<小中高教員&保護者を対象とした子どもの睡眠に関する意識調査> “うかうか”してはいられない! 日中の“うとうと”「居眠り」する子は、衝動行動、昼夜逆転、不登校意向などが3倍以上
学校での頻繁な居眠りは、子どもが問題を抱えているサインの可能性も / 家庭で対策するも、居眠り解消に至らない保護者が約8割
本調査は小学校、中学校、高校の教員各600名の計1,800名と、小学校1年生から高校3年生までの各学年の保護者100名の計1,200名を対象に、子どもの睡眠に関する意識と実態を探ったものです。
調査時期:2023年8月2日~8月7日
《調査結果の概要》
・学校で居眠りしている子どもは、友達をたたく・暴言(衝動行動)や、昼夜逆転、学校に行きたくないと言う不登校意向の割合が3倍以上高い傾向が示されており、眠気以外にも子どもが様々な問題を抱えている可能性が示された。
・「居眠り」が子どもの抱える問題を察知するサインになりうる一方で、保護者に伝える教員は4割程度にとどまり、子どもの日中の居眠りを把握していない保護者も少なくない状況がみえる。
・学校から居眠りの指摘を受けた保護者の4割は家庭で特に対策を講じておらず、対策を講じた保護者を見ても、約8割の保護者が子どもの居眠りの問題を解消できずにいた。家庭だけに解決を委ねる難しさがうかがえる。
・睡眠の問題の原因になりうる睡眠関連疾患の認知度は、不眠症以外では総じて低い。10代に好発するナルコレプシーについて、約7割の保護者が「聞いたこともない」と回答。
・保護者と教員ら周囲の大人が睡眠について正しい知識を持ち、子どもが抱える問題に注意を払い、課題を共有し、連携することが求められる。
この結果について本調査監修の日本睡眠学会理事長/久留米大学学長 医学部神経精神医学講座 名誉教授の内村 直尚 医師は、「発達途上にある子供たちにとって睡眠は心身の成長に大きな影響を与えるため、早期の適切な介入により正しい睡眠習慣を支援することがとても重要です。また、子供は眠気の認識や眠気を適切に訴えることが難しい場合が多く、学童期の睡眠関連疾患は大人よりも適切な診断が困難で、見過ごされやすいと言われています。今回の調査結果は、子どもの日中の強い眠気や居眠りが、子供が抱える多様な問題の早期発見や早期対策を助けるサインになり得ることを示した点で、大変重要な結果です。」とコメントしています。
アキュリスファーマ株式会社代表取締役社長の綱場 一成は「当社は睡眠に関わる問題を、関連疾患を抱える患者さんだけでなく、広く一般生活者に関わる社会的課題と捉え、その解決に取り組んでいます。今回の調査結果は、睡眠課題の解決には社会全体の睡眠リテラシー向上、学校と家庭の連携など、診断や治療を越えた包括的なアプローチが必要であることを示しており、我々が推進する睡眠エコシステム構築の必要性を改めて強く裏付けるものでした。今後も革新的な新薬の開発の枠を超えた製薬ベンチャーとして、神経・精神疾患の社会課題解決に取り組んでまいります。」と述べています。
《調査結果詳細》
79.2%の教員が、居眠りしている子どもがいると回答。
担当している児童生徒の中に授業中に居眠りしている子どもが「いる」と回答した学校教員は、「よくいる」「たまにいる」合わせて79.2%を占めました。高校では88.5%、小学校でも65.5%となっており、早い段階から居眠りをしている子ども多くいる実態が示されました。<図1>
1クラスで居眠りをしている子どもの割合について教員の印象をたずねると、小中高全体では「1割未満」が74.9%、「約1割」が17.2%でした。
学校で居眠りしている子どもは、落ち着きがない(多動)、友達をたたく・暴言(衝動行動)や、昼夜逆転、学校に行きたくないと言う不登校意向の割合が3倍以上高い傾向。
最近1か月の学校での子どもの様子について、学校での居眠りを指摘されると回答した保護者は7.5%*いました。(*「非常にあてはまる」「あてはまる」「どちらかというと当てはまる」の合計)
これらの居眠りを指摘された子と指摘されてない子どもを比較すると、日中の行動や情緒の安定、登校や学習態度、などに差があることがわかりました。日中に居眠りをする子どもが、眠気以外にも様々な問題を抱えている可能性が示されました。<図2>
教員も保護者も、子どもの日中の居眠りの理由として「テレビやスマートフォン・タブレット、ゲームなどで夜更かししている」を上げる人が最多。
