【大学×企業】革新的牛ふん堆肥「スマートリッチ」で持続可能な次世代農業に挑戦
静岡県立大学の学生と富士見工業が産学連携ワークショップの成果を発表
静岡県立大学(所在地:静岡市、学長:今井 康之)の学生チームは、富士見工業株式会社(本社:静岡県駿河区、代表取締役:山本正信)と約5か月間にわたる産学連携ワークショップを実施し、革新的な粒状牛ふん堆肥「スマートリッチ」を活用した農業DXやエコ商品開発に取り組んできました。
アントレプレナーシッププログラムとは
静岡県立大学の学生が中心となり、富士見工業株式会社・静岡鉄道株式会社・静岡ガス株式会社の3社と協働して、社会や企業が抱える課題の解決に挑戦する実践型のワークショップです。
異なる学部・学年の学生がチームを組み、現場見学や企業担当者との対話を通じて課題に取り組む中で、起業家精神(アントレプレナーシップ)を育みます。学生にとっては、講義では得られないリアルな学びを体験でき、企業にとっても学生の柔軟で斬新なアイデアが新たな価値創出のきっかけになります。


2025年3月14日に行われた成果発表会では、「堆肥購入アプリ構想」「泥団子づくりによる免疫力向上プログラム」など、堆肥の新たな可能性を多角的に探るアイデアを提案。従来の牛ふん堆肥の課題を解決した「スマートリッチ」が、農業のみならず教育・健康分野までを含む「食・美・健・学・土・農」の循環システム構築へと発展する可能性を発表しました。

1. プロジェクトの背景と「スマートリッチ」の誕生

近年、持続可能な農業の実現や循環型社会の構築が強く求められています。特に、家畜糞尿の再利用は未利用資源の有効活用として注目されていますが、従来の牛ふん堆肥には以下の課題がありました:
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機械散布の困難さ:繊維質が多く、機械での均一散布が難しい
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異臭の問題:強い匂いにより取り扱いが不快
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輸送の難しさ:水分が多く体積が大きいため、広域流通が困難
そこで富士見工業株式会社では、牛ふん堆肥の粒状化技術を独自開発し、従来品と比較して以下の特長
を持つ「スマートリッチ」を誕生させました:
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肥料成分(窒素・リン酸・カリウム)が約2~3倍に向上
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土壌改良効果が約4倍に向上
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異臭が大幅に減少し、使いやすさが向上
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機械散布が可能になり、作業効率が飛躍的に改善
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軽量化により広域流通が可能に
実験結果によれば、従来の牛ふん堆肥と比較して「スマートリッチ」は使用量を70%削減、コストを30%削減、さらに作業時間を88%短縮することに成功しています。
2. 学生チームの取り組み内容
静岡県立大学の学生チームは、2024年11月から約5か月間、富士見工業と連携しながら「スマートリッチ」の新しい活用法を模索。ワークショップを通じて、以下の軸でアイデアを練り上げました。
(1) 「堆肥購入アプリ」の開発提案 ―「普及するたい肥」への進化

FAX注文からDXへ 現在、多くの堆肥注文はFAXや電話が主流となっており、在庫管理や価格調整に課題があります。学生チームは以下の特長を持つ堆肥購入アプリを構想しました:
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スマホやPCから手軽に注文・決済が可能
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農家だけでなく家庭菜園ユーザーへの拡大
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特許取得を目指したアプリ開発で、「スマートリッチ」ブランドの認知向上
全国展開に向けた適正価格と迅速配達システム 富士見工業が各地に持つ拠点網を活かし、受注エリアごとに最適な在庫管理を行い、輸送コストの削減と迅速配達を実現。市場活性化と新規顧客の開拓を目指します。
(2) 泥団子づくりによる新商品提案 ―「循環するたい肥」への挑戦

五感を育む体験型コンテンツ 発酵が進んで扱いやすくなった「スマートリッチ」を混ぜた土で泥団子を作るワークショップを提案。匂いが抑えられているため、従来の牛ふん堆肥では難しかった子ども向け教材としての活用が可能になりました。
免疫力や創造力の向上効果 NHK「病の起源 第6集 アレルギー」(2008年放送)で紹介された「エンドトキシン理論」によれば、家畜の糞に含まれる微生物との適切な接触がアレルギー予防に効果的とされています。泥団子づくりを通じて:
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創造力の向上(形や水分量の調整など)
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集中力の育成(夢中になって取り組む経験)
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社会性・コミュニケーション能力の発達
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免疫力の強化(土壌微生物との適度な接触)
といった多面的な教育・健康効果が期待できます。
3. 成果発表会の様子

2025年3月14日に実施された成果発表会では、静岡県立大学の学生が「スマートリッチ」のメリットを解説した上で、参加者全員で「5分間で美しい泥団子を作る」というユニークなワークショップを体験。実際に水分調整をしながら土を丸める工程で、「見た目も匂いも、牛ふん堆肥とは思えない!」 「思った以上に扱いやすく、工作感覚で楽しめる」といった声が上がりました。この体験を通じて、参加者は「スマートリッチ」の異臭の少なさと扱いやすさを実感。さらに、最も美しい泥団子を決定するミニコンテストも開催され、参加者同士のコミュニケーションが活性化しました。
学生チームが堆肥アプリ開発案を説明した際には、「DX化による注文のしやすさ」「全国レベルでの流通への期待」など多くの質問が寄せられ、牛ふん堆肥の常識を覆す革新的なビジネスモデルとして注目を集めました。
4. 今後の展望

堆肥アプリ構想のブラッシュアップ
富士見工業は、学生たちが提示したアプリ画面イメージや機能要件をもとに、注文・決済機能の試験的な運用を検討。在庫管理システムとの連携により、全国各地へ「スマートリッチ」を効率的に届ける体制を構築します。さらに、アプリ特許取得を目指し、農業DXの先駆けとなるサービス展開を計画しています。
教育・健康分野での新商品・プログラム開発
今回の泥団子づくりのアイデアを発展させ、地域イベントや教育機関での体験学習プログラムとして活用。「食・美・健・学・土・農」を結ぶ循環型社会教育の一環として、子どもたちの免疫力向上と環境意識の醸成を目指します。

■富士見工業チーム
看護学部3年
株式会社なまけもの 代表取締役社長
髙林佑介
看護学部3年
株式会社なまけもの 広報部長
山本 絢音
経営情報学部2年
鈴木 佑理
■会社概要
【社名】富士見工業株式会社
【住所】〒422 - 8026 静岡県静岡市駿河区富士見台1-21-22
【URL】https://fujimi-group.co.jp/
■ 本件に関するお問い合わせ
担当:社長室室長 山本縁
電話:054-282-2351(代表)
メール:y.yamamoto@fujimi-group.co.jp
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