新型コロナを機に寄付額1兆円越え。政府への信頼度低下、20代の寄付増加など新傾向が出現。【寄付白書2021発刊】~拡大する寄付市場、ふるさと納税除く寄付額も過去最大に~
寄付・社会的投資が進む社会の実現を目指す特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会は、日本の寄付及び社会的投資に関する最新動向に関する国内唯一の調査レポート「寄付白書2021」を発刊しました。12月17日からの一般販売開始を記念して、調査レポートのトピックを公開します。
本書では、全国寄付実態調査を基に、新型コロナウィルスと寄付動向、近年急速に伸びている ESG 投資・インパクト投資などの社会的投資の全体像の解説、遺贈寄付やクラウドファンディングなど寄付を取り巻く重要なトピックス及び2020年の最新動向を紹介。東日本大震災が起き「寄付元年」と言われた 2011 年からの10年間における社会の意識・行動の変化に関する統計データを中心に、寄付および社会的投資といった「共感資本社会」の全体像を多角的・複合的に示しています。
本書では、全国寄付実態調査を基に、新型コロナウィルスと寄付動向、近年急速に伸びている ESG 投資・インパクト投資などの社会的投資の全体像の解説、遺贈寄付やクラウドファンディングなど寄付を取り巻く重要なトピックス及び2020年の最新動向を紹介。東日本大震災が起き「寄付元年」と言われた 2011 年からの10年間における社会の意識・行動の変化に関する統計データを中心に、寄付および社会的投資といった「共感資本社会」の全体像を多角的・複合的に示しています。
- 日本の寄付市場を明らかにする唯一の調査レポート「寄付白書2021」
本書では、寄付市場の国際比較、日本社会の10年間の変化、コロナ禍という未曾有の社会変化の中にあった2020年の寄付の動向、遺贈寄付への注目の高まり、社会的投資(ESG投資、インパクト投資)の急速な普及状況などの最新トピックを網羅しています。
- 【調査サマリー】
・東日本大震災以降、初めて寄付額が1兆円に。 ・ふるさと納税は過去最大、前回から2.4倍に増加。 ・新型コロナ以降「政府への信頼」が低下。 身近な人・見知らぬ他者との助け合いなど、社会の意識が変化。 ・新型コロナ関連の寄付率トップは20代「寄付の逆転現象」が発生。 同世代の失職やSNSの普及により、若者の寄付が増加。 ・世帯年収の差が、自由に使える時間や寄付・ボランティアの減少に影響。 |
- コロナ禍で過去最大、寄付総額1兆円を超えた2020年の寄付動向
● 2020年の個人寄付総額*は、名目GDP の0.23%*に相当する、1兆2,126億円。前回調査(2016 年1 月〜12 月)比で、7,756 億円から156.3%の増加となり、東日本大震災以降、初めて寄付額が1兆円を越えました。
● 寄付者率は、44.1%の人が寄付を行い、寄付実施人数の推計は4,352 万人。2016年の45.4%から、44.1%と1.3 ポイント減少しました。新型コロナ関連の寄付を行った人の割合は、全体の1割弱にあたる8.7%でした。(全寄付者中の19.6% に相当。)
● 寄付額を見ると、寄付を行った人の平均金額は37,657 円(中央値は10,000円)となりました。性別でみると、男性の平均値が43,521 円(中央値:11,450 円)に対して、女性は平均32,325 円(中央値:6,000 円)であり、男性の寄付額が女性に比べて高いことが分かりました。
●年齢別で見ると、男女共に高年齢ほど寄付者率が高く、男性では20 歳代の29.6% が最も低く、70 歳代の51.7% が最も高いことが分かります。
● 各国統計によれば、アメリカの個人寄付額(2020 年)は、3,241 億ドル(34 兆5,948億円)で前年より144 億ドル増加。名目GDP比は1.55%と突出して高い水準です。また、イギリスも増加傾向にあり、個人寄付額は日米英いずれもパンデミックにより増加トレンドにあると言えます。
(※本調査結果と、実績値を報告している共同募金会(共同募金会、2021)や日本赤十字社(日本赤十字社、2021)、ふるさと納税(総務省、2021)のデータを用いて、日本全体の個人寄付総額を推計)
- ふるさと納税は過去最大を更新、前回から2.4倍に増加
ふるさと納税額を除いた寄付総額は5,401 億円となり、2016年と比べて1割増加。ふるさと納税を除外した上でも、日本の寄付市場は拡大しています。
- 新型コロナ以降「政府への信頼」が低下。
- 身近な人・見知らぬ他者との助け合いなど、社会の意識が変化。
