DX経営プラットフォーム「BanSo」による事業承継の実現と経営改革の実践 ~中小運輸事業者の新たな姿へ~
株式会社サンライズ物流、⼀般社団法⼈サスティナビリティ・DX推進協議会(SDXC)、⼀般社団法⼈運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)
事業継承とDX、そして経営改善の同時実現
群馬県館林市に本拠を置く株式会社サンライズ物流(以下、サンライズ物流)は、昭和8年(1933年)に創業され、地域に根づいた物流事業を営んでいる。
4代目となる津久井 陸王社長(38歳)は、先代社長である実父 津久井 栄二 からの事業承継に伴い、株式会社商工組合中央金庫(以下、商工中金)を中心とした金融機関からの支援を受けながら、一般社団法人サスティナビリティ・DX推進協議会(以下、SDXC)の実務及びウイングアーク1st株式会社(東京都港区、代表取締役 社⻑執⾏役員CEO ⽥中 潤、以下 ウイングアーク1st)が提供する中⼩企業⽀援プラットフォーム「BanSo」の利用を通じて、事業承継/デジタル化(DX)/経営改善に着手、堅実に「新しい物流事業者」のあるべき姿に向き合い、邁進している。
また、一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会(以下、TDBC)への参画も含め、様々な取り組みや制度の動き、新しい技術を知ることで、これから向き合う必要があるDXにも向き合う心構えを語っていただいた。そのうえで、SDXCおよびTDBCの最新動向についてお知らせする。
【インタビュアー:河原 清明】
「BanSo」との出会い、次世代経営者としての挑戦
---先代の津久井栄二氏(現代表取締役会長)から事業承継なされた、経緯をお聞かせください。
津久井陸王社長(以下陸王):何年何月何日に告げられたのではなく、自然の流れでした。父は、所謂“地ならし”をしてから、私に事業を引き継ぐという考えでした。ですが当社の経営にはまだまだ課題が多く、そのようななか、当社を支えてくださる関係各位へ相談しました。「まだまだ経営改善できる」と激励を──事業改善の一環としても、父から承継することとなりました。
---事業承継にあたり、先ずは全社的なデジタル化に着手されたとうかがっています。その一環で「BanSo」を活用しながら計画を策定し、事業を推進中と聞いています。
陸王:当社は車両数10数台の小規模な運輸事業者です。これまでの当社はアナログ的な運用が多く、忙しさを理由に目の前のことをこなしていくような経営となっていました。
もちろん、全従業員一丸となって誠実に運行を行い、お客様には喜んで頂けていました。私は昨年夏までは本社営業所の所長として、運行管理や配車、営業などに携わっていたのですが、日常の雑務に追われながら、2024年問題(※)を含め「これからどうなるのだろう、どうしていけば良いのだろう」という悩みに答えが出せず、父から事業を承継するにあたっても、明確な方針や自らがやるべきこと、経営者として取っていくべき行動に悩んでいました。
そのタイミングで、商工中金さんから紹介を受け、SDXCさんと一緒に事業計画を策定することとなりました。計画を確実に実施して成果を上げるための基盤として「BanSo」 を軸とした計画策定を行い、明確な方針と行動を伴った事業承継を決断することができました。計画策定後の今は行動計画(アクションプラン)の実行管理を行いながら、事業承継と並行してデジタルへの挑戦を行っています。
(※)トラックドライバーの時間外労働の上限規制による受託可能な運送業務量の減少、それに伴う運賃収⼊の減少、賃金の低下、業界としては輸送能⼒不足による運賃の上昇等の問題
---計画策定から事業承継まで、複雑かつハードな内容と感じますが、どのように実施され、変化が起きましたか?
陸王:まずは、財務状況の明確化から始めていきました。並行してSDXCさんから当社の事業プロセスや方針といったところについて、詳細なヒアリングを受けました。繰り返していく中で「当社はこんな会社だったのだ」「私はこう変えていきたい」といった気づきや、新たな方針が明確になってきました。
印象的だったのは、計画策定の段階でSDXCさんからさまざまな角度から質問を受けました。自社だけでなく、お客様や金融機関の方々、果ては私達が運んでいる貨物が「どのようなところで、どのように使用されていくのか」といったところまで踏み込んだ形で考えることができたことです。
それらを「事業計画」という文書にすることで、私が取るべき行動や意志決定が明確になりました。当社内部だけでなく、お客様や金融機関さんなど様々な利害関係者の皆さんとの対話の内容に明らかな変化が起きました。
もちろん計画策定は大変でした。初めて見るものや触るもの、我々の業界の専門用語をわかりやすい言葉に置き換えたり、これまでの私が携わってきた業務とは全く異なるものばかりで、戸惑いがなかったといえば嘘になります。他方で、計画策定を通じて私が「やらなければならない」と感じることが増えていったのも事実です。
正直、事業を継ぐこと自体にも迷いがありましたが、皆さんの支援を受けながら作った「私の計画」が出来たことで、一歩を踏み出すことができました。
---実際に計画を運用していく中で、どのような変化が起きましたか?
