世界的パンデミックの緩和に向けたテクノロジーを活用

新型コロナウイルス感染症拡大への対応に向けた1 年の振り返りとインテルの計画

インテル株式会社

インテルは 1 年前、テクノロジーによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の緩和を目指し、パンデミック・レスポンス・テクノロジー・イニシアチブ(Pandemic Response Technology Initiative: PRTI)を開始し、5,000 万ドルを拠出しました。この取り組みは、直面する課題を360度の視点で捉え、インテルのテクノロジーが医療、教育、企業の業況回復をさまざまなレベルから、どのように支援できるかに焦点を当てています。インテルのゴールは、最も必要とされている場所・箇所への迅速な解決策の提供、ニューノーマルに適応する革新的なソリューションの開発、そして今後起こり得る危機の影響を最小限に抑えるテクノロジーへの投資です。私たちはこれまでにインテルが持つテクノロジーのほぼすべてを、何らかの形でこの取り組みに活用することができました。

PRTIの開始から12ヵ月が経ち、その活動範囲は 170の組織、230 のプロジェクトに広がりました。インテルは世界中の企業や組織と連携し、インテルのソリューションと専門知識を用いて、世界共通の課題はもちろん、地域固有の課題にも対応してきました。私たちは、このプロジェクトをここで終わらせるつもりはありません。

インテルのRISE 2030ゴールとの連携を図りながら、私たちは、これまでのPRTIのプロセスやインテルの社員ボランティアによる技術的専門知識をインテル RISEテクノロジー・イニシアチブ(IRTI)へと移行させています。IRTI では社会的平等と人権、アクセシビリティー、気候変動への活動の推進に向けて、医療、教育、経済に関連するプロジェクトについて、それぞれに特化した新たな優先事項を設けて見直し、財政的支援を続けていく計画です。

IRTI では新たに 2,000 万ドルの枠を設け、パーパスを基軸に行動を促す広範なプラットフォームを構築していきます。プロジェクトの詳細は、今後1年を通して具体的にお伝えしていきます。現時点では、テクノロジーや戦略的なパートナーシップ、社会貢献に対する集団的欲求の形成の点から、インテルがPRTI で何を目指しているのか、その一部を垣間見ることができます。


再度のパンデミック発生に備えた診断、治療、予防
医療分野は数えきれないほどの課題を抱えています。患者の支援、医療従事者の補助、生命を救う研究への資金提供、構造化されていない膨大な量の患者の医療データの関連付けなど、これらのプロジェクトをどのように評価し、どのような理由で優先させるべきでしょうか?インテルは広範なポートフォリオを最大限に活用して支援を行い、永続的に良い影響をもたらしていきたいと考えています。PRTI では大学から医療機関、機器メーカー、インフラストラクチャー・パートナーまで、医療分野全体のパートナーと連携し、あらゆるレベルで良い影響を最大化しようと努めています。

診断: 2020年初めには、PCR 検査数の大幅な不足がみられていました。この検査は感染因子の解析と特定に不可欠です。インテルは医療用画像処理を専門とするパートナー企業とともに、COVID-19 感染者の診断とトリアージに、CT や X 線検査装置を利用する取り組みを開始しました。これらの装置に人工知能(AI)を組み込むことで、COVID-19 の感染有無や重症度を判別し、すぐに PCR 検査を受けられなくても、治療計画を立てることが可能になりました。これにより、診断の精度を高める多様なデータセットを生成する方法が確立されました。カルフォルニア大学サンフランシスコ校では、機密性の高いコンピューティング・プラットフォームの導入にインテル® SGX を活用し、AI モデルの構築時に医療データのアルゴリズムとプライバシーの両方を保護しています。

治療: 遠隔診療ソリューションにより、患者と臨床医のリスクを最小限に抑えた医療サービスの利用が実現しています。インテルは、Banner HealthやVeeMedとの協業により、遠隔診療ソフトウェアを稼働させるインテル® NUC Mini PC を利用して室内ディスプレイを拡張しました。医療提供者と専門家が COVID-19の症例について相談し、医療スタッフがリモートで患者に話しかけ、室内のモニターから取得したデータを記録し、呼吸や体温といった患者の体調をチェックすることもできるようになりました。

予防: インテルのプロジェクトは、患者や医療提供機関のニーズに応えると同時に、研究や治療方法の開発も目的としています。これにはインテルが顧客との協業を通じて行うCOVID-19 の調査研究や現在のパンデミックを超えた研究プロジェクトへのハイパフォーマンス・コンピューティング (HPC)のリソース提供も含まれます。ベルリン医学研究所(BIH)は、インテル® プロセッサーを搭載したHPCアーキテクチャーを構築し、シングルレベル・セルで演算負荷の高い RNA シーケンシングを実行し、この新型コロナウイルスの作動メカニズムを解明しました。
 


コネクト(ネット接続)とエンゲージメント(思い入れの醸成)を介して進化する教育 
このパンデミックに伴う教育現場での喫緊のニーズとして、子供たちが学習環境を維持するためにデバイスとネット接続が必要であることは明らかです。インテルは生徒にデバイス提供を進めていく過程で、ネット接続への注力だけでは保守面での解決にしかならないと気付きました。生徒たちが実際に前進できることが私たちの希望でした。学校、エコシステム・パートナー、行政機関、教員、デバイスメーカーと連携し、ソリューション主導のアプローチで変化をもたらしました。

コネクト: PRTIでは世界中のコミュニティーでノートPCの寄贈や安定した接続環境の構築など、多くの機会に携わりました。インテルのオンライン学習イニシアチブを通じ、世界全体で 100 万人に及ぶ生徒をサポートしています。米国内では最も必要が迫られている地域を中心に、連邦政府が定めるタイトル 1 の生徒が通う 45 学区の 1 万 5,000 を超える家庭の生徒にリモート学習ソリューションを提供しました。対象生徒の中には、ミシシッピ州アバディーン高校の空軍 JROTC プログラムに参加する士官候補生も含まれており、コンピューター・サイエンスのアドバンスト・プレースメントを履修する入口にもなっています。

