【講習会報告】操体法セミナー in 相模大野【つむぐ指圧治療室×SOTAI SALON TOKYO】

安全で効果の高い操体法の技法は、治療家のみならず、身体に関わる全ての職業の方々にも役立つ技法であるとともに、一般の方々のセルフメンテナンスの方法としても大変すぐれています。

株式会社SBCHAプラクシス

令和元年8月11日(日)、つむぐ指圧治療室(株式会社SBCHAプラクシス/代表 黒澤一弘) と SOTAI SALON TOKYO(合同会社GX/代表  鈴木健介)によるコラボレーション企画として操体法セミナーを開催いたしました。

操体法は医師 橋本敬三先生(1897-1993)により体系化され残されたもので、気持ちよく身体を動かすことにより、筋肉の緊張をほどき、ボディバランスを正し、自律神経の働きを調整していく健康療法として知られています。

この度、操体法創始者の橋本敬三先生の曾孫に当たる鈴木健介先生をお招きし、操体法を学ぶことができるセミナーを開催致しました。大変有意義な実りの多い講習会となりましたので、ここに報告いたします。
令和元年8月11日(日)、相模大野 つむぐ指圧治療室にてSOTAI SALON TOKYOの鈴木健介先生をお招きして操体法セミナーを行いました。参加者はあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師、指圧学校の現役学生、ヨガ・インストラクター、トレーナーと参加定員いっぱいとなる9名の方々にお集まりいただきました。

セミナー開催の挨拶セミナー開催の挨拶

■   午前の部
【まなぶ操体】

操体法の基本理論や理念などを勉強操体法の基本理論や理念などを勉強

午前はテキストとスライド、そして映像を中心として操体法の基本理論や理念などを勉強いたしました。故 橋本敬三先生の貴重な映像を中心として、操体法の全体像について学びました。

【足踏み(立位での一人操体)】

『足踏み』は、身体のバランスを整える立位での一人操体としてとても有効な基本運動『足踏み』は、身体のバランスを整える立位での一人操体としてとても有効な基本運動

座学を完了した後、畳スペースに移動し、まずは両足の真ん中に目印となるシールを貼り、前をまっすぐ向いて、その場で大きく『足踏み』を行いました。自分はその場で足踏みしているつもりでも、いつの間にかシールを貼った場所から離れてしまいました。自分の感覚と身体の動きに相違があることの確認を致しました。

この『足踏み』は、身体のバランスを整える立位での一人操体としてとても有効な基本運動です。身体のバランスが崩れている人は、眼を閉じて足踏みをすると、身体の位置・方向がずれてきます。逆に一点を見つめ方向がずれないように意識して足踏みをすることにより、身体のバランスが整ってきます。

【たわめの間と脱力について】

気持ちの良いところで動きを留めて数秒間保持、その後脱力することにより身体が整います気持ちの良いところで動きを留めて数秒間保持、その後脱力することにより身体が整います

次にホワイトボードを使い、たわめの間や、脱力について理論を学びました。心地よいと感じる方向へと身体を動かし、一番心地よいと感じるポイントで動きを足先から頸・頭まで筋の張力が伝導して繋がっていく感じを味わいます。足先から頭までの繋がりを3秒ほど感じたら、「ストン」と脱力します。二人で行なう操体の場合は、被験者が感じる心地よい動きの方向を分析し、その動きに対して徒手で抵抗を加えます。初動は軽い抵抗から始め、最も心地よい角度で抵抗をやや高め、等尺性収縮を促します。この時に特定の筋だけでなく、足先から筋の張力が伝導し昇っていく感覚を味わうようにします。そして繋がった感覚が全身に伝わったら、3秒ほど保持し(たわめて)、脱力します。この動きにより筋骨のバランスが整ってきます。

【膝裏の「ひかがみ」についての解剖学的解説】

操体法において歪みの指標として重要とされる「ひかがみ」は解剖学的には「足底筋」をさしています操体法において歪みの指標として重要とされる「ひかがみ」は解剖学的には「足底筋」をさしています

操体法において歪みの指標として重要とされる部位に膝裏の「ひかがみ」があります。この「ひかがみ」は解剖学的には「足底筋」をさしています。
 

膝裏の足底筋には全身の歪みが現われやすくなっています膝裏の足底筋には全身の歪みが現われやすくなっています

足底筋は小さな筋ですが、筋紡錘という筋肉の長さを測るセンサーが非常に豊富です。筋紡錘の感度を調節するγ運動ニューロンが過敏となっている状態では、筋全体が硬結(張り)を引き起こしてきます。全身の筋は筋膜(Fascia)により連結しているので、身体の歪みは左右の下肢の筋に伝わり、そのアンバランスは小さな筋である足底筋に現われやすくなります。

