【新セミナー】親子で学ぶ「性」のこと~男の⼦の⾝体の特徴と発達〜
10月25日(日)にオハナとして初めての性に関するセミナーを開催します。当セミナーを開催するにあたって、NPO法人ピッコラーレ副代表で、助産師の土屋麻由美さんに「性教育」についてお話を伺いました。
「赤ちゃんはどこから産まれてくるの?」「おちんちんは、ばっちいの?」とお子さんから聞かれたら…あなたならどう答えますか?
「性」のことは日本では秘め事とされがちな風潮があります。ですが、自分の身体のこと、男女の違い、命の始まり、妊娠・出産で女性の身体がどのように変化するのか、そして多様な性があることを知る事はとても大切なことです。
性に関する知識や相談できる場所の欠如による社会改題や最近の性事情について多くの方に知っていただき、誰もが身体と心を大切に想える社会を造っていくことを目指します。
「性」のことは日本では秘め事とされがちな風潮があります。ですが、自分の身体のこと、男女の違い、命の始まり、妊娠・出産で女性の身体がどのように変化するのか、そして多様な性があることを知る事はとても大切なことです。
性に関する知識や相談できる場所の欠如による社会改題や最近の性事情について多くの方に知っていただき、誰もが身体と心を大切に想える社会を造っていくことを目指します。
■親子で学ぶ「性」のこと~男の⼦の⾝体の特徴と発達〜
開催日時:2020年10月25日(日)14:00~15:00
開催場所:zoomオンライン
参加費用:500円
対象者 :未就学児を育児中の親御さん(男児・女児問わず)※先着10名様迄
ゲスト :長沼龍平さん(看護師、保健師)
内 容:①性教育って何だろう?②男の子の身体の特徴や発達について③お悩み相談会
詳細はコチラから https://ohanaproject.thebase.in/items/33746213
■お子さんのオムツが外れる頃になったら、性について親子で話をしよう
最近では、幼児期からの性教育に関する書籍やセミナーをよく目にします。今や子どもたちも早くからスマートフォンを持ち、様々な情報に触れる時代です。インターネットをはじめ、様々な情報自体に善悪はありません。大切なのは、それらの情報の受け取り方やどう扱うかです。
要は、「アダルトサイトは大人向けのファンタジーである」「実際の性行為や女性が喜ぶ行為とは違う」ということをきちんと理解した上で見ることが大切です。
そして、何より⼤切なのは、幼少期から性の話を当たり前のこと、大切なこととして、身近な信頼できる人と話し合える関係性や場があることです。
「みんなの⾝体は⼤切だよ」「裸は⼤切だから、誰にでも⾒せないし、勝⼿に⾒たり触ったりはダメだよ」
このようなことを特別なことではなく、誰もが、子どもたちともオープンに話し合える関係性を築いていくことが理想です。 合わせて、子どもたちに「困ったら、相談してきてね。一緒に考えるよ」と言っておくことで、いざ困った…という時にも相談しやすく、話し合いの場が持たれやすい環境ができます。それが結果として、⼦どもたちを守ることに繋がると思うのです。
■インタビュー「最近の性事情」(NPO法人ピッコラーレ副代表、助産師 土屋麻由美さん)
この度、NPO法人ピッコラーレの副代表の土屋さんに取材をさせていただきました。
●NPO法人ピッコラーレについて
相談窓⼝からスタートさせた活動でしたが、公益性の高い事業をより幅広く展開していくことを目的に、2018年11月にNPO法人ピッコラーレを設立しました。現在ピッコラーレは、『「にんしん」をきっかけに、だれもが孤立することなく、自由に幸せに生きることができる社会の実現』を目指して、妊娠葛藤相談窓口の活動に加え、相談窓口から見える課題の周知や相談支援員育成を目的とした研修事業、居所のない若年妊婦のための居場所づくり、政策提言・白書制作など様々な活動を展開しています。
●コロナ下での妊娠葛藤相談から見えた生活困窮の実態について
コロナウイルスの感染拡⼤があり、STAY HOMEの時期、10代の⽅々からの妊娠不安の相談が増えました。 昨年の3⽉〜5 ⽉までの時期と⽐較した際に⼤きく異なったのは「相談の⼿段」です。 STAY HOMEで家族と過ごす時間が増えたことなどにより、電話での相談は減り、メールでの相談が増えました。