陸王:私の場合、金融機関さんへの情報共有、報告に「BanSo」から出力される「モニタリングシート」を使っています。計画に対する実施状況を日々入力し、SDXCさんからの第三者コメントを含めて行動を確認し振り返ることで、金融機関さんへの説明に役立てています。
振り返りの機会を持つことで自分でも計画が進んでいくことを感じています。
また「BanSo」は、金融機関さんにも共通認識として、当社の意志や行動を理解していただいています。ご理解の上の様々なアドバイスを受け、新たな行動計画に繋がるなど、事業の進め方、経営の考え方について多くの発見と変化を実感しています。
さらなるデジタル化への挑戦、変化への対応
---これからサンライズ物流をより成長させるために、どのようなことを考えていますか?
陸王:今はまず自分自身が計画を立て、その実施を確認して報告するレベルです。もちろん段階を踏む必要はありますが、これまでのアナログな業務を可能な限りデジタル化し、本業に注力できるようにして行きたいと考えています。
そのためには同じ目線で協力しあえる仲間づくりも必要です。くわえて、自分自身も仲間とともに、勉強の機会に飛び込んでいく必要があります。
その一環として、現在、SDXCさんの紹介でTDBCへの加入手続きを進めています。
規模や職種が違えど、目的を同じくする皆さんと一緒に、迫る変化への対応や、さまざまな事例からの学びを活かすこと。そして今こそ、自社だけでなく協力関係にある仲間と共有し、これまで義務的に行っていた業務を日々の改善に活かすような事業活動へと、革新させていくタイミングなのです。
---特に力を入れて取り組もうと考えている部分を教えてください。
陸王:我々運輸の業界は業務上まだまだアナログな部分が多いのです。もちろん、アナログに慣れていることや「融通が利きやすい」といった良さがあるとも思っています。
ですが、これだけ何もかもがデジタル化されていく中で、我々だけがついて行けないような状況のままでは、いずれは事業への影響が大きくなっていくことだとも感じています。
例えばコミュニケーションひとつ取っても、チャットやWeb会議が当たり前になりました。私達が事業を行っていく中で、ひとつずつでも確実に取り入れて行き、本業に活かせるようにしていきたいと考えています。
特にコミュニケーション履歴は、ヒトの言葉で記録されていく重要な情報だとあらためて気づきました。「BanSo」にはコミュニケーションツールである「dejiren」も含まれているので、今後活用の機会を増やしたいと思います。
---やはり、計画だけでなく実践、そしてデータ化していくことが重要ということでしょうか。
陸王:はい、記録管理に対する省力化、自働化というのでしょうか。もちろん記録を取っていくことは、重要ですし必要なことです。一方できるだけ手間を省き、確実に記録を行い活用可能なデータにしていくにはデジタルの活用が重要であると実感しています。「dejiren」にはそのような機能もあるので、SDXCさんと相談しながら環境を作っています。
例えば、リアルタイムな運行状況や待機の状況、突発的な道路事情による運行への影響など、あらゆる情報をデータとして記録・共有出来るのではないかと考えています。
今回の事業計画を作る過程で、自分たちが記録してきたデータがアイデアの基になることに気づきました。データを集めて発見につなげていくような、そのような動きが自然にできるような環境づくりも、経営者の役割だと確信しています。
---このたび、TDBCでは「招待会員制度」により、貴社の加入を歓迎されていると聞いております。
陸王:非常にありがたいことです。我々中小の運輸事業者には、なかなか行政の動向や他地域の同業者の動向や対応、考え方などを知る機会は非常に少ないものです。
多くの先進的な取り組みを行っておられる方々から仲間として受け入れて頂き、自らの経営に活かしていくことで、様々な課題を迅速に解決できると期待し、私自身も多くの勉強ができる良い機会を頂いていると感じています。
---最後になりますが、「DX経営」への意気込みを、お聞かせください。
陸王:最初は私も何から始めて良いのか悩んでいました。計画を作る力も、山積する課題に対し、どこから手を付けて良いかもわからず、がむしゃらに自分の仕事に打ち込んでいました。
そのようななか、今回の経験を通じ、責任ある経営者として、方針や計画、成果などを日々目にしました。とくに当社は小規模だからこその戦略として、柔軟な計画や迅速な実施、時には変更も含めながら堅実な成果を生み始めていると実感しています。
厳しい業界ではありますが、変化に負けずチャンスを掴み、より良い経営を心がけてこれからも邁進し続けます。
「BanSo」導入をスタートとして、「DX経営」を当社の標準にします。さらに、自ら実践し続け、同業他社の仲間に「DX経営」を勧めていきます。「DX経営」こそ、事業推進および再構築において最高の選択であると、証明していきます。
SDXC及びTDBCからのお知らせ
