東京都　新事業発掘プロジェクト「GEMStartup TOKYO」キックオフイベントを8月20日に開催

今年度も本格始動。大企業等民間企業に眠る次世代ビジネスの原石を磨く

　東京都では、大企業等の民間企業で培われたノウハウやアイデアを起業や新事業創出に結びつけるための取組として「新事業発掘プロジェクト事業（GEMStartup TOKYO）」を実施しております。今年度のプログラム開始に先立ち、8月20日（水）Tokyo Innovation Baseにてキックオフイベントを開催しました。

　当日は、新事業創出にこれから取り組もうとする方、新事業創出に取り組んでいる方を合わせて120 名の参加者が集まり、会場は活気に満ちていました。本編ではアントレプレナーシップに関する講演や新規事業創出におけるリアルな課題や期待、成功の鍵を語るパネルディスカッションを実施。イベント後半には参加者同士の交流時間が設けられ、各々今後の新規事業立ち上げへの期待が高まる時間となりました。ある参加者は「モチベーションはこれまで通り高くあり続けられそうと感じました。加えて考えたことをみんなで会話するという方針を学べて嬉しかった」と本イベントに参加した意義を語ってくれました。

基調講演　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　アントレプレナーシップをもって踏み出そう

武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 学部長Musashino Valley 代表／Voicy パーソナリティ伊藤 羊一氏

起業家に限らず、ビジネスパーソンにも求められつつある「アントレプレナーシップ」。その育成についてお話いただきました。

伊藤氏：世界はテクノロジーによってどんどん変わって来ました。昔できないと思っていたことが実現できる世界になってきました。それであれば、やるしかありません。テクノロジーは皆さんの心のなかにある「これをしたい」という夢を叶える手助けをしてくれる道具です。昔は正解を早く正確に求める事が重要でしたが、あなたのやりたいこと・夢を実現させるために、失敗を恐れずに踏み出して、新たな価値を生み出していくのがアントレプレナーシップです。起業家にならなくても持つことができます。

　スティーブ・ジョブズの言葉に「本能と直感に従え」という言葉があります。これはいけると思ったら、やることが大切です。過去の経験は絶対に活きるので、経験で学んだことを上手く抽象化しながら事業立案していくとよいかと思います。これまで色々と経験してきて、皆さんにお伝えしたいことは、「まずは刺激を受ける、そして自分で考えたあとにみんなで話してみる、その後やってみる」です。これを繰り返していくことで人は目覚めていくのでぜひ実践してみてください。未来は予測するものではなく、作っていくものです。皆さんで一緒につくっていきましょう。

パネルディスカッション　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　新事業創出のリアル ～社内起業とカーブアウト、それぞれの可能性と選択肢～

パネラー：

株式会社AgriweB 代表取締役CEO長堀 俊允氏

株式会社竹中工務店 技術本部

リユース事業推進責任者 藤井 康平氏

株式会社hootfolio 代表取締役 笠原 健太氏

ファシリテーター：

株式会社シリコンバレーベンチャーズ

代表取締役社長兼CEO 森若 幸次郎氏

今年度のパネルディスカッションにおいて「新事業創出のリアル ～社内起業とカーブアウト、それぞれの可能性と選択肢～」というテーマを設定し、計3名のパネラーの皆様にご登壇いただきました。

長堀さんと笠原さんは大企業からカーブアウト、藤井さんは社内で事業化の準備を進めている中で、キャリアビジョンや参加者の皆さんに向けてメッセージを語りました。

長堀さん：数字だけを追わず、とことん人に興味を持って、ニーズとニーズをつなげることに注力していくと、関係者がどんどん増えていくので、事業の存在も大きくなっていくと思います。始めたての頃は、社内からの声やうまくいかないことへの不安もありましたが、進めていくうちに、「面白いね」という声をかけてもらえることもあり、結果がだめでもいい経験になると感じています。もともと安定志向で元の会社（農林中央金庫）に入ったので、新規事業は怖かったですが、続けていてよかったなと思っています。人の決断はそれぞれですが、やりたければやったほうがいいです。

藤井さん：僕はあまりキャリアビジョンがありません。キャリアを気にしていたら、どうしてもどこかで周りへ忖度してしまう、やりたいことを曲げてしまうことがあるので、ただ一点の成功に向かって走っています。経験は必ずどこかに活きると思っているので、夢だけ追いかけています。