「家族がいるので、このままメールでの相談で良いですか?」「お話しするとしたら、電話ではなく対⾯でもいいですか」このような方も増えました。 緊急事態宣⾔が解除された6⽉~8月も電話からの相談は以前に比べると減ったままです。
相談内容からも感じられるのは、コロナ禍による経済的な問題を抱えている人が増えているという事です。 そのためか、無料通話アプリ(にんしんSOS東京のHPに設置)からの相談が増えている傾向にあります。
携帯代金の支払いが滞ってしまい、携帯が使用停止となってしまっている人は、電話番号を利用して電話をすることができません。そうすると、ネットカフェや、フリーwifiスポットを利用して、無料通話アプリを使ってご相談くださることになります。
このような⽅は、例えば病院へ連絡を⼊れたくても、電話をかけることができません。 地域の保健師さんや、社会福祉⼠さんなどへも連絡ができないんです。
●性についての悩み…緊急事態宣⾔中は、相談者の約7割が「誰にも相談していない」
緊急事態宣⾔が発令されていた時期は、10代もですが20代の⽅からの相談も増加しました。 「思いがけない妊娠が増えたのかな?」と思いましたが、以前と変わらず、「妊娠したかも」という相談の増加でした。
緊急事態宣⾔中は、10代の⽅からの相談者数は80%増加しました。「相談しなければならない状況が出てきた」とも考えられますが、学校やお仕事がお休みになったりして家で過ごす時間が増えたことにより「相談できる時間が増えた」と解釈することもできるのではないかと私たちは考えています。
緊急事態宣言後、普段の生活が少しずつ戻りつつある現在は、相談件数も以前の数に落ち着きつつあります。
しかし、相談すべき案件が減ったのか、それとも相談する時間が減ったのか、よく観察する必要があります。
また、「この悩みを誰かに相談していますか?」という問いに対しては、「誰にも相談していない」と回答しているのは、コロナ前は約5割に対し、緊急事態宣⾔中は約7割となっていました。
これらも緊急事態宣言後には元の割合に少しずつ戻りました。やはり学校などに行くことで、相談できる人につながることができるのだと思います。
●圧倒的に多い「妊娠したかも」の相談、⽇本の若者は、安心な性行為が行えていない?
10代の方々からの相談内容は、圧倒的に「妊娠したかも」という妊娠不安の相談が多いです。
コロナ渦ではお家デートも増えて、これまではセックスはしないとしていたカップルもお家で過ごす機会が増えたりして、そのような状況の中で雰囲気に流されて、セックスに同意してしまったという⽅からの相談も多かったです。
妊娠不安の相談を受けていて感じるのは、男性たちは、性行為をしようと思うのであれば、コンドームの装着の練習や準備をしておいて欲しいなということと、⼥性たちには、いくら好きでも、性行為に不安がある時は「同意しない」という選択や低用量ピルを考えることも必要だということ。
「⽣理が遅れているけれど…彼⽒の負担になりたくなくて、彼⽒にはまだ⽣理が遅れていることを伝えていない」という⼥性も多いです。⼆⼈で⾏った性⾏為の結果は⼀⼈で抱えるのではなく、相⼿と⼀緒に考えて良いことですし、⾃分のことを⼤切に考えてくれない⼈とは、性⾏為はしなくてもいいよ、と伝えたいです。
性⾏為や妊娠についての正しい知識は、⾃分を⼤切にするため、⾃分や相⼿の⾝体を守るために必要ですし、性⾏為に同意するかしないかの意思決定をすることも⼤切なことです。もっと若い⽅に性のことを伝えていきたいと思います。
緊急事態宣⾔中は避妊ができた人の割合が下がりました。これは外出を控えていたことでコンドームを買いに⾏けなかったからなのかと考察していましたが、緊急事態宣⾔後もコンドーム装着率はあまり変わっておらず下がったままです。
このことから考えられるのは、通常であれば2⽉、3⽉頃に中学⽣、⾼校⽣に対して⾏われる学校での性教育の授業が 、コロナにより出来なかったために、妊娠の知識、性感染症への理解、避妊するという責任、相⼿を思いやることなど、性の知識を学ぶ機会を持てなかった10代の⼈たちが多くいるのではないかということです。この⽅たちが学校以外の場で、性を学ぶ機会が持てるようにする必要性があるのではないかと思います。
●コロナによって表面化した「生きづらさ」
