伝統技法の焼杉板品質を改善しさらなる増産が可能な生産体制へ
〇焼杉板について
日本は,国土面積に占める森林面積が約 66%に及んでおり,世界的に見ても非常に豊かな森林資源を有する森林大国である。しかし,戦前から戦後直後における極端な木材利用に伴う森林の荒廃,1970年代以降の円高に伴う輸入材の増加,1990年代の住宅着工数の減少による木材需要そのものの低下等,様々な要因があり,国内にある森林資源を有効に活用できていない状況が続いてきた。一方,戦後に造林された人工林が利用可能な樹齢に達しており,木材供給ポテンシャルは高まっている。そうしたなか,国内の森林資源の有効活用や林業の活性化,炭素貯蔵効果等の地球環境問題への貢献などの社会的要請もあり,木材需要の掘り起こしや利用促進に向けた動きが活性化している。そして,木材の総需要の約4割を占める建設産業においても,2000年の建築基準法改正で性能規定による基準への移行により,構造材,内装材,外装材それぞれにおいて木材の利用範囲が拡大している。
木材を外装材として利用するためには、塗料を塗布したものや薬剤を注入したものが一般的であるが、塗装や薬剤など以外に木材を外装材として使用するための表面処理の方法として,木材の表面を焼く「焼杉」という技術がある。「焼杉」は文字通り,杉板材の表面を燃焼により炭化させたもので,そうした処理を施すことにより耐久性能・防火性能等を高めることが可能であると考えられる。実際,現在でも西日本を中心に,住宅や蔵,塀などの外装材として使用されているのをごく普通に目にすることができる。( 住総研 研究論文集 · 実践研究報告集 No.44, 2017年版から抜粋。一部加筆。)
〇今回の目的
今回の発信は伝統技法とされる焼杉板の自社における品質改善が成功したためである。弊社の焼杉板製品「ノーブラシ」は炭化した部分をそのまま活用した製品として販売する伝統的な焼杉板と表面の仕様が同じものである。弊社は数年前にレギュラー品としてノーブラシをラインナップしていたが、炭化部分の剥離が問題となり、製造と販売を見合わせていた。それから時間が経過し、問い合わせを受ける過程で、都度工程を見直していたところ、改善に成功し、今回、生産体制を気づくことができた。
焼杉板は日本の伝統技法であるため、手法は異なるが、今回ノーブラシを生産できる体制が整ったことは、伝統を継続して守ることができると思う。
〇平川木材工業が目指す未来について
上述したように、2000年の建築基準法改正で利用が進んでいるにしろ、人口の減少や戸建て購入意欲の減少などで、停滞気味なことは否めません。しかし、最後まで諦めず活路を見出すためにミッションとして掲げるものです。
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〇会社情報
会社名:株式会社平川木材工業
代表者:代表取締役社長 平川典秀
所在地:福岡県うきは市浮羽町朝田572
創業:大正13年 設立:昭和63年
サイト:https://www.hirakawa-mokuzai.co.jp/
〇本リリースに関するお問い合わせ先
株式会社平川木材工業 広報担当
norihide@hirakawa-mokuzai.co.jp
〇焼杉板に関する写真
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