道徳的判断力とは何か。そして道徳の授業で得られる深い学びとは。『道徳的判断力を育む授業づくり』2022年12月12日書店発売!

泣いた赤鬼はなぜ泣いた?で終わらない,深い学びのために。多角的・多面的に教材を読み,問題追求的な学習を実現する授業づくりを解説。個別状況下に対応できる思慮深さを育むための仕掛けの工夫がここに。

株式会社北大路書房

心理学書を中心に教育学や社会科学の専門図書を発行する株式会社北大路書房(所在地:京都市北区)は,道徳教育の最新書『道徳的判断力を育む授業づくり: 多面的・多角的な教材の読み方と発問』を発行,2022年12月12日(月)に書店発売致しました。

 

  • 道徳教育の本質と対峙してきた著者らによる,深い学びのある実践的な道徳授業づくり

 本書『道徳的判断力を育む授業づくり』は著者の一人である教育哲学・道徳教育学研究者の髙宮正貴氏(大阪体育大学教育学部准教授)による前著『価値観を広げる道徳授業づくり:教材の価値分析で発問力を高める』(北大路書房,2020年,https://www.kitaohji.com/book/b581652.html)の内容に基づいた道徳の授業づくりを展開しています。

 前著では「道徳科」の根幹に対する様々な問題や批判にこたえ,道徳科の学習方法や内容の擁護が試みられています。なぜ道徳の授業は必要なのか?「望ましいとわかりきったことを書かせたりいわせたりする授業」や「忖度授業」を抜け出し,本来の道徳の目標をふまえどのように学習に具体化すればよいのか?という問いにこたえ,道徳科に対する批判――自由の侵害にあたるのではないか,道徳教育ではなく市民教育をするべきだ,道徳性は生活を通して養うべきものだ―― に反論し,道徳科を擁護することが主なねらいとなっており,そのため第2部に実践編をおきながらも,理論的な説明が主となっていました。
 本書は前著における道徳科の授業づくりについての理論や「理想主義」の授業観に基づき,児童生徒が深い学びを得られる実践的な授業づくりを解説しています。さらに,小学校教諭の立場から道徳教育の向上や発展に取り組み,書籍(『道徳授業の板書づくり&板書モデル大全』(分担執筆,明治図書出版,2022年))も執筆している杉本遼氏(東京都足立区立足立小学校教諭)と協働で,道徳の授業づくりのための学習指導案を提示しています。
 道徳科とは何か?道徳科は必要か?そうした「道徳科」への本質的な問いに前著で対峙した髙宮氏と,道徳教育の第一線の現場で実践者として活躍する杉本氏による,道徳的判断力にフォーカスした道徳の授業づくりのための一冊となっています。

  • 道徳的判断力を育むってどういうこと?

 2019年に教科化された「特別の教科 道徳」では,「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ物事を多面的・多角的に考え自己の生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる」ことが目標とされています。
 しかし,登場人物の心情を追っていくだけになる「読み取り道徳」や,ペアワークやグループワークなどで一見議論が白熱し盛り上がっているように見えても実際は自由に意見を述べているだけで価値理解が深まらない「這い回る議論」になってしまうことも少なくはないでしょう。その結果として,答えありきな授業や「価値観は人それぞれだよね」ということにとどまる道徳の授業となってしまいます。そうした道徳を脱却し,深い学びのある授業にするためには何が必要なのでしょうか。本書は深い学びを促す「道徳的判断力を育む道徳授業」をどのようにしてつくりあげていけばよいかを解説しています。
 本書は道徳的判断力を, 
  1. 価値理解(道徳的価値の意味,成立条件,理由,効用・目的ついての理解)をもとに,
  2. どんな対象について,だれに対して,どんな方法で,どんなに,その価値理解をもとにした行為を実践すべきかを判断するための知性的な力(思慮深さ
と定義しています(p.ⅴ)。具体的にはこの道徳的判断力を育むための授業をつくるために必要となる多面的・多角的に考えるため教材の読み方(第2章:道徳的判断力の構成要素を見いだす5つの教材類型と6つの教材の読み方)や児童生徒が主体的に問題を考えるための問題追求的な学習過程(第3章:問題追求的な学習),そして発問づくり追発問の仕掛け(第4章:「学習問題」の設定と発問づくりの手法)を解説しています。
 ただ単に道徳的価値の理解を促すだけでは他人事としての理解にとどまり,自分が当事者とならなければ「わかっていても,できない」ことがわからないままとなってしまいます。「自我関与」が伴ってはじめて実感をともなった価値理解が可能となり,一般的な道徳的価値の理解だけではなく,様々な個別状況下で考え,判断する力が育まれます(p.ⅹ, ⅺ)
  • 学習指導案を巻末に収録。具体的な道徳の授業づくりの過程がわかる!

