中学生10名が3D・AIで海洋生物を研究、5期研究発表会を実施
魚 の 胸鰭ロック機構解明、 AIによる クラゲ 立体化、 シリコン素材との併用 など、 3D技術 の 独自応用 が 広がった1年
一般社団法人日本3D教育協会は 2026年6月27日 (土)、 「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」 5期生の 研究発表会を、 東京ポートシティ竹芝で 実施しました。
本プロジェクトは、 次世代へ 豊かで 美しい 海を 引き継ぐために、 海を 介して 人と 人とが つながる 日本財団 「海と日本プロジェクト」 の 一環として、 全国の 中学生を 対象に 実施している 通年 プログラムです。 5期目の 今年は、 研究生 10名 が それぞれ 海洋生物を テーマに、 3D技術と 生物学的 な 問い を 掛け合わせた 独自の 研究成果を 発表しました。
5期は、 CT撮影 と ZBrush で 3D にする 定番の やり方 だけでは 収まりきらず、 AIによる クラゲ 3D化、 シリコン素材 との 併用、 蛍光タンパク の 可視化 など、 研究生 それぞれが 自分の 研究テーマ に 合わせて 3D技術 の 使い方を 広げていったのが 印象的な 1年でした。 台風接近 のなか 約60名 (卒業生 OB・OG 16名 含む) が 集まった 当日は、 200年近く 手つかず だった 魚 の 機構解明 の 成果 も 発表 されました。

公式サイト: https://kaiyo-3d.y-artfactory.jp/
■ イベント概要
名称: 「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」 5期生 研究発表会
日程: 2026年6月27日 (土) 10:40〜16:30
場所: 東京ポートシティ竹芝
主催: 一般社団法人日本3D教育協会
共催: 日本財団 「海と日本プロジェクト」
講師: 3D主任講師: 吉本 大輝 (日本3D教育協会 代表理事) / 海洋講師: 緒方 悠輝也 (宮崎大学 農学部 海洋生命科学領域 研究員) / 海洋講師: 目﨑 拓真 (黒潮生物研究所 所長)、 戸篠 祥 (同 主任研究員) ほか
協力: 公益財団法人黒潮生物研究所 ほか
協賛 (五十音順): APPLE TREE、 Arcana製作所、 エイチ・エー・ティー、 Expert Material Laboratories、 エヌエスエス、 さくらインターネット、 サンステラ、 TMS、 ナノダックス、 日本エイサー、 ボーンデジタル、 Maxon Computer、 ミマキエンジニアリング、 ワコム (計14社)
参加者: 約60名 (研究生10名、 保護者、 講師、 日本財団、 協賛各社、 メディア、 卒業生 OB・OG 16名 ほか)
■ 今年 特に 注目された 3つの 研究
1. 中尾 漣 「ギマ の ヒレロック機構」 ― 200年 の 研究空白 を 3D + シリコン で 埋める
ギマ の 背鰭・腹鰭 の 3つ の 棘 を 立てて 固定する 「ロック機構」 は、 Klein 1881・Tyler 1935 の 論文以降、 ほぼ 200年 にわたって 未解明 の 領域 でした。 中尾さん (中学2年・東京都) は、 CT撮影 と 解剖 に 加え、 3Dプリンター では 表現できない 筋の 挙動 を シリコン素材で 物理再現 することで、 「ロックは 骨の 噛み合い 50% + 強い 筋の 力 50% で 成り立つ」 という 新知見を 得ました。
中尾さん 本人は 「OB として、 今回 発表できなかった ギマ の 胸鰭 の ロック機構 の 解明 と モデル化 を 続けて 取り組み、 英語での 論文作成 と 発表 に チャレンジ してみたい」 と、 卒業後の 継続研究 意思 を 表明 しています。
2. 澤田 登瑠 「タコクラゲ ガウシアン3D × 4D化 への 挑戦」
透明で 動く タコクラゲ は、 従来 の CT・光学 スキャンでは 3D化 が 困難な 生物 の 代表格。 澤田さん (中学2年・東京都) は、 AI技術 の ガウシアンスプラッティング を 採用し、 さらに 円状の 水槽の 周りに プラレールを 走らせて カメラを 取り付ける オリジナル手法 を 考案。 生体クラゲ の 動的記録 に 挑戦しました。
3. 吉住 実咲 「ヒユサンゴ の 蛍光カエデ 可視化 3D」
ヒユサンゴ 3個体 (6・10・13cm) を CT + ZBrush で 3D化 し、 骨格 + 共肉 + 蛍光タンパク質 カエデ の 位置情報 を 一体化 して 立体表示。 サンゴ骨格 は ワシントン条約 で 国際輸送 が 制限 されているため、 高精度 3Dモデル で 国境を 越えた 標本共有 を 可能にする 先駆的な 試み です。

