「Japan FinTech Festival」(主催:Elevandi、会場:神田明神ほか)が3月11日に閉幕、全プログラム英語のみで開催された国際イベントに2,300人以上が来場
金融庁「Japan Fintech Week」の一環として開催され、100以上のプログラムに260名以上(うち女性29%)が登壇。次回は来年2025年3月3日(月)〜7日(金)に開催予定
主催者であるエレバンディ・ジャパン代表の鬼頭武嗣 は、「日本と海外のFintechのエコシステムには依然大きな隔たりがある中で、JFFを通じてグローバルのFintechコミュニティを日本に導入することに不安がなかったかと言えば嘘になりますが、最終的に成功に導くことができ、非常にうれしく思っています。また、多くの登壇者・参加者からも多くのポジティブなフィードバックが寄せられており、次回のJFF、延いては日本のFintech業界の今後の発展に対する世界からの期待の大きさを感じています。来年は更にスケールを拡大して戻ってきますので、楽しみにしていてください」と語っています。
●将来、日本が金融でリーダーシップを取る鍵は、経営慣行の見直し、グリーン金融、そしてAIの活用
世界の国際金融都市の競争力を示す「グローバル金融センターインデックス(GFCI)」(2023年9月)では、東京は20位、さらにフィンテック分野では32位と低い状態です。金融において将来日本がリーダーシップを取るにはどうしたらよいのか。CLSA証券 ストラテジストのニコラス・スミス氏は、日米のスタートアップを比較し「日本ではスタートアップの90%がIPOを行うが、米国では全スタートアップ企業の 75% が別の企業に買収されている。(中略)もしあなたがイノベーターであり、野心家であるなら、企業の成長戦略としてどう選択するのか」と、経営慣行の見直しについて指摘しました。
<左から、ジャン=エリック・パケ(駐日欧州連合(EU)特命全権大使)、ジョイス・フィリップ(イイコールフューチャー CEO)、ジェスパー・コール(マネックスグループ グローバルアンバサダー)、ニコラス・スミス(CLSA証券 ストラテジスト)、モデレーター:イ・ミンジョン(ブルームバーグ東京支局記者)、2日目のプログラム「Japan’s leadership in the future of finance」より>*敬称略
また、ジャン=エリック・パケ駐日欧州連合(EU)特命全権大使はグリーン金融のハブとなることが日本にとってチャンスであると語り、マネックスグループ グローバルアンバサダーのジェスパー・コール氏は、自身が学生時代に日本の品質経営の父と言われるエドワーズ・デミング博士の授業を受けたことを挙げながら、日本がリーダーシップを発揮できるとしたらAI領域なのではないかと語りました。「深い知識とビッグデータを使用してプロセスを制御し、すべての活動において常に顧客を中心に据えたサービス提供に重点を置くこと。これはまさに、今日の AI の先駆けです。日本はそれを新たな高みに引き上げ、顧客との信頼を築きました。適切な制御、深層学習、生成 AI の使用。日本がリーダーになることに賭けるなら、ここは自然な場所ではないでしょうか。」(コール氏)
●ペイティーエム(Paytm)創業者のシャルマ氏登壇
インドの電子決済サービス会社ペイティーエム(Paytm)に逆風が吹く中、かねてより登壇が決まっていたJFFのためだけに来日したビジェイ・シェカール・シャルマ氏は、シンガポール金融通貨庁(MAS、中央銀行) フィンテック最高責任者 ソプネンデュ・モハンティ氏とのセッション「Building & sustaining unicorns: Challenges, rewards and lessons (ユニコーン企業の育成と維持 挑戦、報酬、そして教訓)」の中で、「トップが政策を推進すれば誰もがそれに耳を傾け、それに何の疑問も持たない。インドにおけるQR決済の普及は規制当局がそれをイノベーションとして取り上げ、主流化したからだ」と、イノベーションがテクノロジーだけにとどまらないという教訓を語りました。また、ファイヤーサイドチャットでモハンティ氏は、シャルマ氏との会話から得た重要な要素を3つ挙げています。
あらゆる困難な状況を受け入れ、そこから学び、次の大きな課題に集中すること。キーワードは「次の大きなこと」。
重要で影響力のあるものを創造するときは、批判、特に厳しいコメントを受け入れること。
内省を通じて自身のチャレンジに対する安らぎと答えを探求することが、冷静かつ平静を保つのに役立っていること。
<左から、ビジェイ・シェカール・シャルマ(ペイティーエム創業者)、ソプネンデュ・モハンティ(シンガポール金融通貨庁(MAS、中央銀行) フィンテック最高責任者)>
●「ユニコーン企業を10倍に増やす」小池百合子東京都知事が「Founders Day」に応援メッセージ
3日目の「Founders Day」には国内外の創業者15名が登壇しましたが、創業支援を進める長谷部健渋谷区長が講演した他、小池百合子東京都知事がビデオメッセージを送るなど、創業者を激励しました。また閉会基調講演では神田潤一内閣府大臣政務官が登壇し、金融庁がフィンテックを推進していること、内閣府としてはスタートアップ5ヵ年計画に注力していることなどを話し、「Founders Rock」の前座で『オー・ソレ・ミオ』の一部を披露しました。
