石川県の伝統産業・山中塗がECサイトで「理想のうつわ」コンシェルジュサービスを開始
DXによるブランド力向上で伝統工芸産地の活性化を目指す
【背景】メーカー個社対応で生じる機会損失を産地全体で防ぐ
産地・山中では、250を超えるメーカー・職人がそれぞれ独自の強みを活かし、伝統的な木製漆器から、プラスチック素地・ウレタン樹脂塗装による近代漆器まで、多彩な製品を生産してきた歴史があります。ただし、各々が専門特化型であるがゆえに、多様化する消費者ニーズに個社では対応しきれない側面があるのも事実です。
一方、消費者の視点では、「こんなうつわが欲しい」といったリクエストがある場合、これまでは各メーカーの窓口へ個別に問い合わせるしかありませんでした。その結果、要望がかなえられないケースも多く、産地全体として機会損失していた実態があります。
こうした課題に対応するべく、組合は公式オンラインストアに一般消費者向けのコンシェルジュサービス「理想のうつわ探し」を開始しました。「山中塗」ブランドの窓口を一本化して問い合わせを集約し、より柔軟に消費者のニーズに対応できる仕組みを構築することで、産地全体の売上増とブランド力向上を目指します。
【サービスの特長】250以上のメーカーが消費者の多様な「理想」をかなえる
「理想のうつわ探し」では、組合公式オンラインストアに一定時間滞在しているユーザーに対し、ポップアップでサービス専用ページを案内します。ページ遷移すると、ユーザーは簡単な問い合わせフォームから、テキスト入力や画像添付で探している商品のイメージを伝えられます。 受け付けた問い合わせは、組合経由で加入する全メーカー・職人に展開。各社から商品やサービスの提案を募り、組合が集約してユーザーに回答する仕組みです。 これにより、多様な消費者ニーズに産地全体で柔軟に対応できるようになります。一点もののうつわや茶器から、電子レンジ・食洗機が使用可能なテーブルウェア、インテリア用品、アクセサリーまで、多岐にわたる製品を一つの窓口で提案できるのが特長です。
【試験運用の成果】受注生産などECサイトでカバーしきれないニーズに対応
実際に同サービスを試験運用(2024年9〜11月)した結果、個社のECサイトや問い合わせ窓口、従来の組合オンラインストアではカバーしきれなかった要望にも、産地全体で対応することができました。
ケース1
<問い合わせ内容>
子ども用、大人用の木製漆器をそれぞれ探している。
子ども用は就学前の幼児でも手に持ちやすいサイズで、かわいらしいワンポイントが入っているものを希望。
大人用は普段使いでき、はがれにくく長く使えるものが欲しい。
<対応内容>
2社からそれぞれのECサイトに誘導する形で商品を提案。そのうち1社からは、漆器を長く使い続けられる塗り替えサービスも案内した。
ケース2
<問い合わせ内容>
テレビで見た「拭き漆」という製法の茶杓は扱っていないか。
<対応内容>
山中唯一の茶道具専用メーカーから、オンラインストアなどでは取り扱いのない受注生産の商品をイメージ画像付きで提案した。
ケース3
<問い合わせ内容>
昔、百貨店で添付画像のようなうつわを購入したのだが、同じものが欲しい。確か山中塗だったと記憶している。
<対応内容>
該当のメーカーから自社商品であると回答。問い合わせの商品は催事用に企画・製作した特別サイズのものであったため、ECサイトで扱っている同製品の別サイズと受注生産を提案した。
理事長からのコメント
組合では5年前から産地のDX、ブランディングに注力してきました。このたびリリースしたコンシェルジュサービス「理想のうつわ探し」も、その一環として位置づけられる取り組みです。山中塗のポテンシャルをお客さまにより広く知っていただくとともに、組合に加入するメーカー・職人に営業機会を提供し、産地全体の活性化につなげたいと考えています。また漆器のニーズが先細る中、間接的に国内全体の伝統産業・漆器産業の活性化にも貢献できればと思います。
【山中漆器連合協同組合】
所在地 : 石川県加賀市山中温泉塚谷町イ268-2
代表者 : 理事長 竹中俊介
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