細胞の接着能を製造工程内で非破壊的に判定できる品質評価システムを開発
本成果は、2023年3月23日から国立京都国際会館で開催される第22回日本再生医療学会総会で発表します。
再生医療研究の促進には、細胞の増殖を向上させることが重要であり、細胞を培養する際に用いる培地といった液剤や、フラスコやプレートなどの培養容器の研究・開発が進められています。
間葉系幹細胞をはじめとする基材に接着して増殖する接着細胞では、接着の良し悪しがその後の増殖やひいては製品自体の有効性にも関連すると考えられ、製造工程開発や製造工程内での細胞品質評価、培地や容器などの液剤・基材開発において細胞の接着能や増殖能の評価が欠かせません。
しかし、これまで細胞の接着能を評価するには、所定時間後に培養容器内の上清を吸引し、剥がれた細胞をカウントするといった破壊的な検査による方法しかなく、増殖能との同時評価や、定量的かつ製造工程内で非破壊的な評価を実施することは容易ではありませんでした。
そこで当社は、独自の光学系によって取得した画像から接着細胞数および未接着細胞数を測定することで、細胞の容器への接着を定量できる品質評価システムを開発しました。
本システムはCO2インキュベータ内に設置することができ、培養中の細胞画像を経時測定することで、非破壊的に視野内の細胞数の測定と容器への接着の有無を判定します。したがって、本システムにより細胞の増殖能や接着能の定量化が可能となり、培養条件の検討から製造工程内での細胞品質評価までを、一貫した指標に基づき迅速かつ客観的に進めることができます。
今回、実際に間葉系幹細胞に対して市販されている複数の培地で評価を行ったところ、同じロットの間葉系幹細胞であっても培地の違いによって接着能と増殖能に差が見られることを定量的に確認しました。本システムによって最適な培地の選定が可能と考えられます。さらに、本システムはさまざまな再生医療シーズに応用可能であり、培養条件の各種パラメータの最適化や製造工程における品質管理への展開が期待できます。
なお、本成果は、2023年3月23日から国立京都国際会館で開催される第22回日本再生医療学会総会で発表します。
当社は、細胞の製造現場へ独自のソリューションを提供することで、再生医療の早期普及に貢献します。
第22回日本再生医療学会総会開催概要
・開催日:2023年3月23日~25日
・開催場所:国立京都国際会館
・公式サイト:https://site.convention.co.jp/jsrm2023/
当社発表概要
・カテゴリ:ポスター「間葉系・応用」
・演題番号:P-15-5
・演題:細胞の接着性を工程内で非破壊検査可能な細胞モニタリングシステム
「Digital Culture Room」概要
「Digital Culture Room」はCO2インキュベータから容器を取り出すことなく自動で画像測定ができる独自開発の専用デバイス「Cell Recorder」を用いて、細胞生育の品質を解析できる細胞品質評価システムです。
「Cell Recorder」は世界最小クラス※のサイズで多点測定ができ、コードレスなためCO2インキュベータに多数台を容易に設置できます。各種培養容器に合わせたラインナップがあり、滅菌バッグにて除染済みでも提供可能です。
研究開発から製品製造までお客様のフェーズの変化に応じて、最適な構成をご提案します。
※2023年3月時点、当社調べ
会社概要
会社名:サイトロニクス株式会社
代表者:代表取締役CEO 今井快多
代表取締役CTO 香西昌平
所在地:神奈川県川崎市幸区新川崎7番7号
設立:2021年5月14日
事業内容:細胞培養管理のための装置及びソフトウェアの研究開発および提供
Webサイト:https://cytoronix.com
公式Twitter:https://twitter.com/cytoronix
本件に関するお問い合わせ
サイトロニクス株式会社 広報担当
E-mail: info@cytoronix.com
※Digital Culture RoomおよびCell Recorderはサイトロニクス株式会社の登録商標です。
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