医師の地域偏在に関する意識調査 地方勤務への意識と偏在対策の受け止めを医師800名に調査

株式会社リクルートメディカルキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:髙﨑 透、以下リクルートメディカルキャリア)は、医師の地域偏在に関するアンケート調査を実施しました。本リリースでは、「医師の地域偏在」に対する医師の意見について紹介します。

医師の数は年々増加している一方で、都市部には医師が多く地方では医師不足が深刻となる医師の地域偏在が起こっています。2024年12月に厚生労働省は「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を公表しました。医師の地域偏在について、医師たちはどのように考えているのでしょうか。
※本リリースでの地方とは、首都圏、県庁所在地、政令指定都市および地方都市を除いた、人口密度が低く医師不足が指摘されている地域を指します。

 これまでに「医師の地域偏在」を感じたことがある医師は83.5% 

これまでに医師の地域偏在を感じたことがあるかを聞きました。「よくある」「時々ある」を合わせると83.5%となり、多くの医師が医師の地域偏在を感じていました。

また、どのような時に医師の地域偏在を感じたかを聞いたところ、「募集しても医師が来ない」「地方に専門医がいない」「紹介先がない・患者の受け入れ先がない」「東京に医師が多くいる」というコメントが多くありました。

 

■どのような時に「医師の地域偏在」があると感じたかに関するフリーコメント

・地方は医師求人で人が集まらない。(50代・男性)

・自分の地元は県自体が医師募集に躍起になっているのに、首都圏は自治体が主体となってまで必死に医師
を求めていない。(50代・男性)

・地方の病院には医師不在の科がある。(40代・男性)

・都心は病院や医院が多く専門性も高いが、地方は専門医がいない。(70代・女性)

・地方に健診に行ったとき、紹介先がない。(60代・男性)

・紹介しようにも満床で断られ、地域のサポートも受け入れる場所がない。(60代・男性)

・都会の医師の多さに驚いた。(40代・男性)

・都市部には規模の大きな病院が存在する。(40代・男性)

 

 地方での勤務に関心がある医師は24.2% 

地方での勤務に関心があるかを聞きました。全体の「ある」「どちらかといえばある」の合計は24.2%でしたが、30代では45.4%でした。若手医師は「既に地方で勤務している」割合が他年代よりも低く、地方での勤務に関心がある医師の割合が高くなっていました。関心がある年代に向けて、地方勤務の良さを伝えることが、医師の偏在対策に効果的かもしれません。

 

 地方での勤務に関心がある理由は「地域医療へ貢献できそうだから(38.9%)」 

地方での勤務に関心があると答えた医師203人に、その理由を聞きました。「地域医療へ貢献できそうだから(38.9%)」が最も多く、次いで「自然環境が良さそうだから(32.0%)」「年収や待遇が向上しそうだから(29.6%)」となりました。

※選択率の高い順に掲載

地方での勤務に関心がある理由は、年代によって差がありました。前述の地方勤務に関心がある医師の割合が高かった30代では「生活費が安そうだから(38.3%)」が最も多く、次いで「年収や待遇が向上しそうだから(32.7%)」でした。60代で最も多かったのは「地域医療へ貢献できそうだから(61.5%)」で過半数の医師が選択していました。30代ではまだ給与が十分ではないと感じている医師が多いためか、生活費や年収といった金銭面の改善を期待して地方勤務に関心を持っているようです。

 

※選択率の高い順に掲載。「その他」は皆無のため非表示
※選択率の高い順に掲載。「その他」は皆無のため非表示

 地方での勤務に関心がない理由は「交通の利便性が悪そうだから(36.9%)」 

地方での勤務に関心がないと答えた医師393人に、その理由を聞きました。最も多かったのは「交通の利便性が悪そうだから(36.9%)」、次いで「生活環境の利便性に不安があるから(34.6%)」でした。関心がない理由では、年代による大きな差は見られず、交通や生活の利便性の低さがネックになっているようです。
その他には自身が高齢であることや家族の事情についての回答が複数ありました。

 

※「その他」を除き、選択率の高い順に掲載

 

