ファーメランタ、シリーズAラウンドで20億円の資金調達を実施し、 累計調達額は48億円に
合成生物学によるバイオものづくりにおける量産実証開発を加速
合成生物学により天然由来希少有用成分の微生物発酵生産を行うファーメランタ株式会社(本社:石川県野々市市、代表:柊崎庄吾、以下「ファーメランタ」)は、この度、シリーズAラウンドにおける三者割当増資(以下「本調達」)を実施したことをお知らせします。新たに参加したユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社及び既存株主のBeyond Next Ventures株式会社を中心に、同じく既存株主のAngel Bridge株式会社に加え、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブをはじめとする7社の引受先を新規株主として迎え入れました。
併せて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU事業)におけるPCA フェーズ(実用化研究開発(後期))の採択が決定し、総計20億円の資金調達ラウンドとなりました。本調達及びこれまでの助成金採択実績を含む累計資金調達額は48億円となりました。

■資金調達概要
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シリーズAラウンド
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本調達における調達額:20億円(DTSU事業PCAフェーズ助成金を含む)
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第三者割当増資引受先(五十音順): SMBCベンチャーキャピタル株式会社、Angel Bridge株式会社、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ、農林中金キャピタル株式会社、Beyond Next Ventures株式会社、ほくりくスタートアップコミュニティファンド(株式会社QRインベストメント/HED株式会社)、三菱UFJキャピタル株式会社、みやこキャピタル株式会社、ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社
■資金調達の目的
ファーメランタは、植物など天然由来の有用成分を微生物で発酵生産し、次世代のサプライチェーンを構築することを通じて、人類及び地球の健康増進に貢献することを目指す石川県立大学発のベンチャー企業です。
本調達は、2023年5月のシードラウンドに続き、ファーメランタにとって2回目の資金調達です。今回調達した資金は、開発パイプライン拡大に伴う研究開発費用、ラボからパイロットスケールへのスケールアップ開発体制の強化、商業化を前提とする事業開発体制の強化などに充当する予定です。今後、外部の開発製造受託機関(CDMO)との連携を通じて、複数の開発中パイプラインのスケールアップによるサンプル試作及び量産化を実証します。パイロットスケールの実証が完了した開発化合物については、商用規模の生産体制構築に着手予定です。
■代表取締役CEO 柊崎庄吾のコメント
「この度のシリーズAラウンドにおいて、9社の投資家様からご出資いただけることを心から喜ばしく思うとともに、深く感謝申し上げます。既存株主様の追加出資に、新たに7社を加えた心強い投資家様のご支援を賜りつつ、グローバル市場で挑戦する事業基盤を整備していく所存です。シードラウンドでの資金調達から現在まで、開発パイプラインの拡充と事業連携プロジェクトの組成を推進して来ました。それらを支える人材採用面での組織体制の拡大は、ファーメランタの強みともなる成果と言えます。今後、量産化実証並びにサンプル品の生産販売に着手し、将来的な商業生産を通じて新しいバイオ産業の振興に貢献します。」
■引受先からのコメント(敬称略、順不同)
⚪︎新規株主
ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社
投資担当 柴藤祐介
「ファーメランタ社が目指す、バイオプロセスによる物質生産の革新は、産業構造に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。微生物への多段階遺伝子導入とその精緻な制御を核としたプラットフォーム技術は、多様な植物由来原料の生産に柔軟に対応可能で、技術の横展開性にも優れています。こうした強固な技術基盤を持つ同社に投資できたことを大変嬉しく思っており、近い将来ユニコーン企業として飛躍することを確信しています。ファーメランタ社の挑戦の一助となれるよう、継続的に支援してまいります。ファーメランタ社の革新的な技術が社会に広く浸透し、持続可能な未来の実現に貢献することを心より期待しています。」
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ
プリンシパル 佐竹祐輔
