“国内初” CO₂排出量を大幅に削減するジオポリマーコンクリートを用いたセグメントをシールド工事に適用
耐腐食性能(耐酸性)が要求される構造物に適用、鉄建建設とIHI建材工業の最新研究
鉄建建設株式会社(本社:東京都千代田区、社長:伊藤 泰司)は、株式会社IHI建材工業(本社:東京都墨田区、社長:石原 進)と、大阪府吹田市発注の下水道管渠整備工事において、ジオポリマーコンクリートを国内で初めてシールドセグメントに適用しました。
今回、国内初適用となったジオポリマーコンクリートは、IHI建材工業 茨城工場で製造された「セメノン®」で、セメントを全く使用しないため、従来のセメントコンクリート製セグメントと比較して、CO₂排出量を大幅に削減できます。
■ジオポリマーコンクリート「セメノン®」について
ジオポリマーコンクリートとは、メタカオリンやフライアッシュ等のアルカリに活性な粉体(活性フィラー)と水ガラス等のアルカリシリカ溶液の縮重合反応により生成される固化体です。
ジオポリマーコンクリート「セメノン®」*1は、アルカリ活性材料(AAMs)のうち、カルシウム(Ca)成分をほとんど含まない純粋なジオポリマー*2に分類され、カルシウム(Ca)が溶解する酸劣化の環境において高い抵抗性を有しています。
■ジオポリマーコンクリート「セメノン®」を用いたセグメントの特徴
①従来製品と同等の強度及び耐荷重性能
実工事への適用にあたり、通常のセグメントと同様の製品検査を行い、従来コンクリートと同等以上の性能であることを確認しました。
②高い耐酸性・水密性・耐摩耗性
ジオポリマーコンクリート「セメノン®」は、従来コンクリートと比較して約15倍の耐酸性(図1)、約5倍の透水抵抗性(図2)及び1.2倍の耐摩耗性(図3)を有しており、下水道関連施設等の酸性環境下においても長寿命化を実現でき、維持管理費等の低減に貢献することができます。
③CO₂排出量を大幅に削減
コンクリートの材料の一つであるセメントは、原料である石灰石などを1,450℃の高温で燃焼して製造されます。そのため、コンクリートにおけるCO₂排出量の約90%はセメントに起因します。セメントを全く使用しないセメノン等のジオポリマーコンクリートは、従来のセメントコンクリートに比べて、CO₂排出量を最大80%削減することができます。
■セグメントモックアップによる長期耐久性試験等の実施
鉄建建設とIHI建材工業では、今後の展開を見据えて各種の耐久性試験を実施しており、セグメントモックアップ(外径Φ3,100mm)を鉄建建設の建設技術総合センターに設置し、自然環境下での性能試験と長期耐久試験を行っています。
■今後の適用について
鉄建建設とIHI建材工業はCO₂を大幅に削減しかつ、高い耐酸性を有するジオポリマーコンクリート「セメノン®」を、下水道の汚泥ピットや貯留管等、耐腐食性能(耐酸性)が要求される構造物へ積極的に提案をすることで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
*1「セメノン®」は株式会社IHIと株式会社IHI建材工業、横浜国立大学、アドバンエンジ株式会社にて開発したジオポリマーコンクリート
*2土木学会コンクリート委員会「新しいアルカリ活性材料を用いた低炭素社会におけるインフラ構築に関する研究小委員会(233委員会)」の分類に準拠
その他保有技術については、下記リンクよりご確認ください。
https://www.tekken.co.jp/tech/
鉄建建設株式会社
鉄建建設株式会社様は、1944年に日本の陸運輸送力の確保と増強のため鉄道建設専門の国策会社として設立されました。以来、全国交通網の構築、地域振興、人々の住みやすいまちづくりに貢献しながら、事業を拡大しています。
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