アルミ押出成形の形材設計を効率化し、試作コストと時間を削減 ― 株式会社FAI、加藤軽金属工業株式会社と「次世代の形材設計支援システム」の共同研究開発を開始
株式会社FAI(代表取締役:海老原寛)と加藤軽金属工業株式会社(取締役社長:加藤大輝)とは、アルミ押出成形の型材設計における課題を解決するため、トポロジー最適化技術を活用した新たな型材形状の最適化システムの開発に着手しました。
本システムは、設計要件と形材の設計領域を入力することで、横方向の荷重に対する耐性を解析し、最適な押出形材の断面形状を導出するものです。これにより、設計の試行錯誤を大幅に削減し、設計精度の向上、コスト削減、製品品質の向上を目指します。
プロジェクト背景と目的
従来の金型設計では、以下のような課題がありました。
・試作やシミュレーションの繰り返しによる時間の浪費
・材料の無駄によるコスト増
・横荷重に対する強度不足の懸念
このような問題を解決するため、本システムでは、トポロジー最適化技術を活用し、材料の配置を最適化することで、必要な部分に強度を集中させながら、不要な部分を削減することを可能にします。
技術概要
・トポロジー最適化
最適な「かたち(材料配置)」を力学の原理と数値シミュレーションで出す技術です(図1)。
トポロジー最適化は、強度や剛性を維持しつつ、応力のかからない部分や構造的に重要でない部分の材料を削り取ることで軽量化を実現します。
材料の配置を最適化し、無駄な材料を削減して軽量化を図り、必要な部分に適切な強度を確保します。

・今回開発したシステム
断面形状のデータを基に、横方向の荷重に対する耐性を計算し、曲げに強い最適な形状を計算します。
図2のように、押出成形においてZ方向に一様な形状を前提とし、型材の断面における最適な形状を解析するシステムを新たに開発しました。

技術検証および進捗状況
1. 3点曲げに強い押出断面形状の最適化
3点曲げに強い(変形しづらい)断面形状をトポロジー最適化によって計算を実施しました(図3)。
材料の体積率を変更して複数回最適計算を実施することで、結果を比較し、設計案を検討することが可能となります。

さらに、他部品の干渉などを考慮した最適設計も可能です(図4)。

2. 熱伝導性能の最適化
60×60mmの断面に材料使用量100mm²の制約を与え、熱伝導性能が最大となる形状を計算します(図5)。熱伝達の最大化を目的とした一般的なトポロジー最適化特徴的な構造(図5左)ですが、細かい枝分かれ部分は製造困難です。今回新たに開発したトポロジー最適化技術によって製造可能な断面構造を得ることに成功しました。特に、最小寸法制約を加えた形状(特に図5右の最小寸法3.0mm)は、シンプルで実用的な構造となる可能性があることがわかりました。

パートナー企業募集
本技術は 現在試験段階にあり、実用化に向けたさらなる検証が必要 です。
特に、断面形状の最適化に関して共に試作・評価を行っていただけるパートナー企業を募集しております。
ご関心のある企業様は、ぜひお問い合わせください。
開発体制と今後の展開
現在、本システムは試作段階にあり、初期の設計検証およびシミュレーションを進めています。今後の展開は以下の通りです。
・設計検証とシミュレーションの高度化・高速化
・実際の製造現場での検証を行い、システムの有効性を確認
・実証実験とフィードバックの反映
を踏まえ、より実用的なシステムへと改良を加えていきます。
最終的には、アルミ押出成形市場における新たな標準技術として、設計の効率化とコスト削減に貢献することを目指します。
担当者コメント
・株式会社FAI 代表取締役 海老原寛
「本システムは、型材設計の試行錯誤を減らし、よりスムーズで精度の高い設計を実現するものです。
断面形状のデータから、トポロジー最適化を用いた設計支援を行い、従来の押出形材設計に革新をもたらす技術として開発を進めています。
今後も、実証実験と現場のフィードバックを活用し、実用化に向けた取り組みを加速させてまいります。」
・加藤軽金属工業株式会社 取締役社長 加藤大輝
「今回の技術開発により、形材設計のプロセスを大幅に効率化し、試作や修正の手間を減らせると確信しています。
形材の断面形状から横方向の荷重に対する耐性を正確に評価し、トポロジー最適化を活用することで、従来の設計では見落とされていた“無駄”を削減しながら強度を確保する新しいアプローチを導入します。
今後は押出の生産性もシステムに入れて、形状の最適化と生産性の最適化の両面で顧客のトータルコスト改善をめざしていきます。
まだ開発途中ではありますが、実証実験を通じて、お客様のニーズに応えられるシステムへと進化させてまいります。」
お問い合わせ先
本プロジェクトに関する詳細情報やご質問につきましては、下記担当までお問い合わせください。
・株式会社FAI 海老原寛
お問合せ:https://fai-inc.co.jp/contact
・加藤軽金属工業株式会社 加藤大輝
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