「この度、合成生物学により天然希少成分の発酵生産を行うファーメランタ社に資本参加できることを大変嬉しく思います。同社の基盤技術は、経済合理性と品質を両立しながら、持続可能な物質生産を実現するものであり、課題の多い既存手法に代わる新たな産業モデルを切り拓く可能性を秘めています。同社のさらなる成長と産業構造の変革に向けて、全力で支援してまいります。」
⚪︎既存株主
Beyond Next Ventures株式会社
パートナー 有馬暁澄
シニアアソシエイト 矢藤慶悟
「ファーメランタ社は、いま世界で求められている持続可能なものづくりの在り方を、合成生物学という切り口から実現しようとしています。自然資源への過度な依存から脱却し、新たなサプライチェーンを築くその挑戦は、日本にとっても非常に重要な意味を持つと感じています。こうした未来志向のものづくり基盤が日本から立ち上がることに大きな期待を寄せつつ、新たに参画いただいた投資家の皆様とともに、我々も引き続き伴走してまいります。」
Angel Bridge株式会社
代表パートナー 河西佑太郎
シニアアソシエイト 三好洋史
「前回のシードラウンドに続き、今回も出資を決断した背景には、ファーメランタ社の高い技術的完成度と、着実な事業推進があります。柊崎CEOは、困難な課題にも真摯に向き合い最後までやり切る胆力と組織を導く力を兼ね備えた経営者であり、事業連携や採用など成長に不可欠な取り組みを堅実に進めてきました。合成生物学への注目が高まる中で、同社の技術開発と事業展開は将来性に富んでおり、今後の飛躍を期待しています。Angel Bridgeとして、ファーメランタの目指す未来の実現に向け、引き続き全力で伴走してまいります。」
■バイオものづくり産業とファーメランタが目指す未来
近年、持続可能な化学産業への転換を図るため、バイオテクノロジーを活用したバイオものづくり産業の育成が加速しています。バイオものづくりとは、微生物や生物細胞を「ものづくりの工場」として活用し、医薬品や化粧品原料、バイオ燃料やプラスチック原料などを生産する技術です。バイオマス由来の再生可能資源を利用し、環境負荷を抑えながら物質生産を実現することができます。
政策面では、2019年に策定され2024年に新たに改定された「バイオエコノミー戦略」に基づいて、バイオエコノミー市場全体で新たに100兆円規模の市場創出を目指す取組みが推進されています。バイオものづくり市場においては、経済産業省を中心にグリーンイノベーション(GI)基金事業(予算:1,767億円)やバイオものづくり革命推進事業(予算:3,000億円)など大規模な国家的助成事業が行われており、2030年のバイオものづくり市場規模は53兆円の目標が掲げられています。
バイオものづくりを一層に推進する技術として、「合成生物学」という分野が注目されています。合成生物学は、生物の仕組みをモジュール化して再設計し、目的に応じた新たな機能を創り出す「設計」と「構築」に基づく工学的なアプローチです。従来の応用微生物学や遺伝子工学が自然に存在する機能の「発見と改変」に重点を置いているのに対して、合成生物学は自然には存在しない機能も創り出す「生物システムのプログラミング」を目指す革新的な分野です。
合成生物学は、バイオものづくりにおけるより柔軟で迅速な開発を可能とし、これまで困難だった高機能物質の生産や汎用化学物質のスケールアップを実現することで、新たな産業の中核技術として期待が高まっています。一方、商業的な成功事例や産業応用可能な技術レベルの成熟は国内外で未だ限定的な状況です。ファーメランタは、生命システムの理解と制御を志向する基礎研究に基づくアプローチで、根本的に経済合理性のある形で産業応用可能な技術基盤の開発を行っています。
ファーメランタが長期的に実現を目指す技術開発は、最新の合成生物学的手法により分野・構造を問わず低分子から高分子まで様々な化合物を何でも安価につくることができる究極的な「合成生物」です。化学合成法や植物抽出法に依存する伝統的な物質生産手法に代わる産業構造のパラダイムシフトを起こし、持続可能な新産業の創出を図ります。
2025年7月には、EXPO 2025 大阪・関西万博に出展し、未来の暮らしや未来への行動を考えるフューチャーライフヴィレッジにおいて企画展示を行いました。合成生物学による技術がもたらす新しい産業の意義、技術の社会受容性をテーマに、来場者とともに未来を共に考え体験する場を提供しました。微生物で生産したトマト抽出物の有効成分である発酵リコピンを展示し、植物栽培法に対する微生物発酵法の生産効率性に対して、多くの反響を得ました。

■創業後からこれまでの歩み
ファーメランタは2022年10月設立以来、一般的なバイオテック・スタートアップの成長曲線に比類のないスピードで、短期間で研究開発並びに事業開発体制の拡大を実現して来ました。製品開発パイプラインは、当初医薬品原料の1テーマからスタートし、現在では自社及び共同開発先とのプロジェクトを含み10テーマ以上に達しております。
併せて、世界に誇る合成生物学によるバイオものづくり技術基盤の社会実装に向けて、複数の公的資金による支援事業に採択されております。
