アジアのAI戦略:STT GDCの調査が示す、インフラと人材不足による成長の停滞

AI活用で一歩先を行くシンガポール、本格展開に向けた課題が明確に

STT GDC JAPAN株式会社

シンガポール、2026年4月15日 — シンガポールに本社を置くデータセンターコロケーション事業者である ST Telemedia Global Data Centres(以下、STT GDC)は、最新のアジア地域調査レポート「戦略と現実の隔たり:AI戦略を左右するインフラ課題」を発表しました。本調査では、アジア各国の企業がAIを活用する段階で、初期段階から、実装の段階へとどのように移行しているかを分析しています。本調査は、STT GDCが調査パートナーであるEcosystem社と共同で実施したもので、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、ベトナムの9つのアジア市場において、600以上の企業を対象に調査を行いました。

高いAI導入率の一方で、実行段階への準備不足が明らかに

本調査によると、アジア全体でAIへの関心と導入意欲は非常に高く、約90%の企業がすでにAI活用に着手しています。一方で、そのうち71%の企業は、依然としてAI成熟度の「構築」段階にとどまっています。この段階では、AI戦略の方向性は定まり、PoC(実証実験)などの初期的な取り組みは進んでいるものの、それらを本番環境で継続的に活用するまでには至っていません。その結果、多くの企業が安定的かつ測定可能な投資対効果(ROI)を創出できずにいます。

AIの構築段階で直面する課題

測定可能な投資対効果を十分に示すことが難しい状況にある中で、これにより、高密度かつ専用設計のインフラ環境への追加投資を正当化しにくいという課題が生じています。また、社内における専門人材の不足によって構築段階での課題はさらに深刻化しています。多くの企業では、複雑化・高度化するAIインフラを大規模に運用・管理するために必要な専門的な運用スキルや知識が十分に確保できていないのが実情です。

STT GDCのGroup Chief Revenue Officerであるクリス・ストリートは、次のように述べています。「アジア全体で、企業はAIの実証実験段階から実装へと急速に移行しつつありますが、AIの成功は、もはやAIモデルそのものの開発ではなく、それを支えるインフラや運用体制の整備に左右される段階に入っています。スケーラブルなインフラと十分な運用準備がなければ、初期段階のAIへの期待を、安定した企業価値へと継続的に転換することは困難です。」

AI拡張におけるサステナビリティの課題

AIワークロードの拡大に伴い、電力消費や冷却需要が急速に増加しているにもかかわらず、多くの企業ではインフラ選定においてサステナビリティの観点が依然として後回しにされていることが明らかになりました。将来的な計画において、ESG目標が重要な判断要素になる、または中心的な役割を果たすと回答した企業は27%にとどまっています。一方、アジア全体の64%の企業は、依然としてパフォーマンスやコストを優先しています。AIを責任ある形で拡張していくためには、電力密度や熱効率、長期的な総所有コスト(TCO)が重要になってきているにもかかわらず、多くの企業ではその認識が十分に追いついていません。

AI活用を阻む、企業の「認識」と「現実」のギャップ

本調査では、AI活用を本格的に拡大するうえで企業が実際に必要としているケイパビリティと、インフラパートナーを評価する際の判断基準との間に、依然として大きな乖離があることも明らかになりました。アジア全域において、多くの企業はAI活用における主要な課題として、運用面での専門性、拡張性、コスト効率を挙げています。しかし一方で、インフラパートナーの選定においては、依然としてセキュリティや信頼性といった基本要件を最優先しているのが実情です。その結果、AIの本格展開に不可欠な機能や体制が、評価や意思決定に十分に反映されない状況が続いています。

シンガポールのAI活用と次なる制約

こうした課題はアジア全域で見られますが、AI活用の成熟度の高い市場では異なる形で顕在化しています。なかでもシンガポールは、初期段階の実証実験から前進している企業の割合が高く、地域平均との差が際立っています。アジア全体では「AIを本格展開できる準備が整っている」と評価されるAIの「統合段階にある企業が17%にとどまる一方、シンガポールでは40%の企業がすでにその段階に到達しており、初期の実行力や導入力の高さが示されています。

しかし本調査では、その先のAIを牽引する段階へと進むことが、最も難しい課題であることも明らかになりました。AIインフラの成熟度において「牽引」段階に到達しているシンガポール企業はわずか3%にとどまっており、アジアで最も成熟したAI市場とされるシンガポールにおいても、統合段階から牽引段階へ移行することの難しさが浮き彫りとなっています。

焦点は導入から拡大へ、AIの次なる課題

AI導入が比較的進んでいるシンガポールでは、課題の焦点が導入そのものから、スケール拡大へと移行しています。限られたインフラ、専門的な運用人材の不足、そして慎重な投資判断が、AIワークロードを本格的に拡大し、リーダーシップを維持する上での主な障壁として上げられています。

STT GDCのCountry Head – Singaporeであるミンチェン・リムは、次のように述べています。

「シンガポールではAI導入はすでに一定の成熟段階にありますが、今後の決定的な課題は、実際の需要に対応できるスピードで導入規模を拡大できるかどうかです。アジア地域における優位性を維持できるかは、インフラの拡張力、専門人材、投資アプローチが、増加するAIワークロードと同じペースで進めることができるかどうかにかかっています。」

インフラ選定に反映されないサステナビリティへの意識

シンガポールでは、規制要件の影響により、サステナビリティに対する認識は高まっています。しかし、インフラ提供事業者を評価する際に、サステナビリティが重視されることは依然として少なく、優先度の低い要素にとどまっているのが実情です。電力密度、熱効率、長期的なコスト効率といった要素が、AIを無理なく、持続的に拡大・活用していく上で、ますます重要となっているにもかかわらず、意識と実際の行動との間にギャップが存在していることが浮き彫りとなっています。

インフラ選定におけるニーズの不一致

この傾向は、シンガポールに限らずアジア全体に共通して見られます。シンガポールの企業においては、AI活用を拡大するために、専門的な運用力や迅速なスケール対応、持続可能で高密度なインフラが強く求められている一方で、インフラパートナーの選定においては、依然として従来の基本的な評価基準が重視されています。

これらの調査結果は、アジアにおけるAIの発展における次の成長フェーズが、単なる意欲や構想の大きさではなく、実行力によって左右される段階に入っていることを示唆しています。とりわけシンガポールが地域におけるリーダーシップを今後も維持していくためには、AIを大規模に展開ができ、安定した運用を可能にし、そして、迅速に活用できることを支えるインフラ戦略が不可欠です。そうした基盤を整えることで、企業は初期段階のAI活用の勢いを、持続的な競争優位へと転換していくことが可能になると考えられます。

レポート「戦略と現実の隔たり:AI戦略を左右するインフラ課題」のダウンロードはこちら:https://www.sttelemediagdc.com/jp/resources/ai-infrastructure-readiness-assessment-report

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会社概要

STT GDC JAPAN株式会社

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URL
https://www.sttelemediagdc.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズステーションタワー 32階
電話番号
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代表者名
前田 潔
上場
未上場
資本金
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設立
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