 地方勤務に関心はあるが、地方勤務を想定した場合に不安なことは「交通の利便性(32.0%)」 

地方での勤務に関心があると答えた医師に、地方勤務を想定した場合に不安なことを聞きました。最も多かったのは「交通の利便性(32.0%)」でした。関心がある場合もない場合も、地方勤務で気になる点は交通の利便性のようです。

※選択率の高い順に掲載。「不安はない」は排他項目

ただ、30代若手医師の回答は全体の結果と異なっており、「プライベートの時間を確保すること(26.5%)」が最も多く、次いで「希望する仕事内容に携わること(24.5%)」でした。地方で生活する上でプライベートや利便性に対する不安、仕事内容や学ぶ機会に対する不安などがあるようです。

 

※選択率の高い順に掲載。「不安はない」は排他項目。「その他」は皆無のため非表示

 現在、地方で勤務している理由は「地元(45.9%)」だから 

既に地方で勤務していると回答した医師242人に、現在、地方で勤務している理由を聞きました。最も多かったのは「地元(45.9%)」で、約半数の医師が選択しました。また、その他には「出身大学の地域」という回答が複数ありました。見知らぬ土地へ赴くよりも、ゆかりのある地域で勤務する医師が多いようです。

※選択率の高い順に掲載

また、地方での勤務を開始する前の想定と実際に勤務してみて感じたギャップについても聞きました。前述の「医師の地域偏在を感じる時」のコメントにもあった通り、地方に専門医がいないため「専門外の領域も診なければならない」という点に戸惑いを感じた方が多いようです。加えて、「忙しすぎる」「通勤が大変」「紹介先が見つからない」というコメントも多くありました。一方で、「住民との一体感が得られる」「給与が増えた」という肯定的なコメントもありました。

■実際に勤務してみて感じたネガティブなギャップについてのフリーコメント

・想像していた以上に大変だと感じた。内科専門であるが、小児科、皮膚科、耳鼻科、眼科、外科、麻酔科の全てをこなさなければならない。(50代・男性)

・想像以上に専門外の領域も診察する必要があり戸惑いましたし、自己流になることへの不安がありました。(40代・男性)

・ゆったりしているかと思っていたが、とても忙しい。(40代・男性)

・通勤時間がかかる。(50代・男性)

・勤務内容より患者の紹介先が限られる。(50代・男性)

 

■実際に勤務してみて感じたポジティブなギャップについてのフリーコメント

・地域密着型病院なので、住民と一体感を得られる点が良い。(70代・女性)

・給与の増加。(40代・男性)

・意外と困ることはなかった。(30代・男性)

 

 地方勤務の良いところは「地域医療への貢献(38.3%)」 

既に地方で勤務していると回答した医師に、地方勤務の良いところを聞きました。「地域医療への貢献(38.0%)」が最も多く、次いで「自然環境の良さ(33.5%)」となりました。前述の地方勤務に関心がある医師の理由と一致しています。

※選択率の高い順に掲載。「良いと感じるところはない」は排他項目

 地方勤務の困難なところは「交通の利便性が悪い(40.1%)」 

一方で、既に地方で勤務していると回答した医師に、地方勤務の困難なところも聞きました。「交通の利便性が悪い(40.1%)」が最多となり、こちらも前述の地方勤務を想定した場合に不安なことの最上位と一致しています。しかし、2番目に多い「学会や研修への参加が困難(26.4%)」は不安なことの上位には挙がっておらず、初めて地方で勤務する医師は想定とのギャップを感じる可能性があります。

※選択率の高い順に掲載。「困難だと感じることはない」は排他項目

 医師の偏在対策に「期待できる」と回答した医師は15.4% 

厚生労働省が2024年12月に公表した医師の偏在対策について、どこまでの効果が期待できるかを聞きました。「効果が期待できる」「やや効果が期待できる」と回答した医師は15.4%でした。

年代別で見ると、30代・40代の医師は「期待できる」と回答した割合が全体よりも高い結果となりました。

また、「期待できない」と回答した理由では、「現実的ではない」「強制力がない」「過去の施策がうまくいっていない」「対策が知られていない」「給与を上げないと変わらない」等の厳しいコメントが数多く寄せられました。