新型コロナのパンデミック前後で、社会全体の意識や態度はどのように変化したのでしょうか?本調査では「NPO は信頼できる」「政府は信頼できる」「身近な人との助け合いは必要だ」「見知らぬ他者との助け合いは必要だ」「自らの参加により、社会現象を少しは望ましい方向に変えられるかもしれない」という文を提示、これらの意識がコロナ以前と比較して強まったのか、弱まったのかを調査しました。
● また、社会現象を変えられるという意識が「強まった」「やや強まった」と回答した人ほど、新型コロナ関連の寄付者率が17.5% と、他の回答と比べて10% 程度高いことが判明しました。
- 新型コロナ関連の寄付率トップは20代「寄付の逆転現象」が発生。
- 同世代の失職やSNSの普及により、若者の寄付が増加。
● 通常の寄付では年齢が高くなるほど寄付者率は高くなり、若いほど低い傾向にあるものの、新型コロナに関連した寄付では、逆転現象が発生。20 歳代が高齢層よりも高い寄付者率となっています。この傾向は世界的に共通しており、理由としては、同世代が失職や機会の損失などの影響を受けている状況があったことや、SNS 上で支援の輪が広がったことが、重症化しにくい若い世代に影響を与えたと考えられます。
● 新型コロナ関連の分野別の寄付実態を調べたところ、最も多くの回答者が寄付したのは「医療」(47.0%)、次に「共助」(32.3%)の分野であった。一方で、寄付者率の低かった「中小企業」分野の寄付金額は、平均値は29,563 円(中央値:5,000 円)と他より高く、緊急事態宣言などの影響を強く受けた、飲食業や観光業への寄付が対象となったことが分かります。 また、生活困窮者支援も日本では「自己責任」と捉えられる傾向にありましたが、コロナ禍によって、社会的に弱い立場にある人への共感性が一定程度、広がりを見せたと考えられます。 |
● 新型コロナ関連の寄付を行った人の割合は8.7%であり、阪神淡路大震災(41.6% ※『寄付白書2017〗より)、東日本大震災(54.1%)、熊本地震(27.8%)と、従来の震災関連の寄付者率と比べて低い水準になっています。 これは、自然災害の場合と違い、全員に感染するリスクや被害者となる可能性があることが、自分や身近な人以外の他者や団体を支援する気持ちを減退させるなど、寄付を阻害する要因も存在したと推察できます。 |
● また、過去の大規模災害では導入されていた国家主導の「義援金」という分配システムがなかったこともあり、クラウドファンディングや資金を仲介するプラットフォームなどのインターネットを通じた支援の輪が広がったことも一つの特徴と言えます。 |
- 2019年比で寄付額が減少した人は11.0%、増加した人は7.7%。
- 世帯年収の差が、自由に使える時間や寄付・ボランティアの減少に影響。
2019年と比べて、2020 年の1 年間にどのような変化があったのかを尋ねてみたところ、世帯収入が減少したと答えた人は34.1%、自由に使える金額が減少したと答えた人は27.3%、金銭寄付の額が減少したと答えた人は11.0%、自由に使える時間が減少したと答えた人は16.8%、ボランティア活動時間が減少したと答えた人は14.5%となりました。
こうした変化は世帯収入が少ないほど、より顕著になっています。寄付やボランティア活動には自由に使えるお金や時間など、一定の資源が必要になるものの、コロナ禍によって参加資源の減少を引き起こしたと考えられます。
- 寄付白書2021では、新型コロナと日本の寄付動向の他、近年急速に伸びているESG 投資、インパクト投資などの社会的投資の全体像の解説、遺贈寄付やクラウドファンディングなどの寄付を取り巻く重要なトピックスについても、より詳細なデータと用いて紹介しています。
- 書籍概要
目次
第1章 2020年の寄付の動向
第2章 新型コロナウイルス感染症と日本の寄付
第3章 社会的投資の現状
第4章 寄付に関する2020年のトピック
第5章 課題と展望
・定価:3,000円(税別)
・発売:2021年12月17日
・発行:日本ファンドレイジング協会
・販売場所:日本ファンドレイジング協会のWEBサイト(https://jfra.jp/action/book)及びAmazon
- 調査概要
- ・調査時期:2021 年2 月24 日- 2021 年3 月5 日
- ・調査対象者:全国20~79 歳の男女、5,678名
- ・調査方法:インターネット調査
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