日本航空業界最大の課題「型式証明」取得のためオープンセミナーを開始
空飛ぶクルマを開発する航空系ベンチャー・スカイリンクテクノロジーズ株式会社とFAA型式証明の最前線で活躍してきた技術者チーム・TJADが連携し実現
空飛ぶクルマ(VTOL)を開発する航空系ベンチャーのスカイリンクテクノロジーズ株式会社(本社:兵庫県神戸市、CEO:森本 高広、以下当社)は、日本航空産業を盛り上げるべくアメリカを拠点に型式証明に携わってきた日本人・日系人技術者によって組織された団体・TJAD(読み:ティージャッド、正式名称:Team Japan for Aviation Development、所在地:アメリカ合衆国・シアトル市、代表:江幡尚志)と連携し、型式証明取得および航空産業発展のためのセミナーを開始します。
本セミナーは、技術力は十分に足りるものの型式証明が立ちふさがり、発展しきれずにきた日本航空産業、ひいてはものづくり産業の発展を目標に、『航空産業に関わっている』・『航空産業への参入を目指す』全ての企業人が参加できるオープンセミナーとして実施します。
オープンセミナーについて
本セミナーは元々、当社が空飛ぶクルマの型式証明取得のために、TJADの芦沢元章氏(元FAAコンサルタントDER)を招き実施していた社内勉強会でした。しかし、そこで得られるFAAの型式証明の取り方や海外のサプライヤーへの対応の仕方などの情報は、当社だけに留めるにはもったいない知見に溢れ、今後の日本の航空機産業やものづくり産業の発展のためには公開すべきだと考え、TJADと連携してオープンセミナーとして実施することを決めました。
自由討論セミナーとして実施し、ゆくゆくは参加者間における協力・コンサルテーションを行える関係が構築されることで、航空ビジネスの創生や日本航空産業の活性につながっていくことを期待しています。
現在、セミナーのプレ公開を開始しており、航空機メーカー、空飛ぶクルマベンチャー、航空機部品メーカー、その他航空機クラスターなどから毎回100名以上が参加しています。
TJADについて
「海外での航空機開発の型式証明の経験、知見を日本の航空業界へ還元し、日本国内から世界に向けて、航空関連ビジネスチャンスを創造する」を目標に、ボーイング社で30年以上型式証明に携わってきた方、100件以上の型式証明を実施された方など、アメリカ航空産業界で活躍している日本人・日系人により組織された団体です。
TJAD 公式サイト:https://sites.google.com/view/tjad
■チームメンバー
江幡尚志
1993年、川崎重工業株式会社入社。構造解析部門にて(X)F-2、UP-3Dの開発設計に従事。1999年、渡米後ロサンゼルスの飛行船製造メーカーに入社しFAA Long Beach Aircraft Certification OfficeからのAirship Type Certification取得後、DER事務所にてビジネスジェットの室内STCの作業、ロッキード社にてL-1011のContinued Airworthiness作業を経て、2004年からシアトルにて787-8/-9/-10、P-8Aの構造解析、MRJ90の室内装備型式証明作業(設計確認主任者)などに従事。現在は主に航空認証分野での調査・分析業務に従事。2007年よりWindspeed Technologies Vice President。
<コメント>
多くのFAA DERの元で働いてきた事もあり、航空認証には興味がありましたが、やはり転機となったのは当時既に試験飛行中だった国産旅客機の認証に従事したことでした。日米双方の航空機業界で働いた結果、日本の航空機設計・製造(ハードウェア)の質と信頼性は世界一流である反面、その商品化に必要な民間機認証(ソフトウェア)のノウハウにおいては、米国と比べると機会も少なく正に「最後の牙城」となっており、現状の技術力で作り出せるであろう数々の製品の「マネタイズ」が出来ず残念であると、国外から見ていて感じます。この思いは、航空認証の分析を依頼され調査するようになって更に強くなりました。ただ、航空認証は広大な分野にまたがるものであり、たとえ米国のエキスパートであっても全てを網羅することなどできません。故にこれからも仲間を増やし、私自身も共に学びながら世界に売れるMade in Japanの航空機関連製品を増やせていければ、と思っています。