　僕から言えることは「やりたいやつにやらせる」ことがポイントです。事業立ち上げには苦労が多いので、やりたい人が文句を言わずに責任をもってやる、それに限るかと思います。企業の事務局担当者の皆さんはそれを見守っていただけると。予算や人が少なくても実行する人が出てくるはずです。僕の経験からはそうお伝えできるかと思います。

笠原さん：時折、「大企業を辞めてすごい挑戦ですね、すごい勇気ですね」と周りから言われることがありますが、ずっと大企業だけにいてリスクをとれないことが非常にリスキーだなと思っています。スタートアップを立ち上げて、結果がだめでもこの経験は次に活きることしかないと感じます。

やりたいことがあるのに漠然とした不安や周りの環境でできない、やらないのは非常にもったいないので、様々なフレームワークや支援を存分に活用して企業全体で盛り上げていけると非常に良いかなと思います。

森若さん：世界は非常に目まぐるしく動いています。日本をグローバル化させることは日本を守るために必要です。1年間の中で20％はホリデーだと思って、遊びの時間をしっかり作り出すということが非常に大事だと思います。遊びの時間で世界中に飛び出すことで、日本にとどまっていてはいけないと危機感が募り出すと思うので、ぜひ実施してほしいと思います。やりたい人がやるのがスタートアップ、新規事業の形だと思いますし、それ各分野で支える企業内の協力がそろうことで、日本も強くなるはずです。その機運が東京都にはあると思います。ビジョンを語って熱い時間にしましょう！

【登壇者】

伊藤 羊一氏

武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 学部長／Musashino Valley 代表／Voicyパーソナリティ

アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部（武蔵野EMC）を開設し学部長に就任。2023年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン、ウェイウェイ代表として次世代リーダー開発を行う。代表作の「1分で話せ」は67万部超のベストセラー。

長堀 俊允氏

株式会社AgriweB 代表取締役CEO

農林中央金庫入庫後、2021年に農業経営情報プラットフォーム「AgriweB」業務に参画。社内で継続可否を問われていた同業務について、事業化とその後の可能性を社内で上申。2023年11月、協議・検証を経た後、同事業を社内初の新規事業として取り組んでいくことについて承認を取り付け、カーブアウトする形で2025年1月に株式会社AgriweBを設立。

藤井 康平氏

株式会社竹中工務店 技術本部 リユース事業推進責任者

竹中工務店に入社以降、施工管理、受注支援、施工計画、教育、現場DX等を幅広く経験。社内ビジネスコンテストで200提案の中から1位を獲得し、2023年よりリユース事業「Archi-Hub」を推進。「TMIP Innovation Award 2024」最優秀賞受賞。2024年のサービス開始から1年経過した現在、事業投資ゼロ、会社による利活用アナウンス前の状況でサービスのMAU110人、月間PV1,100件、GMVは8,000万円を超え現在も成長中。

笠原 健太氏

株式会社hootfolio 代表取締役

NEC グループにてフルスタックエンジニアとしてアプリケーション開発に従事。シリコンバレーでCausal AIと出会い、その可能性に魅了され、自らプロダ クト開発をリードして事業を立ち上げる。プロダクトオーナーとして構想から開発・運用までを担った後、NECからカーブアウトし、株式会社 hootfolioを設立。実験による仮説検証を信条に、因果AIによる「科学的な意思決定」の社会4実装を目指している。

森若 幸次郎氏

株式会社シリコンバレーベンチャーズ代表取締役社長兼 CEO

急成長スタートアップやベンチャーキャピタル等の顧問およびベンチャーパートナーを務める。大企業向けの講演・ワークショップ講師、国内外のスタートアップピッチ大会の審査員や司会、投資家向けのピッチトレーニング講師実績多数。2013年にハーバードビジネススクールにてリーダーシップとイノベーションを学び、卒業生資格取得。その後、シリコンバレーと日本を行き来し、株式会社シリコンバレーベンチャーズを創業。

■「GEMStartup TOKYO」とは

東京都は、大企業等の民間企業で培われたノウハウやアイデアを起業や新事業創出に結びつけるための取組みとして「東京都新事業発掘プロジェクト事業(GEMStartup TOKYO)」を実施いたします。本事業では、分野を超えた起業家やベンチャーキャピタリスト、各分野のプロフェッショナルの方々に協力 をいただき事業化に向けたサポートを実施いたします。

【GEMStartup TOKYO HP】

https://gemstartup.metro.tokyo.lg.jp/

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