コロナの影響により、性教育を学ぶ機会が失われたことや、感染が不安で病院への受診・コンドームの購⼊ができなかったこと。同棲している⼈や夫からの性被害(DVなど)、家族関係の悪化により、家を出たくても、ネットカフェなどが閉鎖になってしまったことで、居場所を見つけられず、そのため、性暴力を受けることになってしまったり、 SNSなどで繋がった⼈(泊め男)のところに⾏くしかなかった⼈もいた現実もあることを受け⽌めています。 中には、陣痛が始まっているのかもという状況ではじめてつながってきてくれた人もいました。
また、なんとか妊娠検査薬を購⼊して妊娠の事実は確認しているけれど、中絶する費⽤がないという人も多いです。体調不良で休みがちでいたら、仕事をやめさせられてしまったという派遣やパートの方。その後、妊娠がわかり、仕事を探しても、妊娠を理由に断られてしまい、収入が途絶えてしまったことで、生活するのがやっとで、受診や育てることは考えられず、でも、中絶できる期間も決まっているし、相手の人とは連絡も取れなったり、自分は関係ないと言われたりして、途方に暮れてSOSをしてきてくれた方たちもいらっしゃいました。
様々な機関に相談しても中絶には支援がなく、最後に⽣活保護を…と申請しようとしたら「コロナの特別定額給付⾦10万円はど うしましたか?あれを使い切ってから、また申請に来てください。」と⾔われて申請ができなかったという人もいました。
家族関係により、⾃分の元に給付⾦が届かない⼈もいます。⽣活保護を受けられないか⼀緒に相談に⾏ったり、住む場所の相談にも⾏くことがあります。
病院へ同⾏することもありますが、コロナで付き添いが禁⽌になっている病院もあります。ご⾃⾝では事情をう まく説明できない⽅もいらっしゃるため、事前に病院のケースワーカーや助産師へ事情説明などをした上で受診しますが、やはり、診察についたり、⼀緒に話を聞いたりすることが必要な人はいます。
そして、これまで、支援が必要な人が、支援につながれずに生きづらさを感じながら生きてきていた状況が、今回のコロナの影響や妊娠という思いがけない事態がおきたことで、様々な課題が表⾯化しました。 このような社会課題はこれまでなかった訳ではないということです。これを機会に、支援を見直し、少しでも安心して生きることができる社会に変えていくことが、求められているところだと考えます。
●日本の性教育について
⽇本の学習指導要領の中では、エイズ及び性感染症について取り扱うものとすると記載がありますが、「性交」という記載はなく「性的接触によって感染する可能性がある」というような記載に留まっています。 ただそれも性的接触について具体的に示されているわけではないので、どのようにして感染するのかが明確ではない為、⾃分事として考えづらいところがあります。
また、妊娠・出産については「受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」と明記されたままになっています。受精は学びますが、受精するための性交については学びません。 また、コンドームは性感染症予防ということでは学びますが、避妊という観点からは中学生では取り扱わないことになっています。人工妊娠中絶に関しても学びません。しかし、平成31年3月の東京都教育委員会の性教育の手引きの改訂により、「学習指導要領に示されていない内容を含む授業を実施する場合には、保護者会等で通知文等を配布し、学習指導案を保護者全員に説明して、理解・了解を得る。」となり、親の承諾があった生徒は、学習指導要領に示されていない内容を含む授業を受けることができるとしています。しかし、そこまで進められている学校はまだまだ限られていると言えます。
更にコロナで学校の授業は遅れが出ています。受験に必要な科⽬は削るわけにはいきません。 そうすると必然的に、性教育などの特別授業は削られてしまう状況です。そうなると、性について正しい知識を学ぶ機会が減り、知識がなく性感染症に感染したり、妊娠不安や実際に妊娠してしまった という⽅が増えるのではないか?と危惧しています。
●性教育は「人間教育」
性教育とは⼈間教育の中の性的な部分であり、⼈権問題や健康教育をも含み、セクシャリティは⼈間にとって必要不可⽋なものです。このように考えると、性教育とは⼈間が⽣きていく上で本当に⽋かせない学問なのですが受験に関係ない科目は、軽視されてしまう傾向にあり、学んでいないからこそ、⼀⼈⼀⼈の意思や⼈権がある意味軽視されやすい社会なのかなと感じます。
⾝体発達的な内容がメインの狭義の性教育だけではなく、「⼈間教育」という広義の性教育をこどもと⼀緒に⼤⼈も学んでいくことが⼤切なのではないかと考えています。