想定する理由のトップは教員と保護者で共通しますが、次に多い理由は、教員が「授業に対する関心や意欲が低い」(55.4%)に対して、保護者は「勉強や宿題で寝るのが遅くなる」(31.0%)が多く、双方の認識に差が見られました。<表1>
居眠りしている生徒・児童への対処として保護者に何らかの形で伝えている教員は約4割。
授業中に居眠りをしてしまう生徒への対処として最も多くの教員が行っているのは「その都度、本人に注意する」75.2%で、2番目は「子どもと面談」38.1%でした。「保護者に伝えて注意を促す」は31.2%、「保護者と面談を持つ」は21.1%で、そのいずれかによって保護者に伝えている教員は39.8%になっており、子どもの居眠りについて保護者に伝わっていないケースも多いことが示唆されます。<図3>
子どもの居眠りを指摘された保護者の約4割は、改善のために何も家庭で対策を講じていない。
学校に子どもの居眠りを指摘された家庭で行ったことを質問したところ、最も多かったのは「特に何もしなかった」の38.9%、次いで「子どもと話し合った」の36.7%でした。特に小学校の保護者では「特に何もしなかった」が46.2%と半数近くを占める結果となっています。<図4>
家庭での何らかの対処によって、子どもの学校での居眠りがなくなったのは約2割にとどまる。
一方、何らかの対処を行った結果では、「改善して、今はほとんど学校での居眠りはない」が21.8%で、「一時は改善したが、また以前の状態に戻ってしまった」54.5%、「何も改善しなかった」23.6%となっており、持続的に改善することの難しさが浮き彫りになりました。<図5>
不眠症以外の睡眠関連疾患の認知度は総じて低く、10代に好発する睡眠関連疾患でも同様。
睡眠の問題の原因になりうる睡眠関連疾患の認知度は、不眠症以外では、教員、保護者ともに総じて低い結果でした。10代で好発するナルコレプシーについても、「聞いたこともない」が教職員53.7%、保護者68.1%に上りました。<表2>
子どもの睡眠の問題を抱える保護者が相談すべき相手として、教員トップは「担任教員」が最多の回答であったのに対し、保護者トップは「病院の小児科」、次にトップとほぼ同割合で「わからない」と回答。
子どもの睡眠の問題を抱える保護者が相談すべき相手を教員、保護者それぞれに尋ねたところ、教員へのアンケートで一番高い数字となったのは55.1%の「担任教諭」です。一方、保護者へのアンケートで一番高い数字となったのは35.5%の「病院の小児科」、ほぼ同数の33.6%が「わからない」と回答しており、明確な回答を持ち得ていない保護者の実情がうかがえます。「担任教諭」を相談先に上げた保護者は17.2%であり、教員と保護者で「担任教諭」の役割について認識の差が見られました。<表3>
「睡眠教育」へのニーズは高い。
最後に睡眠教育について説明したうえで、睡眠教育を必要と思うかを尋ねました。その結果、教員は「非常に必要と思う」「どちらかと言えば必要と思う」で計85.3%が必要と回答し、保護者は「非常に必要と思う」「どちらか
と言えば必要と思う」で計71.7%が必要と回答しました。いずれも必要と思う人の割合が高い数字となっており、子どもにとっての睡眠の重要性を感じている様子が伺える結果となりました。<表4>
※本調査は、大阪大学連合小児発達学研究科が公表している「小学生版子どもの眠り質問票」を一部参考にしました。
参考文献:
三星 喬史, 毛利 育子, 星野 恭子, 加藤 久美, 清水 佐知子, 下野 九理子, 橘 雅 弥, 大野 ゆう子, 谷池 雅子. 日本版小学生睡眠質問票の開発. 小児保健研究:72(6); 789- 798,2013 ・Kuwada A, Mohri I, Asano R, Matsuzawa S, Kato-Nishimura K, Hirata I, Mitsuhosi T, Kagitani-Shimono K, Nakanishi M, Tachibana M, Ohno Y, Taniike M. Japanese Sleep Questionnaire for Elementary Schoolers (JSQ-ES): Validation and population-based score distribution., Sleep Medicine, 41; 69- 77, 2018. doi: 10.1016/j.sleep.2017.07.025.
