いじめや虐待問題の取り組み、こども相談システム「キミノミカタ」熊本市導入決定で全国展開本格化
「子どもの権利を守ることを最優先にしたしくみ」と「200超の設問駆使」、安心して生活できる社会実現へ
■児童のSOSコミュニケーション支援システム「kimino micata(キミノミカタ)」で「こども相談事業」参入
https://guardian-jp.com/kimino-micata/
□経緯□「安心」への課題
来日したプーザーが6年間熊本市で外国語指導助手(ALT)に従事していた2019年に、虐待死した栗原心愛(みあ)さんの事件を知ったことがきっかけです。教諭の机の上にいじめ関連のアンケートが置かれていて誰もが見えてしまう状態は、英国では考えられないことでした。教員の忙しい状況も勘案し、子どもが安心して回答できる環境づくりが必要だと思いました(※4)。また、栗原心愛さんが助けを求めた学校アンケートを、市教育委員会が父親に渡してしまい、子どもの権利が守られていないことに危機感を覚えました。これ以上、心愛さんのような子どもたちに命を落としてほしくないと強く思いました。
一方、アンケートはいじめや虐待を発見する最も効果的なツールであることが、文部科学省の調査で明らかになっています(※5)。そこで、児童・生徒の個人情報の保護や問題解決に取り組む教員へ伝えやすいサービスを普及しようと事業化に着手。2020年度からは、熊本市立小中高校で実証実験や実装に向けた試験を展開してきました。
その取り組みが認められ、2023年9月1日に熊本市と契約を締結。同市の「こども相談事業」に連携して取り組むことが決まりました(※6)。同市関係者からは「子どもの立場に立って考えられている」といった声をいただいています(※7)。
熊本市立小中高校を対象に、環境整備期間を経て運用を開始しています。
「こども相談事業」への参入を踏まえ、当社は最大3カ月分無料のキャンペーンも開始(※8)。令和6(2024)年度から全国の学校、団体での導入を推進していきます。
◇特長は「三つの追求」◇「子ども第一」の運用へ
キミノミカタの特長は主に「三つの追求」です。
〈1〉安心して回答できる環境づくりを「追求」
アンケートは、学校や教育機関側が、「毎日」、「週1回」、「月に1回」の3パターンから事前に選択できます。子どもたちは、インターネットに接続できれば、スマートフォン▽タブレット端末▽パソコン−といった機器で回答可能。設問数は、学年によって異なります。
【回答数の例】月1回の場合…小学校低学年は13問。高校生は23問。その月の好きな時に回答可能。
実施方法のポイントは二つです。
一つ目は、学校内でアンケートに対応する「ミカタチーム」を編成し、その上で、養護教諭や教頭といった特定の教諭に知らせます。
たとえば担任の先生には知られたくないことがあれば、システムを通してミカタチームに直接伝えることができます。その中でも特に子どもの人権を守るため、本人の同意なく第三者に情報を明かす「アウティング」に関して意識を高め、本人の了解を取ることをシステムに組み込んでいます。
二つ目は、帰宅後も含め、本人が安心して取り組める時に回答してもらう点です。助けがほしい時に押す「SOSそうだん」ボタンもあり、いつでも発信できます。
他にも、細部まで子どもの気持ちを第一に考えた設計で運用しています(※9)。
〈2〉アンケートの内容を「追求」
アンケートの内容は、欧米で研究されてきた児童虐待などの指標・尺度を踏まえた設問と、日本でいじめアンケート用に使われている設問などを包括。実証実験で得た現場の声を踏まえ、日本の環境に合わせて調整。四つのレベル(小学校低学年、小学校中高学年、中学生、高校生)で言葉や表現を分け、日常生活に寄り添った設問を用意しています。
必須の質問として「相談したいことがある」や「他の子がいじめられているところを見た」といった設問を用いる一方、毎回違う質問を設けるのも特長。食事関連の質問を「一人で食べていないか」「食べたくない時があるか」などと違う角度から尋ねたりします(※10)。
子どもたちが飽きてしまったり無意識のうちに隠すことがないように、多角的な分析を実現。用意している設問は2023年9月1日時点で200項目を超えており、今後もより精度を向上させるために増やしていきます。
〈3〉教諭の使いやすさを「追求」
子どもの回答は自動集計されます。分かりやすい管理画面にこだわり、緊急度の高い回答はひと目で把握できるように設定。アンケート集計にかかる教諭の手間を省きます。
夏休み中でも、子どもはいつでも相談メッセージを送ることができるので、新学期が始まる前に生徒の兆候をつかみ、学校や関連機関が早期対応をするためのツールとして活用できます。
■費用■(※11)
お申し込み時に初期導入環境設定費、その後はシステム利用料金が発生する形式です。
学校の場合は初期設定費用10万円、一人当たり月100円(いずれも税別)。規模や環境を踏まえて設定いたします、相談センターなども連携できます。まずはご相談ください。
■今後の目標■
初年度(23年度)の導入目標数20校、24年度100校目標。
◆代表取締役、プーザー・ケイトリン・エリンのコメント◆
このプロジェクトを通じて、子どもたちが気軽に相談サービスにアクセスできるようになることを願っています。