■ 3D技術 の 独自応用 が 広がった 1年 ― 「3D の 限界」 と 向き合う
5期 は、 CT + ZBrush の 定番3D技術 だけでは 収まらない 3つ の 独自応用 が 特徴的でした。
AI × 透明生物 (澤田・タコクラゲ): ガウシアン スプラッティング で 生体 3D化
CT + 蛍光可視化 (吉住・ヒユサンゴ): 骨格 と 蛍光タンパク の 位置情報 を 一体化
3Dプリント + シリコン素材 (中尾・ギマ): 骨だけ では 表現不可能な 筋 の 挙動 を 物理再現
研究生本人 も 「3D × 研究 という テーマ の 発展 の 方向 だけでなく、 その 限界、 できることと できないことの 境界 を 目の当たりにでき、 有意義な 時間 でした」 (北村 翔大さん・イモガイ研究) と、 3D技術 と 生物学 の 両方 に 深く 向き合った 1年 を 振り返っています。


■ 講師陣 からの 総評
◆ 目﨑 拓真 (公益財団法人黒潮生物研究所 所長)
「吉住さん の ヒユサンゴ 3Dモデル には 衝撃を 受けました。 サンゴ骨格 は ワシントン条約で 保護 されているため 国家間 の 輸送 が 非常に 難しく、 模式標本 を 見るために 海外に 行かなければ ならない ことも あります。 もし 高精度な 3Dモデル が 短時間で 作れる ように なれば、 こうした 研究上の 制約 を 解決できる 可能性が あり、 今後の 発展 に 大きな 期待を 抱いています。」
◆ 緒方 悠輝也 (宮崎大学 農学部 海洋生命科学領域 研究員)
「中尾さん の ギマ研究 は、 200年近く 前 の 文献 しか 残っていない 領域 に、 解剖 と 3D、 さらに シリコン素材 まで 使って 自分で 工夫 しながら 挑んだ ことに 大きな 価値が あります。 身近な 魚 でも こんなに 分かっていない ことが あるという 発見と、 それを 3D技術で 実証する 研究プロセス は、 今後 論文 書ける 水準 だと 感じました。」
◆ 戸篠 祥 (黒潮生物研究所 主任研究員 / リモート登壇)
「澤田さん の クラゲ 3D化 への 挑戦 は、 先輩研究生 の 失敗 からも 学びながら、 自分の 工作 の 趣味 を 活かして プラレール スキャンシステム を 自作 したり、 シリコン + レジン鋳造 で 透明な 物理模型 まで 作る など、 4D化 まで チャレンジ した 姿勢 が 非常に 素晴らしい ものでした。」
■ 協賛企業 からの コメント
5期 の 発表 を 受け、 当日 ご参加いただいた 協賛企業 より、 プロジェクト への 期待 コメント を 頂戴 しました。
◆ 株式会社ミマキエンジニアリング 上原 久幸 様
「食性 と 形態 を テーマ にした 研究 が 多く 見られ、 何を 食べているか、 すなわち どのように エネルギー を 取り込んでいるか という 生命 にとって 最も 重要な 機能 を 軸に 違いを 捉えている 点が 非常に 興味深かったです。 特に 佐々木 香緒さん の 『目の動きで読む生き物の世界』 は、 一見 食性 とは 関係が ないようで いて、 実は 獲物 (食性) に 適応した 構造 である 点が 印象的 でした。 2年前 と 比較して、 3D技術 が 単なる 補完 ではなく 研究 の 中核 として 扱われている と 感じました。」
◆ 株式会社サンステラ 佐藤 寛陽 様
「海洋研究 に 挑む 研究生 の 底無し の 探究心 を ものづくり で 支え、 未来の 技術者・研究者 を 育てたい という 思い から、 5年間 協賛 を 続けさせて いただいて おります。 3D技術 は、 アイデア を 素早く 形に し、 試作 や 検証 を 繰り返す ことで 研究 や ものづくり を 大きく 前進 させます。 本プロジェクト を 通じて、 中学生 ならではの 柔軟な 発想 が 新たな 技術 や 海洋課題 の 解決 に つながる ことを 期待 しています。」
■ 日本財団 廣瀬 正典 氏 からの メッセージ