足底筋は、全身の歪みに敏感に反応し、かつ膝裏で容易にその硬さを触知できることから、全身の状態をうつす鏡- 膝のうらの鏡 (ひかがみ)となります。

【ひかがみの触察】

ひががみの様子から身体を診ていきますひががみの様子から身体を診ていきます

膝裏を触れ、足底筋の硬さや張りを触察します。手指で一番感覚が鋭敏な部分は指紋部なので、四指(主に示指と中指)の指紋部を効率的に使い、足底筋の状態を含め、身体を診ていきます。

【つま先上げ(二人操体)】

『つま先あげ』の二人操体『つま先あげ』の二人操体

左右の膝裏(ひかがみ)の差や圧痛点を確認した後、『つま先あげ』の二人操体を行いました。被験者は、まず両膝は軽く触れるくらいにして、足裏を床につけます。操者は手を被験者の足背部におき、被験者に圧痛点の有った方の即しを反り返らせ、足背部を持ち上げてもらいます。操者はその動きに対して、若干の抵抗を加えます。持ち上げた足先からの張力により自然に腰が反り、全身が縮むような感じに連動します。その状態で3秒ほど保持し(たわめ)、ストンと脱力させ、ゆったりと一息深呼吸させます。この動きを2〜3回反復します。もう一度、膝裏を触察すると、圧痛のある筋緊張が消失または緩和しているはずです。

■   午後の部
【ゆるめる操体】

振動がだんだんと上に広がり頭まで揺れるようにリズミカルに振動を送ります振動がだんだんと上に広がり頭まで揺れるようにリズミカルに振動を送ります

昼食をはさんで、午後の部が始まりました。午後はまず「ゆるめる操体」について学びました。下腿の脛骨の内側と外側にリズミカルに頭のほうへと向かう縦揺れの振動を送ります。人体は水のつまった袋であるイメージを持ち、水の振動がだんだんと上に広がり頭まで揺れるようにリズミカルに振動を送ります。振幅が不規則になったり雑になったりすると揺れを伝える波が打ち消しあってしまいます。リズムを一定に、揺れが滑らかに頭まで伝わるようにしました。

最後の「おさめ」の動作がきちんとできるか否かで満足感や効果が大きく違ってくるとの事最後の「おさめ」の動作がきちんとできるか否かで満足感や効果が大きく違ってくるとの事

下腿の膝下に近い部分から初めて、一定のリズムを保ちながら足先まで降りていきます。最後にピンと外側に張力を掛けて、その張力を保ったまま足関節を一回しさせた後、踵を床面に押し付けるように圧を加えます。この「おさめ」の動作がきちんとできるか否かで満足感や効果が大きく違ってくるとの事です。練習が必要な動作です。

【ゆるめる操体・2足指まわし、足指上げ下げ】

「足指まわし、足指上げ下げ」相手の足指を触りながら、同時に身体の状態を確認します「足指まわし、足指上げ下げ」相手の足指を触りながら、同時に身体の状態を確認します

ゆるめる操体の2番目として「足指まわし、足指上げ下げ」を行いました。仰向けの基本姿勢から足指を左右同時に一本ずつ回しながら、全身に揺れを連動させます。あごが上下にゆれて、滑らかな動きが全身に伝わるようにします。足指のマッサージが目的ではなく、体全体の揺れが起きるようにするのがコツです。被験者が疲れているような時には、それぞれの指の重さが極端に違っていたり、指の足裏側に硬いしこりがあったりします。足指上げ下げは、連動を利用した足指のもみほぐしにもなり、足の感覚が軽くなっていきます。また、足指は末梢の感覚器であり、身体の情報を沢山持っているので、相手の足指を触りながら、同時に身体の状態を確認します。

ゆるめる操体はとても心地が良いですゆるめる操体はとても心地が良いです

参加された皆さん、熱心に練習をしています。この足先からの揺れのリズムはとても心地よく、短時間の間にいつのまにか寝てしまう人も(私)いました。

【ととのえる操体・ひざ倒し】

ととのえる操体・ひざ倒しととのえる操体・ひざ倒し

ゆるめる操体で、全身をリラックスさせて筋緊張を解いた後、ととのえる操体を行ないました。まず学んだのは『ひざ倒し』の技法です。仰向けに寝た状態より膝を立て、ゆっくりと左右に倒して感覚差を確認します。左右の違いが確認できたら、操者は軽く膝に手を沿えて軽い抵抗を加え、心地よく動ける側に膝を倒してもらいます。膝が倒れるのに続き、殿部から脊柱へと捻じれが伝わり、その張力が背中まで上がってくるころに、顔は膝を倒す方向と反対側に回します。もっとも心地よいと感じる位置で抵抗をやや強めて、3〜5秒たわめます。その後ストンと脱力してもらい、一息深呼吸をしてもらいます。この動作を2〜3回反復します。再度、膝を左右に倒して感覚差が変化して同じになったかを確認します。