SOSコミュニケーション支援システム「kimino micata」は、子どもを第一に考えたシステム設計となっています。子どもたちのニーズや要望を明確に把握できれば、支援を切実に必要としている子どもたちの声に応えられると考えます。
私たちは熊本市と一緒に、この課題に一生懸命取り組み、その成果を全国に波及させていきます。
◆共同創業者、取締役・COO(最高執行責任者)、村上 博美(むらかみ・ひろみ、※12)のコメント◆
私は、社会的課題の解決を目指す若者や女性を応援するための起業支援プログラムも展開しており、2019年に熊本でのプログラム開催時にケイトリンさんが参加。千葉県の栗原心愛さん(当時10歳)が父親による虐待で死亡した事件をとりあげ、「何でみんな何もしないの?」と問いかけ、動いたその行動力と熱意に感銘を受け、共同創業者として起業。医療政策にも研究者としてかかわっており、子どもが安心して生活できる社会の実現に貢献したいと思っています。
※1)代表取締役、プーザー・ケイトリン・エリンについて
英国リバプール出身。2016年英国キール大学(犯罪学学士・日本語専攻)卒業。
JETプログラムで来日し6年間熊本市で外国語指導助手(ALT)として英語教育に従事していました。
2019年、千葉県の栗原心愛さん(当時10歳)が父親による虐待で死亡した事件があり、心愛さんが助けを求めた学校アンケートが、父親に渡される不適切対応が問題視されました。
私は大学のときに児童虐待についての論文を書いたので、こうした事件を見るたびに心がとても痛くなり、子供たちを守りたいと、強く思いました。
その後、児童虐待・いじめ早期検知アプリケーションの開発を志し、事業コンテストへの参加や資金調達に臨んできました。
・2019年5月 一般社団法人JSIE 主催・熊本県後援WISEワークショップ「アイデアで熊本を元気に」(www.jsie.net)で最優秀賞 受賞
・2020年1月 システム開発開始
・2021年2月 熊本市小中学校での第1次実証実験開始
・2021年10月 BCCJ在日英国商業会議所のBritish Business Award 2021 にノミネート
・2022年2月 熊本市小中学校で第2次実証試験開始
・2022年5月 (京都)スマートシティ推進スタートアップ支援補助金を獲得
・2022年6月 多様性&包括性ワークショップ第一回開催(JSIE共催)
・2022年10月 British Business 2022 Study UK Alumni of the Year & 2022 Diversity Equity and Inclusionにノミネート
・2022年11月 Phoenixiプログラムの Cohort7メンバー に選出
・2022年12月 株式会社Guardian設立
・2023年2月 児童のSOSコミュニケーション支援システム名 kimino micataを発表
・2023年7月 京都市・(公財)京都高度技術研究所による令和5年度「スタートアップによる社会課題解決事業」採択
※2)株式会社Guardian(ガーディアン)について
社名 株式会社Guardian
住所 京都府京都市左京区吉田橘町33−16
代表取締役 プーザー・ケイトリン・エリン
事業内容 教育支援、ITサービス開発・提供、人材育成支援、地域活性化事業、コンサルティング他
資本金 545万円
設立 2022年12月1日
※3)虐待への相談対応、いじめ、不登校の各件数
・相談対応は32年連続増加
こども家庭庁は2023年9月7日、全国の児童相談所が2022年度に児童虐待の相談を受けて対応した件数(速報値)は、21万9170件(前年度比5・5%増)で、1990年度の統計開始以来、32年連続で増加したと公表しました。
また、2021年度に親などから虐待を受けて死亡した子どもは、心中を除くと全国で50人だったと発表。およそ1週間に1人の子どもが命を落としています。
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/hogojirei/19-houkoku/
・いじめ、不登校ともに過去最多
文部科学省が実施している「児童生徒の問題行動・不登校調査」の2022年度の結果が、23年10月に報道によって明らかになり、小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は過去最多の約29万9千人。前年度から22.1%増えるという深刻な事態となりました。このうち学校内外の専門機関に相談していない児童生徒も過去最多の約11万4千人だということです。
小中高校などで認知されたいじめは10.8%増の68万1948件で、被害が深刻な「重大事態」は923件。いずれも過去最多だったそうです。
不登校については、新型コロナ禍の長期化で子どもの生活環境が変化し、交友関係が築きにくくなった点や、子どもの環境に理解を示し、無理して学校に行く必要がないと考える保護者が増えた点が増加の要因とみられるといい、いじめについては、コロナ禍で縮小していた部活動や学校行事などが再開されて接触機会が増えた点や、いじめの積極的な認知への理解が広がったのが影響しているとみられるそうです。こうした結果を受け、文科省はこども家庭庁と連携し、対策を講じると報道されました。