杉山 剛
1997年、三菱重工業株式会社入社。装備設計部門にてF-2、ボンバルディア機、ボーイング787-8型機共同開発設計に従事。2006年、ボーイング社に入社。777-200LR, 747-8, 787-8/-9/-10, 777-Xの開発設計に従事。 従事した機種では、一貫して燃料系統の設計を担当する。基本設計から型式証明、維持設計の経験を活かし、現在はボーイング社内ODA (Organization Designation Authorization)のPower plant部門E-UM (Engineering Unit Member)としてFAAによる型式証明承認作業の一部を担う。一方で、依頼に応じて日本の大学生、高校生向けの航空機開発関連の講義も実施している。
<コメント>
市場の大部分が日本国外に存在している航空機部品及び関連機器を収益力のある日本国内産業とするには、多くの分野の人の知見と決断の統合作業が必要であり、日本の強みを生かした戦略が必要だと考えます。
日本国内には、その戦略に必要とされるすべての分野の情報、技術、専門家が存在していると思います。そこで”個々ではできないことでもチームジャパンという形で統合した大きな力であれば”という構想がTJAD-シアトルの中で生まれました。
航空系ベンチャー企業SLTとの連携で、TJAD-シアトルメンバーの海外経験の知見を日本航空産業の活性化の一助として生かせれば嬉しいと思います。自由討論セミナーでは、企業規模、社内外の立場、業務内容等のいかなる制約を超えた立場で将来の日本航空産業の発展に建設的な情報交換を期待しています。
佐藤あつお
博士号(航空宇宙工学)取得後、ブラジルEMBRAER社へ入社。その後、ブラジルの航空工科大学(ITA: Instituto Tecnologico de Aeronautica)で教鞭をとりながら、スタンフォード大学にポスドクとして留学し、1991年に助教授から教授に昇進。同年、ブラジルの厳しいインフレーションに見舞われたため、アメリカへの移住を決意、ジャムコ・アメリカへ入社。当時ジャムコ・ジャパンで製造されている航空機内装ギャレー、ラバトリー、インテリア・モニュメントなどの製品を米国で認証するための社内エンジニアリング・グループ結成に尽力。
製品認証で使用する強度解析ツール(FEM: Finite Element Method)は当時、大学院でしか教えられておらず、FAAの要請に応える形でFAAエンジニアに対しFEMを教え、1993年にはFAAから感謝状を授与される。 同時に航空機構造部門のFAA Consultant DERに認定され、ジャムコ・アメリカに在籍中、100以上のSTC (Special Type Certificate)に参画し、担当DERとして20以上のSTCを承認する。
<コメント>
周りの人から、”なぜ日本車はあんなに丈夫なのか?”とよく聞かれます。設計や公差設定が良くても、材料が早期に摩耗してしまったら製品としてどうなるのだろうか?私は常に日本の良い製品(ものづくり)は日本産業の高い製造品質と素材技術に強く支えられているのだと主張してきました。さらに私が主担当となった案件の中に787ファーストクラスのジャムコ・ラバトリーに設置されるウォシュレットの認証があり、これは航空業界では斬新なことでした。日本の製造業はその創造性を活かして航空機に新しい製品を提供し、PMA、TSO、MRO、STCの分野にも関与することができると考えます。TJAD シアトルメンバーは、これらの認証過程に適用されるFAAの規制に関するセミナーを開催することで日本航空産業をサポートすることができると考えています。
芦沢元章
13歳の時、Long Beach Airport の滑走路から飛び立つDouglas DC-8 ”通称 空の貴婦人”と言われる飛行機が飛び立つその光景に感動し、航空機エンジニアになることを決意し、航空宇宙工学の学位を取得した後、Douglas社に入社。
