福祉に新たな選択肢を。障がい当事者が「事業主」となる挑戦が評価

第12回糸賀一雄記念未来賞を受賞。12歳の自閉症の娘との菓子工房開業から始まった、株式会社TANEBIによる社会参加の「第3の道」

株式会社TANEBI

株式会社TANEBI(滋賀県近江八幡市、代表取締役:杉之原千里)は、代表取締役の杉之原千里が、公益財団法人糸賀一雄記念財団による「第12回糸賀一雄記念未来賞」を受賞いたしました。

評価されたのは、障がい当事者が自ら事業主となることを支援する取り組みの先進性と、株式会社という形態で新たな社会参加の仕組みを生み出している新規性です。

その原点は、2020年、当時12歳だった自閉症の娘と開業した「みいちゃんのお菓子工房」。

小さなケーキ屋から始まった挑戦は、障がい・不登校・ひきこもりなど、既存の進路や働き方に難しさを抱える人たちのための、新しい社会参加の選択肢へと広がっています。

■ 福祉の未来を切り拓く「糸賀一雄記念未来賞」とは

糸賀一雄記念未来賞は、日本の障がい者福祉の礎を築いた糸賀一雄氏の思想を受け継ぐ、公益財団法人糸賀一雄記念財団が授与する賞です。福祉、教育、医療、労働、経済、文化、スポーツなど、幅広い分野を対象に、障がいや社会的障壁によって生きづらさを抱える人たちに関する先進的な取り組みを実践し、今後一層の活躍が期待される個人・団体を顕彰しています。

長年の功績だけではなく、これからの社会に新たな可能性をもたらす取り組みに光を当てることが、この賞の大きな特徴です。

財団が公表した受賞理由では、障がいの特性を個性の一つとして捉え、当事者が事業主となることを支援する取り組みの先進性に加え、株式会社という形態で展開する新規性が評価されています。

■ 障がい、不登校、ひきこもり。生きづらさは、縦割りにできない

社会には、さまざまな支援制度があります。

障がいは福祉、不登校は教育、ひきこもりは相談支援や就労支援。

それぞれの分野で支援が発展してきた一方、制度や相談窓口は分かれていることが少なくありません。

しかし、現実の生きづらさは、そんなに単純ではありません。

学校に通えなくなった背景に障がいの特性がある人もいれば、不登校から社会との接点を失い、ひきこもりが長期化する人もいます。

障がい者手帳を持たなくても、社会に出ることや働くことに困難を抱える人もいます。

人の人生は、福祉・教育・雇用という制度の境界線で分けられるものではありません。

代表の杉之原は、娘との歩みや、多くの当事者・家族との出会いを通じて、こうした課題が深いところでつながっていることを実感してきました。

そこで2025年9月、福祉・教育・雇用の間に横串を通す事業を実現するため、株式会社TANEBIを設立しました。

福祉事業には、福祉事業だからこそ果たせる大切な役割があります。

しかし、特定の福祉制度を基盤とする事業だけでは、その制度の対象にならない人たちや、複数の課題を抱える人たちに十分に届かない場合があります。

だからこそ、既存の制度の対象者だけに活動を限定せず、企業、教育機関、地域社会などと自由に接点をつくれる事業形態として、株式会社を選びました。

制度に人を当てはめるのではなく、一人ひとりに合わせて社会との接点をつくる。

それが、株式会社TANEBIの出発点です。

■ 起業家を育てたいのではない。社会参加への入口をつくりたい

TANEBIが提案する「第3の道」は、一般的な起業塾とは出発点が異なります。

対象としているのは、起業を目指している人だけではありません。

学校に行けない子どもたち。障がいの特性によって既存の働き方に適応することが難しい人たち。長くひきこもり、社会との接点を持つことが難しくなった若者たち。

そうした人たちが、自分の好きなことや得意なことを生かして、小さな経済活動を始めること。

その入口として用意しているのが「小さな個人事業主」という選択肢です。

自分でつくった商品が一つ売れる。得意なことを誰かに教え、その対価を受け取る。

大切なのは、売上の大きさではなく、自分で考えたことが誰かの役に立ち、社会から対価を受け取る経験です。ただし、TANEBIは、ずっと小さな収入にとどまることを勧める事業ではありません。

小さく始められることと、小さなままで終わることは、違います。

最初の小さな経済活動をきっかけに、自信や意欲、人とのつながりが生まれ、その先に企業への就職、進学や学び直し、事業の成長など、新たな選択肢が広がっていくことを目指しています。

小さなビジネスは、人生のゴールではなく、社会参加への入口なのです。

■ 全国54名が参加する「TANEBI STORY」

2026年、株式会社TANEBIは、会員制コミュニティ「TANEBI STORY」を開講しました。

開講から3か月で国内外から54名が参加。

障がい、不登校、ひきこもりなどの背景を持つ人やその家族をはじめ、多様な人たちが、自分の可能性を見つめ直しながら社会参加への一歩を考えています。

TANEBI STORYが重視しているのは、経営知識を教えることだけではありません。

本人の特性や得意・不得意を理解し、意欲を引き出し、挑戦を継続できる環境を整えること。

そして、学びや体験を、実際の社会との接点へとつなぐことです。

起業は、その手段の一つです。

目指しているのは、一人ひとりが自分の意思で人生の選択肢を広げていける仕組みです。

TANEBI STORYの現在

2026年8月に開催したシンポジウムでのダイジェスト(滋賀県守山市主催)

