新生児の低酸素性虚血性脳症に対する水素ガス吸入の有効性とその作用メカニズムを動物試験により発見

中南大学(中華人民共和国湖南省長沙市)、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)、国立感染症研究所(東京都新宿区)、MiZ株式会社(神奈川県鎌倉市)の共同研究により、水素ガスの吸入によって、新生児の主な死因の一つである低酸素性虚血性脳症が緩和される可能性が示唆されました。本共同研究にかかわる論文は、2019年6月に実験的医学の英文誌・『Experimental Biology and Medicine』に(原著論文1)、2020年2月13日に酸化医学の英文誌・『Oxidative Medicine and Cellular Longevity』に掲載されました(原著論文2)。
低酸素性虚血性脳症(HIE)は新生児の主な死因ですが、これまで効果的な治療法がありませんでした。
近年の水素医療研究の進歩によって、水素ガスが虚血再灌流障害の有望な治療法であることがわかりましたが、このアプローチがHIEに対しても有効かどうかは議論の対象でした。
そこで、私たちは、水素ガスによるHIEの治療効果を評価するとともに、新生児の低酸素性虚血性脳損傷(HIBI)モデルラットにおいて分子メカニズムを検討しました。
その結果、水素ガスの吸入は、新生児HIBIラットの神経損傷を有意に緩和し、初期の神経学的転帰を効果的に改善しました。また、大人のラットの学習能力と記憶能力を効果的に改善しました。
結論として、水素ガスの吸入は、新生児のHIBIラットに対して保護効果を示しました。水素ガスを早い時期に、そして長期間吸入(※1)することで、HIBIはより効果的に防御されました。メカニズムとしては、水素分子がMAPK/Nrf2/HO-1 経路を調節することでアポトーシスと酸化ストレスが抑制される可能性が示唆されました(※2)。
今後は、水素ガスが酸化ストレスとアポトーシスが関係する神経状態の潜在的な治療薬になり得るか更に評価していく必要があります。

※1(原著論文2 Figure2-cより)
体内水素ガス補給機(MiZ株式会社製)を用いて3%濃度の水素ガスを30分、60分、90分吸入したHIBIラットの脳梗塞面積の比較です。吸入時間に応じて梗塞面積が減少しています。


※2(原著論文2 Figure10より)
水素分子がMAPK/Nrf2/HO-1 経路を調節するメカニズムは次の通りです。Step 1: 水素ガスがMAPKs (ERK1/2, P38 MAPK, and JNK)の発現をアップレギュレートします。Step 2: MAPKに依存的なNrf2の活性化を刺激としてHO-1が発現されます。Step 3: HO-1が酸化ストレスを抑制し、SIRT1の発現が増加します。Step 4: SIRT1 が直接的にPGC-1αを脱アセチル化します。これらの結果として、アポトーシスと酸化ストレスが減少します。


原著論文1:Guojiao Wu(1), Zhiheng Chen(1), Peipei Wang (1,2),  Mingyi Zhao(1),  Masayuki Fujino(2,3), Chen Zhang(1), Wenjuan Zhou(1), Shin-ichi Hirano(4), Xiao-Kang Li(1,2) and Lingling Zhao(1) "Hydrogen inhalation protects hypoxic–ischemic brain damage by attenuating inflammation and apoptosis in neonatal rats" (Exp Biol Med (Maywood). 2019 Sep;244(12):1017-1027. doi: 10.1177/1535370219855399. Epub 2019 Jun 12.)
(1) Department of Pediatrics, the Third Xiangya Hospital, Central South University, Changsha, China
(2) Division of Transplantation Immunology, National Research Institute for Child Health and Development, Tokyo, Japan
(3) AIDS Research Center, National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan
(4) MiZ Co., Ltd., Kanagawa, Japan

原著論文2:Peipei Wang (1,2),  Mingyi Zhao(1),  Zhiheng Chen(1), Guojiao Wu(1), Masayuki Fujino(2,3), Chen Zhang(1), Wenjuan Zhou(1), Mengwen Zhao(1), Shin-ichi Hirano(4), Xiao-Kang Li(1,2) and Lingling Zhao(1) "Hydrogen Gas Attenuates Hypoxic-Ischemic Brain Injury via Regulation of the MAPK/HO-1/PGC-1a Pathway in Neonatal Rats" (Oxidative Medicine and Cellular Longevity, Volume 2020 |Article ID 6978784 | 16 pages | https://doi.org/10.1155/2020/6978784
(1) Department of Pediatrics, the Third Xiangya Hospital, Central South University, Changsha, China
(2) Division of Transplantation Immunology, National Research Institute for Child Health and Development, Tokyo, Japan
(3) AIDS Research Center, National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan
(4) MiZ Co., Ltd., Kanagawa, Japan

 

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