九州大学とイマーゴが共同研究を開始
~大学生の学習経験と実務経験のデータを統合分析し、生成AIを活用して学生の自発的成長を促す~

概要
国立大学法人九州大学(福岡県福岡市 総長:石橋達朗、以下「九州大学」)と株式会社イマーゴ(本社 : 東京都港区 代表取締役社長:神尾寿、以下「イマーゴ」)は、学生の学びの履歴である「学習データ」と、大学外でアルバイトやインターンをした際の「実務経験データ」を組み合わせ、個々の学習成果やスキルを総合的に可視化・活用することを目的とした共同研究を2025年4月より開始いたしました。本研究では、学生が学んだ知識やスキルを授業外の活動でどのように発揮したかを計測し、そのフィードバックを速やかに本人の学習に反映できるかを研究します。さらに、生成AIを活用し、データの分析方法や学習内容の提案をもらうなど、スキルアップの方法を高度化することも視野に入れています。大学と社会をつなぐ教育モデルの新たな可能性を追求し、未来の人材育成に貢献いたします。
本共同研究の背景と目的
近年、大学教育の現場では、ラーニング・アナリティクス(LA)や教学IR、ファカルティ・デベロップメント(FD)の推進に伴い、授業データの収集・蓄積・分析が活発化しています。九州大学はその先駆けとして、2016年に国内で初めて「ラーニングアナリティクスセンター」を設立し、教育システムの運用や教育データの管理・可視化・分析技術の開発を組織的に推進してきました。
しかし、これまでの研究は学習経験である「授業(フォーマル)データ」を中心としたアプローチに留まりがちであり、学生の課外活動やアルバイトなどの仕事経験やインターン経験といった「実務経験(インフォーマル)データ」が十分に活かされていないという課題がありました。
一方、イマーゴは、九州大学内にシンクタンク部門のiQ Lab (アイキューラボ)を設置し、同大学と連携して「大学内の様々な仕事(オンキャンパスジョブ)」や「イマーゴの調査分析や実証実験事業に関する仕事の一部」を九州大学の学生にマッチングするプラットフォーム「QuestGate (クエストゲート)」の開発・運用を進めてきました。同サービスでは主に課外における学生の活動データが蓄積されており、これを大学の教育データと組み合わせることでさらに学習環境を最適化できる可能性があります。
そこで、両者の強みを生かし、授業(フォーマル)データと実務経験(インフォーマル)データを組み合わせて、学生の学びと実務をリアルタイムで接続し、ポジティブなフィードバックループを生み出すことを目的とした共同研究を開始するに至りました。さらに、これらのデータ融合や評価、本人へのフィードバック提案に生成AIを活用することで、新しい学びのモデル構築を目指します。
研究内容と今後の展望

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データ統合のプロトコル研究
従来は分断されていた大学のフォーマルデータ(授業成績・学習履歴など)と、イマーゴが蓄積しているインフォーマルデータ(課外プロジェクト・アルバイト・インターンシップなど)を統合し、一元的に分析・評価できる仕組みを検討します。
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スキル可視化・評価技術の開発
統合したデータを、個々の学生が自分の強みや足りない部分を簡単に把握できるように可視化するインターフェースを開発します。AI と連携し、課外活動の取り組みや成果を定性的に評価する取り組みも実施予定です。
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生成AIを活用した提案機能
インフォーマル活動の評価:LLM(大規模言語モデル)を用いて、学生の実務体験や自主プロジェクトの評価を効率化。
学習・キャリア提案:学生が次に学ぶべき知識やスキルセットをリアルタイムに提案し、履修科目の選択やプロジェクト参画をサポート。
学生時代の学びや成長の文章生成:履修履歴やインフォーマル活動実績を組み合わせ、就職活動や進学時に活用できるポートフォリオや自己推薦文(ガクチカ)の下書きをAIが生成するといった実証も検討
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実証実験の実施
2025年4月より順次テストを開始し、10月頃には成果の一部を研究発表予定です。その後も長期的にデータを収集しながら継続的に研究を深める計画です。研究成果は学内外の広報ルートを通して随時公開していきます。
本研究により、学生・大学・社会の三者には将来的に大きな恩恵が期待されます。学生は学業と仕事の橋渡しをスムーズに行え、大学はカリキュラム設計の新たな知見を得られ、社会は高度な実務経験と専門知識を兼ね備えた人材と早期につながるチャンスを得られると考えています。
QuestGateとは

