大阪・関西万博会場に浮かぶ、光る鳥居の正体は。人と宇宙の調和を表現した水上の空間彫刻作品群が10月12日まで展示中
SOWA DELIGHT Inc.とSAMPO Inc.のコラボレーションによる空間彫刻作品群《鳥居と阿吽が紡ぐ地球の朝ぼらけ》が、万博内「つながりの海」にて展示中です。
本作は、3体の空間彫刻からなる作品群です。中央には《鏡界の鳥居》、その左右に《阿(ア)》と《吽(ウン)》が配置され、それぞれが「あいだ」、「始まり」、「終わり」を象徴します。
万博会場の水上に浮かぶこれらの作品は、海床(うみどこ)ロボットコンソーシアムによる環境配慮型の都市型自動運転船「海床ロボット」を活用して展示されています。

コンセプト
― 宇宙の規模感で過去を感じ、未来を見つめるためのシンボルとして ―
鳥居は古来、人々が見えない存在に祈りを捧げるための“入口”として建てられてきました。
しかし、科学や情報がすべてを照らす現代において、私たちはいったい何を依代(よりしろ)として祈ればよいのでしょうか。
SOWA DELIGHTとSAMPOは、その問いに対する一つの答えとして「宇宙の呼吸」を見つめます。
宇宙のスケールで過去を感じ、未来を想うとき、人間の存在はより謙虚で、創造的な方向へと導かれていくのではないでしょうか。
中央に立つ《鏡界の鳥居》は、人類と自然、現在と未来、あちらとこちら…万物の“あわい”を映し出す、鏡と光でできた装置です。足元に広がる水面もまた鏡となり、空と地、そして次元的なパースペクティブを静かに映し合います。そのフレームの向こうには、果てしない宇宙と、まだ見ぬ未来が広がります。
その左右に並ぶ《阿》と《吽》は、それぞれ「始まり」と「終わり」を表します。生まれ、朽ち、また生まれるという循環──、宇宙の理を象徴する存在なのです。
この彫刻群は、祈りのかたちを問い直し、いまを生きる人間の感性を再び宇宙と調和させるための現代の依代となることを願って制作されました。
作品群のステートメント
《鳥居と阿吽が紡ぐ地球の朝ぼらけ》produced by SOWA DELIGHT Inc. ∞ SAMPO Inc.
依代薄れゆく時代に
眼前に拡がる幾重にも重なる未来と背後に感じるかすかな気配。
自らの道を辿るとき
その気配を感じることが出来たのなら
それは誰かからか
いつの時代からか
託された紡ぎの道となる。
阿ははじまり、吽は終わり
惑星は生まれ、やがて崩れ、鉄を残して宇宙に還る。
超新星爆発の閃光も
ブラックホールの静寂も
すべては生成と消滅の環を描き地球の鼓動と重なり合う。
胸に手を当て考える
叩く扉は多々あれど、まだ知らぬ扉を常に選ぶ。
数理や論理の目と共に有機なる円環と生命のスパイラルに
形の眼差しを向ける。
始まりも終わりも始点の表裏に見えるが、
どうもそこは境のようで先には何があるのか
エントロピーの拡散と共に、星の成長と共に、
その果てない原動力を好奇心と呼ぶとでも言うのか。
その道は間違い無く
ぜんぶの地球のミライ
そして
宇宙へと繋がっている。

各作品について
《鏡界の鳥居》ー万物のあはひを映し照らす鳥居(制作:SOWA DELIGHT Inc.)