 実際の授業でどのようにして実現すればよいのか。本書では巻末に内容項目に応じた学習指導案を収録しています。

 

 たとえば「小学校中学年 礼儀」の「フィンガーボール」の場合,第2章で取り扱う教材類型のうちの③価値葛藤型の教材類型とみなすことができ,さらに「教材の読み方B:複数の価値観の重みの違いを読み解く」を軸に教材をとらえつつ,礼儀作法の例外について考えることによって一般の価値理解のみにとどまらない,個別状況下での判断力を育む発問のための指導案を提示しています。

   学習指導案は一例となります。教材の類型と読み方,問題追求的な学習過程,そして発問・追発問の仕掛けはそれぞれの項目,教材でいかようにも広がります。この学習指導案が唯一の正解というわけではなく,児童生徒のリアルな反応に応じる,つまり先生自身も個別状況下に応じて追発問を仕掛けることで,深い学びが生まれる授業となっていきます。
 『道徳的判断力を育む授業づくり』をぜひお手にとってご覧ください。
  • 【終了しています】1/22㈰ 本書の出版記念オンラインイベントが開催!抽選で書籍プレゼントあり

本書の出版を記念して,2023年1月22日(日)にオンラインでトークイベントが開催されます!

日時:2023年1月22日(日) 10時~12時
登壇者
【著者】
髙宮正貴 (大阪体育大学教育学部准教授)
杉本 遼 (東京都足立区立足立小学校教諭)
【スペシャルゲスト】
森岡健太 (京都府公立小学校教諭)
町田晃大 (東京都公立小学校教諭)
中野浩瑞 (兵庫教育大学付属小学校)
内容
・講話「道徳的判断力を育む授業づくり」(髙宮)
・ワーク「スペシャルゲストによる6つの読み方を活用した教材分析」
・実践発表(杉本)
・フリートーク
参加費:無料
参加方法:参加申し込みフォーム(https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeo-sQKupApzwNAHvmL1t79D-FNtabogbLyUpQYx8aO9UoJ9A/viewform)からお申込みください。

★抽選で5名様に本書『道徳的判断力を育む授業づくり』をプレゼント!応募方法は当日イベントにてお伝えします。

  • 主な目次
第1章  道徳的判断力を育む授業づくり
1 道徳的判断力の定義
2 個別の状況下での判断を問う理由:「思慮深さ」を養う
3 道徳的判断力を育む学習の3つの階層
4 道徳的判断力を育む学習の強み:価値理解の学習と問題解決的な学習の「間」
5 道徳的判断力を育むための「価値の一般化」の工夫
6 道徳科における「個別最適な学び」と「協働的な学び」
第2章  道徳的判断力の構成要素を見いだす5つの教材類型と6つの教材の読み方
1 5つの教材類型
2 教材の読み方 A:道徳的価値の意味(内包・外延)、成立条件を読み解く
3 教材の読み方 B:複数の価値観の重みの違いを読み解く
4 教材の読み方 C:道徳的価値の意義(理由、効用・目的)を読み解く
5 教材の読み方 D:「人間理解」の視点で読み解く
6 教材の読み方 E:教材で描かれている状況の条件を変える(条件変更)
7 教材の読み方 F:個別の状況下(時処位)での価値理解の適用の是非・あり方を考える
第3章  問題追求的な学習
1 問題意識をもつ必要性
2 最初に道徳的な問題を提示し、児童生徒の追求する過程を学習指導過程とする
3 「問題追求的な学習」とは
4 「中心的な発問」と「追発問」は、「拡散」と「焦点化」のイメージ
5 ねらいの立て方
6 児童生徒の言葉をつなげ、柔軟に展開する
7 「問題追求的な学習」の学習指導過程の例
第4章  「学習問題」の設定と発問づくりの手法
1 児童生徒の価値観を引き出し、広げ、深める「学習問題」と「中心的な発問」をつくる5つの視点
2 「追発問」で価値理解を深めるための8つの視点と適用・発展・拡大を促す4つの視点
巻末資料 学習指導案
教材と手法の対応表

