7割の女性が「年収の壁なければ、勤務時間を増やしたい」と回答
― 制度見直しにより、380万人分に相当する雇用確保の可能性 ―
※1:2020年2月末時点、国内で覆面調査を実施する上場企業の公表値との比較
7割を超える人が「働き損が発生しないなら勤務時間を増やしたい」と回答
「就業調整」をしていると回答した有配偶パート女性に、「社会保障制度や税制などの改革が行われ一定の年収額を超えても手取り収入が減らなくなった場合、現在よりも勤務時間を増やし、年収を増やしたいですか?」と質問したところ、50.9%が「とてもそう思う」、24.1%が「まあそう思う」と、あわせて75.0%の人が「そう思う」と回答しました。7割以上もの人が、働き損が発生しないのであれば、今より勤務時間を増やすことを望んでいる様子がうかがえます。
Q. 社会保障制度や税制等の改革が行われ、一定年収額を超えても手取り収入が減らなくなった場合、
現在よりも勤務時間を増やし、年収を増やしたいですか?(単一選択)
「就業調整をしている」と回答した744名のうち有効回答735件のデータを利用
働き損が解消された場合、平均で月間43.9時間の勤務時間増を希望
「社会保障制度や税制などの改革が行われ一定の年収額を超えても手取り収入が減らなくなった場合、現在よりも勤務時間を増やし、年収を増やしたいか」の問いに対して「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した有配偶パート女性に、月間の平均で何時間勤務時間を増やしたいかたずねたところ、平均43.9時間、中央値30.0時間となりました。令和4年に改定された最低賃金時間額の全国加重平均額961円で換算すると、増やしたい月額給与額は平均で42,188円、中央値では28,830円となりました。
Q. 月間の平均で勤務時間を、何時間増やしたいですか?(数字を記入する形での回答)
「現在就業調整をしている」かつ、働き損が解消された場合に勤務時間を増やしたいかの問いに対して「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した551名のうち有効回答509件のデータを利用
働き損が解消された場合、380万人分の労働力確保につながる可能性
ここまで有配偶パート女性の就業についての意向や希望を探ってきましたが、視点を変えて、今回の結果が雇用企業側の人材不足解消にどのように貢献するかを考えるため、「働き損が発生しない場合の希望月間勤務時間」が、その回答者の「現在の月間平均勤務時間」の何倍になるのかを試算したところ、中央値は1.43倍となりました。
Q.「現在就業調整をしている」かつ、働き損が解消された場合に勤務時間を増やしたいかの問いに対して「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した551名のうち有効回答509名、かつ、現在の月間平均勤務時間20時間以上の462名の回答結果を利用
「1人が1.43倍働くこと」と「就労人数が1.43倍増えること」では同等の労働力を確保できると考えると、労働力調査(詳細結果)2022年平均結果から、有配偶パート女性の就労人数は886万人と推定できる※2ため年収の壁を解消することは有配偶パート女性380万人分もの労働力を生み出す効果があると考えられます。
配偶者控除などの制度はあくまで働く人のためのものであり雇用者のためのものではないことが大前提ですが、「年収の壁」に手を打つことは、有配偶女性の年収の向上と同時に、昨今の人員不足解消についての対策にもなると言えます。
※2「労働力調査(詳細結果)2022年平均結果」の「第11表 配偶関係、年齢階級、雇用形態別雇用者数、失業者数及び非労働力人口(卒業者) 」より、パート・アルバイト雇用者数のうち「卒業で女性1,012万人」から「卒業で未婚女性126万人」を差し引いた数である886万人を利用。
<フリーコメント>
本調査に回答してくださった方からは、「年収の壁」について下記のようなコメントが寄せられました。
◆時給の上昇や物価高など時代の変化にあわせてほしい
時給も年々上がり扶養内で働きづらくなっているので、早く法改正してほしいです。(40代)
時給が上がっているのに年収の壁が上がらないのはおかしい。同じ時間数働けなくて、保育園に入るための時間数確保や、職場のシフトを埋めるのに困ります。(30代)
物価が上がっているのに、103万円未満しか働けないのは働ける時間があるのに働けないストレスがある。(40代)
◆働く意欲をそがない制度、働く意欲を高める制度設計が理想
働く意欲と能力がある人を抑え込む制度だと思う。(30代)
能力がある人が勤務時間を抑えているので人材が勿体ないと思う。また、収入が増えることで経済が回り雇用も増える可能性があるため壁は緩和されたほうが良いと感じる。(20代)
103万円だと週の労働時間として考えるとちょっと低いと思う。子供の成長の段階として、幼稚園や小学校入学で子育てから少し落ち着き始め、少しずつ労働したいという人達の意欲を抑えてしまうと思う。もう少し働きたい…。(40代)
◆必要なだけ収入を得られる制度にしてほしい
家計が大変だから働いているのに、たくさん稼ごうとすると逆転する制度に腹が立ちます。(40代)
育児にはお金がかかるのに年収の壁の制度は撤廃してほしい。(30代)
もう少し稼ぎたいけど、働き損にならないためには年収200万円以上稼がなければならなくて、そうすると家事などの時間がなくなるため、非常に不自由だと思う。(30代)
◆あわせて別の対策も必要
働きたくても働けないのにはいろんな理由があって私の場合、子育てや家事の協力がない状態で、時間的体力的にセーブせざるを得ないのが現実。片方に家事育児が集中しない環境の変化を望んでいます。また、保育園に入れない、幼稚園での預かり保育の延長など子供を安心して見てもらえる環境整備をお願いしたいです。(40代)
壁をなくすだけではなく男性の家事に対する意識改革が必要だと思う。(40代)
夫の職場の家族手当が103万まで支給です。それが、130万までに変更になれば130万まで働きたい。(40代)
<調査概要>
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2023年3月29日~4月10日
調査対象 :パートタイムで働く有配偶の女性
サンプル数:1,267名
株式会社MS&Consulting 会社概要
株式会社 MS&Consulting は、顧客満足度・従業員エンゲージメントの向上によるサービスの高品質化・高付加価値化を目的とした経営コンサルティングを行っており、顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」を基幹サービスとして、店舗業務スマート化SaaS「tenpoketクラウド」及びコンサルティング・研修などの各種サービスを提供しております。
代表者:代表取締役社長 並木 昭憲
URL:https://www.msandc.co.jp/
<報道機関からのお問い合わせ先>
株式会社MS&Consulting ブランディング推進部 マーケティング担当:宮本
e-mail:pr@msandc.co.jp
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