複合材の構造設計解析に携わり、17年後にFAAからCompany DER(Designated Engineering Representative)として認定され、数年後にはConsultant DERとしても認定される。Douglas社で25年間勤めた後、コンサルタント会社を設立し、バイリンガル及びバイカルチャルの知見を有効に活用することで日本の航空機企業に対してコンサルタントとして支援。2014年の引退後は、日本の航空機産業を支援する為にプロボノ・ボランティアを継続中。
<コメント>
MRJのような次の民間航空機計画は数十年先になるでしょう。その間に何もしなければ、得られた貴重な経験も風化してしまいます。そうならないためにも、日本の航空機会社は規模の大小を問わず、$50+Billion(7兆円以上)とも言われるSTC、PMA、TSOA、MROの世界市場に参加し、活性化を担うことを推薦します。その為には、世界の誰もが認める日本の優秀な「ものづくり(ハード面)」 を有効に活用し、日本の弱点である「ソフト面」を強化する必要があます。ここで言うソフト面とは海外に対しての, 「交渉、契約、スペック、営業、政策、商談、掛け合う、討論、討議、そして特に証明書取得方法、等々」です。日本の航空機会社は「モノづくり」には自信が有ります。しかし、PMA、TSO、MRO、STCなどの証明書取得プロセス、或は他の「ソフト面」で、確固たる自信があるのでしょうか?
TJAD シアトルメンバーは、米国での長年の経験を活かして日本の航空機産業の「ソフト面」をサポートして行く所存です。
スカイリンクテクノロジーズ株式会社について
空飛ぶクルマ(VTOL)による都市間移動を早期に実現することで、空飛ぶクルマ市場の成長・拡大の一助となることを目指す航空系ベンチャー企業です。ジェットエンジンや自動運転車システムのエンジニア、航空機パイロットら約40人が集結して、2016年に有志団体を設立し、2019年に法人化。航空機製造事業許可を取得し、製造に向けて取り組んできました。 2020年7月には、神戸エアロネットワークと連携し、チルトウイング・エンジンドライブによる、中距離(1000㎞程度)を高速に移動できる有人飛行可能な機体を開発しています。
CEO 森本高広
2002年、川崎重工業株式会社入社。二輪部門にて設計、社内情報管理システムの構築、社内展開に従事。同社車両部門に異動後、ニッケル水素電池の設計、および電池を利用した小型電動車両(EV)の研究開発に従事。2019年、スカイリンクテクノロジーズ株式会社設立。
<コメント>
本セミナーは元々、当社が空飛ぶクルマの型式証明取得のために、TJADの芦沢元章氏を招き実施していた社内勉強会でした。
しかし、そこで得られるFAAの型式証明の取り方や海外のサプライヤーへの対応の仕方などの情報は、当社だけに留めるにはもったいない知見に溢れ、今後の日本の航空機産業やものづくり産業の発展のためには公開すべきだと考え、TJADと連携してオープンセミナーとして実施することを決めました。
近年、空飛ぶクルマの開発が世界中で進み、ベンチャー・中小企業が航空業界へチャレンジできる時代がやってきました。
高品質なものづくりが得意な日本は航空産業に非常にマッチしていると思います。
一方、航空機業界で事業を行うには、「型式証明」は切っても切り離せないものですが、日本で十分な準備が出来ているとは言えないのが現状です。
我々の勉強会を開放することで型式証明に対する理解が進み、私たちのような機体開発だけではなく、部品ビジネスなども立ち上がり、日本全体で航空機ビジネスの芽がたくさん出てきて、将来の航空機産業の発展につながることを期待しています。
会社概要
会社名:スカイリンクテクノロジーズ株式会社
住所:兵庫県神戸市西区平野町印路995-1
設立:2019年5月30日
代表者: 森本高広
事業内容:垂直離着陸航空機 および ドローンの開発及び製造
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像