SDXCとTDBCでは、今後の動向として以下をお知らせします。
・運輸安全・物流DX EXPO 2024 TDBCブースの設置
名称:運輸安全・物流DX EXPO 2024
開催日時:2024年5月29日(水)~5月31日(金)10:00~18:00(最終日17:00終了)
オンライン:2024年6月10日(月)~24日(月)
開催場所:東京ビッグサイト 西3・4ホール
・TDBC Forumのお知らせ
TDBCでは、2024年7月5日(金)に、オンライン形式でのフォーラムを開催します。
テーマを『改正改善基準告示と時間外労働規制、そして物流2法改正は何をもたらすのか? 』とし、様々なワーキンググループの活動報告のほか、これからの物流業界が直面し、解決すべき課題について発表及び情報発信を行います。
お問い合わせ先:unyu.co@wingarc.com (TDBC事務局)
SDXCも上記「運輸安全・物流DX EXPO」及び「TDBC Forum」において『DX経営の実践』をテーマに様々な発表、ご報告をさせていただきます。
■本プレスリリースにあたり、関係各者からエンドースメントコメントを下記のとおり頂いています。
物流業界は、産業や生活の重要な基盤として社会を支えていますが、その大部分を中小企業が担っています。
しかも、喫緊の2024年問題、燃料費の高騰、ゼロゼロ融資終了など非常に厳しい経営環境となっています。
その中で、TDBCとSDXCは、持続可能な業界のより良い未来を創るためにDX経営を提唱し、商工中金、ウイングアーク1stと連携して具体的な中小運輸事業者のための経営支援体制を構築しました。
今回の株式会社サンライズ物流さまの実践事例は、DX経営の今後の改善、普及の足掛かりとなる重要な価値をもった事例と捉えています。
株式会社サンライズ物流さまの益々のご活躍と、SDXCのBanSoを利用した「DX経営」の更なる推進を祈念しています。
-⼀般社団法⼈運輸デジタルビジネス協議会(TDBC) 代表理事 ⼩島 薫 様-
株式会社サンライズ物流様は「何を始めて良いのか」からスタートされましたが、事業への真摯で積極的なお取り組みと想いには心を打たれております。事業継承への手段のひとつとし「デジタルへの挑戦」を選択され、弊社が提供する運輸事業のデータラットフォームサービスを採択いただき心よりお礼申し上げます。
2024年問題を抱える物流業界におけるDX経営は、特に中小企業においては、ツール導入に留まらず計画策定から運用まで網羅する伴走型支援が不可欠と考えています。BanSoはウイングアーク1stの強みを集結させたデータ活用の要となるソリューションです。弊社は、今後も関係各所とともに、運輸事業者の課題解決に寄り添い伴走してまいります。
ーウイングアーク1st株式会社 プラットフォーム事業開発統括部 データプラットフォーム事業開発部 部長 水嶋 健人 様ー
【関係各者概要】
○企業概要
企業名:株式会社サンライズ物流
本社所在地: 群馬県館林市栄町23番15号
代表者: 代表取締役社⻑ 津久井 陸王
創業:1933年創業、1967年法人化、1972年5月現在のサンライズ物流となる津久井運送店有限会社を設立、2016年2月に屋号及び法人格変更
業務内容:
⼀般貨物⾃動⾞運送事業
企業名:ウイングアーク1st株式会社
本社所在地:東京都港区六本⽊三丁⽬2番1号 六本⽊グランドタワー
代表者:代表取締役 社⻑執⾏役員CEO ⽥中 潤
創業:2004年3⽉
業務内容:
帳票およびBI(ビジネスインテリジェンス)のデータエンパワーメント領域で国内トップシェア※のソリューションを開発・販売をしています。
※出典:株式会社デロイトトーマツミック経済研究所「帳票設計・運⽤製品の競合調査2021年度版」 (帳票運⽤製品)/ITR「 DBMS/BI市場 2021」データ分析/レポーティング市場:ベンター別売上⾦額推移
○団体概要
団体名:⼀般社団法⼈サスティナビリティ・DX推進協議会(SDXC)
所在地:東京都中央区八丁堀二丁目2番4号
代表者:代表理事 藤⽥ 祐介
設⽴:2022年3⽉30⽇
業務内容:
⼀般社団法⼈運輸デジタルビジネス協議会と会員企業の株式会社GCAPが連携して2022年3⽉にSDXCを設⽴。
物流事業者に向けた、事業計画策定⽀援プログラムを開発し、展開しています。
団体名:⼀般社団法⼈運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)
所在地:東京都港区六本⽊三丁⽬2番1号 六本⽊グランドタワー
代表者:代表理事 ⼩島 薫
設⽴:2016年8⽉9⽇創⽴、2018年6⽉8⽇⼀般社団法⼈化
業務内容:
トラック貨物事業者を含む運輸事業者とさまざまなソリューションや技術を持ったサポート企業が連携して、運輸事業者の共通課題の解決やDXを推進する団体です。
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