【世界初】仏TreeFrog Therapeutics社、10Lバイオリアクターで150億個のiPS細胞の単一バッチ製造に成功、1週間で276倍の指数関数的増幅を実現

TreeFrogは独自の3次元細胞培養技術を利用し、大規模バイオリアクターでヒトiPS細胞を大量培養することで、幹細胞を用いる細胞治療の製造上のボトルネックを解消し、高品質な細胞生産に貢献します。

(フランス・ボルドー、2021年4月13日)細胞治療分野の仏企業TreeFrog Therapeutics は、ヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)の大量培養を10Lのバイオリアクターで成功させたという前例のない成果を発表しました[1]。TreeFrog Therapeuticsは独自のC-Stem™技術を活用し、5,000万個のヒトiPS細胞を6.5日で150億個の単一バッチに増幅し、細胞の質も非常に優れていたと報告しました。データは2021年6月21日~26日の国際幹細胞学会(ISSCR)のバーチャルミーティングで発表予定です。

 

 
  • ヒトiPS細胞を用いる細胞治療の大量消費市場進出の可能性を引き出す技術的飛躍
2020年、再生医療への投資額は過去最高の199億ドルに達しましたが[2]、細胞治療業界は重大な製造上のボトルネックに直面しています。
TreeFrog Therapeuticsの共同創立者、社長兼最高科学責任者であるマクシム・フェイユー博士は、以下のように発言しています。「細胞治療で1回に投与する細胞数は、適応症にもよりますが、患者ひとり当たり200万~50億個の細胞が必要です。完璧な品質で何百万人もの患者向けに何十億個もの細胞を製造できる拡張性の高い細胞培養技術を持つことは、数量、リードタイム、安全性、価格面で医療ニーズを満たすために大変重要です。弊社が一週間でわずか2人の作業員により製造した150億個のヒトiPS細胞のバッチは、パーキンソン病の治療用に約1万回投与するのに十分な量の原材料です。前例のない成果です。」

TreeFrog Therapeuticsは、細胞の大量培養を実現するため、C-Stem™という多能性幹細胞の微小環境を模倣した技術を開発しました。独自のマイクロ流体技術を使用し、毎秒1,000カプセル以上という高い処理能力でヒトiPS細胞をカプセル化します。各カプセル内では、幹細胞が自己組織化して生体内と同様の幹細胞の微小組織を形成し、高速かつ忠実度の高い細胞分裂を促します。

「カプセルは生体模倣的に設計されています。栄養分、ガス、成長因子の出入りを可能とする多孔質膜が採用されています」と、TreeFrog Therapeuticsの共同創立者であり最高経営責任者兼最高技術責任者のケヴィン・アレッサンドリ博士が述べています。「カプセルは同時に、培養工程で生じてしまう機械的応力から幹細胞ニッチを保護するシールドの役目も果たします。一度増幅された幹細胞の微小組織は、同一のバイオリアクター内でそのまま移植可能な組織へと直接分化させることができます。またカプセルは数分以内で簡単に除去可能で、細胞の成分を放出させることができます」
 
  • 初の10Lバイオリアクターを用いた実験で、6.5日間で276倍のヒトiPS細胞増幅を実現
2020年第2四半期に自動化専門企業Invetechとともに開発した初の産業用カプセル化装置 が納入されて以来、TreeFrog TherapeuticsはC-Stem™技術の拡張可能性を示してきました。

MBA保持者であるTreeFrog Therapeuticsのミカエル・ラネロ・フィダルゴ最高執行責任者は次のように述べています。「弊社は6か月間で、30mLの攪拌培養から500mL、1.5L、そして今回の10Lバイオリアクターへとシームレスに移行しました。10Lバイオリアクターでの実験時には、一切の最適化なしに少規模バイオリアクターで観察されたものと全く同一の指数関数的増幅曲線が得られ、C-Stem™が真に拡張可能であることが示されました。次のステップは、2022年初めにGMP(医薬品および医薬部外品の製造管理・品質管理基準)準拠を達成することです。例えば心疾患や肝疾患など大量の細胞を必要とする治療用に、500mLから1000Lまでの幅広いスケールに対応することを視野に入れています」
 