エンゲージメント: ロサンゼルス統一学区との協働 (https://newsroom.intel.com/news/prti-100-days-los-angeles-online-classes/#gs.x5sr5z) を通じて、リモート学習で接続できている生徒でも、その3割が電源を切ってしまうことが判明しました。生徒たちが飽きずに継続して集中できる教材を開発しなければならないと思い知らされました。そこでヒューストン宇宙センターと協力し、NASA が主導する2024年の月面着陸を目指すアルテミス計画を中心とした新たな公開プログラムを作成しました。500人の教育者グループが、月面有人着陸を再び目指す計画を取り上げた仮想学習体験の配信に参加しました。このプロジェクトには今後、NASA の将来的な計画も含まれる予定です。

進化: インテルとして最も関心の高い教育プログラムの 1 つが、教員が生徒に提供する精神面でのサポートです。シカゴを拠点とする District Zeroは、心身の健康(ウエルネス)に基づいた学習に重点的に取り組んでいる企業です。District Zeroの感情学習ツールでは、自然言語処理と感情分析を用いて、教員に実践的な洞察と解決策を示し、問題を抱えている可能性のある生徒を支援できます。District Zero のシステムはインテルの支援により、シカゴ郊外の地域外から3万人の生徒が通うインディアン・プレーリー学区の全生徒に展開されることになっています。


経済の維持、変化への適応と実現
インテルはこの 1 年を通して、経済の低迷を招いたさまざまな要因について調べてきました。共通したテーマは安全性で、企業が安全にビジネスを行えるソリューションの開発や常連客に対するリスクの最小化、世界的な健康危機が再び発生した場合でも経済回復に貢献できるソリューションへの投資にかかっています。

保護: 都市全体の封鎖や外出自粛要請は、感染症の蔓延撲滅の最終手段ですが、こうした防御措置の下であっても必要不可欠なサービスの提供に向け、企業には安定した事業運営が求められています。PRTI では、パンデミックの間もビルの安全な維持管理を念頭に置いた複数のプロジェクトに投資しました。この中には Johnson Controls が提供するAIを導入した混雑度やソーシャル・ディスタンスの管理ソリューションなどが含まれます。このソリューションでは、環境データとセンサー情報を取得してソーシャル・ディスタンスの観点から人々の観察モニタリングを行い、空気品質と物理的な距離の分析を最適化します。

変化への適応: 企業が必須とする活動を推進できるように適応を促すことが、経済回復のカギです。パンデミックにより移動や旅行が厳しく制限されましたが、これを完全になくすことはできません。GE Digital Aviation Softwareは、航空会社がフライト中に空気品質システムの安定稼動をプロアクティブに監視できるように、旅客機内の空気品質を検知する予測メンテナンス・アプリケーションを新たに開発しました。

実現: ソリューションへの投資は、今後起こり得る感染症の拡大やパンデミックに対抗し得る、ある種のレジリエンス(回復力)につながります。パデュー大学はインテルの資金提供を受け、病原体を検出して数秒以内に殺菌する自律型ロボットの開発に着手しました。2台のロボットはすでに動作可能で、パデュー大学内の COVID-19 隔離室や教室内でテストが行われています。6 点の特許を取得した後、製品化に向けて動き出しました。この研究では、公共の場をより安全に保ち、病原体が拡散している「ホットゾーン」での暴露リスクを最小限に抑えることが期待されています。

IRTI でプラスの効果を創出する新たな道
PRTI プロジェクトを成功に導くカギを握るのは、パートナー企業と連携して問題の核心を理解し、実質的な成果をもたらすカスタマイズ・ソリューションを提供できる、数多くのインテルのエキスパートです。PRTI が世界全体にもたらす効果を示した計画マッピングは、PRTIのウェブサイトより確認いただけます。IRTI の取り組みの継続に伴い、この計画も拡大していきますので、ぜひご期待ください。IRTI の取り組みはすでに開始しており、今年 1 年を通じ、さらに詳しい情報をお届けしていきます。詳細については、こちらのウェブサイトをご覧ください。(https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/corporate-responsibility/covid-19-response.html)

インテルについて
インテルは業界のリーダーとして、世界中の進歩を促すとともに生活を豊かにする、世界を変えるテクノロジーを創出しています。ムーアの法則に着想を得て、顧客企業が抱える大きな課題を解決する半導体製品を設計・製造し、その進化に向けて日々取り組んでいます。クラウド、ネットワーク、エッジ、あらゆるコンピューティング機器のインテリジェント化によりデータの価値を最大化し、ビジネスと社会をより良く変革します。インテルのイノベーションについては、https://newsroom.intel.co.jp またはhttps://intel.co.jpをご覧ください。

*Intel、インテル、Intel ロゴ、インテルのマークは、米国およびその他の国におけるインテル コーポレーションの商標です。
*その他の社名、製品名などは、一般に各社の商標または登録商標です。
 


インテル コーポレーション セールス、マーケティング&コミュニケーション統括担当副社長 兼 インテル オリンピック・プログラム 事業部 本部長 インテル パンデミック・レスポンス・テクノロジー・イニシアチブ担当 リック・エチェバリア(Rick Echevarria)

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会社概要

インテル株式会社

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URL
https://intel.co.jp
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区丸の内 3 丁目 1 番 1 号 国際ビル 5 階
電話番号
-
代表者名
大野 誠
上場
海外市場
資本金
-
設立
1976年04月