第41回WHO笹川健康賞、デンマークの精神科医 メレーテ・ノールデントフト博士が受賞

若年層の自殺予防への先駆的取り組みが高評価

公益財団法人笹川保健財団

公益財団法人 笹川保健財団(東京都港区、会長:喜多悦子)は、2025年5月23日(金)、スイス・ジュネーブにて開催中の第78回世界保健機関(WHO)総会の公式プログラム「2025 Public Health Prizes and Awards」にて、「第41回WHO笹川健康賞」を授与しました。

本年度の受賞者には、長年にわたり精神疾患への早期介入および若年層の自殺予防に関する包括的かつ実践的な取り組みにより、高い成果を上げてきたデンマークの精神科医、メレーテ・ノールデントフト博士が選ばれました。

受賞者のメレーテ・ノールデントフト博士(左から2番目)と笹川陽平日本財団会長(右)、テドロス・アダノム・ゲブレイェススWHO事務局長(右から2番目)、第78回世界保健総会議長テオドロ・J・ヘルボサ博士(左)(2025年5月23日 スイス・ジュネーブ)

受賞に際し、ノールデントフト博士は次のように述べています。「笹川健康賞を受賞し、大変光栄に思います。この賞は、精神症を抱える若者たち、その家族、そして支援に携わるすべての人々への励ましです。私は初発の精神症の若者を対象とした早期介入と自殺予防に取り組み、「OPUSアウトリーチ治療プログラム」という多職種チームによる支援モデルを確立しました。その効果は明らかで、症状の軽減や機能の改善、入院の減少などが確認されています。すでにデンマーク全土で導入されており、今後さらに多くの国で広がることを願っています。この賞は、早期の適切な支援があれば回復は十分に可能であるという希望のメッセージです。引き続き、すべての人の健康と尊厳のために尽力してまいります。」

授賞式には、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長をはじめ、世界各国の保健関係者が参列。プレゼンターとして登壇した日本財団会長の笹川陽平氏は授与に際し、次のように述べ、博士の功績を称えました。「本賞がメンタルヘルス分野への取り組みを顕彰するのは今回が初めてです。WHOの自殺予防戦略『LIVE LIFE(命を守るための行動計画)』においても、地域レベルでの支援や予防策の強化、プライマリーヘルスケア的アプローチの重要性が謳われており、ノールデントフト博士の活動はまさにその先駆的実践といえます。」

1998年にノールデントフト博士が立ち上げた「OPUSアウトリーチ治療プログラム」は、18〜45歳の初発の精神症患者を対象に、入院率の低下や生活の質の向上に貢献してきました。地域や家族の関与を重視したアプローチは高く評価され、世界各国でモデルケースとして導入されています。「OPUS(“作品”)」という名称は、精神医学的・心理学的・社会的介入の調和を象徴しており、統合的な支援を目指しています。博士の研究はデンマークの自殺予防戦略にも反映され、医療従事者向け研修や支援にも注力しています。今回の賞金は、臨床医、研究者、そして患者が一堂に会し、治療の最適化に向けて議論を深めるカンファレンスの開催に活用される予定です。

人々の健康を脅かす要因が身体的な問題にとどまらず、精神的・社会的側面にも広がる現代において、今回の受賞は、世界中で年間70万人以上が命を落とすとされる自殺という深刻な公衆衛生課題に対し、科学的根拠と実践に基づく取り組みに光を当てるものです。

【WHO笹川健康賞】

笹川健康賞は、1984年、WHOが掲げる「すべての人に健康を(Health for All)」という理念の実現に寄与することを目的に、当時の日本船舶振興会(現・日本財団)、笹川記念保健協力財団(現・笹川保健財団)会長であった笹川良一の提唱により、ハーフダン・マーラーWHO事務局長との合意のもとに創設されました。保健分野における優れた業績と革新的な取り組みに対して、世界保健機関(WHO)が個人、団体、または非政府組織に授与する国際賞で、受賞者には賞金3万米ドル(約470万円)が授与されます。地域レベルでのプライマリーヘルスケア(基礎的保健医療)や特定の保健プログラムの推進など、持続可能で実効性のある活動を通じて、人々の健康と福祉の向上に多大な貢献を果たした事例が顕彰の対象となります。

【公益財団法人 笹川保健財団】
世界からハンセン病を根絶しようという目標を掲げ、日本財団創始者・笹川良一(1899-1995)と、日本におけるハンセン病化学療法開発の父・石館守三(1901-1996)によって1974 年に設立されました。設立以降、ハンセン病対策事業を中心に、寄生虫症対策、HIV/エイズ対策などの保健向上、チェルノブイリ原発事故後の医療協力、国際保健分野における人材育成やホスピス緩和ケア向上のための活動にも力を注いできました。現在は、ハンセン病対策、地域保健の推進を活動の柱に据え、「すべての人々に、よりよき健康と尊厳を~Better Health and Dignity for All」の活動理念のもと、国内外で様々な活動に取り組んでいます。

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本社所在地
東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル5F
電話番号
03-6229-5377
代表者名
喜多 悦子
上場
未上場
資本金
-
設立
1974年05月