GhostDrift数理研究所とオンザリンクス、医薬品コールドチェーンの機械検証PoC第1弾を完了、コードを公開——共同実装成果を広島発・日本発の「AIアシュアランス・プロトコル」へ展開

「記録はあるのに、なぜ正常と判断したかを一件ごとに示せない」医薬品物流の課題に機械検証で挑む。戦略的パートナーシップによる共同実装成果を公開。

株式会社GhostDrift数理研究所

コールドチェーンの実務課題から、検証可能な共通基盤へ

株式会社GhostDrift数理研究所(東京都新宿区、代表取締役:前木秀光)と株式会社オンザリンクス(広島市中区、代表取締役:東聖也)は、コールドチェーン領域における戦略的パートナーシップ(※1)の共同PoC第1弾を完了しました。本プレスリリースの配信に合わせ、ソースコード、サンプルデータ及び再現手順をGitHubで公開しました。

医薬品物流では、医薬品を正式に引き渡すために、輸送中に温度条件が守られ、荷物が途中で開封されず、正しい相手が受領・承認したことを確認する必要があります。しかし、これらの記録が存在していても、「この一件の荷物を正式に引き渡してよい」と判断した証拠として結び付いていない場合があります。

本PoC(※2)では、オンザリンクスの物流現場・物流システムの知見と、GhostDrift数理研究所の機械検証技術を組み合わせ、必要な記録を検査し、温度指標を再計算した上で、条件が成立した場合にのみ引き渡し可と判定し、それ以外では判定の時点で停止させる仕組みを実装しました。判定は、同じ入力、ルール及び実装を用いて後から再検証できます。

課題と解決:バラバラの記録を、一件の引き渡し証跡として結合する

今回の温度管理は、この仕組みを適用した一例です。業務上の条件、必要な証拠、判定方法及び判定後の処理を、機械が検証できる形であらかじめ定めることで、品質確認、受領承認、在庫確認、権限確認など、他の業務判断にも応用できます。


両社は、この成果をコールドチェーン領域でさらに発展させるとともに、広島AIアシュアランス協議会(設立準備中)が策定を進める、広島発・日本発の「Hiroshima AI Assurance Protocol(広島AIアシュアランス・プロトコル)」の最初の実装成果として展開していきます。

コールドチェーンの実務課題を起点に、AI判断の条件、証拠、責任及び状態遷移を、企業やシステムを越えて検証できる共通基盤へ発展させます。AIモデルの規模や生成性能だけではなく、「責任」と「検証可能性」を日本発のAI競争軸として世界に提起する取り組みです。


※1 戦略的パートナーシップ及び共同特許出願については、オンザリンクス社のプレスリリースをご覧ください。
※2 本PoCはAIモデル自体の性能を評価するものではなく、AI等が生成した業務判断を企業が正式運用で採用する前に、必要な条件、証拠及び状態遷移を機械検証する基盤を実装したものです。

医薬品物流で見えた課題——「記録はある。でも証跡になっていない」 

医薬品のコールドチェーンは、品質管理に細心の注意が求められる物流領域です。作業手順、契約条件、温度記録、入出庫記録は整備され、現場でも確認されています。温度異常の警告もなく、配送も完了している。一見、問題はないように見えます。

しかし、荷主から一つだけ聞かれたとき、すぐには答えられない場合があります。

「この1件の受け渡しで、契約上の温度条件、実際の温度、受領者、受領承認を、一つの証跡として示せますか?」


それぞれの記録は残っていても、「この荷物を正式に引き渡してよい」と判断した一つの証拠として結び付いていない場合があります。

これは単なる監査対応の問題ではありません。温度逸脱や誤配送の疑いが生じたとき、どの荷物を止め、どこまで回収し、誰が何を根拠に正常と判断したのかを直ちに示せなければ、品質判断も責任判断も遅れます。


これは現場の努力の問題ではなく、記録の設計の問題です。人が一つずつ確認していることと、一件ごとに「なぜ正式に引き渡してよいと判断したのか」を後から機械的に検証できることは、別の問題です。

GhostDrift数理研究所は、この構造的課題を「コールドチェーン監査ショック」として公開しています。


コールドチェーン監査ショック デモ:
https://coldchain-handoff-audit-shock-bsf9guhrr8sajmyj65fxvy.streamlit.app/

PoCが実装・確認したこと 

本PoCは、医薬品コールドチェーンの引き渡し業務を想定した条件・証拠・判定フローにおいて、以下の機能の実装可能性を確認しました。

処理

内容

入力検証

文字列化されたbool、NaN、負数、時刻逆転など20以上の不正パターンを判定前に拒否

判定条件・バージョンの固定

どの基準で判定したかをSHA-256ダイジェストで記録し、事後の差し替えを検知可能にする

証拠項目の検査

seal(封印)、custody(管理移転)、logger(温度ロガー)、temp_rec(温度記録)の4項目を検査

温度指標の独立再計算

温度記録から逸脱量(d_plus / d_minus)および逸脱面積(a_plus / a_minus)を再計算。申告値ではなく温度記録からの独立再計算。記録間隔・区間時間は入力値をそのまま使用し、閾値との照合により判定に使用