ステートメント
その鳥居は
常にその時代に佇み
常にその世界を映し出し
常にその世界に問いかける。
今宵も彼の地から
我々を眺め
幽玄なるお姿と共に
宇宙への道を照らし続ける。
【作品解説】
鳥居は、古くから俗界と神域の境界として立ち、人々の祈りの入口となってきました。かつての人々は、その奥に広がる世界に畏れと敬いの気配を感じ取っていたのではないでしょうか。しかし現代では、その存在が何をまとい、何を隔てているのかを、あるいは鳥居が“そこにある”という事実さえ、私たちは忘れかけています。
本作品《鏡界》では、鳥居を鏡の質感と青の光──生命の根源である水、そして宇宙から見た地球の色で際立たせ、その存在を現代の風景のなかに再び浮かび上がらせます。宇宙と生命、現在と未来、此岸と彼岸。あらゆる「あはひ(間)」を静かに照らしながら、鳥居は“境界(きわ)”として水上に佇みます。そのフレームの果てに、あなたは何を見るのでしょうか。
作品上衣装《デブリ・フィッシャー》(制作:ELIOS)

ステートメント
かつて「海を獲る者」だった漁師たちは今や「海を浄化する者」へと役割を変える。
未来の一次産業を担う海洋デブリ回収労働者。
魚が減り、代わりに漂うのは無数の人工物。
宇宙を目指す者たちが挑戦をやめないように、彼らもまた海に出続ける。
いまや彼らが回収するのは、価値なき漂流物─それを価値あるものへと変えるために。
かつて魚を獲っていた者たちは いまはデブリ(ゴミ)を “漁る”。
彼らはヒーローでも守護者もない。 ただ海で働く未来の一次産業従事者である。
《阿》ー宇宙生成の解放と惑星/《吽》ー静寂と終焉の構造(制作:SAMPO Inc.)

《阿》ステートメント
黄金比や円弧をもとに構築された《阿》は、ビッグバンの爆発的膨張や銀河の渦、天体の動き、電子の動きを想起させる。
鉄の骨格に沿って配置された岩や天体を模した球体は水面と反射によって球体の「タマ」として現れる。
それは、宇宙が無から多様な形態を生み出す「始まり」の象徴である。

《吽》ステートメント
白銀比を基調とした幾何学的フレームで構成される《吽》は、黒鉄や錆を纏い、水鏡に虚像を重ねる。
秩序だった形態と腐食の質感の対比は、生成と崩壊、虚と実の狭間を映し出す。
波の音とともに現れるその静謐さは、宇宙の「終わり」とエントロピーの進展を体現する。
作品解説
「阿(あ)」はサンスクリット語の最初の音であり、「始まり」や「生成」を意味します。対となる「吽(うん)」は最後の音で、「終わり」や「収束」を表します。
寺院の仁王像や神社の狛犬では、右側の阿形(あぎょう)が口を開いて「ア」と発音する姿、左側の吽形(うんぎょう)が口を閉じて「ン」と発音する姿で対をなし、この開閉が、宇宙の呼吸・生命の循環を象徴しています。
本作品《阿》は、混沌から秩序が立ち上がる宇宙の生成の瞬間を、貝殻や銀河、DNAにも見られる自然の成長リズム──黄金比の螺旋構造で可視化しています。対となる《吽》は、秩序がやがて崩壊へと向かう宇宙の終焉をテーマに、正方形や矩形に内在する静的な比率──白銀比をもとに設計されています。
《阿》と《吽》それぞれの中央に位置するモビール彫刻は、星の終焉に深く関係する「鉄」の原子構造を表現しています。自然の風を受けて穏やかに水面をたゆたいながら、生成から崩壊へ、そして再び生成へという宇宙そのものの呼吸、また、うねるような螺旋的な循環を象徴しているのです。
制作背景
なぜデンキの会社がアートをつくるのか
SOWA DELIGHT Inc.は、“まちの電気屋さん”の枠を超え、これまでに遊園地での夜間開園イベントやプロジェクションマッピング、神社でのオーロラ体験など、さまざまな場を照らしてきました。
しかし、あるとき私たちは問いかけました。「私たちは、いったい何を照らしているのだろうか?」
電気によって社会は便利で快適になりました。しかし、何か照らしきれていないものがあるとも感じていました。もっと根源的に──何を、どのように照らすべきか。
そう考えたとき、照らすべきは、未来そのものだと気づいたのです。それは、人間だけの未来ではありません。動植物、そして宇宙そのものへとつながる未来です。
その気づきから、私たちは森を育み、子どものための遊び場や小さな図書館をつくり、馬やロバなどの動物とともに暮らしはじめました。
そしていま、「宇宙のミライにワクワクする」というビジョンのもと、その想いを形にする新たな手段としてアートに取り組んでいます。
アートは、経済合理性ではすくいきれない「雑多で、豊かな世界」をそのまま表現できる場です。アートが存在することで、人の心に問いが生まれる。その問いこそが、価値観の転換──パラダイムシフトを起こす最初の光になる。SOWA DELIGHTは、そんな信念をもとに、作品制作やアーティストとのコラボレーションを行っています。
赤城神社への敬意を作品に


