第8回 自動翻訳シンポジウム生成AIとAI翻訳 ~自治体での活用~を開催しました!
総務省・国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)・グローバルコミュニケーション開発推進協議会 主催
2025年2月19日(水)、総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及びグローバルコミュニケーション開発推進協議会は、「生成AIとAI翻訳 ~自治体での活用~」をテーマに、8回目となる「自動翻訳シンポジウム」を品川インターシティホールにて開催しました。当日は422名が参加し、研究者による最新の技術動向や、開発メーカーによる、各自治体での自動翻訳機器・サービスの活用に関する講演や、22者の企業・団体による最新の自動翻訳製品・サービス等の展示が行われました。
第8回 自動翻訳シンポジウム 概要
日 時 2025年2月19日(水)12:45~18:00
開催場所 品川インターシティホール
※最新の同時通訳・自動翻訳システム等の展示会を併せて実施。
参 加 者 422人
主 催 総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構 (NICT)、
グローバルコミュニケーション開発推進協議会
後 援 内閣府 デジタル庁 法務省 外務省 文部科学省 厚生労働省 農林水産省
経済産業省 特許庁 国土交通省 観光庁 環境省
一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会 一般社団法人人工知能学会
一般社団法人日本データベース学会 人工知能研究開発ネットワーク
挨拶・講演の要旨
開会挨拶
グローバルコミュニケーション開発推進協議会 須藤 修会長より開会の挨拶を行いました。
要旨
●本日は注目を集めている大規模言語モデルLLMや、日本の自治体における多言語翻訳の課題、サービスの実例や今後の可能性についてご講演いただく。自動翻訳技術に関連する製品やサービスの展示も行っているので、お立ち寄りいただきたい。
●今年は大阪・関西万博など大規模な国際イベントが控えており、言葉の壁を超えたコミュニケーションのため同時通訳技術の研究開発や実証実験を着実に進化させてきた。
●大阪・関西万博では来場者やスタッフなどが活用できる自動翻訳アプリ、セミナー会場における同時通訳などが実施される予定。ご来場いただき、最先端の多言語翻訳技術をご体験いただきたい。
主催者挨拶

主催者を代表し、阿達 雅志総務副大臣より主催者挨拶を行いました。
要旨
● 2024年の訪日外国人旅行者数は年間約3,700万人、在留外国人は約360万人となりどちらも過去最多を記録し、様々な国から日本への来訪が増加。産学官の力を結集した多言語翻訳技術の研究開発と社会実装の取組により、様々な多言語翻訳サービスが実現。
●今年開催の大阪・関西万博を未来社会の実験場とし、新たな同時通訳技術を含め体験いただきたい。
●生成AIの活用も視野に入れ、さらに高度な翻訳の実現と社会実装に向け後押ししていく。

基調講演
大規模言語モデルはどのように「ことばの壁」を超えるのか
東京科学大学 情報理工学院 教授 岡﨑 直観氏
要旨
●無償で最先端のAIを使うことができるDeepSeek-R1 が公開され話題に。一方、開発元が中国であったためリスク喚起も行われた。性能は数学の問題では最先端のオープンAIO1 と同等以上あり、第三者評価も高かった。
●DeepSeek-R1 はAIが質問に対してどう答えを導き出すのかという過程も含めて表示されるのが特徴で、独自の学習法と細分化されたアーキテクチャを使用することで効率化やコスト削減につながったのではないかと考えられる。
●大規模言語モデルは単語を翻訳する際に、英語を介して答えを導き出すピボット方式を内部で自発的に採用。これが、大規模言語モデルが言語の壁を越える仕組みにつながっている。Swallowモデルは日本語の能力を高めるために英語と日本語のデータを活用し、継続事前学習を行っている。