イマーゴのシンクタンク部門iQ Labが運営する「QuestGate」(※)は、学習と仕事の相関をもとにして、「経験・学びの可視化」と「自発的な成長を促す」プラットフォームサービスです。同サービスは九州大学とiQ Labの実施したオンキャンパスジョブ実証実験から誕生し、大学内外の様々な仕事やインターンを通じて蓄積される「実務経験データ」と九州大学が所有する「学習経験データ」を組み合わせて、学生の成長軌跡や仕事における適性を可視化。学びと仕事の相関によって、自発的かつ効率的な成長を促すデータの利活用及びユーザー体験の提供を行います。
またQuestGateでは将来的に蓄積された評価データとAIを活用し、学生の就活支援や就職後の適正な配属を支援するサービスを開発する予定です。
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学びの効率化:
QuestGateのユーザーダッシュボードにより、大学の学習データと仕事の実績データを用いた能力や成長軌跡の可視化を実施します。大学での学びが仕事ではどう役立つかが相関的に把握できるほか、今後の成長に必要な学習提案などを行うことで、学びの効率化と効率的な成長を促します。
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自発的な成長を促進:
イマーゴが得意とする若年層向けのUIデザインと、九州大学とのデータ利活用及び行動変容の共同研究を用いて、金銭的な利得に頼らず、学生自身が自発的に成長を目指すユーザー体験を実現していきます。
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データ×AIによる学生支援:
QuestGateに蓄積されたデータとAIを組み合わせて、就活時の自己分析や企業との相性を評価する機能を実現。また大学在籍中のデータを利用することで、就職後に企業での適切な配属が行われる支援サービスを開発する予定です。
※「QuestGate」は、イマーゴの関連会社である株式会社クラウドプローブ(福岡県福岡市)にて商標出願中です。
コメント
九州大学 ラーニングアナリティクスセンター長 島田敬士
九州大学では、これまで主に授業履修データや学習成果データといったフォーマルデータを中心に、ラーニングアナリティクスの推進に取り組んできました。本共同研究では、これらに加えて、課外活動や実務経験などのインフォーマルデータを接続・横断的に分析することで、授業や正課活動で修得した知識・技能がどのように社会的実践に活かされ、成長につながるのかを、データ科学的アプローチにより支援していきたいと考えています。さらに、学生一人一人が将来の自分の姿を思い描き、そこからバックキャストする形で、今どのような学びやスキル修得に取り組むべきかを提案できるような情報推薦・支援にもつなげ、学びと成長の新しいモデルを創出してまいります。
株式会社イマーゴ 代表取締役社長 神尾寿
少子化が急速に進む中で、若年層の潜在的な能力や適性を的確に把握し、効率的な学びでその価値を高めることは社会全体にとって重要な役割になっています。とりわけ就職活動や就職後の配属で若者の価値や適性を見誤り、20代の貴重な数年を無駄に過ごさせてしまうことは、学生・企業・社会のすべてにおいて大きな損失です。
本共同研究は、「学び」と「実務経験」のデータを組み合わせ、弊社が得意とする若年層の受容性を重視したUXデザインにて、データに基づく成長促進や行動変容を促します。また、適性分析において、どれだけ就活やその後のキャリア形成に役立つデータが作れるか。九州大学様との共同研究の成果で、若者が社会に羽ばたくための「よいデータプラットフォーム」ができることに期待しています。
■株式会社イマーゴ
最新テクノロジーと若者世代の調査・分析から、「次の市場、次の社会」にフォーカスした事業戦略の策定支援や新ビジネスの企画、新たな技術を用いたプロトタイプ開発などを行うコンサルティングファームです。イマーゴは九州大学と組織対応型連携を締結しており、同大学内を拠点とするシンクタンク部門の「iQ Lab」を設置しています。iQ Lab では九州大学の卒業生のほか、博士課程・修士課程に在籍する若手研究者やエンジニア、デザイナーが正社員として多数在籍しています。また2025年4月から正社員及び契約社員が九州大学の博士号・修士号を取得する際に学費を会社が全額負担する制度を導入するなど、「学びと仕事を両立させる仕組み」の構築に力を入れています。
株式会社イマーゴWEBページURL:https://imago.co.jp/
<問い合わせ先>
株式会社イマーゴ
コンタクトフォーム:https://imago.co.jp/contact
電話番号:03-6452-8847
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