バイエル薬品、前立腺がん患者さんの受診体験に関する意識調査結果を発表

~医療機関の連携の現状と患者さんのニーズが明らかに~

バイエル薬品株式会社

 
  • 過半数の患者が前立腺がんの可能性の段階で診療所から他の医療機関への紹介を受けている反面、総合病院、大学病院から診療所へ戻ってきているもしくは紹介を受けている患者は3.4%
  • 患者が医療機関に求める上位3項目は、「しっかり説明し、患者の話を聞く」「前立腺がん以外の疾患も含めた診察」「前立腺がんの最新治療情報などの説明 」で、医療機関によって上位3項目に差は見られない
  • 背中や腰に痛みがある患者のうち、そのことを医師に伝えているのは46.4%と半数以下

大阪、201937日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:ハイケ・プリンツ、以下バイエル薬品)は、前立腺がんの治療経験のある患者さんについて、受診したことがある医療機関や受診の内容、受診している医療機関に対する満足度について意識調査を行いました。本調査は、2018年11月26日~12月4日に、前立腺がんの治療経験のある患者さん206名を対象に、インターネットによるアンケート形式で実施しました。
調査では、患者の60%以上が地域の総合病院を受診している一方で、診療所を中心に定期的に専門医がいる大学病院・がんセンターを受診しているのは少数にとどまっていることが明らかになりました。また、
患者が診療所から紹介を受け地域の総合病院や大学病院、がんセンターを受診する流れに比べ、専門医がいる地域の総合病院や大学病院、がんセンターから診療所に戻ってきている、もしくは紹介を受けて診療所を受診する流れが弱い様子が浮き彫りになりました。さらに、患者が医療機関に求める上位3項目は、「しっかり説明し、患者の話を聞く」「前立腺がん以外の疾患も含めた診察」「前立腺がんの最新治療情報などの説明 」で、医療機関によって上位3項目に差は見られないなど、患者が医療機関の機能や役割の違いを意識していない可能性を伺わせる様子もみられました。このほか、骨転移を症状が出る前に把握できる可能性がある血液検査について、この一年間で血液検査を受けた患者は、前立腺がんの腫瘍マーカーを調べるPSA検査と比べ、低い傾向にあることが分かりました。

〈調査結果概要〉
  • 患者の60%以上が地域の総合病院を受診、現在治療の中心は診療所で定期的に大学病院・がんセンターを受診しているのは3.9%にとどまる
 
  • 複数の医療機関を受診したことがある患者のうち、前立腺がんの可能性の段階で診療所から他の医療機関への紹介を受けているのは56.9%、総合病院、大学病院から診療所へ戻ってきている、もしくは紹介されている患者は3.4%
 
  • 薬物療法を受けている患者の16.7%は骨転移の説明を受けていない
 
  • 受診の際の医師との会話、症状については「話す」が62.2%も、副作用は34%、今後の治療方針や検査方針、前立腺がんの進展の見通しについては50%程度
 
  • 過去1年間に経験したことのある検査は「PSA検査」が86.4%に対し、「血液検査」は59.7%にとどまった
 
  • 背中や腰に痛みを感じているのは全体の27.2%
 
  • 背中や腰に痛みがある患者のうち、そのことを医師に伝えているのは46.4%と半数以下
 
  • 「骨転移があると言われたことがある」と回答した8人のうち、骨転移が発見されたきっかけは、医師の勧めで画像検査を行った結果が50.0%
 
  • 受診している医療機関に対して満足している患者さんの割合はおおむね70%
 
  • 患者が医療機関に求める上位3項目は、「しっかり説明し、患者の話を聞く」「前立腺がん以外の疾患も含めた診察」「前立腺がんの最新治療情報などの説明 」で、医療機関によって上位3項目に差は見られず

前立腺がんは日本でも高齢化に伴い患者数が増加傾向にあります。2016年に全国で新たに前立腺がんと診断された患者数は89,717人で、男性のがんでは胃がんの92,691人に次ぐ第2位と、患者数が多いがんです*1。また、5年相対生存率が、97.5%と高く、予後が長いのが特徴です*2。
前立腺がんは、前立腺の細胞が細胞増殖の正常な調節を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。前立腺がんが進行し、去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる状態になった患者さんのおよそ 10 人中 9 人(90%)が骨転移を有しており、骨折や骨折からくる衰弱、骨の痛みなど日常生活に支障を来す症状が表れることから骨転移の治療が重要となります。