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国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(NARO) 生物系特定産業技術研究支援センター スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)
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公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO) 成長戦略ファンド スタートアップ創出支援事業
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ISICO 成長戦略ファンド研究開発支援(DX)事業
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NEDO DTSU事業 STS(実用化研究開発(前期))フェーズ/PCAフェーズ
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農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金事業)
特に、フェーズ3基金事業においては、3,000L培養槽を有するパイロットプラントの建設に着手し、量産化実証に取り組んでいます。物質生産菌細胞株の開発からスケールアップまでを実現する世界初の植物由来機能性素材の開発拠点として位置づけ、国内事業会社との連携を深めることで、バイオ技術を活用した次世代の持続可能なフードテック産業の振興を図ることを目的とします。本施設は2026年5月の竣工を予定しています。

大学発技術をシーズとする研究開発型スタートアップとして、ファーメランタのこれまでの取組みは、各方面で高い評価をいただいております。技術的先進性や社会的意義、その事業成長ポテンシャルについて、大きな期待が寄せられています。
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一般社団法人科学技術と経済の会が主催する「第12回技術経営・イノベーション大賞 選考委員特別賞」
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日本政策投資銀行が主催する「DBJスタートアップアクセラレーションアワード2024 ファイナリスト」
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EY (Ernst & Young)が主催する「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ジャパン東海・北陸地区 アントレプレナー賞」
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Forbes JAPANが選出する「2024年注目の日本発スタートアップ100選」
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週刊東洋経済が選出する「すごいベンチャー100(2023年版)」
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米国アグリ・フードテックVCのAgFunder及び独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が主催する「アグリ・フードテック・ミートアップ2023 大賞」
2025年8月には、多様な業界や企業が集まる首都圏での事業開発体制の強化を企図し、東京オフィスを開設しました。この所在地である「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub(LiSH)」は、JR山手線高輪ゲートウェイ駅に直結し、各種セミナーやワークショップの実施を可能とするスペースを備えるほか、生命科学分野の研究における実験を行う特化ラボも併設し、スタートアップの事業成長を支えるエコシステムが整備されています。国内外での事業展開を一層推し進め、勤務地の選択肢拡大による多様な人材確保を強化します。

■開発パイプラインの用途及び製品
ファーメランタは、伝統的に化学合成法や植物抽出法により生産されている有用成分を、非化石資源(バイオマス)を原料とするより持続可能な方法で、数日のリードタイムで量産する効率的なバイオ生産プロセスの開発を行っています。これらの用途は、医薬品、化粧品、健康食品機能成分、香料、農薬、飼料添加物、電子材料を含む特殊化学品など、非常に多岐に亘る化学産業に展開することが可能です。
ファーメランタが保有する技術は、合成生物学を利用した産業用人工菌株の構築における統合的な基盤技術です。情報解析技術を用いてさまざまな生物種からの最適な生合成遺伝子を組み合わせることで、大腸菌内で目的の代謝産物(有用成分)を生み出す効率的な改変型生合成経路を構築します。前例のない数にも及ぶ20以上の外来遺伝子を1菌体に導入し適切に発現させることを可能とする多段階遺伝子導入技術を特徴とする一方、細胞機能や生物システムの最適化には複数の要素技術を組み合わせてチューニングを行っています。