講演1
自治体における多言語翻訳技術の活用について
東京外国語大学 名誉教授 鶴田 知佳子氏
要旨
●東京オリンピックを契機に、外国人向けの英語看板や標識、ウェブサイトが増えたが、その多くが不適切な翻訳であることが指摘された。また、多くの自治体が機械翻訳を利用しているが、伝わりにくい英語になっていることが問題視されている。
●伝わる英語の確立のため、機械翻訳だけではなく、ネイティブによるチェックや英文構成、査読が必要であると強調。特に、固有名詞の翻訳ミスが多く見られることを指摘。
●機械翻訳の活用は歓迎すべきことだが、ネイティブ話者やプロの翻訳者による検証が不可欠。また、既存のガイドラインやツールを活用することで、より良い翻訳が実現可能。

講演2
自治体での多言語通訳サービスの活用事例
~東京都板橋区での実績~
コニカミノルタ株式会社 DW-DX事業統括部 国内ICW推進部
小笠原 堂裕氏
要旨
●コニカミノルタ株式会社の多言語通訳サービス「KOTOBAL(コトバル)」の、自治体での活用事例について板橋区の実績に焦点を当て講演。
●板橋区の障がい政策課は、障がい者や外国人住民との円滑なコミュニケーションを目指すために「KOTOBAL」を導入。福祉事務所での生活保護の相談対応や、ケースワーカーによる定期的なコミュニケーションに「KOTOBAL」を使用。また、保健師が外国人住民の妊婦訪問時に「KOTOBAL」を活用し、生活状況やビザ要件に応じたサービスの説明を実施。
●導入の効果として、93%の住民が「KOTOBAL」は役に立ったと回答し、職員の98%が「伝えたいことが伝わりやすくなった」と感じた。課題としては、希少言語の精度向上が挙げられた。今後は「KOTOBAL」の認知度を高めるべく、情報発信していく。

講演3
自治体でのインバウンド対応における自動翻訳の活用
TOPPAN株式会社 多言語ビジネス開発部 チームリーダー
永野 量平氏
要旨
●新潟市のイベント「新潟花街茶屋」で、自動翻訳システム「VoiceBiz Remote(ボイスビズリモート)」を導入。外国人観光客に対して、ガイドの説明を多言語でリアルタイムに翻訳し、参加者の体験価値を高めた。
●「VoiceBiz Remote」の3つの特徴として、自分の端末から相手の端末に翻訳された内容が伝わること、一度に多くの外国人との翻訳によるコミュニケーションが可能なこと、その場にいない外国人とも遠隔で翻訳できることが挙げられた。
●具体的な方法は、参加者がQRコードを読み取ってシステムに参加し、ガイドの説明を聞きながら体験を進めていくかたち。定型文機能を使うことで、周辺音の影響を受けにくくし、正確な翻訳を提供。酒造や製造工場の見学ツアー、観光ツアー、バスや電車でのツアー、アミューズメントパーク、体験ツアーなど、さまざまなシーンで活用中。
●2025年の大阪・関西万博では、EXPOホンヤクRemoteを提供し、観客とステージとの対話やガイドシーンでの利用を予定。

閉会挨拶
最後に、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 徳田 英幸理事長より閉会の挨拶を行いました。
要旨
●基調講演、講演では講師の方より、大変有益なお話をいただいた。基調講演ではLLMについて大変分かりやすく可視化していただき、講演では事例紹介等、今後目指すさまざまなサービスに向け、非常にいいヒントをいただいた。
●NICTでは「グローバルコミュニケーション計画2025」の下、「言葉の壁」を意識することなく、グローバルで自由な交流の実現を目指しており、翻訳バンクに提供いただくデータを活用して翻訳分野の拡大と精度の向上に努め、AIによる同時通訳の技術の確立と社会実装に向けた取組を実施。
●生成AIやマルチモーダル通訳の研究も本格的に取組みを進めており、新たな技術なども活用して、同時通訳技術をさらに発展させていく。


会場展示
当日は同会場にて、翻訳事業に携わる国内企業・団体(22者)によって、最先端の同時通訳技術の研究開発や最新の製品・サービス等が紹介されました。






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