当事者・家族とともに「高次脳機能障害」の理解をひろげる講習会を開催
5年ぶりの対面開催に当事者・家族ら約130名が参加
リハビリテーション病院を中心に介護施設、高齢者住宅、在宅医療・介護サービスを運営する京都大原記念病院グループ(京都市左京区、代表 児玉博行、以下、「当グループ」)が事務局を務めた「第28回 脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会(以下、講習会)」が11月17日(日)に開催されました。
講習会は、日本損害保険協会(以下、協会)助成のもと、脳卒中や交通事故の後遺症である「高次脳機能障害」の当事者団体や医療・福祉事業所に所属する支援者ら約20名で組織する実行委員会形式で開催するものです。今回は「当事者・家族とともに高次脳機能障害の理解をひろげよう」をテーマに掲げ、日本高次脳機能障害友の会で顧問を務める山口加代子先生(臨床心理士・公認心理士)の講演と、当事者・当事者家族・医師ら支援者を交えたシンポジウムを実施。5年ぶりの対面開催となった当日は、当事者および当事者家族を中心に約130名(オンライン視聴者を含む)が参加されました。また、実行委員長を武澤信夫医師(当グループ 御所南リハビリテーションクリニック)が務めました。
高次脳機能障害の理解をひろげ、当事者および当事者家族支援の一助となることを目指し、以下に実施概要をご報告します。なお、京都大原記念病院グループLINE公式アカウントにて、12月10日(火)にアーカイブ配信を予定しておりますので合わせてお知らせします。
■ 一般社団法人 日本損害保険協会 助成「第28回 脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会」開催概要
日時|2024年11月17日(日)13時~16時
場所|京都府立 京都学・歴彩館、およびオンライン配信
主催|脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会 京都実行委員会
■ 第一部|講演
高次脳機能障害 当事者と家族への支援-高次脳機能障害支援法制定を願って-
<講師> 山口加代子先生(臨床心理士・公認心理士)
<座長> 冨田素子先生(京都博愛会病院 リハビリテーション科 医師)
【要約】
見た目にわかりづらく、また「自分の障害に気づかないこと自体が高次脳機能障害」とも言える特性から、見過ごされがちになっている課題に言及。医療者も、入院中は社会的行動障害が顕在化しにくいため、原因となる脳損傷、脳卒中などによる身体機能の回復に注目しがちで、心理面も捉えた総合的診断ができる医療機関が少ない状況をご紹介いただきました。特に未診断の当事者は社会に適合できず、社会的ひきこもりの傾向にある実態もあることから、「軽症例を含めた適切な診断で本人・家族が理解でき、必要な支援につなぐ仕組みづくりに向けて高次脳機能障害支援法が必要」と考えをまとめられました。
■ 第二部|シンポジウム
「当事者・家族とともに高次脳機能障害の理解をひろげよう」
<報告> 中丹高次脳機能障害者と家族の会 さくら/高次脳機能障害支援 家族会 里やま/高次脳機能障害サポート研究会
<座長> 植田仁美様(京都府立心身障害者福祉センター 生活訓練所 ひまわり)/南本宜子様(高次脳機能障害サポート研究会)
【要約】
前半の当事者講演では、障害を負ってから現在に至るまでの経験が率直に語られました。高次脳機能障害と診断される前の職場で「若年性認知症か?」と半分笑いながら言われた場面ははっきり覚えているといいます。家族会や支援者との出会いを糸口に、「自分の取扱説明書」をもって障害をオープンにして求職活動し、現在は病院で施設案内やデスクワークに取り組まれています。参加者に「今の自分を理解して、当事者同士が繋がる事も大事。人に迷惑をかけてもいいと思ってほしい」とメッセージを送られました。
後半は、ご子息が交通事故で脳外傷を負い、高次脳機能障害を発症された2名が家族の立場から発言。共通して突然の障害により本人だけでなく自分(家族)の生活も一変した経緯に触れながら、「本人に寄り添う気持ちが重要。できること、興味があることに少しずつ取り組んでみてほしい」とされました。自らの語りかけに些細な「共感」を得られた時の喜びに触れ、「忍耐が必要だが、道は開ける。辛い時は家族会のつながりも頼り“自分の人生”を生きてほしい」と家族へのエールが送られました。
■ 脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会 京都実行委員会について
一般社団法人日本損害保険協会が自動車事故被害者対策の観点から実施する「自動車事故被害者およびその家族を対象とするリハビリテーション講習会に対する助成事業」の助成要件を満たすため、平成20年度より実行委員会を設置。京都府内の当事者団体や医療機関等専門機関で高次脳機能障害の支援に当たっている者を中心に組織しています。
■ 本講習会をご支援いただいた皆さま
後援|
一般社団法人 京都府医師会・公益社団法人 京都府看護協会・一般社団法人 京都府理学療法士会・一般社団法人 京都府作業療法士会・一般社団法人 京都府言語聴覚士会・京都精神保健福祉士協会・一般社団法人 京都府臨床心理士会・一般社団法人 京都社会福祉士会・公益社団法人 京都府介護支援専門員会・社会福祉法人 京都府社会福祉協議会・社会福祉法人 京都市社会福祉協議会・京都府教育委員会・京都弁護士会・一般社団法人 京都医療ソーシャルワーカー協会・京都地域リハビリテーション研究会・京都新聞
協力|
京都府・京都市
■ 講習会公式パンフレット
本講習会のパンフレットは、高次脳機能障害の当事者にデザインをご担当いただきました。
■ アーカイブ配信
京都大原記念病院グループLINE公式アカウントより、12月10日(火)に配信を予定しています。登録は無料。視聴を希望される方はご登録ください。
京都大原記念病院グループ
1981年、京都大原に大原記念病院(当時)を開院。以来、リハビリ医療を中心に医療・介護の総合ネットワークを展開。2000年には京都府の民間医療機関で初めて回復期リハビリ病棟を導入。2013年、御所南リハビリテーションクリニック、2018年、京都近衛リハビリテーション病院を加え、リハビリを中心に、介護施設、高齢者住宅、在宅医療・介護サービスを展開している。
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