若き発明家の卵達を吉野彰さんが激励!「令和5年度パテントコンテスト/デザインパテントコンテスト表彰式が開催されました」
未来を担う若者達が自ら考えたアイデアやデザインに注目!ひらめきは、特許権に。デザインは、意匠権に。
文部科学省・特許庁等が主催する「パテントコンテスト/デザインパテントコンテスト」は、全国の高校生や大学生等が自ら考え出した発明及びデザイン(意匠)のうち優秀なものを表彰し、実際に特許庁への出願を支援することで、若い世代の知的財産権制度への理解を深めることを目的としたコンテストです。
3月18日(月)に、東京・丸の内の会場にてコンテストの表彰式が開催されました。
今年度は、全国よりパテント部門に511作品、デザインパテント部門に622作品の応募があり、その中からパテント部門30件、デザインパテント部門32件の出願支援対象となる優秀作品が、学識経験者で構成された選考委員会により選出されました。
表彰式では、これらの優秀作品の中から、パテントコンテスト、デザインパテントコンテストそれぞれ、
・選考委員長特別賞
・特許庁長官賞
・日本弁理士会会長賞
・文部科学省科学技術・学術政策局長賞
・独立行政法人工業所有権情報・研修館理事長賞
・世界知的所有権機関(WIPO)賞
・新しい生活様式アイデア賞/デザイン賞
上記6賞13作品への特別賞授与および受賞者によるプレゼンテーションが行われ、さらに優秀賞62作品の表彰が行われました。
・選考委員長特別賞
■パテントコンテスト
古田 花織さん(埼玉県立大学)「下半身不自由者のための靴ベラ」
受賞コメント
たくさんの方に助けられて結果が実り、とてもうれしく思います。
私は実習で病院を訪れた際に、脊椎を損傷された車椅子の方が靴を履くのに苦労されている様子が大変そうだったので、下半身が不自由な方が楽に靴を履ける補助具を作りたいと思いました。
靴を履く動作を補助できるように試行錯誤し、2つの関節をつけると靴を履きやすくできることがわかりました。靴ベラは3Dソフトで設計して3Dプリンタで造形しましたが、ソフトの勉強から始めたので、自分の思う形ができるまでには苦労しました。
特許をとるために文章にしたり図を描いたりするのは大変でしたが、弁理士さんのご協力のもと無事出願する経験ができ、特許に興味を持つようになりました。
将来、臨床に出て働くようになったらさまざまな自助具の発明に取り組んでみたいと思っています。来年度の応募者の方も、誰かを助けたいという気持ちから一歩踏み出して、実際に形にしてほしいと思います。
■デザインパテントコンテスト
杉 明香里さん(大同大学)「Flower vase lever」
受賞コメント
あまり自信がなかったので、受賞できてとても嬉しかったです。
ドアノブという授業の課題に悩んでいたとき、花屋さんを経営している祖母の家に行き、ドアノブに生花を活けることを思いつきました。玄関に花を飾ると運気が上がるという風水の知識から、面白いものができると思って取り組みました。
花の鮮度を保つにはどうすればいいか悩みましたが花受けを取り外せるようにして花や水の交換をしやすくできました。
小さい頃から考えて物を作ることが好きでしたが、作ったものを人に説明する作業には苦労しました。もっと語彙力を高めつつ、今後もいろいろなコンペティションに参加しようと思っています。将来的にはプロダクトデザイナーを目指しています。
表彰式で他の作品を見て、自分もユニバーサルデザインにチャレンジしてみたいと思いました。来年度の応募者の方は、作品にすることで見えてくるものがあると思うので、アイデアがあったらとりあえず形にしてみることが大事だと思います。
・吉野彰(ノーベル化学賞受賞/旭化成株式会社名誉フェロー)選考委員長講評
古田さん、杉さんおめでとうございます。
思いついたり閃いたりしたものを特許として出願し、実際の製品になるまでには、「産業上の利用」「新規性」という要件が必要です。そしてそれがさらにヒット商品になるには「使う人の心に響く」という要件が必要だと思います。今回、この3つの要件の観点から2作品を選定しました。
まずパテント賞古田さんの作品には利便性があり、これまでにないものであるということで、2つの要件は満たしています。
そして、健常者にひけ目を感じているハンディキャップを抱えた方がこの靴べらを使えば、自分にもできるという気持ちが生まれると思ったので、3つ目の要件を満たしていると考え、選考委員長特別賞にさせていただきました。