村田絵美、毛利育子、星野恭子、三星喬史、加藤久美、橘雅弥、清水佐知子、大野 ゆう子、谷池雅子 「日本の小学生の睡眠習慣と睡眠に影響を及ぼすライフスタイルについての大規模調査」 小児保健研究73(6):798-810. 2014.11.
以上
■睡眠関連疾患*の社会的課題について
睡眠に関連する諸問題が日本社会に及ぼしている影響は甚大です。睡眠不足に伴うプレゼンティーズム(健康問題による出勤時の生産性の低下)やアブセンティーズム(健康問題による欠勤や病欠)によって、GDPの約3%、およそ15兆円相当(年間)の経済損失が生じているとの調査報告もあります(1) 。諸外国に比べて日本人の睡眠時間は短く、その背景にストレスや睡眠に関する正しい知識の不足などがあることから、国が推進する「21世紀における第2次国民健康づくり運動【健康日本21(第2次)】」においても睡眠は主要なテーマの一つに掲げられ、啓発の強化が謳われています(2-3) 。
また、適切な睡眠と日中の覚醒を妨げる要因として、睡眠関連疾患に関わる問題も挙げられます。睡眠関連疾患や、睡眠関連疾患に伴う合併症(心血管疾患やうつ病など)に対し、適切な医療的介入が遅れることにより、医療費等のコストが増大することが報告されています (4-7)。患者さんのQOL、生命予後、生産性の改善を図り、社会的な損失を低減するために、関連疾患が疑われる方を早期に発見し、適切な医療を届けることが求められています。
*不眠症、睡眠関連呼吸障害(閉塞性睡眠時無呼吸症候群など)、中枢性過眠症(ナルコレプシーなど)など、眠りに関わる病気の総称
■アキュリスファーマ株式会社について
アキュリスファーマは、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーです。“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念を掲げ、Aculys(アキュリス)を社名としました。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。
会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都港区北青山2-14-4 The ARGYLE aoyama
代表者:綱場 一成
設立日:2021年1月
出典:
1. Hafner M, et al. Why Sleep Matters-The Economic Costs of Insufficient Sleep. Cambridge, UK: RAND Europe; 2016
2. OECD (2009), Society at a Glance 2009: OECD Social Indicators, OECD Publishing, Paris.
3. 2019年 国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)
4. Lyons MM, et al. Global burden of sleep-disordered breathing and its implications. Respirology 2020;25(7):690-702.
5. Skaer TL, Sclar DA. Economic implications of sleep disorders. Pharmacoeconomics 2010;28(11):1015–1023.
6. Leger D, et al. Impact of sleep apnea on economics. Sleep Med Rev 2012;16:455–462.
7. Flores NM,et al. The humanistic and economic burden of narcolepsy. J Clin Sleep Med 2016;12(3):401-407.
<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。
【プレスリリースはこちらのPDF版でもご覧になれます。 】
https://prtimes.jp/a/?f=d114032-7-03a5d7f5bf3abb1df5396ea47248891d.pdf
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像