パラリンピック ブラインドサッカー日本代表前監督・高田敏志氏が大和大学で講義!歴史的ゴールで勝利した日本チームの戦略的肉体改造とは 王者・ブラジル監督「日本の方向性は間違ってない、パリで会おう」
大和大学(所在地:大阪府吹田市、学長:田野瀬 良太郎)は、東京パラリンピックで初出場ながら5位に入賞したブラインドサッカーの日本代表前監督・高田敏志氏 をお招きし、2021年10月19日(火)に社会学部の講義で大会までの道のりや奮闘の舞台裏、障がい者スポーツの社会的意義を語っていただきました。大会後初となる、高田氏が大会について振返りをした講演内容を公開いたします。当日は、担当教員である佐々木正明教授 が進行を務め、多くの学生が出席しました。
今年開催された東京パラリンピックでは、歴史的ゴールで競合のスペインに1−0で勝利、5位入賞を果たした。5連覇をして優勝した王者・ブラジルの監督から「日本の方向性は間違ってない、パリで会おう」という言葉をもらうなど、3年後の世界大会に期待が集まっています。
■ ブラインドサッカーとは?
ブラインドサッカーはフットサルを基に考案された5人制のサッカー。ゴールキーパー以外が全盲の選手で、アイマスクを装着し、音の出るボールを用いてプレーします。 音と声のコミュニケーションで行われるのが最大の特徴で、視覚に問題がない監督とガイド、ゴールキーパーと、全盲のフィールドプレーヤー4人が協力して競技を行います。
東京パラリンピックを前に挑んだ「ワールドカップグランプリ in 品川」
「ワールドカップグランプリ in 品川」は2021年5月末から6月にかけて開催されました。コロナの影響で2020年2月末から活動がしばらくできなくなり、約1年半、通常の練習や本格的な試合ができない状況が続いた中での大会でした。日本以外の国はコロナ禍でも何とか海外に出るルールを作り試合をしていたようなのですが、日本は規制が厳しくて日本から出国できない、さらに東京からも出れないなかで準備をした大会でした。とにかく久しぶりの試合で何が起きるかわからない状況でしたが、各国の試合の映像を分析してチームの特徴を理解しながら準備をしました。結果的に1勝2分けで決勝に進み、世界ランキング1位のアルゼンチンには勝利できなかったものの、パラリンピックに向けてある程度目処が掴めた希望が見える試合でした。
ネガティブにならざるを得なかったコロナ禍
「パラリンピックの延期が決まった時にネガティブな気持ちにならなかったか?監督も選手もどうやってネガティブにならずに前向きにいられたか?」という学生の質問には、「全く練習が出来ない時間が長く、外にも出られない状況が続いた。視覚障がい者の場合は、いろんなものを手で触り確認しながら生活をするので感染リスクが高い。とにかく感染予防を慎重にやるのが大事だった。パラリンピックが中止になるか延期になるかというのは、選手にとっても人生をかけた勝負だったのですごく気になっていたし、当時はネガティブにならざるを得なかったですね。とにかくサッカーのことは考えないで、子供がいる人は子供と遊んだり、家族や大事な人と過ごしてくださいと伝えました。タイミングが来たら準備をしようと、あえてサッカーを忘れるような話をしました。パラリンピックが中止ではなくて延期と決まった時から、3日に1回オンラインでチームで交流する時間を設けたり、トレーニングもオンラインで行っていました。」と当時の状況について語りました。
体格差と年齢差を見据えた “戦略的肉体改造”とは
さっき日本代表のプロフィールを見ていただいてわかったと思うのですが、日本は40歳以上の選手もいて、世界で一番平均年齢が高いチームなんですね。年齢が若いフランスやスペインや南米の身長190cmくらいの屈強な選手達を前にして、40歳すぎの選手が筋トレで勝負しても勝てないですよね。身長もこれ以上伸びないし。そこで、体重も増やさず元々体が持っている柔らかさや身体操作性を高めていくことで、相手とぶつかった時に〝いなせる“状態にしました。“いなす”という言葉は日本独特で武道からきているんですが、相手の力をうまくかわして相手のバランスを崩すボディコンタクトができるように専門のコーチをつけました。あと、身体操作性が高まると怪我をしないようになるんですね。パラリンピックもあれだけハードに戦って、日本の選手は小さいので弾き飛ばされるんですが、打撲はあるんですけど、肉離れしたとか、骨折したということは一度もなく、誰もかけることなく戦えました。
あとは、少しの休みで早く回復するように低酸素トレーニングも取り入れました。これが大成功して、今まで心拍数180 bpmから120 bpm以下に落とすまでに8分かかっていたのが1分半とか、早い選手だと40秒とかで回復するようになりました。そうすると元気な状態でリスタートできるようになる、そんなトレーニングを行いました。あとはめずらしいのですが、ボイストレーニングも取り入れました。ブラインドサッカーのルールで、ボールを持った相手に向かっていく時に声をかける「ボイ!」という声が小さいとファウルになるんですが、日本人はとにかく声が小さくてファウルになりやすい、ファウルになると強くぶつかりにいけなくなって保守的なプレーになってしまうので、そうならないように体の使い方を学ぶトレーニングとしてボイストレーニングを行いました。
■ 高田敏志氏 プロフィール
1967年、兵庫県生まれ。小学校時代から青山学院大学卒業までゴールキーパーとして活躍。高校時代は、1985年のクラブユース選手権で大阪府・交野FCの守護神として全国3位に貢献した。大学卒業後、サッカーの指導者を目指し、ドイツ・バイエルンミュンヘン、イタリア・ACミランなどで研修を受け、帰国後の2013年、ブラインドサッカーに出逢う。その後、代表GKコーチを務め、2015年11月に代表監督に就任。初出場したパラリンピック東京大会では、初戦、強豪の仏代表を4-0で撃破し、パラ初勝利。準決勝進出はなしえなかったものの、5位決定戦では欧州王者のスペインを1-0で破り、5位入賞に導いた。
■ 大和大学について
大和大学は、2014年春に開学した新しい大学です。これまでにないスピードで変化と発展を遂げる現代社会において、必要とされるのは「失敗を恐れず、挑戦する」姿勢を持った人材です。大きな志を以て自分の掲げる理想のために邁進する人材を育てることをめざし本学を設立しました。
所在地:大阪府吹田市片山町2-5-1
HP:https://www.yamato-u.ac.jp/
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