日本初*、下水処理の余剰熱を活用した「温水かけ流し式陸上養鰻」パイロット事業成功
約30倍の生産効率を達成し、浜松の地元産業と循環型経済のモデル構築へ

浜松ウォーターシンフォニー株式会社(本社:静岡県浜松市、代表取締役:熊谷 眞純、以下HWS)は本日、浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業の一部として管理する浜松市の西遠浄化センター(静岡県浜松市中央区松島町2552−1)において、下水汚泥処理のプロセスで発生する余剰熱エネルギーと既存の水処理設備を活用した「温水かけ流し式陸上養鰻」パイロット事業の成果報告会及び試食会を開催いたしました。
今回、特許出願中の運転制御技術を導入することで、温水消費量を従来の5分の1に抑制しながら、6倍の高密度飼育(養殖密度18%)ができる目途がたちました。これにより、当初計画比約30倍という生産効率を達成し、従来のタンク養殖(閉鎖循環式陸上養殖)に比べてシラスウナギを除くコストを約15〜20%削減できる見通しがたちました。
本成果報告会には、浜松市長、浜松市水道事業及び下水道事業管理者をはじめ、浜名湖養魚漁業協同組合の代表理事及び専務理事、浜松うなぎ販売組合の組合長、浜松うなぎ料理専門店振興会の会長を含む浜松市内の養鰻・うなぎ業界の関係者、及びHWSの代表企業であるヴェオリア・ジャパン合同会社の会長等が出席しました。報告会後に実施した試食会では、実際に本施設で養殖したうなぎを関係者に振る舞いました。


今回実証された成果は以下のとおりです。
・養殖密度を当初計画の6倍(18%)に向上
一般的な養鰻業(加温ハウス養殖)の養殖密度1~3%(1,000Lの水槽で10~30kgの魚を飼育する規模)に対し、今月末頃には18%に到達する見込みです。
・換水率(温水消費量)を5分の1に削減
水質維持のために当初必要と想定していた「1時間に1回、全量を入れ替える換水率2,400%」に対し、水質管理などの工夫により1日5回(換水率500%)にまで減らすことに成功しました。これにより限られた排熱エネルギーで当初想定の約5倍の規模の水槽を運用できる見込みです。
・コストを約15〜20%削減
下水処理プロセスの未利用排熱を全量活用することで、加温用の燃料費(重油代)をゼロ化する見込みです。さらに高密度化に伴い巨大化・複雑化しがちなろ過・循環設備を不要とする「温水かけ流し式」を採用したことで、初期投資及び電気代などの維持管理費の双方を抑制できる見通しです。


今後の展望:
本パイロット事業は、2025年よりHWS、浜松市及び浜名湖養魚漁業協同組合の三者のパートナーシップの下、化石燃料に依存しないサステナブルな養殖技術の確立を目指し、1年以上にわたり検証を重ねてまいりました。HWSは今回のパイロット試験(STEP1)の結果を受け、2027年3月までに試験結果の解析と評価、設備計画、費用算定を含む事業性調査(FS調査)を実施します。この調査結果をもとに、関係者間で実規模実証試験(STEP2)への移行に向けた合意形成を進めていくことを計画しています。
実規模設備への拡張時には、浜松市内の平均的な養鰻家1軒あたりの年間生産量(85トン)と同等規模となる、年間約90トンの生産を見込める体制の構築を目指します。さらに環境面においては、西遠浄化センターの汚泥焼却炉から発生する未利用の低温排熱を利用することにより、A重油換算で年間約1,300m³相当の熱量が得られ、化石燃料の代替として年間約3,500トンのCO2排出量を削減できる高い環境ポテンシャルを有しています。
今後も引き続き、地元の養鰻関係者の皆様と連携し、浜松市の産業振興と地域の持続可能なサーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築に貢献してまいります。
*「日本初」の定義は、余剰熱を利用し、使用後の水を下水処理場で処分する方式のことを指します。
浜松ウォーターシンフォニー株式会社について:
浜松ウォーターシンフォニー株式会社は2017年5月に浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業の履行を目的として設立されました。事業内容には西遠浄化センター、浜名中継ポンプ場、阿蔵中継ポンプ場に係る運転維持管理・修繕及び改築を含む運営が含まれています。事業期間は2018 年 4 月 1 日から 2038 年 3 月 31 日。株主はヴェオリア・ジャパン合同会社を代表企業にヴェオリア・ジェネッツ株式会社、月島JFEアクアソリューション株式会社、オリックス株式会社、須山建設株式会社、東急建設株式会社の6社です。
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