「今回 の 発表会 で、 研究生 の 皆さんが 3D技術 を 単なる 『見える化』 ツール では なく、 生物学的な 問い を 解くための 手段 として 深く 使いこなしている 姿 に、 大変 驚かされました。 澤田さん の クラゲ 4D への チャレンジ、 有馬さん の 肉鰭類 進化 への アプローチ、 五十子さん の 3Dモデル で 生態適応 を 解明 していこう と する 姿勢、 中尾さん が 鰭 の ロック機構 という 機能面 に 特化 して 3Dモデル化 した 着眼点 ― それぞれ が、 来年以降 の 研究 の 新たな 起点 に なり得る ものです。 この 自信 が、 今後の 研究 への 新たな 一歩 に つながる ことを 願って おります。」
■ 発表会 内 で 「クラゲ 3Dスキャン 特別実験」 の 成果報告
5期 発表会 では、 サテライトプロジェクト 「クラゲ 3Dスキャン 特別実験」 の 成果報告 も 実施されました。 3D主任講師 の 吉本 大輝 (一般社団法人日本3D教育協会 代表理事) より 5年目 に 到達 した 成果 と、 今後 の 方向性 が 語られました。
本実験 は 2025年12月26日 に 大阪 「Blooming Camp by さくらインターネット」 で 実施。
【成果 1】 世界初、 AI技術 で 生きている クラゲ の 半身 3D再現 に 成功
クラゲ は 体 の 95%以上 が 水分 で 構成され、 従来 の 標本化 が 極めて 困難な 生物 です。 5年間 の 試行錯誤 の 末、 今回 初めて ガウシアン スプラッティング (AI技術) を 採用。 黒潮生物研究所 戸篠 祥 先生 の アドバイス と 協賛企業 との ソフトウェア・ハードウェア 共同開発 により、 クラゲ の 透明性・色彩・光の反射 まで 含んだ 半身データ の 3D再現 に 成功 しました (弊社調べ・戸篠 祥 先生 監修 のもと 先行事例 が 確認 できず 「世界初」 と 位置付け)。





【成果 2】 卒業生 1〜4期 16名 が 集結、 5年で 育った 「生きた コミュニティ」
同実験 は 5期研究生 9名 に 加え、 1期〜4期 の 卒業生 (OB・OG) 16名 が 集結 した 累計 約25名 の 世代横断 イベント と なりました。 5期発表会 でも 吉本 代表理事 より 「1年 かけて 学んだ 3D技術 も 皆さん の 財産 だが、 この 生きた コミュニティ こそ が プロジェクト の 何よりの 価値」 との 言葉 が 贈られました。



このコミュニティ 形成 が、 6/27発表会 で 発表された 「海洋3D アルムナイ チャレンジプログラム」 (詳細は 別リリース参照) の 礎 と なっています。
【現在 進行中 の 方向性】
完全な 立体 (全身データ) の 3D再現 — 半身 から 360度 カバー 可能な 多カメラ配置 の 最適化
時系列 動的再構築 (4D化) — 澤田さん の 5期発表 で 挑戦した クラゲ の 動き まで 含む 記録手法 の 完成
他 の 標本困難な 生物 への 応用 — クシクラゲ・軟体動物・希少種 の 3D保存 の 標準化
■ 併走リリース ― 卒業生 の 起業支援 プログラム 発足
5年目 の 節目 として 新プログラム 「海洋3D アルムナイ チャレンジプログラム」 の 発表 と、 第一弾 チャレンジャー として 3期卒業生 2名 (渡邉 翔・永井 健太) の 起業構想 プレゼン も 実施 しました。
詳細 は 別リリース 「海洋3D アルムナイ チャレンジプログラム 発表 + 3期卒業生 2名 起業構想 プレゼン」 (同日 同時配信) を ご覧ください。
<団体概要>
団体名称: 一般社団法人日本3D教育協会
活動内容: 3D教育・3D研究
公式サイト: https://kaiyo-3d.y-artfactory.jp/
公式 X (SNS): https://x.com/kaiyo_3d
日本財団 「海と日本プロジェクト」
さまざまな かたちで 日本人 の 暮らしを 支え、 時に 心の 安らぎや ワクワク、 ひらめき を 与えてくれる 海。 そんな 海で 進行 している 環境の悪化 などの 現状 を、 子どもたち を はじめ 全国の人 が 「自分ごと」 として とらえ、 海 を 未来 へ 引き継ぐ アクション の 輪 を 広げていく ため、 オールジャパン で 推進 する プロジェクト です。
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