「特別の教科 道徳(道徳科)」の内容項目一覧
1 小学校低学年 節度、節制(かぼちゃのつる)
2 小学校低学年 親切、思いやり(はしの上のおおかみ)
3 小学校低学年 感動、畏敬の念(ひしゃくぼし)
4 小学校中学年 礼儀(フィンガーボール)
5 小学校中学年 友情、信頼(泣いた赤おに)
6 小学校中学年 規則の尊重(雨のバスていりゅう所で)
7 小学校高学年 善悪の判断、自律、自由と責任(うばわれた自由)
8 小学校高学年 相互理解、寛容(ブランコ乗りとピエロ)
9 小学校高学年 よりよい学校生活、集団生活の充実(森の絵)
10 中学校 希望と勇気、克己と強い意志(木箱の中の鉛筆たち)
11 中学校 公正、公平、社会正義(卒業文集最後の二行)
12 中学校 国際理解、国際貢献(海と空:樫野の人々)
  • 執筆者紹介
高宮 正貴(たかみや・まさき)
2014年:上智大学大学院総合人間科学研究科教育学専攻博士後期課程修了
現 在:大阪体育大学教育学部准教授 博士(教育学)
[主著]
『価値観を広げる道徳授業づくり:教材の価値分析で発問力を高める』(単著)(北大路書房,2020年)
『J.S.ミルの教育思想:自由と平等はいかに両立するのか』(単著)(世織書房,2021年)

杉本 遼(すぎもと・りょう)
東京都足立区立足立小学校教諭
[主著・論文]
「児童が楽しさや深まりを実感する,柔軟な道徳科の授業展開:児童の実態に合わせた「ロレンゾの友だち」の3パターンの授業展開の検証」『第29回上廣道徳教育賞論文CD集』(2021年)
『道徳授業の板書づくり&板書モデル大全』(分担執筆)(明治図書,2022年)
  • 書誌情報

【書名】道徳的判断力を育む授業づくり: 多面的・多角的な教材の読み方と発問
【定 価】2,420円(本体2,200円+税10%)
【判 型】A5判 196頁
【出版社】株式会社北大路書房
【発売日】2022年12月12日
【コード】ISBN:978-4-7628-3211-6 ,C3037
【概要】児童生徒が問題を「自分事」として考える道徳授業とは? 道徳的価値を多面的・多角的に理解し判断する力を育むために教師は何をすべきか? 深い学びにつながる教材の読み方や問題追求的な学習の指導過程を12の指導案とともに解説。発問の効果的な積み重ねで,一般的な価値理解と個別状況に対応できる〈思慮深さ〉を養う。
【リンク】
https://www.kitaohji.com/book/b616273.html
【Amazonでのご購入はこちらから】
https://www.amazon.co.jp/dp/4762832111/



株式会社 北大路書房
https://www.kitaohji.com/

文責:尾澤

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会社概要

株式会社北大路書房

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URL
https://www.kitaohji.com/
業種
製造業
本社所在地
京都府京都市北区紫野十二坊町12-8
電話番号
-
代表者名
奥野浩之
上場
未上場
資本金
-
設立
1948年12月