<左から:小池百合子(東京都知事)、長谷部健(渋谷区長)、神田潤一(内閣府大臣政務官)>
<「Digital Asset Summit」では、オープニング基調講演「Digital dawn - Reimagining Japan: A roadmap for progress(デジタルの夜明け - 日本を再構築する前進へのロードマップ)」(金融庁総合政策局審議官 柳瀬護)を始め、6以上のデジタル資産に関する講演やワークショップ、ファイヤーサイドチャットなどが行われました>
<AIやデジタル資産に関する活発な議論、金融当局による基調講演、VC設立発表などが行われた他、「Founders Rock」では創業者たちによるバンド演奏で盛り上がりました>
なお、一部のプログラムの動画は、JFFのLinkedInやYouTubeアカウントにて、今後随時配信される予定です。
JFF LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/japan-fintech-festival/
<開会演説「グローバル金融とテクノロジーの現状」より、ラビ・メノン(元シンガポール金融通貨庁(MAS、中央銀行)長官)、モデレーター:シャランジット・レイル(モデレーター&コンサルタント)>
「Japan Fin Tech Festival」およびElevandi Japanの概要は下記のとおりです。
記
「Japan Fin Tech Festival」(JFF ジャパン・フィンテック・フェスティバル)開催概要
会 期: 2024年3月4日(月)〜3月8日(金)
会 場: 神田明神、三井住友銀行本店ほか
主 催:Elevandi Japan
後 援:金融庁、デジタル庁、日本銀行、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO/ジェトロ)、シンガポール金融通貨庁(MAS、中央銀行) 、東京都、FinCity.Tokyo、名古屋市、札幌市、福岡県ほか
公式サイト:https://www.fintechfestival.jp
Elevandi Japan株式会社について
ELEVANDIは、シンガポール金融通貨庁(MAS、中央銀行) から独立して設立された非営利団体です。シンガポールが世界における金融ハブを目指すという潮流の中、2016年からMASは世界最大のフィンテックイベントである「Singapore FinTech Festival(SFF)」を主催してきました。2021年、MASのSFF主催チームがスピンオフし、SFFのようなイベントやさまざまなステークホルダーとの協業のためのプラットフォームの運営等を通じて、シンガポールのみならず世界的なフィンテック・エコシステムを形成することを目的としてELEVANDIが設立されました。2023年8月にELEVANDIは日本法人としてエレバンディ ジャパンを設立し、世界のフィンテック・エコシステムを強化するためのアジアにおける中心的なハブとなることを目指しています。なお、昨年8回目の開催を迎えた世界最大のフィンテックイベントであるSFFは、来場者数6万6千人以上となり、過去最高記録を更新しています。
[会社概要]
社名:Elevandi Japan株式会社 (読み:エレバンディ ジャパン)
代表者:鬼頭 武嗣、ピーテル・フランケン
住所:東京都中央区八重洲1-4-16 東京建物八重洲ビル3階
主要事業:金融・Fintech分野におけるエコシステム・コミュニティ運営
鬼頭 武嗣
共同創設者、Elevandi Japan
東京大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。ボストン・コンサルティング・グループ、メリルリンチ日本証券、Fintechスタートアップのクラウドリアルティの創業・M&Aエグジットを経て、2023年8月にElevandi Japanを共同創業。2017年から6年間一般社団法人Fintech協会の代表理事副会長も務める。内閣府新技術等効果評価委員会委員、デジタル庁・経済産業省国際データガバナンス検討会委員、福岡県国際金融アドバイザー。
ピーテル・フランケン
共同創設者、Elevandi Japan
金融サービス業界で25年にわたり活躍し、シティグループ、新生銀行等を経て、現在はマネックスグループにて、最前線のテクノロジーの実装によって革新的なサービスを生み出している。2011年には市民発で環境にまつわるデータを収集する団体、Safecastを共同創設し、MITメディアラボの研究員や慶應義塾大学 主任客員研究員として、シチズンサイエンスやIoT、ブロックチェーン技術の研究にも貢献している。
<左から、ピーテル・フランケン (Elevandi Japan共同創設者)、ソプネンデュ・モハンティ(シンガポール金融通貨庁(MAS、中央銀行) フィンテック最高責任者)、鬼頭 武嗣(Elevandi Japan共同創設者)>
以上
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