  • 可能な限り早く臨床試験に移行するためのオープンイノベーションのパイプライン
2020年、TreeFrog Therapeuticsはパーキンソン病に対する独自の細胞治療プログラムについて、最高クラスの前臨床試験結果を公表し、細胞治療分野で活躍する大手企業との間で3つの契約を締結したと発表しました。

「弊社の目標は、C-Stem™の恩恵を可能な限り早く患者に届けることです」とTreeFrog Therapeuticsのパスカル・ベルテ最高事業開発責任者が発言しています。「弊社の技術は、2次元および3次元の分化プロトコルと互換性があり、拡張性に優れています。また弊社のパーキンソン病向けプログラムでは、微小組織を使う事で移植後の生着率が改善され、効果発現までの時間短縮につながることを示しました。今後12か月間で提携戦略を展開することを弊社では目指しています。フランス・ボルドー本社に加えて、日本や米国にも弊社の技術を備えたハブを開設し、こうした主要市場で事業提携に着手する予定です」
 
  •  TreeFrog Therapeutics社について
TreeFrog Therapeuticsは、多くの患者に細胞治療へのアクセスを提供することを目指しているスタートアップ企業です。TreeFrog Therapeuticsが開発した高処理能の細胞カプセル化技術「C-Stem™」は、産業用バイオリアクターでの幹細胞の大量生産および細胞分化を可能にするものです。この独自技術プラットフォームが提供するエンドツーエンドで拡張性のあるソリューションが、治療用細胞の質の飛躍的な向上、治療コストの削減に貢献します。

2018年11月にフランスのボルドーで設立して以来、TreeFrog Therapeuticsの成長の勢いは止まることがなく、2019年の資金獲得額は1,300万ユーロ(1,465万ドル)を超えています。2020年1月には、フランスにおける最も急速に成長している技術系企業のためのエリートプログラム「French Tech 120」に参加しました。現在の社員数は40名を超え、2020年6月からは、約1,200平方メートルの最新の生産施設で活動しています。TreeFrog Therapeutics は2020年10月、ガリアン賞のメディカルスタートアップアワード(Prix Galien MedStartup)を受賞しました。iPS細胞の品質に関する国際コンソーシアムに対する受賞で、ハーバード幹細胞研究所、ダナ・ファーバー癌研究所(ボストン、米国)、神戸医療産業都市推進機構(神戸、日本)、イマジン研究所(パリ、フランス)が参加しています。

■Treefrog Therapeutics ホームページ:https://treefrog.fr/
■Inventechとの共同開発装置 : https://treefrog.fr/treefrog-therapeutics-and-invetech-expand-partnership-to-transition-high-throughput-stem-cell-encapsulation-technology-to-gmp-system-for-commercial-scale-cell-therapy-manufacturing/
■ISSCR 2021ホームページ : https://www.isscr.org/meetings-events/annual-meetings/isscr-annual-meeting-2021
 

TreeFrog TherapeuticsはEUの研究イノベーションプログラム「ホライズン2020」の資金提供を受けています(中小企業向けファンディングプログラム「SME Instrument」のフェーズ2、認可番号SME 881113)。


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[1] 先行研究(Pigeau et al., 2020)で報告された10Lバイオリアクターの最高記録は、10億個のヒトiPS細胞を6日間で37倍に増幅したというものであり、TreeFrog Therapeuticsが達成した276倍という指数関数的増幅とは比較になりません。なお、当該論文でPigeau et al.は幹細胞性の低下がみられたと報告していますが(Oct3/4、Sox2、SSEA-4およびTra-160の陽性率80%以上)、TreeFrog TherapeuticsはヒトiPS細胞の品質が保全されたと発表しています。

[2] 出典:再生医療アライアンス2020年年次報告書(2020 Annual Report of the Alliance for Regenerative Medicine)
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