貴社としてこのリスクをどのように評価されているのでしょうか。

(オ)    更に、大和工業グループにより、貴社株式が議決権割合にして20%取得され、貴社への2人の役員派遣までを受け入れた場合、大和工業グループの意向が貴社の事業運営に大きく影響を及ぼすものと理解しております。そして、大和工業グループは、上場会社として、一義的には同社の株主価値向上を最大の目的とするため、貴社の経営の独立性が害され、また、利益相反的構造により貴社の少数株主の利益が害されるおそれが高いと考えられますが、貴社はこの点についてどのようにお考えであり、当該リスクをどのように回避されるご想定か、具体的にご教示いただけますでしょうか。

(カ)   1月31日付リリースによると、大和工業グループとの資本業務提携契約の内容として①物流機能の安定化及び効率化、②海上輸送の強化、③構内作業及び荷役業務の効率的な委託運営、④船員確保及び関連業務の安定化が業務提携を行う事項の一部として挙げられておりますが、これらはこれまでに弊社グループからも提案していた「陸送から海送へのシフト」「船主の高齢化による廃業に伴う船舶不足への対応」といった観点と軌を一にするものであると存じます。それにもかかわらず、弊社グループの提案を企業価値向上及び株主共同の利益を毀損すると断じた上で、上述の事業上のリスクが存在しているにも関わらず大和工業グループとの資本業務提携に至った理由をご教示ください。

(キ)   大和工業グループは2025年2月5日に、議決権割合にして11.33%の貴社株式を取得したとのことですが、(ⅰ)11.33%の貴社株式を取得することとなった経緯及び取得比率の設定理由、並びに(ⅱ)その後大和工業グループの議決権割合が20%に達するまで貴社株式を取得することとなった経緯、取得比率の設定理由並びにこれらを開示していなかった理由をご教示ください。

(2)      株主に向けて十分な投資判断の情報を提供しなかった理由について

冒頭で申し上げた通り、大和工業グループとの資本業務提携については、買収行動指針に沿った真摯な検討と十分な検証を要する事案であると考えており、貴社の少数株主や取引先の株主の方々に十分な投資判断の情報を提供頂くべきであったと考えております。

(ア)   貴社の株主に対して、買収行動指針に沿って投資判断のための十分な情報提供がなされなかった理由をご教示ください。

(イ)    少なくとも貴社の株主の投資判断のために、冒頭で必要性を申し上げたような大和工業グループとの間での検討経緯、実現されうる事業シナジー、取引集中リスクに係る影響、企業価値向上策、当該スキームを選択した理由、特別委員会の諮問を図らなかった理由、及び決定した時期の合理性について、貴社取締役会としてどのような判断がなされたかの決定プロセスを開示すべきであると考えております。これに対する貴社の見解をご教示ください。

(3)      大和工業グループに対して情報開示を要請しなかった理由について

冒頭で申し上げた通り、弊社グループでは、貴社の少数株主や取引先の株主の方々に十分な投資判断の機会を提供すべく、大和工業グループに対しても情報開示の要請をすべきであったと考えております。

(ア)   大和工業グループに対して情報開示の要請を行わなかった理由をご教示ください。

(イ)    仮に大和工業グループから本公開買付届出書と同程度の情報を受領していた場合、当該情報を貴社にて開示しなかった理由をご教示ください。

(4)      大和工業グループとの間でのスキームについて

弊社は公開買付けの手法により、貴社の全ての株主に対して株式売却の機会を提供させて頂きました。他方で、大和工業グループの資本業務提携ではToSTNeT-1による特定の株主に限定した取引方法が採られており、その後の買付けでは、弊社グループが取得を予定している、議決権割合にして19%を超える20%に達するまでの貴社株式を取引所金融商品市場内その他大和工業グループが適切と考える方法において取得する予定とのことですが、大和工業グループによる貴社株式の取得は、貴社株主に対して十分な情報提供が与えられない中で実施されるように考えられます。

(ア)   ToSTNeT-1によって議決権割合にして11.33%を取得し、その後20%に達するまでの買付けを行う、貴社株主に対して十分な情報提供が与えられないスキームを選択したことの理由が説明されておりません。大和工業グループが速やかに20%を取得できる第三者割当増資を選択しなかった理由も含めて、当該スキームを選択した理由をご教示ください。

(5)      2024年12月質疑応答が開示されなかった理由について

冒頭で述べた通り、2024年12月質疑応答の事実及び内容が開示されておらず、これは買収行動指針の公表後における実務プラクティスを逸脱したものと考えております。

(ア)   2024年12月質疑応答の存在及びその内容が開示されなかった理由についてご教示ください。

(6)      大和工業グループとの資本業務提携契約締結及び取締役の受入れに係る判断過程について

冒頭で申し上げた通り、大和工業グループとの資本業務提携契約締結及び大和工業からの取締役候補者を最大2名の提案の受入れを合意した判断の理由、検討体制及び検討過程について、具体的にご教示ください。

2.     貴社との対話の要請について

弊社グループとしては、コーポレートガバナンスコード「投資家と企業の対話ガイドライン」(金融庁2021年6月11日改訂)に基づき、貴社と十分な対話を継続し、弊社グループが提案する各事業プランに関する具体的なシナジーについて徹底的に協議した上で、弊社グループとの資本業務提携の是非について改めて最終的なご判断をいただきたいと考えております。弊社グループとしては、現時点においては、当初提案した全ての事業プランをそのまま受け入れて頂くことを必須と考えているものではありませんので、まずは両社で対話の場を設けることを強く希望いたします(なお、2025年3月中に実施させて頂きたいと考えております。)。

(以上)


会社概要

堂島汽船株式会社

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URL
-
業種
倉庫・運輸関連業
本社所在地
大阪府大阪市北区堂島2-3-8
電話番号
03-6341-0891
代表者名
久保大介
上場
未上場
資本金
-
設立
2024年09月