■ みいちゃんのお菓子工房が示した、小さな個人事業主の可能性

TANEBIの原点は、2020年に開業した「みいちゃんのお菓子工房」です。

当時12歳だった自閉症の娘・みいちゃんは、独学でお菓子作りを学び、店長兼パティシエとして活動を始めました。開業当初、母である杉之原が考えていたのは、大きな事業をつくることではありませんでした。

「月に2万円の利益を自分たちの力で生み出せたら、福祉的就労とは違う働き方も、一つの選択肢になる」そんな小さな目標から始まりました。開業から6年が経過し、当初は想像していなかった可能性が見えてきました。自分の好きなお菓子作りを通じて、お客様に喜んでもらい、対価を得る経験を積み重ねた結果得た想定していなかった副産物でした。それは、

働く量も、働くペースも、誰かに決められるのではなく、自分で決められる環境であるという事

もっと収入を得たいと思えば、自分の意思で仕事を増やすことに挑戦できる。疲れたときには、無理をせず仕事を減らすこともできる。障がいの特性が強い人ほど、決められた時間や場所、働き方に自分を合わせることが難しい場合があります。しかし、それは必ずしも、働く力がないということではありません。

社会の枠組みに自分を合わせられないのではなく、その枠組みの中に、自分の意思で選べる余地が少ないのかもしれない。みいちゃんのお菓子工房は、そのことに気づかせてくれました。自分の特性に合った環境で、自分の意思を中心に働き方を決められること。それは、単に収入を得る以上の価値を生み出しました。稼ぐ金額は小さくても、自分の人生を自分で動かす経験は、大きい。

みいちゃんのお菓子工房での実践は、小さな経済活動が、自信や主体性、さらなる社会参加につながる可能性を示しています。TANEBIは、この経験を一人の少女だけの物語で終わらせず、同じように社会参加に難しさを抱える人たちへと広げようとしています。

■ 株式会社TANEBIが目指す未来

TANEBIが目指しているのは、福祉的就労や企業への就職に代わる唯一の正解をつくることではありません。福祉には福祉の、学校には学校の、企業には企業の大切な役割があります。

そのうえで、既存の選択肢に当てはまらない人にも、自分らしい道を選べる社会にしたい。

小さなビジネスから始まって、就職する人がいてもいい。もう一度学び始める人がいてもいい。

事業を成長させる人がいても、自分に合った規模で続ける人がいてもいい。

TANEBIは、教育・福祉・雇用の分野を横断しながら、企業や教育機関、自治体との連携を通じて、一人ひとりの新しい社会参加の選択肢を広げていきます。

■ 代表取締役・杉之原千里 コメント

私は、福祉の世界を否定したいわけではありません。ただ、学校に行けない子、障がいのある子、ひきこもって社会に出ることが難しい若者たちが、限られた選択肢の中で生きている現実を見て、ほかにも道があるはずだと思い続けてきました。私はみいちゃんのお菓子工房で、実際にその可能性をそばで見てきたからです。娘とお菓子工房を始めたとき、月に2万円の利益が生まれたら、それだけでも一つの働き方になると思っていました。でも、続けていく中で気づいたことがあります。

大切なのは、2万円を稼げるようになることだけではなかったのです。もっとお小遣いが欲しければ、自分でもっと仕事をしてみようと思える。少し疲れたら、無理をせず休むことも選べる。

自分の人生を、自分で動かせるようになること。そこに、本当の価値があると思っています。

私がつくりたいのは、月に数千円を稼ぐ人を増やす仕組みではありません。

その小さな経験をきっかけに、本人の世界が広がり、次の挑戦が生まれていく仕組みです。

小さく始められることと、小さなままで終わることは、まったく違います。

私は、起業そのものを目的にしているわけではありません。

社会に出ることが難しい人たちが、自分の好きなこと、ワクワクすることを通じて、社会との接点を持てるようになってほしい。そして、その先の人生を自分で選べるようになってほしい。

障がい、不登校、ひきこもり。社会では別々の課題として扱われますが、人の生きづらさは、そんなに簡単に分けられません。だから私は、福祉・教育・雇用に横串を通すために、株式会社を選びました。

稼ぐ金額は小さくても、自分の人生を自分で動かす経験は、大きい。

みいちゃんのお菓子工房から始まったこの挑戦を、次の誰かの生きる道につなげていきたいと思っています。

■ 糸賀一雄記念未来賞 授賞式

開催日:2026年11月28日(土)

時間:14:00~16:30

会場:ホテルニューオウミ(滋賀県近江八幡市鷹飼町1481)

主催:公益財団法人糸賀一雄記念財団

財団公式サイト:http://www.itogazaidan.jp/

■ 会社概要

会社名:株式会社TANEBI

代表取締役:杉之原千里

所在地:滋賀県近江八幡市

主な事業:教育・福祉・雇用を横断する社会参加支援、共感型文化プロデュース、体験・学習プログラムの企画運営等

公式サイト:https://www.tanebi-world.jp/

みいちゃんのお菓子工房:https://mi-okashi.com/

■ 本件に関するお問い合わせ

株式会社TANEBI

担当:杉之原千里

メール:info@tanebi-world.jp

公式サイト:https://www.tanebi-world.jp/

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会社概要

株式会社TANEBI

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業種
サービス業
本社所在地
滋賀県近江八幡市上田町1257-18
電話番号
090-9880-1288
代表者名
杉之原千里
上場
未上場
資本金
100万円
設立
2025年09月