ファーメランタの製品開発パイプラインは複数に跨り、一部の化合物については、既存市場の製品単価を下回る実用生産収量をラボスケールで達成し、ベンチスケールでの再現性の高い生産実証を実現しております。ラボ・ベンチスケールの精製手法を開発する体制を構築しており、1バッチあたり数十グラムの生産物の取得により、研究用途試薬やサンプル品の提供が可能です。現在、CDMOとの連携により、更なるスケールアップが可能な体制整備に着手しており、1バッチあたり数十~数百キログラムの生産物の製造を目指します。
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植物アルカロイド類:複雑な構造を有し生理活性が強く、医薬品や農薬の原料・原薬として利用
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植物フラボノイド類:ポリフェノールなど健康機能性成分として利用
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植物テルペノイド(カロテノイド)類:食品・化粧品香料や色素、健康機能性成分などの原料として利用
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多糖類:ヒアルロン酸などの化粧品原料や抗血液凝固剤ヘパリンなどの医薬品原料、その他食品添加物として利用(動物由来の回避)
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ビタミン類:サプリメントや動物用飼料添加物など、栄養成分として利用
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ペプチド類:食品機能性成分や医薬品原料として利用

■海外事業開発体制の強化
ファーメランタは研究開発体制の充実に伴い、事業開発部門の強化に取り組んでいます。メンバー全員が生命科学や有機合成化学における修士号又は博士号を有する非常に専門性の高いメンバーで構成され、新たに組成した海外市場担当チームが、現在過半数を占めています。
これまで国内産業界においては一定の認知度を獲得し、種々のパートナー企業とのプロジェクトを推進しています。一方、海外市場においては、初期的にはJETROが主催する「Global Startup Acceleration Program (GSAP) BioTech/MedTechコース」や「J-StarX Global Growth for Climate Tech」、NEDOが主催する「France Immersion Program」等のアクセラレーションプログラムの採択を通じて、現地市場参入におけるネットワークを構築して来ました。世界有数の科学技術インキュベーターであるカナダのCreative Destruction Lab (CDL)のAg Streamプログラムへの参加は、世界各国約300社の応募からの採択で、日本企業が選出されるのはファーメランタが初となりました。
2025年4月には、経済産業省が米国・シリコンバレー(カリフォルニア州パロアルト市)に保有する「Japan Innovation Campus (JIC)」のコワーキングメンバーとして採択され、米国における事業開発拠点を設置しました。今後、米国市場をはじめとして、フランスなどの欧州市場において、更なる事業展開に取り組んでいきます。
■採用情報
ファーメランタは、研究開発及び事業開発、管理部門に係る人材採用を拡大しています。ご関心がある方は、ファーメランタウェブサイト採用情報ページにて詳細をご確認いただき、お問い合わせください。
■共同研究開発や事業提携について
ファーメランタは、任意の目的化合物における高生産菌株の構築を目指す事業会社と連携し、共同研究開発プロジェクトを推進しております。ファーメランタの技術基盤や共同研究開発にご関心がある方は、下記「本リリースに関するお問い合わせ」窓口にお問い合わせください。
■ファーメランタ株式会社について
ファーメランタは、健康増進に有用な植物など天然由来の希少成分を発酵生産するスタートアップです。石川県立大学発ベンチャー企業として、合成生物学を利用した産業用人工菌株の構築における統合的な基盤技術を特徴とします。詳細はファーメランタウェブサイトをご確認ください。
【会社概要】
社名: ファーメランタ株式会社
所在地: 石川県野々市市末松3丁目570番地 いしかわ大学連携インキュベータ
代表取締役: 柊崎 庄吾
設立: 2022年10月19日
事業内容: 合成生物学による天然由来希少成分の製造販売、並びに物質生産菌株の構築サービス
■本リリースに関するお問い合わせ
担当: ファーメランタ株式会社 広報担当
Email: info@fermelanta.com
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