■「期待できない」と回答した理由のフリーコメント

・机上の空論で実態をきちんと把握していないと思うので。(60代・男性)

・ある程度の強制力がないと難しいと思う。(40代・女性)

・今までうまくいったことがないから。(60代・男性)

・対策をまとめたかもしれないが、私は知らない。だから効果があると思えない。(40代・女性)

・具体的に給与アップやなんらかのメリットがないと変わらない。(50代・女性)

 

 医師の地域偏在を解消するために必要な対策は「給与アップ」や「診療科の偏在解消」など 

医師が考える「医師の地域偏在を解消するために必要な対策」を聞きました。特に多かったコメントは「給与を上げる(インセンティブ付与)」「診療報酬などで差をつける」などの給与面のものでした。他には「研修や資格取得をしやすくする」というコメントも複数ありました。また、「診療科の偏在を解消する」「直美(初期研修を終えてすぐに美容医療に進むこと)の廃止」「ある程度強制力を持った医師配置が必要」といったコメントも多く見られましたが、これらの課題解決に取り組むことは、医師一人ひとりのキャリアやライフスタイルの選択肢を狭めることにつながりかねません。地方での勤務を前向きに選択できるような環境づくりや支援策を充実させることが望ましいと考えられます。

 

■医師が考える「医師の地域偏在を解消するために必要な対策」に関するフリーコメント

・給与待遇の大幅な改善。(40代・女性)

・医師が少ない地域の保険点数を上げる。(50代・男性)

・専攻科を定数制にする。(60代・男性)

・直美などの規制。(40代・女性)

・へき地での研修をもっとやりやすくする。(60代・男性)

・資格を取ったり、維持したりすることが田舎でもできるようにした方が良い。(30代・女性)

 

医師の地域偏在を解消するためには、地方での勤務に対する医師の不安を取り除くとともに、地方で働くことに魅力を感じられるようなインセンティブなどを整備することが必要になるのではないでしょうか。

 

解説:リクルートメディカルキャリア 営業統括部長 高野 潤 

2011年リクルートメディカルキャリア入社。医師・看護師・薬剤師の人材紹介事業マネジャー、人事マネジャーを経験し2021年より現職。統括部長として薬剤師領域の求職者側・採用者側の両営業部署を管轄し、業界動向や転職マーケット情報に通じる。

 

 調査概要 

調査方法:インターネット調査
調査対象:株式会社マクロミルのモニターに登録している全国の医師
有効回答数:838人
調査実施期間:2025年2月18日(火)~2025年2月25日(火)
調査機関:株式会社マクロミル

≪調査結果を見る際の注意点≫
各数値は小数第2位で四捨五入しているため、差分や合計値(100%)において、単純計算した数値と合致しない場合があります。

                

リクルートグループについて

1960年の創業以来、リクルートグループは、就職・結婚・進学・住宅・自動車・旅行・飲食・美容などの領域において、一人ひとりのライフスタイルに応じたより最適な選択肢を提供してきました。現在、HRテクノロジー、マッチング&ソリューション、人材派遣の3事業を軸に、60を超える国・地域で事業を展開しています。リクルートグループは、新しい価値の創造を通じ、
   社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現に向けて、より多くの『まだ、ここにない、出会い。』を提供していきます。

  

詳しくはこちらをご覧ください。

リクルートグループ:https://recruit-holdings.com/ja/  

リクルート:https://www.recruit.co.jp/

  

リクルートメディカルキャリアについて

1979年の創業以来、リクルートメディカルキャリアは、「医師」「薬剤師」を募集している医療関係施設に人材を紹介するサービスを提供しています。医師が医師として働きつづけ、充実した人生を送れるよう、医師の方のキャリアアップ、キャリアチェンジ、ワークライフバランスなどに応じて仕事・職場情報を提供し、転職をサポート。医療機関様に対しては、安定的な医師採用を実現するためのお手伝いをしています。   

 

詳しくはこちらをご覧ください。


リクルートメディカルキャリア:https://www.recruit-mc.co.jp/

              

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
-
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区九段北1丁目14-6 九段坂上KSビル
電話番号
-
代表者名
髙﨑 透
上場
未上場
資本金
-
設立
-