●これから性教育を学びたい親御さんへ
親御さんご⾃⾝がこれまでの学校教育で⼗分な性教育を受けて来られていない方も多いかと思います。それでも、「我が⼦に性教育が必要だ」と考えていらっしゃるだけでも、とても素晴らしいことだと思います。
まずは、家庭の中で性について少しでも話すこと。話しあえる関係性を築かれていくと良いと思います。 お⼦さん達が「あ、こういうことは⼤⼈も話をするんだな」と思えることが⼤切です。 性については特別なことでも、隠すべきことでもないんだということを家庭の中で実践することで、少しずつでも性に対する現状の様々なハードルをクリアしていくことができると思います。
例えばテレビでニュースを見ている時に「あ、お母さんは(お父さんは)、これはとても大切なことだと思ったな」とお子さんに伝えてみたりするだけでも良いのです。性はとても⼤切な事だという認識をお⼦さんに伝えてみるだけでも、お⼦さんはそこから⾃分で学んでいったり、友だちと話してみたりして、自分にとっての性の繋がりを作っていくことができます。
大切なこととしては、お子さんの性的な価値観に対して、「これはいけないこと」「その考えはおかしい」というように本人の考えを否定したりはせず、「そんなふうに考えたのね」とまずは受け止め、お互い気持ちを話し合うようにして、親御さん自身の考えを強要することはしないようにしましょう。
また、⽗親や⺟親⾃⾝がお⼦さんと性について話すために、性について学んでおくことは大切なことです。ですが、それでお⼦さんに学ぶことを強要したりするのはなく、これからご⾃⾝が⽣きていくために性について学ぶというスタンスが、良いのではないかと思います。
たまたま今、⼩さな⼦どもたちと⼀緒に⽣活している中で性教育の必要性をご⾃⾝が感じて、今のパートナーや友達には性の話ができるかな?できる⼈とできない⼈とはどんな関係性の違いがあるなか?などと親御さん⾃⾝が考えてみるだけでも、とても有意義な性についての学びなのではないかと考えています。
●ピッコラーレの性教育「ピコの保健室」
10代、20代前半の若い⽅々に来ていただいて、いろいろな種類のコンドームを⾒たり、触ったり、女子も模型に装着してみたり、よく分かっていなかった性の知識を聞いたり、好きな人との関係などについても相談員たちと話すことができます。
私たちピッコラーレとしては、リプロダクティブヘルス・ライツを守りあえる社会であったり、性や価値観の多様性を共有できる社会を実現すべく、活動しています。
この「ピコの保健室」を通して、その人にあわせた性教育を行うことは、結果として望まない妊娠や孤⽴を減らすという、にんしんSOS東京時代からのミッションの達成につながると考えています。
ご⾃⾝に必要な性についての情報やサポートを⾒つけて、つながることが出来ると、そこからご⾃⾝が⽣きていくために必要な⼒をつけていくことが出来ると思います。様々な悩みがある分、様々なスタイルでのサポートや情報発信の方法があって良いと思います。ご⾃⾝に必要なものを選べるように、私たちは、ピッコラーレスタイルの性教育を発信し続けていきたいと思います。
■NPO法人ピッコラーレHPはコチラ https://piccolare.org/
※HOMEのない妊婦のためのproject HOME https://home.piccolare.org/
※「ピコの保健室」開設のお知らせ https://piccolare.org/cat-news/20200731/
■OHANA PROJECT NIIZAの今後のスケジュール
10/25(日)11:00~12:00 テイクアウト・ジャンボリ in にいざ
10/25(日)14:00~15:00 親子で学ぶ「性」のこと~男の子の身体の特徴と発達~
https://ohana-project-niiza.net/
開催日時:2020年10月25日(日)14:00~15:00
開催場所:zoomオンライン
参加費用:500円
対象者 :未就学児を育児中の親御さん(男児・女児問わず)※先着10名様迄
ゲスト :長沼龍平さん(看護師、保健師)
内 容:①性教育って何だろう?②男の子の身体の特徴や発達について③お悩み相談会
詳細はコチラから https://ohanaproject.thebase.in/items/33746213
