IHHの間接子会社NTKのFortis株の公開買付をインド証券取引所が承認
〜第一三共に対し、株式取得の妨害に関わる損害賠償として2,000億円等を請求する訴訟を遂行中〜
アジア最大手の病院グループであるIHH Healthcare Berhad(本社:マレーシア、以下「IHH」)の間接子会社Northern TK Venture Pte Ltd.(本社:シンガポール、以下「NTK」)は現在、第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「第一三共」)に対し、NTKによるFortis Healthcare Limited(以下「FHL」)およびそのグループ会社Fortis Malar Hospitals Limited(以下「FMHL」)の公開買付による株式取得の完遂を妨害したことに関わる損害賠償等を求め、東京地方裁判所で訴訟を遂行しています。
IHHは、2025年10月1日付で、インド証券取引委員会(SEBI)から、NTKによるFHLおよびFMHLの公開買付を再開することを認められました。
なお、2022年にNTKが公開買付を進めようとする意図が明らかになった際、第一三共はSEBIに対し、同社がシン兄弟に対して進めている損害賠償回収手続が係属中であるデリー高等裁判所の許可を得ることなく公開買付を進めることをSEBIが許可した場合には、SEBIに対する裁判所侮辱手続を開始する旨を通知しました。NTKおよびIHHは、当該法的手続の当事者ではなく、またシン兄弟とも一切の関係を有していないにもかかわらず、こうした通知がなされたことにより、公開買付の進行が長期間にわたり妨げられる結果となりました。
今回のSEBIの承認により、IHHは、FHLおよびFMHLの株式取得に向けた手続きを再開することが可能となりました。
なお、本訴訟において、IHHは第一三共に対し、主に以下を請求しています:
1. 損害賠償金 約2,000億円等を支払うこと
2. SEBIおよび公衆一般を含む第三者への名誉・信用毀損的説明によって、IHHによるFHLおよびFMHLに関する公開買付の完遂を妨害する行為を行わないこと
3. IHHが指定する内容を、第一三共のホームページに掲載するとともに、SEBIに同内容の書面を提出すること
IHHは、今後も本件に関する重要な進展があり次第、適時に情報を開示していく予定です。
訴訟に至った経緯
2018年、IHHの子会社NTKは、FHLの売却プロセスにおいて入札を通じて落札者として認定されました。NTKがFHLの買収を完了させるためには、インドの法制度上、FHLの一般株主に対する公開買付を実施する必要があります。
2018年12月、NTKによる公開買付の完了前に、第一三共はIHHおよびNTKに通知することなく、一方的にインド最高裁判所から暫定現状維持命令(暫定命令)を取得しました。NTKの本訴訟における主張は、第一三共によるこれらの行為により、NTKの公開買付が進まないことになったというものです。
第一三共は、インドの製薬会社ランバクシー・ラボラトリーズの買収によって生じた損害に関する賠償金の回収をめぐり長年にわたって紛争状態にあるシン兄弟と、IHHおよびNTKとが何らかの関係があったかのように憶測していました。しかし、第一三共の憶測に反し、IHHおよびNTKは、シン兄弟とは何らの関係もなく、またNTKによるFHLへの投資(すなわちFHL株式31.1%の引受け)および公開買付も、シン兄弟とは何らの関係もありません。
2022年9月、インド最高裁判所は、この暫定命令を維持しない最終判決を下しました。これは、公開買付を進めることができたことを意味していました。しかし、NTKが公開買付を進めようとする意図があることを把握した第一三共は、インド証券取引委員会(SEBI)に対して、「第一三共によるシン兄弟への損害賠償の回収手続が係属中であるデリー高等裁判所の許可を得ることなく公開買付を進めることを許可した場合には、SEBIに対する裁判所侮辱手続を開始する」ことを通知しました。NTKまたはIHHは、デリー高等裁判所における第一三共による法的手続の当事者ではなく、これらの法的手続は、NTKのFHIに対する投資にも公開買付にも関連していません。NTKは、本日に至るまで、公開買付の手続を進めることができなくなっています。
損害賠償請求額200億円から2,000億円への変更
IHHが2023年11月14日付で発表した声明文(以下「2023年11月14日付声明文」)に記載のとおり、NTKは当初、第一三共に対し、損害賠償として200億円(約6億3,400万リンギット)※1に加え、これに対する年利3%の遅延利息の支払い等を求めていました。
その後、NTKは、2025年2月6日付の準備書面とともに、NTKが任命した外部専門家であるオズボーン・パートナーズによって作成された専門家報告書(以下「OP報告書」)を東京地方裁判所に提出しました。 OP報告書には、第一三共が公開買付を妨害せず、公開買付が当初の予定通り実施されていた場合の3つの仮説シナリオに基づく損害の分析と算定が含まれています。
OP報告書によると、NTKが第一三共に対して求める賠償額は、前提とされる仮説シナリオによって異なり、最小額で42.4億インドルピー(約2億リンギット、約78億円)※2から、最大額で1,093億インドルピー(約57億リンギット、約1,998億円)※2の範囲となり、この最大額は、2023年11月14日付声明文で示された当初の200億円を大幅に上回る金額です。
NTKは、OP報告書の3つの仮説シナリオに基づく賠償額に、名誉・信用毀損によってNTKが被った損失に対する賠償額を加えた、約2,000億円(約57億リンギット)※2を、新たな損害賠償額として算出しました。この修正後の金額には、請求する利息の金額は含まれていません。
なお、第一三共による不法行為が現在も継続中であり、NTKに対して引き続き損害を与えていることなどから、NTKは訴えの変更の申立書の中で、第一三共に対する損害賠償請求額を今後も変更する権利を留保しています。
※1 2023年10月16日時点のマレーシア国立銀行(Bank Negara Malaysia)のウェブサイトに掲載された正午時点の仲値レート(JPY100: RM3.1702)に基づき、端数処理を適用しています。
※2 2024年12月31日時点のマレーシア国立銀行(Bank Negara Malaysia)のウェブサイトに掲載された正午時点の仲値レート(JPY100: RM2.8572、INR100: RM5.2226)に基づき、端数処理を適用しています。
IHH HealthcareおよびNorthern TK Venturesについて
IHH Healthcareは、アジアおよびヨーロッパを中心とした10カ国で140以上の医療施設を運営する、世界最大級のヘルスケアネットワークです。その中には、80以上の病院、クリニック、外来医療センターが含まれます。病院事業に加えて、IHHは検査・診断分野にも強みを持ち、筆頭株主である三井物産株式会社の病院・医療サービス事業において中核を担っています。日本において、IHHはグループ会社であるRLife REITを通じて介護施設への投資を行っています。 Northern TK Venturesは、IHHのインドにおける事業を手掛ける間接子会社です。
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