『ひざ倒し』の練習風景、熱心に勉強してます『ひざ倒し』の練習風景、熱心に勉強してます

『ひざ倒し』の練習風景です。安全かつ非常に即効性のある技法だと思いました。

【かかと伸ばし】

『かかと伸ばし』の技法『かかと伸ばし』の技法

最後に『かかと伸ばし』の技法を学びました。寝た状態からかかとを片方ずつ伸ばして、左右の感覚差を確認します。心地よく伸ばせる側のかかとを息を吐きながら伸ばし、同時に反対側の足関節は背屈し縮めるように動きます。操者はかかとを伸ばす側に上腕をあて壁となるように抵抗を加え、手掌部で足背の背屈運動に抵抗を同時に加えます。足先の動きが、頸から頭まで伝わり全身の連動が生じ、心地よいポイントで3〜5秒保持した後、ストンと脱力させます。この動作を2〜3回反復します。

全身協調を伴う動作は骨格の変位を正常に整復します全身協調を伴う動作は骨格の変位を正常に整復します

無理に外見が正しいように矯正するのではなく、操体法では心地よいと感じる方向に動いてもらい、足から頭までの協調的な動作を促します。この全身協調を伴う動作は骨格の変位を正常に整復するという考えからなっています。

【生理学的観点より見た操体法】

生理学的観点から操体法について考察生理学的観点から操体法について考察

最後に、操体法を体験してみた上で、生理学的観点から操体法について考察を加えてみました。筋肉は引き伸ばされると収縮するという性質を持っています。これは伸張反射といい、筋紡錘という筋肉の長さを測るセンサーが反応することにより起こります。これは姿勢保持や筋の損傷を防ぐ役割があります。何かしらの違和感が有ると、痛みを発している筋は持続的に収縮し短縮した状態にあることが多く、筋紡錘の感度を調節するγ運動ニューロンも興奮している状態で、引き伸ばされる刺激により敏感になっています。違和感がある方向へと動くということは、その問題となっている筋が引き伸ばされる動きであることが多く、過敏となった筋は容易に伸張反射による防御的反応を引き起こします。

操体法では、心地よいと感じる方向へと動きます。これは問題のある筋が緩む方向となります。その方向へと動き、その動きに対して抵抗を加えます。筋肉には筋紡錘の他に、ゴルジ腱器官という筋の収縮力(張力)を感知するセンサーが腱の部分にあります。これは腱が引き伸ばされることにより、その情報を脊髄に伝え、その筋を弛緩させる反応を引き起こします(Ib抑制)。

このゴルジ腱器官による弛緩作用を促す方法は大きくわけて2つあります。ひとつはストレッチ。もうひとつはその筋の収縮に対して抵抗を加えることによりその筋の収縮をより引き出してあげることです。

これはストレッチにより筋が緩む機序になっていますが、過敏となり問題を引き起こしている筋は、引き伸ばされることに敏感となっていて、伸張反射を引き起こし逆に縮んでしまうことがあります。操体法では心地よい方向(問筋が緩む方向)へと動き、足から頸までの連動する動きの中で、抵抗(誘導操作)を加えます。これにより問題のある筋への筋紡錘への刺激を減らしつつ、ゴルジ腱器官を効率的に刺激し、弛緩を促すことができます。そして張力を発揮した状態から脱力することにより、より弛緩作用を増すことができます。

また筋の収縮に対して抵抗を加えてあげることは、硬くなった筋を柔らかくするだけでなく、神経系が促通され、より働きが良くなることが知られています(神経筋促通作用)。これによりバランスが整うだけでなく、筋肉自体の働きがよくなります。

これらの作用を、安全に効率良く引き出すことができるのが操体法であると思いました。指圧を始め、様々な手技療法や鍼灸などとも組み合わせることが可能な、大変有用性の高い技法であると思います。