引き渡し判定の生成

RELEASE(採用可能)/ HOLD(証拠不足)/ QA_REVIEW(要追加確認)/ REJECT(条件不成立)を自動判定

チェーン評価の停止制御

RELEASEの場合のみ次の区間の評価に進み、それ以外の判定が出た時点でチェーン評価を停止する。後続区間の評価は行わない

調査アンカー

最後に成立した区間(last_good)と最初に不成立の区間(first_fail)を記録

リプレイ検証

同じ入力・ルール・実装を用いて再実行し、判定ラベルとダイジェストの一致を確認

ADIC証明書

何を証明し何を証明しないかを明示したスコープ付き証明書を自動生成

「なぜこの荷物を次に進めたか」「どこで止まったか」「どの基準で判定したか」が判定ダイジェストとともに記録され、同じ入力・ルールおよび実装を用いて再実行し、一致を確認できます。コード公開後は、第三者も同じ手順で確認可能になります。異なる実装による独立再検証は、今後の対象です。

PoC第1弾 体験デモ:
https://coldchain-handoff-assurance-app-eund8t2ky8w9io7pktkpyh.streamlit.app/

PoCで実装・確認した6つの処理と実行結果の例

AIを大きくする競争から、AIを社会で使える競争へ 

AIは民主化され、社会を読み、判断し、動かす力を持ち始めました。けれど、社会の側はまだ、AIに正しく読まれる準備ができていません。

条件、証拠、責任、権限。AIがそれらを正確に読み取り、その判断を企業や社会が信頼して使える状態にする。AIガバナンスとAIアシュアランスを社会実装することは、大規模モデルと計算資源を競う米中とは異なる、日本の「AI第3極」への道です。

日本が長く培ってきた品質管理と現場運用の力を、AI時代の共通基盤へ変える。社会をAIに正しく読ませ、AI判断を後から検証できる形にする。そのための日本発の実装が「責任OS」です。

GhostDrift数理研究所とオンザリンクスは、その最初の実装を広島の物流現場から始めました。一件の医薬品の引き渡しから、信頼できるAIを社会で使うための世界共通基盤へ。広島AIアシュアランス・プロトコルは、日本から新しいAI競争軸を提示する挑戦です。

責任OSとADICの位置づけ:社会の条件をAIが扱える構造にする

代表コメント

「今回実装したのは、単に温度を監視する仕組みではありません。必要な証拠を確認し、温度指標を再計算し、条件を満たした場合だけ通過させ、その判断理由を後から再検証できる仕組みです。AIやシステムの判断を、企業が正式に採用できる判断へ変えるための基盤を、医薬品物流で形にしました。

日本が競うべきものは、AIモデルの規模だけではありません。日本が培ってきた品質管理と現場運用を、AIが正確に読み取り、企業や社会が信頼して使える仕組みへ変えることです。今回のPoCは、その日本発の競争軸を、オンザリンクスとともに広島から実装した第一歩です」
― 前木秀光、GhostDrift数理研究所代表

「物流現場には、多くの記録と確認業務があります。今回のPoCによって、それらを個別に残すだけでなく、一件の引き渡し判断を支える検証可能な情報へ変えられることが見えてきました。物流現場とシステムを知るオンザリンクスと、GhostDrift数理研究所の機械検証技術を組み合わせたからこそ生まれた成果です。今後は、この成果の物流DX基盤『YUKAI』への搭載も検討し、荷主、倉庫、運送会社を越えて、信頼できる情報がつながる物流を目指します。広島の現場から、AIを安心して使える物流の仕組みを育て、世界標準となるAI物流構想へつなげていきます」

― 東聖也、株式会社オンザリンクス代表取締役

今後の展開:広島AIプロセスの理念を、世界標準のAIアシュアランス・プロトコルへ 

今後の展開:PoCの成果を広島AIアシュアランス・プロトコルへ

高度なAIシステムを対象に、国際指針と行動規範を含む初の国際的な政策枠組みである広島AIプロセスが世界に示したのは、AIをただ大きくするのではなく、安全・安心で信頼できる形で社会に実装するという方向性です。GhostDrift数理研究所とオンザリンクスは、今回のPoCを、その初の国際的な政策枠組みの理念を企業の現場で実際に動くルールへ変える最初の実装と位置付けています。