■お子さんのオムツが外れる頃になったら、性について親子で話をしよう
最近では、幼児期からの性教育に関する書籍やセミナーをよく目にします。今や子どもたちも早くからスマートフォンを持ち、様々な情報に触れる時代です。インターネットをはじめ、様々な情報自体に善悪はありません。大切なのは、それらの情報の受け取り方やどう扱うかです。
仲間同士で、インターネットでアダルトサイトを見ること自体は悪いこととは言い切れません。
要は、「アダルトサイトは大人向けのファンタジーである」「実際の性行為や女性が喜ぶ行為とは違う」ということをきちんと理解した上で見ることが大切です。
そして、何より⼤切なのは、幼少期から性の話を当たり前のこと、大切なこととして、身近な信頼できる人と話し合える関係性や場があることです。
「みんなの⾝体は⼤切だよ」「裸は⼤切だから、誰にでも⾒せないし、勝⼿に⾒たり触ったりはダメだよ」
このようなことを特別なことではなく、誰もが、子どもたちともオープンに話し合える関係性を築いていくことが理想です。 合わせて、子どもたちに「困ったら、相談してきてね。一緒に考えるよ」と言っておくことで、いざ困った…という時にも相談しやすく、話し合いの場が持たれやすい環境ができます。それが結果として、⼦どもたちを守ることに繋がると思うのです。
■インタビュー「最近の性事情」(NPO法人ピッコラーレ副代表、助産師 土屋麻由美さん)
この度、NPO法人ピッコラーレの副代表の土屋さんに取材をさせていただきました。
●NPO法人ピッコラーレについて
土屋さんー2015年12月に、妊娠葛藤相談窓口「にんしんSOS東京」を6人の助産師と1人の社会福祉士でスタートしま した。「にんしんにまつわる全ての「困った」、「どうしよう」に寄り添います」というミッションを掲げて、妊娠葛藤相談の事業を展開してきました。相談は全国から寄せられました。 そして現在は、埼⽟県、千葉県からにんしんSOS相談業務を受託しています。
相談窓⼝からスタートさせた活動でしたが、公益性の高い事業をより幅広く展開していくことを目的に、2018年11月にNPO法人ピッコラーレを設立しました。現在ピッコラーレは、『「にんしん」をきっかけに、だれもが孤立することなく、自由に幸せに生きることができる社会の実現』を目指して、妊娠葛藤相談窓口の活動に加え、相談窓口から見える課題の周知や相談支援員育成を目的とした研修事業、居所のない若年妊婦のための居場所づくり、政策提言・白書制作など様々な活動を展開しています。
●コロナ下での妊娠葛藤相談から見えた生活困窮の実態について
※NPO法人ピッコラーレ提供
コロナウイルスの感染拡⼤があり、STAY HOMEの時期、10代の⽅々からの妊娠不安の相談が増えました。 昨年の3⽉〜5 ⽉までの時期と⽐較した際に⼤きく異なったのは「相談の⼿段」です。 STAY HOMEで家族と過ごす時間が増えたことなどにより、電話での相談は減り、メールでの相談が増えました。
「家族がいるので、このままメールでの相談で良いですか?」「お話しするとしたら、電話ではなく対⾯でもいいですか」このような方も増えました。 緊急事態宣⾔が解除された6⽉~8月も電話からの相談は以前に比べると減ったままです。
相談内容からも感じられるのは、コロナ禍による経済的な問題を抱えている人が増えているという事です。 そのためか、無料通話アプリ(にんしんSOS東京のHPに設置)からの相談が増えている傾向にあります。
携帯代金の支払いが滞ってしまい、携帯が使用停止となってしまっている人は、電話番号を利用して電話をすることができません。そうすると、ネットカフェや、フリーwifiスポットを利用して、無料通話アプリを使ってご相談くださることになります。
このような⽅は、例えば病院へ連絡を⼊れたくても、電話をかけることができません。 地域の保健師さんや、社会福祉⼠さんなどへも連絡ができないんです。
このような背景から、NPO法⼈ピッコラーレでは、(一社)つくろい東京ファンド・東京アンブレラ基金と共に、「つながる電話プロジェクト」を導⼊しました。 コロナ禍で⽣活困窮に陥ってしまった⽅々に、特定の電話番号へだけ電話ができるという携帯電話を貸し出しています。 ケースワーカーさんに連絡を取りたいとか、もうすぐ出産で陣痛が来そうだけど電話がなくて病院へ連絡できないとか、様々な事情の方がいらっしゃいます。そういった⽅々に、連絡を取ることが必要な連絡先だけを登録した携帯電話を貸出しています。