また、今回はヨガのインストラクターやトレーナーの方にもご参加いただきました。安全で効果の高い操体法の技法は、治療家のみならず、身体に関わる全ての職業の方々にも役立つ技法であるとともに、一般の方々のセルフメンテナンスの方法としても大変すぐれています。

【次回の操体法セミナーについて】
つむぐ指圧治療室では、今後もSOTAI SALON TOKYOと協同で操体法セミナーを行なっていきたいと考えています。今回は募集定員がいっぱいとなり、キャンセル待ちや、受付終了にともなうお断りなどが出てしまいました。参加希望のエントリーをしていただきますと、次回企画の募集を開始する際に、メールでもお知らせをお送りいたしますので、是非ともご利用ください。

操体法セミナー エントリーページ
https://tsumugu-shiatsu.com/sotai_entry/

素晴らしい学びの場となった「操体法セミナー」でした素晴らしい学びの場となった「操体法セミナー」でした

■操体法セミナー講師
鈴木健介(アミケン)
1977年生まれ。操体法の創始者 橋本敬三のひ孫。
幼少期に曾祖父から手ほどきをうけた操体法の探求を2011年より本格的にスタート。操体の技術だけでなく、理念や思想を若い世代、海外にも伝えていくべくライフワークとして活動中。2015年ポルトガルで開催された第1回操体国際会議(SOTAI INTERNATIONAL CONFERENCE)に仙台・温古堂の橋本千春先生、大阪の北田洋三先生とともに日本代表講師として招聘され、以降定期的に渡欧している。厚生労働大臣認定校 浪越学園 日本指圧専門学校61期生。文部科学省 日本体育協会認定 スポーツプログラマー。日本パブリック・リレーション協会認定PRプランナー。趣味は阿波おどり。

■SOTAI SALON TOKYO概要
日本発祥の手技療法「操体法」を体験できるサロンとして2015年1月にオープン。
所在地: 〒110-0003東京都台東区池之端3丁目
(東京メトロ千代田線根津駅より徒歩5分)
TEL:080-4185-2270
営業時間:10:00~21:00 最終受付20:00 
定休日:不定休
URL:http://www.sotai-salon.jp/

■合同会社GX概要
名称:合同会社GX(GX LLC.) 
役員:代表 鈴木健介 
事業内容:メディア事業(コンテンツ・マーケティングのコンサルティング、オウンドメディア構築・運営支援、編集者・ライター育成)、ヘルスケア事業(操体サロン東京)
URL:https://gxllc.tumblr.com/

■解剖生理担当講師
黒澤一弘
株式会社SBCHAプラクシス代表 / つむぐ指圧治療室/ 人間健康科学修士 /  / あん摩マッサージ指圧師 / マインドフルネス瞑想療法士

■つむぐ指圧治療室(セミナー会場)
所在地: 〒252-0303 神奈川県相模原市南区相模大野5-27-39和田ビル2F
(小田急線相模大野駅より徒歩7分)
TEL:042-743-3933
営業時間:10:00~21:00 最終受付19:00 
(木・土 朝活マインドフルネス 7:00~9:00)
定休日:火・水
URL: https://tsumugu-shiatsu.com

■株式会社SBCHAプラクシス 概要
SBCHA(Science Based Complementary Health Approaches)科学的根拠に基づいた補完的健康アプローチ
プラクシス(praxis)実践
所在地: 〒252-0318
神奈川県相模原市南区上鶴間本町1-37-30
設立:2019年2月
事業内容:
鍼灸あん摩マッサージ治療院の経営 及び訪問在宅サービス事業
パソコン・インターネットを利用して行う学習の為の教育ソフト、書籍、動画の企画、制作及び販売
教育出版物・学習用教材の企画、編集、出版、作成、販売
カルチャー教室等の開設指導及び経営
メンタルヘルス教室等の開設指導及び経営
セミナー、講習会等の企画及び実施 

株式会社SBCHAプラクシスは、科学に基づいた補完的健康アプローチの実践、理論・制作の高いレベルでの融合を目指し、人々の健康に貢献していきます。また、実践を通して得られた知見を蓄積・分析して論文化していくもとにより、手技療法のエビデンス構築をしていき、業界全体の発展に貢献していくことを目指します。

【お問い合わせ】
SBCHAプラクシス つむぐ指圧治療室
TEL:042-743-3933
担当:黒澤一弘

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会社概要

株式会社SBCHAプラクシス

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URL
https://sbcha.co.jp
業種
医療・福祉
本社所在地
神奈川県相模原市南区相模大野5-27-39 和田ビル2階
電話番号
-
代表者名
黒澤一弘
上場
未上場
資本金
300万円
設立
2019年02月