※4)子どもがアンケートに回答する環境の課題について
・個人の情報保護が十分に守られていない。
・いじめばかりに焦点があたりそれ以外の問題が分からない。
・児童や生徒が本当のことを書きにくい。
・学校ごとにアンケート内容がバラバラ。
・先生方が忙しく負担が多い。
※5)令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(文部科学省初等中等教育局児童生徒課 2023年10月4日(水)発表)
(1位)「アンケート調査など学校の取組により発見」 51.4%、(2位)本人からの訴え 19.2%、(3位)当該児童生徒(本人)の保護者からの訴え11.8%と、2位以下に大きく差をあけている。アンケートが有用であることを示しています。
※6)導入の理由について
熊本市教育委員会学校教育部の須佐美徹部長は「キミノミカタ」の魅力について、「放課後の時間や家にいるときなど、子どもたちが安心できる場所でいつでもオンラインアンケートができる」点と、「いつでもどこでもSOS相談を送信できる」機能を指摘。
正式導入の理由について、教育の現場を知っているプーザーが、教員の負担を増やさず、子どもたちが信頼して相談してくれるツールにしようと努めた点や、実証試験の結果を踏まえて出てきた課題を「一緒に解決してくれた」点を挙げてくださいました。
※7)熊本市関係者のコメントについて
・熊本市こども局 木櫛謙治局長(写真右から二人目、左端は池田賀一総括審議員)
子どもたちの声を直接聞き、SOSメッセージをできるだけ早く、正確にキャッチしたい。「キミノミカタ」が役立つツールとなるよう、一緒に協力しながら取り組んでいきたい。
・熊本市教育委員会 学校教育部 須佐美 徹 部長(写真右)
何よりも子どもたちに気軽に相談してほしい、そして悩みをため込まないでほしい、と思っています。「キミノミカタ」を活用して、子どもたちがより相談しやすい環境ができることを期待しています。身近にあるICT機器でいつでもどこでも相談できるツールとして、子どもたちをサポートしてくれるのではないでしょうか。
・熊本市こども局 こどもの権利サポートセンター開設準備室長 上野大五氏(写真は準備室の皆さま)
「キミノミカタ」は「子どもの立場にたって考えられたシステム」であること、そして子どもの権利を守り尊重するところが、私たちの方針と合致しています。
子どもたちの秘密を守ることを大事にしていて、私たちも同じように子どもたちの同意がない場合は、学校や家庭には知らせません。子どもたちの安心や信頼を得られ、相談してもらえるよう「キミノミカタ」と一緒に取り組んでいきたいと思います。
※8)キャンペーンの内容について
【申し込み対象期間】2023年秋~2024年1月末まで
【キャンペーン特典】2024年1月~3月末までの最大3カ月分のシステム利用料無料
【申し込み条件】2024年4月からの年間契約(24年度の年間契約)
【お申込み時に発生する費用】初期導入環境設定費は規模や環境によって異なります。
【留意点】環境設定期間は最低約1か月必要です。
※9)アンケートシステムのこだわりについて(一覧表)
※10)アンケートの内容について
《食事に関する設問の例》
・ご飯を一人で食べてないか。
・夜ご飯を食べているか。(朝ご飯は尋ねるケースは多いですが、夜についても質問します)
・ご飯を食べたくない時があるか。
・おいしく感じない時があるか。
他にも心理学の専門家の意見も加味しつつ、性教育などの「○○を知っていますか」▽自己肯定感を問うもの▽幸せ度を問うもの−など、幅広い分野を用意。日常生活の様子に寄り添いながら、生徒が対面では言いにくい内容も伝えやすいように工夫をしています。
※11)費用について
・初期導入環境設定費で行う内容
導入される各教育部門・学校の利用環境を踏まえ、ユーザーや生徒の登録、オンラインアンケートの種類の設定、先生方の使い方ガイダンスや、デモンストレーションを実施します。この初期導入費用は、新規お申込み時のみ1回だけ発生します。その後、継続契約していただく場合にはかかりません。
・システム利用料金に含まれる内容
マニュアルや使い方など「チュートリアル動画」の提供や、環境設定、導入校の先生方との定期的なミーティングを実施します。
導入団体・学校の状況に応じて設定などの調整を行い、適した環境をつくり上げていきます。
また、他校での好事例の使い方などを共有する仕組みも設けています。
※12)取締役・COO(最高執行責任者)、村上 博美について
上智大学理工学部卒業。
米国セント・メリーズ大学にて国際経営学MBA、米国ジョンズ・ホプキンス大学国際高等国際問題研究大学院にて博士号取得。
国際関係論・公共政策・医療政策の専門家。
日本医療政策機構アカデミックフェロー。ワシントンDC 戦略国際問題研究所(CSIS)グローバルヘルスセンター研究員、日本医療政策機構理事等を経て、経済戦略研究所シニアフェロー。
システム開発にも明るく、ケイトリンのアイデアを具現化しシステムを共同開発。
一般社団法人JSIE代表理事 (www.jsie.net) として、ワシントンDCと東京にて創設し若者と女性活躍応援に取り組んでいます。
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