発達・知的障害のある子どもの家庭で起きる「住まいの危険」と「暮らしの工夫」を可視化へ NPO法人ぴあっとが『発達っ子の住まいプロジェクト』を開始
家族20世帯への訪問ヒアリングと多職種連携で、安心して暮らせる住環境づくりの基盤構築を目指す

発達障害や知的障害のあるお子さんの家庭では、日常生活の中で様々な危険や困りごとが生じることがあります。中には転落事故や火災などにつながる可能性のあるケースや、繰り返される危険やいたずらへの対応に悩むケースもあります。
しかし、こうした課題は家庭内で起きるため実態が見えにくく、多くの家族が手探りで対策を続けている現状があります。
神奈川県相模原市で活動するNPO法人ぴあっと(代表理事:五十嵐舞子)は、この課題を可視化し、家族・支援者・住環境の専門職が連携して解決につなげることを目的に、『発達っ子の住まいプロジェクト(発達・知的障害のお子さんの安心安全な住環境づくり)』を開始しました。

なお本事業は、一般財団法人ハウジングアンドコミュニティ財団「令和8年度住まいとコミュニティづくり活動助成」の助成事業として実施します。
【なぜこのプロジェクトが必要なのか】
発達・知的障害のあるお子さんの住まいに関する課題は、一人ひとり特性や生活環境が異なるため個別性が高く、一般的な子育て情報だけでは解決が難しい場合があります。
また、家の中で起きている出来事であるため情報共有が進みにくく、住まいに関する相談先も限られています。
一方で、ご家族は日々の暮らしの中で試行錯誤を重ねながら、DIYや身近な材料を活用した工夫、家具配置の変更、視覚支援の活用など、様々な対策を行っています。
本プロジェクトでは、危険や困りごとだけでなく、そうした家族の実践知にも着目し、知見として整理・蓄積していくことを目指します。


【実際に家庭で起きている危険や困りごと】
これまでのヒアリングでは、
-
マンション高層階のベランダ柵を乗り越えていた
-
電子レンジに物を詰め込み、加熱したことで火が出た
-
トイレットペーパーを大量に流し詰まりを繰り返した
-
高所に設置したテレビに触るため滑り台を運んで登っていた
-
冷蔵庫の中身を勝手に食べてしまったり、調味料を飲んでしまう
などの事例が寄せられています。
こうした出来事は決して特別なケースではなく、発達・知的障害のあるお子さんとの暮らしの中で実際に起きている深刻な課題です。




【発達っ子の住まいプロジェクトとは】
本プロジェクトでは以下の取組みを実施します。
-
家庭20件・放課後等デイサービス2件への住まいヒアリング
-
危険や困りごと、工夫事例の整理
-
建築士や工務店との情報交換会開催
-
住まいの工夫講座・カーム(発達障害・知的障害がある人の住まいの工夫展示コーナー)見学会の開催
-
住まいの安全対策モデル展示の整備
今年度は住まい支援の基盤づくりを行い、2027年度以降の情報発信や相談支援につなげていきます。




本プロジェクトでは、家族の経験と専門職の知見をつなぎながら、「環境を工夫して育ちを待つ」という考え方を大切にしています。
子どもをすぐに変えることを目指すのではなく、環境を整えることで危険や困りごとを減らし、お子さんの育ちを安心して見守れる住環境づくりを目指します。
【これまでの取組み】
ぴあっとではこれまでも、ご家族への個別ヒアリングやお話会を通じて住まいに関する困りごとの情報収集を行ってきました。
また、「発達障害・知的障害のある子の住まいの工夫講座」を開催し、家族による実践事例や建築士による住環境整備について学ぶ機会をつくってきました。こうした取組みは地域内外から関心が寄せられ、2025年に開催した住まいの工夫講座は読売新聞でも紹介されました。
今回のプロジェクトは、こうした活動をさらに発展させる取組みです。

【専門家・協力団体との連携】
本プロジェクトでは、家族だけでは解決が難しい住まいの課題に対し、建築分野、住環境整備、障害福祉などの専門家・団体と連携しながら取り組みを進めます。
-
横浜市総合リハビリテーションセンター 研究開発課 西村顕氏
-
NPO法人ケアリフォームシステム研究会
-
一般社団法人はじめのいーっぽ
-
相模原市内の放課後等デイサービス事業所
家族の経験と専門家の知見をつなぎながら、実践的な住まい支援のあり方を検討していきます。
【発達っ子の住まいプロジェクトに込めた想い】代表理事 五十嵐舞子
私自身、最重度の知的障害と自閉スペクトラム症のある息子の子育ての中で、家の中で様々な危険や困りごとを経験し、試行錯誤を重ねてきました。
当時は常に目を離せない緊張感の中で過ごすことも多く、精神的に追い詰められることもありました。
子どもの行動そのものをすぐに変えることは難しくても、住環境を工夫することで危険が減ったり、困りごとが解消されたりすることがあります。私自身も、環境整備によって家族が安心して過ごせる時間が増え、その重要性を実感してきました。
一方で、住まいの工夫や対策は家庭の中だけに留まりやすく、同じような悩みを抱えるご家族へ届きにくい現状があります。
このプロジェクトでは、各家庭が積み重ねてきた工夫や知恵を収集・整理し、必要としているご家族や支援者へ届けられる仕組みづくりに取り組みます。
そして、「環境を工夫して育ちを待つ」という考え方が広がり、お子さんもご家族も安心して暮らせる住環境づくりにつながることを願っています。
【NPO法人ぴあっと】
NPO法人ぴあっとは、『こどもの発達のみかたをふやす』をモットーとし、発達にゆっくりさや凸凹があるお子さんと、ご家族が地域で安心して暮らせる社会をつくるため、相模原市にて2023年4月に活動を開始しました。
発達障害や知的障害のある子どもの家族や支援者、専門家などが立場や所属の垣根を超え、子どもたちを通して地域でつながっていくことを目指しています。

【主な活動】
・ご家族向けのお話会・講座の開催
・相模原×こどもの発達支援の情報サイト「みかた」運営
・発達特性の理解促進のためのオリジナル出前授業を小中学校へ実施
・アンケートの実施や現場の声を行政や関連機関に届けるアドボカシー活動 など
これらの多岐にわたる取り組みが評価され、「さがみはらSDGsアワード2024 審査員特別賞」受賞、その他、各種メディアにも掲載していただいています。
団体名 : NPO法人ぴあっと
代表理事 : 五十嵐 舞子
設立 : 2023年(令和5年)4月4日
所在地 : 〒252-0135 神奈川県相模原市緑区大島3197-5
【お問い合わせ】
電話:042-816-3050(平日10時~17時)
メール:info@npo-piatto.jp
すべての画像