《鏡界の鳥居》は、SOWA DELIGHT Inc.代表・渡邉辰吾が中之条ビエンナーレ2023で発表した作品です。平安時代から八十四代にわたり続く、SOWA DELIGHTの思想的ルーツである赤城神社という存在から強いインスピレーションを受けて制作されました。
鳥居は本来、俗界と神域のあわいであり、いわば神域への玄関です。しかし現代の私たちは、もはや鳥居を鳥居として認識できなくなっているのではないでしょうか。
そこで本作では、鏡を用いた鳥居を制作しました。境界そのものを周囲と融合させ、あえて曖昧にすることで、人々が「鳥居とは何か」を改めて意識できるようにしています。鏡面はまた、現実の風景や自らの姿を映し出す装置でもあります。
夜になると、内部に組み込まれたネオン管が、成層圏と宇宙のあいだに存在する色温度──9500ケルビンの青白い光を放ちます。それは「地球を離れ、宇宙を感じる光」として空間を照らします。
ビエンナーレでの展示を経て、作品は赤城神社に奉納され、現在も拝殿に向かって右奥の森の中に静かに佇んでいます。
実施概要
名称 | 《鳥居と阿吽が紡ぐ地球の朝ぼらけ》
実施場所 | 大阪・関西万博内「つながりの海」
開催期間 | 2025年10月2日(木)~10月12日(日)
点灯時間 | 17時~22時
制作 | SOWA DELIGHT Inc. / SAMPO Inc.
クレジット
《鏡界の鳥居》
-
Produced by SOWA DELIGHT Inc.
-
Designed by Shingo Watanabe
-
Made by Shingo Watanabe, Weeds, REVERSE MAKER HI-D, Yuki Watanabe, Yasuaki Watanabe, Miki Imai
-
Neon light : SHIMADA NEON
-
Special thanks : Miyosawa Akagi Shrine
《阿吽》
-
Produced by SAMPO Inc.
《阿》
-
Designed by Issui Shioura
-
Made by Issui Shioura, AZB, bero iron works, Jujiro, Yoshiki Ashizawa
《吽》
-
Designed by Riku Murakami
-
Made by Riku Murakami, Kazuya Kawazu, Yuhi Wako, Pink Tanaka
《モビール Fe#26》
-
Designed by Mari Murakami
《Ocean Debris Fisher Deckman and Boatswain》
-
Created by ELIOS, Pink Tanaka, Marika Nishiwaki
会社概要
SOWA DELIGHT Inc.
ソウワ・ディライトは「デンキ」の会社だ。デンキを使って「感動」や「喜び」を提供したい。それこそが、ソウワ・ディライトの活動の根本にある。しかしながら、デンキが生み出し続ける新世界の中で失われ続ける地球。
ーそして辿り着いた宇宙一
宇宙的な視点と時間軸は、地球と私たちとデンキにワクワクするミライを求める。故に私たちはデンキを通じてワクワクするミライを地球上に創り出し宇宙に再び還元する。
HP:http://www.sowadelight.com/#1
Instagram:https://www.instagram.com/sowadelight/
SAMPO Inc.
SAMPO Inc.は人や場所を アクティベートするライフ建築アートコレクティブである。空間、音、生活、多様な媒体であなたの夢を現実に変換する。「暮らす」 BeBopを 意識する。ダイヤルを 慎重に回す。唯一のヘルツを求めて。
HP:https://www.sampo.mobi/
Instagram:https://www.instagram.com/we_are_sampo/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像