本調査結果を受けて、横浜市立大学附属市民総合医療センター 泌尿器・腎移植科 部長/教授の上村 博司(うえむら ひろじ)先生は、「前立腺がんは、予後が長く、骨転移が生じやすいのが特徴で、骨転移を早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。今回の調査結果からは、医療機関の種類に関係なく、“しっかり説明し、患者の話を聞く” “前立腺がん以外の疾患も含めた診察” “前立腺がんの最新治療情報などの説明 ”を求めている患者さんの傾向が浮かび上がりましたが、医療機関によって役割は異なります。それを踏まえ、泌尿器科クリニック(開業医)と専門医が連携し、骨転移などの病勢の進行が早期に発見され、患者さんの生活の質(QOL)の改善、全生存期間(OS)延長に寄与する治療を実施することが望ましいと考えます」と述べています。また、増田泌尿器科院長の増田光伸(ますだ みつのぶ)先生は、「診療所は、患者さんの日常に近い場所で診療しており、個々の患者さんの生活スタイルに合わせた治療を実施し、患者さんの病勢の変化を早期にキャッチできる可能性があります。患者さんとのコミュニケーションや検査など開業医が貢献できる部分と専門医に貢献をお願いする部分とで連携していくことが重要ですが、スムーズな連携には患者さんの診療情報を専門医と開業医が正しく引き継ぐことも必要です。また、役割分担や連携についてあらかじめ患者さんに説明することで患者さんは安心して医療を受けることができるようになるでしょう。」と話しています。

*1: 厚生労働省 「全国がん登録の概要」 より
*2: 国立研究開発法人国立がん研究センター 「がん登録・統計」 より



【調査概要】
対象:前立腺がんの患者さん206名
地域:全国
方法:インターネットによるアンケート調査
時期:2018年11月26日~12月4日
注)本調査レポートの百分率表示は小数点第2位で四捨五入の丸め計算を行なっているため、合計しても100%とならない場合があります。


【結果の詳細】

<調査回答者の背景>
  • 薬物療法を行っているのは20.5%
前立腺がんの治療経験のある患者に対して、最近行っている治療法を聞いたところ、外科手術が29.1%で最も多く、次いでPSA監視療法が21.4%で続きました。ホルモン療法や化学療法、放射性内用療法など薬物療法は合算で20.5%でした。





 
  • 患者の60%以上が地域の総合病院を受診、現在治療の中心は診療所で定期的に大学病院・がんセンターを受診しているのは3.9%にとどまる
前立腺がんの検査や治療でかかったことがある医療機関について聞いたところ、「地域の総合病院」が62.1%で最も多く、「大学病院」32.5%、「住んでいる地域の診療所」21.4%と続きました。また、現在治療の中心は「診療所」で定期的に「大学病院」「がんセンター」を受診しているのは3.9%でした。
 

 

 

  • 複数の医療機関を受診したことがある患者のうち、前立腺がんの可能性の段階で診療所から他の医療機関への紹介を受けているのは56.9%、総合病院、大学病院から診療所へ戻ってきている、もしくは紹介されている患者は3.4%
複数の医療機関を受診したことがあると回答した58人のうち56.9%が、前立腺がんが疑われる段階で診療所から他の医療機関への紹介を受けている反面、総合病院、大学病院から診療所へ戻ってきている、もしくは紹介されている患者は3.4%にとどまりました。

 
  • 薬物療法を受けている患者の16.7%は骨転移についての説明を受けていない
骨転移や去勢抵抗性といった病勢の進行に気を配りながらの治療となる薬物療法を受けている患者42人のうち、骨転移の可能性があることの説明を受けていたのは83.3%で、16.7%は説明を受けていませんでした。
 