デザイン賞の杉さんの作品は非常に意外性があり、見た人はびっくりするでしょう。
本日午前中に、受賞者が参加するワークショップがあり、「20年後の連絡手段はどうなるか」というテーマでグループディスカッションをしました。その際、情報は五感で伝達されるということが話題になりました。例えば新聞なら視覚、テレビなら視覚に加えて聴覚というように、複数の感覚に訴えることで情報量を増やせます。
杉さんの作品は、まず花を見て視覚を使い、次にドアを開けるために触感を使い、さらに鼻の近くに花が来ることで嗅覚も使います。五感のうち3つにアピールしているのは非常に斬新だと思い、選考委員長特別賞にさせていただきました。
・吉野彰選考委員長「はげましの言葉」
皆さんからよく聞かれる3つの質問にお答えしたいと思います。
1つ目は、夢や目標をどのように設定すればいいのかということです。
これはなかなか具体的なイメージが湧かない人も多いでしょう。でも、自分が35歳の自分を想定してみてください。ノーベル賞の受賞者が研究を始めた年齢は、平均35歳だそうです。つまり新しいことにチャレンジするのに最適な年代がその年代なのです。世界がその成果を評価してくれるのはさらに30年後ですから、65歳で評価されることを35歳に始めようということです。
未来の自分を考える方法には2つあります。ひとつは現在の延長線上に未来を考える方法、もう一つは未来から逆算して今すべきことを考える方法です。どちらのやり方が自分に合っているのかを試してみてください。
2つ目は、失敗や挫折はどうやって乗り越えればいいのかということです。
失敗は成功の母と言われますが、その通りだと思います。といっても、ただ失敗すればいいわけではなく、失敗を反省し、失敗の原因を分析し、同じ間違いを繰り返さないことを積み重ねていけば、成功につながるでしょう。
3つ目は、成功の秘訣とは何かということです。
失敗は気持ちのいいものではありませんね。だから失敗したことを忘れようとしたり、別なことに逃げてしまいがちになります。しかし逃げてしまうと成功はできません。宝物は失敗の近くにあり、逃げてしまうと宝物には辿り着きません。失敗を反省し、なぜ失敗したのかをよく分析することこそ成功の秘訣です。
皆さんには、ぜひ夢や目標を立て、できるだけたくさん挫折や失敗をして、その反省を教訓として進んで成功につなげてほしいと思います。
・特別賞受賞作品一覧
表彰式録画配信
https://www.youtube.com/watch?v=R-vlXgB4KnQ
・表彰式概要
日時:2024年3月18 日(月)13:30–16:30
会場:JPタワーホール&カンファレンス 4階ホール1&2
(〒100-0005 東京都千代田区丸の内2丁目7番2号)
主催:文部科学省、特許庁、日本弁理士会、独立行政法人工業所有権情報・研修館
後援:世界知的所有権機関(WIPO)
今年度応募作品数:1,133件(パテント部門511件/デザイン部門622件)
今年度参加学校数:148校(パテント部門97校/デザイン部門51校)
今年度参加者数 :1,480名(パテント部門761名/デザイン部門719名)
・付記
このコンテストで優秀賞に選出された応募作品は、特許権および意匠権の出願支援対象となり、日本弁理士会の弁理士が出願手続きを指導し、その費用を主催者が支援のもと特許庁への出願を行うことが出来ます。
このコンテストを通じて若い世代の知的財産マインドを育てるとともに、知的財産権制度への理解を促進することを目的としています。
今後もこの活動へのご理解と普及に、ご注目ください。
特設サイトURL:https://www.inpit.go.jp/patecon/index.html
・法人概要
法人名:独立行政法人工業所有権情報・研修館
所在地:〒105-6008 東京都港区虎ノ門4丁目3番1号 城山トラストタワー8階
代表者:理事長 久保 浩三
設立:2001年4月
事業内容:工業所有権に関する情報の収集、整理及び提供、これら業務に従事する者に対する研修の実施
URL:https://www.inpit.go.jp/index.html
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