●性についての悩み…緊急事態宣⾔中は、相談者の約7割が「誰にも相談していない」
緊急事態宣⾔が発令されていた時期は、10代もですが20代の⽅からの相談も増加しました。 「思いがけない妊娠が増えたのかな?」と思いましたが、以前と変わらず、「妊娠したかも」という相談の増加でした。
緊急事態宣⾔中は、10代の⽅からの相談者数は80%増加しました。「相談しなければならない状況が出てきた」とも考えられますが、学校やお仕事がお休みになったりして家で過ごす時間が増えたことにより「相談できる時間が増えた」と解釈することもできるのではないかと私たちは考えています。
緊急事態宣言後、普段の生活が少しずつ戻りつつある現在は、相談件数も以前の数に落ち着きつつあります。
しかし、相談すべき案件が減ったのか、それとも相談する時間が減ったのか、よく観察する必要があります。
また、「この悩みを誰かに相談していますか?」という問いに対しては、「誰にも相談していない」と回答しているのは、コロナ前は約5割に対し、緊急事態宣⾔中は約7割となっていました。
これらも緊急事態宣言後には元の割合に少しずつ戻りました。やはり学校などに行くことで、相談できる人につながることができるのだと思います。
※NPO法人ピッコラーレ提供
※NPO法人ピッコラーレ提供
●圧倒的に多い「妊娠したかも」の相談、⽇本の若者は、安心な性行為が行えていない?
※NPO法人ピッコラーレ提供
10代の方々からの相談内容は、圧倒的に「妊娠したかも」という妊娠不安の相談が多いです。
コロナ渦ではお家デートも増えて、これまではセックスはしないとしていたカップルもお家で過ごす機会が増えたりして、そのような状況の中で雰囲気に流されて、セックスに同意してしまったという⽅からの相談も多かったです。
妊娠不安の相談を受けていて感じるのは、男性たちは、性行為をしようと思うのであれば、コンドームの装着の練習や準備をしておいて欲しいなということと、⼥性たちには、いくら好きでも、性行為に不安がある時は「同意しない」という選択や低用量ピルを考えることも必要だということ。
「⽣理が遅れているけれど…彼⽒の負担になりたくなくて、彼⽒にはまだ⽣理が遅れていることを伝えていない」という⼥性も多いです。⼆⼈で⾏った性⾏為の結果は⼀⼈で抱えるのではなく、相⼿と⼀緒に考えて良いことですし、⾃分のことを⼤切に考えてくれない⼈とは、性⾏為はしなくてもいいよ、と伝えたいです。
性⾏為や妊娠についての正しい知識は、⾃分を⼤切にするため、⾃分や相⼿の⾝体を守るために必要ですし、性⾏為に同意するかしないかの意思決定をすることも⼤切なことです。もっと若い⽅に性のことを伝えていきたいと思います。
※NPO法人ピッコラーレ提供
緊急事態宣⾔中は避妊ができた人の割合が下がりました。これは外出を控えていたことでコンドームを買いに⾏けなかったからなのかと考察していましたが、緊急事態宣⾔後もコンドーム装着率はあまり変わっておらず下がったままです。
このことから考えられるのは、通常であれば2⽉、3⽉頃に中学⽣、⾼校⽣に対して⾏われる学校での性教育の授業が 、コロナにより出来なかったために、妊娠の知識、性感染症への理解、避妊するという責任、相⼿を思いやることなど、性の知識を学ぶ機会を持てなかった10代の⼈たちが多くいるのではないかということです。この⽅たちが学校以外の場で、性を学ぶ機会が持てるようにする必要性があるのではないかと思います。
●コロナによって表面化した「生きづらさ」
コロナの影響により、性教育を学ぶ機会が失われたことや、感染が不安で病院への受診・コンドームの購⼊ができなかったこと。同棲している⼈や夫からの性被害(DVなど)、家族関係の悪化により、家を出たくても、ネットカフェなどが閉鎖になってしまったことで、居場所を見つけられず、そのため、性暴力を受けることになってしまったり、 SNSなどで繋がった⼈(泊め男)のところに⾏くしかなかった⼈もいた現実もあることを受け⽌めています。 中には、陣痛が始まっているのかもという状況ではじめてつながってきてくれた人もいました。