今回確認した、業務上の条件と証拠を結び付け、進めてよい判断だけを通し、その理由を後から再検証できる仕組みを、広島AIアシュアランス・プロトコルの初期仕様策定へつなげます。さらに、平時の定常業務だけでなく、災害や通信障害などで通常の確認経路が使えない場合にも、あらかじめ定めた条件とその場で得られる証拠に基づき、代替ルートへ切り替えてよいかを検証できる仕組みへ発展させることを検討していきます。我々の目標は、日本国内や特定業界だけで閉じる技術ではありません。企業、業界、システム、国境を越えて利用できる、AI判断の世界標準プロトコルです。


AI競争の主導権は、モデルの規模や計算資源だけで決まるものではありません。AIの判断を何に基づいて信頼し、どの条件で社会の正式判断として採用するのか。その世界共通ルールを誰がつくるかも、次の競争です。


日本が培ってきた品質管理と現場運用の力を、世界で使われるAIアシュアランスのルールへ変える。米中とは異なるAIの第三極を、日本から築く。一件の医薬品物流から始まった実装を、広島発・日本発の世界標準へつなげていきます。

■リンク

・PoC第1弾 リポジトリ:
https://github.com/GhostDriftTheory/coldchain-handoff-assurance

・コールドチェーン監査ショック デモ:
https://coldchain-handoff-audit-shock-bsf9guhrr8sajmyj65fxvy.streamlit.app/

・戦略的パートナーシップ発表:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000169775.html

■Lean形式化との対応

GhostDrift数理研究所は2026年6月、責任OS・ADIC・ALSの基礎理論をLean 4で形式化し公開しました(※3)。今回のPoCは、Lean 4で形式化した責任情報・検証可能性に関する考え方と、実装した機能との対応関係を示すものです。

※3 Lean形式化公開リリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000182721.html

■用語解説

AIアシュアランス
AI Assurance

AIシステムが信頼できる形で動いていることを、証拠に基づいて確認・検証できる状態、またはそのための仕組み。「AIが良い結果を出す」だけでなく、「その判断を会社として採用できる状態にある」ことを保証する考え方。

責任OS
Responsibility OS

AIの判断について、「何を見て、何を確認し、どこで止めるべきだったか」を、あとから検証できる形で残すための設計・技術基盤。来歴、追跡可能性、監査証跡、検証可能性といった情報学の考え方を、AI判断の責任確認に接続するもの。

ADIC
Advanced Data Integrity by Ledger of Computation

AIの判断や計算の根拠を、あとから確認できる形で記録するAIアシュアランス技術。計算過程や確認条件を台帳として残すことで、第三者が後から検証できる状態をつくる。

状態遷移
State Transition

ある状態から別の状態への変化を表す、情報学・数学で広く使われる概念。責任OSでは、責任情報を判断そのものではなく、状態遷移に伴う条件・証拠・権限・結果を示す情報として扱い、その遷移がなぜ成立したのかを後から検証できるようにする。

Lean 4

数学の定理やプログラムの性質を、コンピューターが厳密に確かめられる形で記述するためのシステム。

G7広島AIプロセス
G7 Hiroshima AI Process

2023年G7広島サミットで立ち上げられた国際AIガバナンス枠組み。生成AIに関する包括的な政策枠組みや行動規範の策定を目的とする。本取り組みは、この枠組みの実装部分を担うものとして位置付けられる。   

検証可能なAI
Verifiable AI

個別のAI判断が、どの条件に基づき、誰が確認し、どの責任状態として採用されたかを、後から監査・検証できる状態にすること。「責任あるAI」がAIの設計原則を問うのに対し、検証可能なAIはAI判断の採用証拠を後から示せるかを問う。 

■会社概要

【株式会社GhostDrift数理研究所】

代表者 前木 秀光

所在地 東京都新宿区北新宿4-4-4

設立 2026年2月10日

事業内容 高い責任と品質が求められる業界に特化したAIガバナンス技術(責任OS)によるAI・アルゴリズム意思決定システムの設計・実装支援

URL https://www.ghostdriftresearch.com

【株式会社オンザリンクス】

代表者 東 聖也

所在地 広島県広島市中区大手町2-8-2 フージャース広島大手町ビル8F

設立 1999年11月15日

事業内容 ハイテク製造業界に特化した物流DXソリューションの企画・開発・導入

URL https://www.onzalinx.co.jp/

■本件に関するお問い合わせ

株式会社GhostDrift数理研究所 広報担当:前木(まえき)

お問い合わせフォーム:https://www.ghostdriftresearch.com/contact

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会社概要

株式会社GhostDrift数理研究所

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URL
https://www.ghostdriftresearch.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区北新宿4-4-4 110号室
電話番号
-
代表者名
前木秀光
上場
未上場
資本金
100万円
設立
2026年02月