日本版スチュワードシップ・コードの受け入れについて
少数株ドットコム株式会社(代表取締役社長:山中 裕、本社:東京都練馬区)は、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫の趣旨に賛同し、この受け入れを表明いたします。
当社は、「上場株式のような取引市場が存在せず、非上場株式を手放したくても手放せない状況に置かれている株主に最適なソリューションを提供する」および「自社での株式買取を積極的に行い、社会的責任のある株主として非上場企業におけるガバナンス強化や信頼の向上に寄与する」というミッションのもと、非上場株式流通という分野において少数株主と企業にとって、より流動性が高く公正で開かれた選択肢の提供にコミットしております。
このミッションを実現する中で、より当社は、日本版スチュワードシップ・コードにおける、投資先企業の価値向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目的とした「スチュワードシップ責任」を果たしてまいります。
日本版スチュワードシップ・コードの各原則に対する当社の考え方は以下のとおりです。
<原則1 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。>
当社は、出資者から株式買取資金をお預かりし、将来的な換金時までに、その利益を最大化する責任を負っております。
また、上場株式のような取引市場がなく制約条件の多い非上場企業の少数株主に対し、換金の機会や流動性の高いソリューションを提供することは、私たちの使命です。こうした使命を、私たちの日々の買取活動を通じて果たしていくことが、社会のサステナブルな成長に貢献するものと確信しています。
当社が買取対象とする株式は、特定の支配株主によって経営権を握られている企業や、創業から年月が経過し何代か相続が進んだ結果、経営意識の希薄な株主が株式を所有するような状態になってしまっている老舗企業です。これらの企業の中には、当社が第三者としてかかわることで、このような課題をビジネスチャンスと捉え、その課題を解決すべく経営の透明性を確保し、中長期的な企業価値の向上を取り戻していく企業も多く存在しています。また、そのような企業の株式を保有する少数株主に対しても、適切に評価された株式価値に見合った経済的利益を提供することが可能となります。
当社は、非上場株式という分野において、こうした優良企業を発掘し、多面的な評価のうえ厳選して投資を行っております。さらに、投資先企業の経営に深く関与し、積極的にコミュニケーションを図ることで、そのガバナンス改善を加速させてまいります。こうして、投資先企業の企業価値向上を図り、株式買取資金の利益の最大化に努めていくことで、出資者に対するスチュワードシップ責任を果たすとともに、サステナビリティを巡る課題解決にも貢献してまいります。
<原則2 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。>
当社は、資金運用者として、投資判断を含むすべての業務を執行する権限を有しておりますが、利益相反が生ずるおそれがある場合は、公平性に十分に配慮したうえでこれを適切に管理し、出資者の利益を最大化いたします。
当社の業務において、利益相反が生じるおそれがある場合の対応方針として、例えば下記のようなものがあります。
当社が買取対象の株式には、当社自らも一定額を出資しております。非上場株式に対する投資は、出資者および当社からの資金により買取を行っており、出資者と当社の利害を一致させることで、利益相反の可能性を排除いたします。
利益相反取引等の管理態勢の適切性および有効性について定期的に検証し、適切なプロセスを通じて関係者間の公平性を確保してまいります。
<原則3 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。>
<原則4 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。>
<原則5 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。>
非上場株式への投資の成果は、投資先企業への経営関与により、いかにその企業価値を高めるかに大きく左右されます。それは、上場株式投資の場合より顕著と言えます。
当社が買取を行う対象企業の多くは、その創業や設立から長期にわたって存在し続けている優良企業である一方で、特定の株主によって経営権が握られている同族会社であることが多く、会社法遵守の社内体制が脆弱であり、情報開示も十分には行われておりません。そのため、投資先企業における重要な会議への出席はもとより、日頃から投資先企業の経営陣、従業員その他の関係者との対話や情報交換等を通じて、投資先企業の状況把握に努めてまいります。
また、投資先企業の経営陣との真摯で率直な対話を深めることにより、経営に関わる課題やリスクを共有し、経営陣とともに課題の解決に取り組みます。さらに、企業の置かれている状況に応じた事業支援を行い、その成長を促進し、企業価値の向上を図ります。
議決権の行使は、上記のような投資先企業との対話を積み重ねたうえで、投資先企業からの提案が出資者の利益に合致するかどうかを見極めて行います。
なお、投資先企業の大多数が非上場企業であるため、議決権行使の結果については公表を控えさせていただきます。
<原則6 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。>
当社は、買取資金出資者に対し、資金の運用状況や投資先企業の業績・見通しについて報告しております。こうした機会を通じて、当社のスチュワードシップ活動についても、出資者に適宜報告いたします。
<原則7 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。>
非上場株式買取事業においてスチュワードシップ活動を適切に行うには、企業の財務状況を読み解く知見や洞察力、法律、税務、財務等広範囲に及ぶ専門知識のほか、企業および経営への深い理解力、リスクに対応する危機管理能力などの幅広い能力が求められます。
当社では、投資担当者が、投資先企業の経営に深く関与する経験を重ねる中で、こうした能力をより高めていくよう努めております。
また、当社では、投資部門に加えて、投資先企業のコーポレートガバナンス体制整備を支援する専門部署をそれぞれ設置し、投資活動や投資先企業の価値向上支援を多面的に実施しております。
こうして培った経験やノウハウを組織的に共有・蓄積することで、より透明性の高い経営体質を維持し、中長期的な企業価値向上および社会的信頼の向上にも寄与してまいります。
なお、投資先企業の大多数が非上場企業であるため、日本版スチュワードシップ・コードの各原則(指針を含む)の実施状況の自己評価については公表を控えさせていただきます。
<原則8 機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである。>
当社は機関投資家向けサービス提供者ではありませんので、本原則は当社には適用されません。
以上