また、なんとか妊娠検査薬を購⼊して妊娠の事実は確認しているけれど、中絶する費⽤がないという人も多いです。体調不良で休みがちでいたら、仕事をやめさせられてしまったという派遣やパートの方。その後、妊娠がわかり、仕事を探しても、妊娠を理由に断られてしまい、収入が途絶えてしまったことで、生活するのがやっとで、受診や育てることは考えられず、でも、中絶できる期間も決まっているし、相手の人とは連絡も取れなったり、自分は関係ないと言われたりして、途方に暮れてSOSをしてきてくれた方たちもいらっしゃいました。
様々な機関に相談しても中絶には支援がなく、最後に⽣活保護を…と申請しようとしたら「コロナの特別定額給付⾦10万円はど うしましたか?あれを使い切ってから、また申請に来てください。」と⾔われて申請ができなかったという人もいました。
家族関係により、⾃分の元に給付⾦が届かない⼈もいます。⽣活保護を受けられないか⼀緒に相談に⾏ったり、住む場所の相談にも⾏くことがあります。
病院へ同⾏することもありますが、コロナで付き添いが禁⽌になっている病院もあります。ご⾃⾝では事情をう まく説明できない⽅もいらっしゃるため、事前に病院のケースワーカーや助産師へ事情説明などをした上で受診しますが、やはり、診察についたり、⼀緒に話を聞いたりすることが必要な人はいます。
そして、これまで、支援が必要な人が、支援につながれずに生きづらさを感じながら生きてきていた状況が、今回のコロナの影響や妊娠という思いがけない事態がおきたことで、様々な課題が表⾯化しました。 このような社会課題はこれまでなかった訳ではないということです。これを機会に、支援を見直し、少しでも安心して生きることができる社会に変えていくことが、求められているところだと考えます。
●日本の性教育について
⽇本で性教育に取り組まれている⽅々は、⽇本の性教育の遅れを指摘しています。海外では、ユネスコから出されている国際セクシャリティ教育ガイダンスに基づき、とても包括的な内容を、5歳から18歳までに学ぶことになっています。その⼀⽅で、⽇本では、未だに「まだ早い」「寝た⼦を起こすな」という⾵潮があります。
⽇本の学習指導要領の中では、エイズ及び性感染症について取り扱うものとすると記載がありますが、「性交」という記載はなく「性的接触によって感染する可能性がある」というような記載に留まっています。 ただそれも性的接触について具体的に示されているわけではないので、どのようにして感染するのかが明確ではない為、⾃分事として考えづらいところがあります。
また、妊娠・出産については「受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」と明記されたままになっています。受精は学びますが、受精するための性交については学びません。 また、コンドームは性感染症予防ということでは学びますが、避妊という観点からは中学生では取り扱わないことになっています。人工妊娠中絶に関しても学びません。しかし、平成31年3月の東京都教育委員会の性教育の手引きの改訂により、「学習指導要領に示されていない内容を含む授業を実施する場合には、保護者会等で通知文等を配布し、学習指導案を保護者全員に説明して、理解・了解を得る。」となり、親の承諾があった生徒は、学習指導要領に示されていない内容を含む授業を受けることができるとしています。しかし、そこまで進められている学校はまだまだ限られていると言えます。
更にコロナで学校の授業は遅れが出ています。受験に必要な科⽬は削るわけにはいきません。 そうすると必然的に、性教育などの特別授業は削られてしまう状況です。そうなると、性について正しい知識を学ぶ機会が減り、知識がなく性感染症に感染したり、妊娠不安や実際に妊娠してしまった という⽅が増えるのではないか?と危惧しています。
●性教育は「人間教育」
性教育はこのような⾝体的なことだけではなく、関係性であったり、⾃分の意思をはっきり相⼿に伝えて良いという事だったり、⾃⼰決定できることやリプロダクティブヘルス・ライツなど、生きる上でとても大切な学びです。 例え、思いがけない妊娠があって中絶を選択することがあったとしても、当事者を精神的に責めたり、追い詰めることのないようにすることも⼤切です。
性教育とは⼈間教育の中の性的な部分であり、⼈権問題や健康教育をも含み、セクシャリティは⼈間にとって必要不可⽋なものです。このように考えると、性教育とは⼈間が⽣きていく上で本当に⽋かせない学問なのですが受験に関係ない科目は、軽視されてしまう傾向にあり、学んでいないからこそ、⼀⼈⼀⼈の意思や⼈権がある意味軽視されやすい社会なのかなと感じます。