 
  • 受診の際の医師との会話、症状については「話す」が62.2%も、副作用34%今後の治療方針や検査方針、前立腺がんの進展の見通しについては50%程度
患者が受診した際に話す内容については、症状については「毎回話す」「ほぼ毎回話す」を合わせた「話す」が合わせて62.2%でした。副作用については、「話す」が34.0%、また、「あまり話さない」「話したことはない」を合わせた「話さない」も34.0%で並びました。そのほか、今後の治療方針や検査方針、前立腺がんの進展の見通しについて「話す」のは50%程度でした。

 

 
  • 過去1年間に経験したことのある検査は「PSA検査」が86.4%に対し、「血液検査」は59.7%にとどまった
血液検査でALP(アルカリホスファターゼ)の数値の変化を見ていくことで、骨転移を症状が出る前に把握できる可能性がありますが、この一年間で血液検査を受けた患者は、PSA検査と比べ、低い傾向にありました。

 

 
  • 背中や腰に痛みを感じているのは全体の27.2%
206人のうち27.2%の患者が、背中や腰に痛みを感じていると回答しました。

 

 
  • 背中や腰に痛みがある患者のうち、そのことを医師に伝えているのは46.4%と半数以下
背中や腰に痛みがある患者のうち、そのことを主治医に話している患者の割合をみると、「伝えている」のは46.4%と半数を下回りました。
 

 
  • 「骨転移があると言われたことがある」と回答した8人のうち、骨転移が発見されたきっかけは、医師の勧めで画像検査を行った結果50.0%
「骨転移があると言われたことがある」と回答した8人(206人中)の骨転移が発見されたきっかけについては、 医師の勧めで画像検査を行った結果発見された患者が50.0%(4人)でした。
 

 
  • 受診している医療機関に対して満足している患者さんの割合はおおむね70%
受診している医療機関に対する満足度は、「医師の知識が豊富」「医師の説明が丁寧」「医師の診断・治療が信頼できる」「医師に相談しやすい」といった項目については、「満足」「やや満足」合わせて70%を超えていました。
 

 
  • 患者が医療機関に求める上位3項目は、「しっかり説明し、患者の話を聞く」「前立腺がん以外の疾患も含めた診察」「前立腺がんの最新治療情報などの説明」で、医療機関によって上位3項目に差は見られず
医療機関によって上位3項目に差は見られない一方で、地域の診療所や総合病院に求めることでは、「いざとなったら高水準の治療を受けることができる医療機関と連携を取ってほしい」は上位と比べ低い傾向がみられました。また、より高度な医療を提供する大学病院、がんセンターに求めることでも「高水準の医療を安全に提供してほしい」は上位と比べ低い傾向にありました。

 


バイエルのオンコロジー領域について 
バイエルは、革新的治療薬の品揃えを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう取り組んでいます。バイエルのオンコロジーフランチャイズには5種類の抗癌剤と、臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物が、バイエルの研究に対するアプローチ、すなわち、癌の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先するという姿勢を示しています。

バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活に貢献しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。また、バイエルは、持続可能な発展に尽力し、バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は396億ユーロ、従業員数は117,000名(2018年)。設備投資額は26億ユーロ、研究開発費は52億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

バイエル薬品株式会社について
バイエル薬品株式会社は本社を大阪に置き、医療用医薬品、コンシューマーヘルス、動物用薬品の各事業からなるヘルスケア企業です。医療用医薬品部門では、循環器領域、腫瘍・血液領域、ウィメンズヘルスケア領域、眼科領域、画像診断領域に注力しています。コンシューマーヘルス部門では解熱鎮痛薬「バイエルアスピリン」をはじめ、アレルギー性疾患治療剤や皮膚科領域に注力しています。動物用薬品事業部は、動物用医薬品の提供を中心にコンパニオンアニマルおよび畜産動物のヘルスケアに貢献しています。同社は、技術革新と革新的な製品によって、日本の患者さんの「満たされない願い」に応える先進医薬品企業を目指しています。詳細はwww.byl.bayer.co.jp/をご参照ください。

バイエル薬品株式会社
2019年3月7日、大阪


将来予想に関する記述 Forward-Looking Statements
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれています。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。
 

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会社概要

バイエル薬品株式会社

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業種
医療・福祉
本社所在地
大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー
電話番号
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代表者名
ハイケ・プリンツ
上場
海外市場
資本金
-
設立
1973年04月