【バセドウ病】再発リスク低下に期待 治療中止前の最小維持量に着目した新たな治療の工夫
― 隈病院・宮村医師らの研究論文が国際的評価を獲得 ―
医療法人神甲会 隈病院(所在地:兵庫県神戸市)内科の宮村慧太朗医師らによる研究論文が、内分泌学分野の国際的トップジャーナルである「JCEM(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism:米内分泌学会公式ジャーナル)」に掲載され、国際的に高い評価を獲得しました。
本研究は、バセドウ病の治療で広く使用されている抗甲状腺薬チアマゾール (メルカゾール®)について、治療を中止する前の「最小維持量」に着目したものです。
その結果、治療中止前に、「最小維持量」を丁寧に調整し、従来よりも減量することで、バセドウ病の再発リスクを大幅に低下させる可能性があることを報告しています。
■バセドウ病の治療と再発の課題
バセドウ病とは、甲状腺が活発に働くことで、体内に必要以上のホルモンが作られ、動悸や手の震えなど、さまざまな症状を引き起こす病気です。比較的若い世代の女性に多く見られますが、男性や高齢者が発症することもあります。
薬物治療には、甲状腺ホルモンの産生を抑える「抗甲状腺薬」と「ヨウ素製剤」があり、妊娠中や副作用への懸念などがなければ、一般的には「抗甲状腺薬」が用いられます。
内服によって甲状腺ホルモン値が安定し、症状が落ち着いてくると、薬の量を少しずつ減らしていきます。最小量でも検査値に問題がなければ、内服をいったん中止できる場合があり、この状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。
しかし、これまでの国際的な報告では、抗甲状腺薬を中止した後の再発率は、50%前後とされており、 “いかに再発を防ぐか”は長年の臨床課題となっていました。
■今回の研究でわかったこと
今回、宮村医師らの研究では、チアマゾール(メルカゾール®)を中止する前の最小維持量を丁寧に調整することで、再発率を従来の治療法のおよそ半分以下に改善させることがわかりました。
この研究の特長は、新しい薬を使用するのではなく、これまで行われてきた治療の中で“薬のやめ方”を工夫する点にあります。患者さんが安心して治療を進められるため、医療現場でも役立つ研究成果となっています。
■隈病院 内科 宮村慧太朗医師のコメント

今回、これまであまり注目されてこなかった薬剤の調整方法に着目した研究を行いました。
この背景には2021年より、チアマゾール(メルカゾール®)2.5mg錠が新たに発売されたことがあります。この2.5mg錠は現在でも日本でしか販売されておらず、日本で先駆けてその効果を報告することができました。
本研究成果が、バセドウ病患者さんの再発を防ぐ治療方法の発展につながることを願っています。
【専門分野】
甲状腺内科、内分泌代謝内科、糖尿病内科
【所属学会・資格・役割】
日本内科学会 認定内科医
日本甲状腺学会
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌糖尿病領域暫定指導医
■参考文献
Azizi F, Malboosbaf R. Safety of long-term antithyroid drug treatment? A systematic review. J Endocrinol Invest. 2019;42(11):1273-1283.
■研究論文の掲載記事
・JCEM(Corrected Proof):
https://academic.oup.com/jcem/advance-article/doi/10.1210/clinem/dgaf433/8220567
・PubMed[NIH:National Library of Medicine]:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40746193/
■当院について

隈病院は兵庫県神戸市にある、橋本病・バセドウ病・甲状腺がんなど、甲状腺疾患に特化した専門病院です。1932年の開院以来、地域に根ざして多くの患者様に寄り添った医療を提供してまいりました。当院では、身体の治療だけでなく、心のケアにも配慮した全人的医療を行い、患者様の生活に合わせた診療を大切にしています。最新の医療設備と専門医師・スタッフによるチーム医療によって、安心して治療に専念できる環境を整えています。また、研究や医療者教育にも力を入れ、国内外へ積極的に知見を発信し、世界の甲状腺医療の発展に貢献しています。そして、患者様への分かりやすい説明と同意を重視するインフォームド・コンセントを実施し、安心して治療を受けられる環境づくりにも力を入れています。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
