国連WFPがアフリカ西部の洪水被害に対応を強化
深刻な飢餓が過去最高レベルに
【ダカール】国連世界食糧計画(国連WFP)は、アフリカ中西部が激しい豪雨で壊滅的な洪水被害に遭い、14カ国で400万人以上が影響を受けていると警告しています。被災している地域は降雨前から5,500万人(5年前の4倍相当)が飢餓危機の影響を受けているエリアと重複しており、人道的ニーズの増加が懸念されます。
国連WFPはこの危機の最前線で対応に当たっている各国の現地政府と共に、約100万人に対して重要な食料と栄養の支援を実施しています。
「14カ国が洪水に見舞われ、何千もの家が崩壊し、広大な農地が破壊され、飢餓が迫っています。洪水被害を受けた人々の命を救い、生計を守るために、地域全体での対応が必要です。国連WFPは地元政府と協力して、被害を受けた人々の暮らしを再建できるよう支援しています」と、WFP西アフリカ地域局のマーゴット・ファン・デル・フェルデン局長は述べました。
ナイジェリア北東部のマイドゥグリでは、町の50%が洪水に見舞われましたが、国連WFPは4つのキャンプで迅速に炊き出しを行い、避難を余儀なくされた家族に栄養価の高い調理済みのコメと豆を提供しています。またチャド、リベリア、マリ、ニジェールでは被害が大きい地域に緊急で食料と現金を通じた支援を実施し、基本的なニーズを満たしながら生活を立て直す手助けをしています。
洪水被害を受けた家族への緊急支援と並行して、国連WFPは早期警報システム、事前準備措置、災害リスクファイナンス、社会保障システムへの投資を呼びかけています。これらは洪水などの気候変動によるリスクを緩和し、繰り返されるショックにさらされているコミュニティの適応能力を高め、回復力を強化する潜在力を持っています。
「予防的措置はより能率的で効果的、かつ将来を見据えた人道支援を実現するための重要なキーポイントです。命を救い、人々の尊厳を守り、意義のある投資の機会を提供することができます」と、ファン・デル・フェルデン局長は述べました。
洪水の影響で農業や畜産が中断されており、すでに厳しい食料安全保障の状況を悪化させ、被害を受けたコミュニティの脆弱性をさらに深める可能性があります。予防的措置を強化し、災害リスクファイナンスを拡大することは、気候変動に関連する自然災害の影響を緩和し、被害を受けた人々が次の洪水に備えるためのレジリエンスを高める助けとなります。
例えばニジェールでは、国連WFPの予防措置により、最もリスクの高い20万人に対して、コミュニティラジオや、携帯電話のテキストメッセージを通じた早期警報メッセージなどの重要な情報提供が行われています。チャド、ブルキナファソ、マリ、モーリタニア、ニジェールでは地元政府と緊密に連携し、将来の緊急対応を既存の社会保障プログラムに組み込むことで、実際に被害を受けた際に支援対象者のターゲットに絞ることを目指しています。
また国際農業開発基金(IFAD)と協力して、7つのサヘル諸国でアフリカ統合気候リスク管理プログラム(AICRM)プロジェクトを実施しています。このプロジェクトは、農民とコミュニティのレジリエンスを強化し、気候変動に関連する自然災害が発生した際に、その影響を最小限に抑えるための農民向けのマイクロファイナンスを拡大することを目指しています。
国連WFPは、洪水被害を受けた家族への緊急食料と栄養の支援を継続するため、また各国政府の能力強化を支援するために、1,600万米ドルを緊急に必要としています。
編集者への注記:
洪水被害を受けた14カ国は、ベナン、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボワール、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、シエラレオネ、トーゴです。
被災地の写真とビデオは、このリンクからご覧いただけます。
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