⾝体発達的な内容がメインの狭義の性教育だけではなく、「⼈間教育」という広義の性教育をこどもと⼀緒に⼤⼈も学んでいくことが⼤切なのではないかと考えています。
●これから性教育を学びたい親御さんへ
親御さんご⾃⾝がこれまでの学校教育で⼗分な性教育を受けて来られていない方も多いかと思います。それでも、「我が⼦に性教育が必要だ」と考えていらっしゃるだけでも、とても素晴らしいことだと思います。
まずは、家庭の中で性について少しでも話すこと。話しあえる関係性を築かれていくと良いと思います。 お⼦さん達が「あ、こういうことは⼤⼈も話をするんだな」と思えることが⼤切です。 性については特別なことでも、隠すべきことでもないんだということを家庭の中で実践することで、少しずつでも性に対する現状の様々なハードルをクリアしていくことができると思います。
性教育というと、知識を教えなければと気負ってしまう親御さんもいらっしゃるかと思います。ですが、大切なのは知識だけではありません。
例えばテレビでニュースを見ている時に「あ、お母さんは(お父さんは)、これはとても大切なことだと思ったな」とお子さんに伝えてみたりするだけでも良いのです。性はとても⼤切な事だという認識をお⼦さんに伝えてみるだけでも、お⼦さんはそこから⾃分で学んでいったり、友だちと話してみたりして、自分にとっての性の繋がりを作っていくことができます。
大切なこととしては、お子さんの性的な価値観に対して、「これはいけないこと」「その考えはおかしい」というように本人の考えを否定したりはせず、「そんなふうに考えたのね」とまずは受け止め、お互い気持ちを話し合うようにして、親御さん自身の考えを強要することはしないようにしましょう。
また、⽗親や⺟親⾃⾝がお⼦さんと性について話すために、性について学んでおくことは大切なことです。ですが、それでお⼦さんに学ぶことを強要したりするのはなく、これからご⾃⾝が⽣きていくために性について学ぶというスタンスが、良いのではないかと思います。
たまたま今、⼩さな⼦どもたちと⼀緒に⽣活している中で性教育の必要性をご⾃⾝が感じて、今のパートナーや友達には性の話ができるかな?できる⼈とできない⼈とはどんな関係性の違いがあるなか?などと親御さん⾃⾝が考えてみるだけでも、とても有意義な性についての学びなのではないかと考えています。
●ピッコラーレの性教育「ピコの保健室」
ピッコラーレは、これまで、電話やメールの相談の中で、その人に必要な性教育を⾏ってきました。
10代、20代前半の若い⽅々に来ていただいて、いろいろな種類のコンドームを⾒たり、触ったり、女子も模型に装着してみたり、よく分かっていなかった性の知識を聞いたり、好きな人との関係などについても相談員たちと話すことができます。
私たちピッコラーレとしては、リプロダクティブヘルス・ライツを守りあえる社会であったり、性や価値観の多様性を共有できる社会を実現すべく、活動しています。
この「ピコの保健室」を通して、その人にあわせた性教育を行うことは、結果として望まない妊娠や孤⽴を減らすという、にんしんSOS東京時代からのミッションの達成につながると考えています。
ご⾃⾝に必要な性についての情報やサポートを⾒つけて、つながることが出来ると、そこからご⾃⾝が⽣きていくために必要な⼒をつけていくことが出来ると思います。様々な悩みがある分、様々なスタイルでのサポートや情報発信の方法があって良いと思います。ご⾃⾝に必要なものを選べるように、私たちは、ピッコラーレスタイルの性教育を発信し続けていきたいと思います。
■NPO法人ピッコラーレHPはコチラ https://piccolare.org/
※HOMEのない妊婦のためのproject HOME https://home.piccolare.org/
※「ピコの保健室」開設のお知らせ https://piccolare.org/cat-news/20200731/
■OHANA PROJECT NIIZAの今後のスケジュール
10/25(日)11:00~12:00 テイクアウト・ジャンボリ in にいざ
10/25(日)14:00~15:00 親子で学ぶ「性」のこと~男の子の身体の特徴と発達~
https://ohana-project-niiza.net/
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